ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~ 作:榛野 春音
ようやく話が動きますので期待しててください!!!
そして告知ですが、近々ある方とのコラボしようと思ってます!!楽しみにしていてください!!
それでは最新話をお楽しみください!!!!
1
エリウは、地を蹴った。
素早く二人の間に割り込みスキルを発動する。
〈アブソリュート・セイバー〉固有回転撃技[リマイン・ベード]。
回転することで円状のアタックエフェクトが放たれた。
「エル!」
アールが声を上げながら飛び上がる。
するとエルは、頷く。
エルは、かがみ込んでアタックエフェクトをよけ、コールした。
「モンスターサモン!イルファング・ザ・コボルドロード!」
刹那
エリウとエルの間の空間が歪み、数字の羅列が物凄い勢いで流れ、巨大な生き物を形作る。
エリウが目を見張る中、巨大な生き物は動き出した。
グオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そこに現れた生き物をエリウは、忘れもしない。
それは、アインクラッド第一層ボスモンスター[イルファング・ザ・コボルドロード]だった。
「バカな!?」
エリウは、思わず声を上げる。
すると、今度はアールがコールした。
「モンスターコントロール!ターゲット、イルファング・ザ・コボルドロード!」
次の瞬間、イルファング・ザ・コボルドロードの目が赤から青に変わる。
「やっちゃいな!」
アールがそう言って、イルファング・ザ・コボルドロードに指示を出す。
それを聞いた途端、イルファング・ザ・コボルドロードが俺に向かって突っ込んで来た。
「どうなってる!?」
エリウは、イルファングの蛮刀を受け止め押し返す。
しかし、すぐさまその隙をついてエルとアールが左右から突っ込んでくる。
素早く、二人をさばいて飛び退く。
が、すぐそこにイルファングが蛮刀を振り下ろしてくる。
左に体をスライドさせてそれをかわす。
「なんなんだ!お前ら!!!!」
エリウが怒鳴ると二人はケラケラと笑う。
そして、エルが言った。
「ユニークスキル〈サモン〉。」
すると、次はアールが言った。
「ユニークスキル〈コントロール〉。」
ユニークスキル・・・・だと!?
エリウが驚愕する。
しかし、すぐに持ち直してスキルモーションをとる。まずは、イルファングを片付けたい。
〈アブソリュート・セイバー〉固有三連撃技[トライデント]。
考えてみたら、そこまで珍しい話ではない。
既にエリウには、ユニークスキルフレンドは多数いる。アルトラウス、レックス、ソルモ。まだフレンドではないがキリトにヒースクリフまでいる。
そして、俺もユニークスキル使いだ。
しかし、
今まで見て来たユニークスキルは、どれもなんだかんだ言って剣を使用するものばかりだった。
が、目の前にいる二人の少女が使用するのは、剣を使用してのスキルではない。
モンスターを召喚するスキルと、モンスターを操るスキル。厄介極まりないな。
エリウのトライデントがイルファングの足を貫通する。
イルファングが倒れこむ。
エリウは追撃に出ようとするが、エルとアールが再び邪魔に入る。
切り捨てようとするが、なかなか二人のコンビネーションは上級。ギリギリで跳ね上がってよけたと思えば、もう一方が攻撃して来る。
素晴らしいコンビネーションだ。
「ちぃ!!!」
エリウは、苦し紛れにスキルを放つ。
〈アブソリュート・セイバー〉固有一五連撃技[アージェンティアストリーム]。
アルゴのこともある。これ以上じゃまするなら、二人まとめて切り刻んでやる!!!
エリウがアージェンティアストリーム第一撃を放つ。
が、その一撃は二人のダブルパリィに防がれ、スキルが停止する。
バカな!?
アージェンティアストリームは、打ち出すタイミング、打ち出す位置が毎度ランダムに決定されるため原則パリィされることはない。なのに何故?
そう思いつつ、スキルの弾かれた反動でのけぞる。
なんとか体制を戻した時、目の前にイルファングの蛮刀が見えた。
ヒット
エリウは、物凄い勢いで吹き飛び、ボス部屋の壁に叩きつけられる。
「ごあっ!!!」
どうやら、イルファングのレベルは何らかの補正がかかっているようで七十層上級モンスターレベルの強さがあるようだ。
初めの二人の攻撃と、イルファングの攻撃で半分程に削れた自分のゲージを恨めしげに睨む。
「テメェら・・・・」
すると、余裕が出たのか、エルが言った。
「どうせだし、さっきの質問に答えるわ。」
そして、エルは左腕の装備を外す。
「え?答えちゃうの?」
そう言いつつ、アールも右腕の装備を外した。
再びエルがエリウに言った。
「何者か?だったわね?・・・・これ見たら分かるでしょ?」
そう言って、エルは左腕に刻まれたマークを見せて来た。
笑う棺桶。
エリウは、目を見開いた。
「・・・・・・・・ラフィン・コフィンだと?」
その声は虚しくボス部屋に響く。
エルとアールは、そんなエリウに悪の微笑みを見せた。
2
「エリウおせぇな」
アルトラウスが首を捻る。
すると、ストレアは頷いてウィンドウを開く。
「第一層のボス部屋にいるみたい・・・・・・って、これ大変!」
ストレアが慌てて立ち上がる。
「どっどうしたんだい?」
ソルモが驚いた様子でストレアを見る。
ストレアは、早口に言った。
「エリウが誰かに殺されちゃう!」
「「「何ぃ!?」」」
ストレアはそう言って、宿を飛び出した。
「俺達も行くぞ!」
アルトラウスが駆け出すとレックス、ソルモが後に続いた。
ストレアに追いついた三人は急いで転移門に向かう。
「エリウが殺されるって、どういう意味だ?」
レックスが聞くと、ストレアは深刻そうな表情でこたえる。
「私はエリウの武器だから、離れていてもエリウの状態がリアルタイムでウィンドウに表示されるの。それで、今エリウはデュエルとは関係なく戦闘中みたい。しかも二人を相手してる。近くに何か大型のモンスターもいる。そして何より、エリウのゲージが既に半分切れてること」
ストレアが言い終えると、アルトラウスが怪訝そうな顔をする。
「二対一くらいでエリウのゲージが半分もやられるって、あり得んのかよ?誰だそいつら」
「わからない」
「エリウ・・・・」
アルトラウスの言葉にストレアとレックスが不安げな顔をする。
「でも、ひとまずそこに行かないことにはどうにも出来ないよ!先を急ごう!」
ソルモはそう三人に声をかけた。
四人の視界に転移門が見えてくる。
転移門に四人は飛び込みながら、叫んだ。
「「「「転移!第一層迷宮区!!!!」」」」
×××
「ラフィン・コフィン・・・・」
エリウのかすれるような声にエルとアールが薄く笑う。
「個人的に恨みとかは、無いのだけれど・・・・殺す理由ならある。だから、死んで?」
エルの静かな宣告にエリウは、呟くように問った。
「殺す理由というのを聞きたい」
すると、今度はアールが言った。
「どうせ死んじゃうのに、聞いてどうするのぉ?」
その口調には、冷たい響きがありアールの瞳は無機質に見開かれたものだった。
しかし、エリウは笑った。
「何がおかしい?」
エルが冷ややかな目を向けてくる。
「殺意が足りないんだよオマエら。ラフコフごっこなんざ止めろ。相手に理由を聞かれる余裕がある時点で、オマエらは失格だ」
エリウの凄みのある口調に二人が硬直する。
「何をっ!知ったような口を!人を殺したことも無いくせに!」
アールが怒鳴る。
しかし、エリウは静かに言った。
「殺したことなんざ沢山ある。オマエらがこの世界で何人殺したか知らんが、俺はリアルで何人も殺した。そう何十人何百人とな!!」
エリウがそう言って、一歩踏み出すと二人はビクリと震えて後ずさる。
「何百?そんなこと・・・・あるわけ」
「そんなことある。俺は元々海外の少年兵だからなっ!!オマエら根本から殺意が足りないんだよ。本当は殺す気無いんだろ?」
「だまりなさい!これ以上言うなら、今すぐにでも!」
「やって見ろよ!!!!!!」
エリウが怒鳴ると二人は、再びビクリと震えて更に後ずさる。
「早急試しに聞いてみたが、オマエらの殺しには理由があるみたいじゃんかよ。バカか。本当の本物の殺しに理由なんざいらねぇ。殺しの世界は、狩るか狩られるか。理屈も理由も無いんだ。・・・・そして、オマエらは殺しには向いてねぇ。どういう理由か知らんが、やられた分、アルゴの分は返せさせて貰う」
そう言って、エリウは剣を振った。
斬撃が飛翔し、一撃でコボルドロードを両断した。
コボルドロードは、呻き声と共にポリゴン化し爆散した。
エルとアールは、慌てて構えたが既に二人は地に叩きつけられていた。
認識した時には、すでに遅かった。
二人の首元には、いつの間にか麻痺針が突き立てられている。
そして、二人の前には無表情のエリウ。
コボルドロードが死に、麻痺針が突き立てられて地面に叩きつけられるまでの時間は、ほんの二秒足らずの出来事だった。
「覚えとけ。この針の代わりに剣を使うことも出来たということを」
エリウは、そう言うとアルゴを担ぎ上げて歩き出した。
「・・・・なんで」
不意な声にエリウは立ち止まった。
「?」
それは、エルの声だった。
「じゃぁ。なんであんたは、沢山の人を殺したのにあんなに自然に暮らせるのよ!」
エルは、泣いていた。
しかし、エリウは振り返らない。
エルは、続けた。
「私達は、昔あるユニーク使いに兄さんを殺された。だから、この力を手にして直ぐに復讐故に殺したわ。でも、殺して気づいたのよ。殺し返しても兄さんは帰ってこない。それどころか人を殺した自分達の愚かさ恐怖、殺した相手の最後が染み付いて生きることすら辛くなる。どうしていいかも分からず、更に強力な人間を殺すことでその念を払おうとしたわ。でも、殺しても殺してもこの念は消えなかった。むしろ強くなったわ。でも、戦うことしか出来ないこの世界で私達には、これしか策を見いだせなかった。・・・・そんな時、あんたを知った」
そこまで話したエルは嗚咽を漏らした。
エリウは、目を閉じて続きを待った。
少しして次は、アールが続けた。
「あんたは、自然だった。自然過ぎて、今この時まで少年兵なんて知らなかった。・・・・ねぇ。教えてよ。あんたも沢山の人を殺したなら、それなりに背負うものあったと思う。それをどうやって乗り越えたの?どうしたらそんなに自然に慣れるの?」
気が付いたら、アールの声も震えていた。
エリウは、そっとを息を吐いてから答えた。
「乗り越えてなんかない。」
「「え?」」
エリウの言葉に二人の声が重なる。
「俺が自分のしたことを理解したのは、日本に来たゲーム開始から一年半前のことだ。それまでの十六年間は、殺した奴のことは覚えていても別に気になることなんてなかった。・・・・結局、ことを理解した時にはもう遅い。そして、して来たことは消えないし、乗り越えられない。乗り越えてもいけない。ずっと背負わないといけないんだ」
そう言って、エリウは一息ついた。それから少しの間の後、ゆっくりと続けた。
「でも、人間なら楽しいことや幸せな時がある。どんな奴にもそうなる権利があるんだ。だから、そうなる為にも、して来たことを背負い続ける為にも、俺は[殺しの刃]を捨てて[守る刃]を手に入れた。守る刃を手にすることで俺は少し人らしく歩けるようになった。・・・・まぁ人らしく歩けるようになったのは、それだけじゃないな。刃で守りたいものを見つけたからだ」
「「・・・・守りたいもの?」」
その時、激しい音を立ててボス部屋の入り口が開く。
「「「「エリウ!!!!!!!」」」」
ボス部屋にストレア、レックス、アルトラウス、ソルモがなだれ込んで来た。
それを見たエルとアールは理解した。エリウの守りたいものを。
「仲間・・・・」
アールが絞り出すような声で呟く。
そして、エルが消え入りそうな声で言った。
「でも・・・・私達には守りたい仲間なんていない・・・・」
すると、ようやくエリウは振り返った。
「バカか。いるだろうが、互いに横にいるだろ。大事な奴が」
「「!!!」」
言われて、エルとアールは顔を見合わせた。
そして、二人は再び泣き出した。
そんな二人を後目にエリウは、ストレア達の待つ入り口に向かった。
エリウは、そっと呟いた。
「でも、俺は・・・・・・」
その声は、誰に届くでもなく風に紛れた。
そして、その後エリウ達はキリトがヒースクリフに敗れ、血盟騎士団に入団したことを知る。
運命は、近づいていた。