ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~ 作:榛野 春音
ちなみにみなさん!よろしければ感想ください!
それでは、最新話をお楽しみください!!
1
「直接話すのは、初めてだね。エリウくん」
「なんなら、間接的にも話したことないぞ。・・・・まぁ噂は、かねがねってことさ。ヒースクリフさんよ・・・・お会い出来て光栄だ」
そう言ってエリウは、おどけた調子で礼をする。しかし、目は笑っていない。
数時間前、七十五層ボス部屋偵察隊が全滅したとの話がアルゴから回ってきた。
それとほぼ同タイミングでアスナから、ある連絡を受けた。
『ヒースクリフ団長がエリウ達に会いたい』と。
エリウ、アルトラウス、レックス、ソルモ、エル、アール、ストレア、ルリカの八人は、血盟騎士団の本部があるグランザムに来ていた。そして、ここは血盟騎士団拠点の会議ホール。
「で?普通、用が有るならそっちから来るのがスジじゃないすかね?」
エリウが冷めた口調で問う。
すると、ヒースクリフは申し訳なさそうに肩をすくめた。
「いや。それについて申し訳なく思っているよ。なんせ、君達の拠点が掴めなくてね。アスナくんが連絡先を知っていたのが幸いしたわけだ」
すると、アルトラウスが口を開いた。
「まぁ。んなこたぁ、後でいい。それより何の用だ?」
それを聞いて、ヒースクリフは自身の横にいるアスナに合図した。
合図を受けたアスナが口を開いた。
「みんなはもう、偵察隊が全滅した話は聞いたよね?」
「まぁな」
エリウが答え、皆も頷く。
アスナは続けた。
「今までにこんなことはなかったわ。それだけ今回のボスは強いのだと思う。だから・・・・」
「ユニーク使いである俺達の力を借りたいと?」
レックスがアスナに続くように言うと、アスナは頷いた。
すると、エルが言った。
「本当にそれだけ?」
それを聞いて、ヒースクリフが顔を上げる。
「どういう意味かな?」
「要は私が言いたいのは、協力依頼だけならわざわざ呼ぶ必要なんてないじゃない?ってこと。メッセージ飛ばせば済むことだし。大した話でもないわ。それにボス攻略は、血盟騎士団が指揮してるわけじゃ無いでしょ?あくまでも、攻略組は血盟騎士団とは別物じゃない。それなのに何故血盟騎士団長が、まるで攻略組代表みたいに私達へ参加依頼をするの?」
ヒースクリフは、エルの言葉を聞いて頷いた。
「まぁ。確かにエルくんの言うとおりだ。流石だ。 君の言う通り血盟騎士団は攻略組とは別物だ。しかし、だからこそ数ある攻略組ギルドの中で血盟騎士団がより上位に立ちたいと思うのは人間のエゴだ。 そこで私達は、君達ユニーク使い達とどこのギルドよりも早く協定を結ぶことで他のギルドとの差を作りたかったのだよ。君達のような強力なプレーヤーと協定を組むことは、君達の考える以上にギルド運営に大きくものを言う」
「結論として、私達を利用したいのね?」
ヒースクリフの言葉が終わるなり、ルリカが冷たい口調で問う。
すると、アルトラウスが吐き捨てるように言う。
「はっ!なんでテメェらの事情にこっちが付き合わなきゃならねぇんだ!こっちには、何にもメリットねーだろうが!」
「よしなよ。アル」
まだ、何かいいたげなアルトラウスをソルモがなだめる。
アルトラウスが黙ったのを見計らってエリウは言った。
「そうだぜ。落ち着けアル。 流石に向こうも、こっちに一方的な利益を求めるわけねぇ。恐らくは、互いの利益を話し会う為に俺達をよんだんじゃねぇの?」
すると、ヒースクリフは薄く笑う。
「流石だよ。エリウくん。その通り、今日はその為にここまでおいで頂いたのだよ。しかし、予定では初めの目的を言った時点で君達が了解すると考えていたのだがね。やれやれ・・・・念のためにここに呼んで正解だったよ」
「って、ことは予定通りなら俺達には利益を与えないつもりだったと?ったく。ヒースクリフも悪い大人だ」
エリウが冗談めかして笑うと、ヒースクリフは苦笑いする。
「端的に言えばね。・・・・・・では、利益についての相談の前にまずこの件に同意して頂けるかな?」
「いいだろう。攻略自体は、元々参加する予定だったからな。要は、そっちは血盟が俺達を勧誘した事実が欲しいだけだろ?」
「そうだとも」
そこまで言った時、アルトラウスが口を挟んだ。
「おいエリウ!俺は気にくわねぇ!わざわざこんな狡い連中と取引するなんてよ!」
しかし、エリウは至って冷静だった。
「心配すんな。まぁ任せろ。悪いことにはならねーから」
そう言ってからエリウは、ヒースクリフに向き直る。
そして、
「でも、まぁ交渉の前に一ついいか?」
「なんだね?」
エリウは、ヒースクリフの探るような表情を見てニヤリと笑う。
「俺とデュエルしてくれよ」
2
それから数分後。
エリウは、血盟騎士団闘技訓練場へと続く廊下を歩いていた。
「エリウ!なんであんなこと言ったの?ヤバくない?ね?ヤバくない?」
アールが半分ワクワクした様子で話かけてくる。
「アール止めなさい。エリウが集中できないでしょう?」
エルが軽くたしなめるがアールはスキップして、あまり聞いていない。
「エリウ・・・・」
ストレアが不安げな声でエリウの腕に絡みつく。
エリウは、静かに言った。
「お前は、いつもどうりでいい。下手にスキル停止とかするなよ。そしたら全てチャラだ」
「うん」
すると、レックスがエリウの肩を小突く。
「何か理由があるんだろ?」
「まぁな」
「なら、いい。俺は、お前の行く道について行く」
そして、レックスはアルトラウスとソルモに何か言って、エリウとの距離を取った。
恐らくは、集中できる環境を作れるようにとのレックスなりの気遣いなのだろう。
エルもアールを引きずりながら、エリウから距離を置く。
その時、ちょうど闘技訓練場の入り口が見えて来た。
「俺達は、上のスタンドから見とく。・・・・また、あとでな」
レックスは、そう言ってエル達と上のスタンドに続く階段を登って行った。
エリウは、ストレアを大剣に変えて背負った。
さぁて。吉と出るか、凶と出るか・・・・。
そう思った時、袖の裾が引っ張られる。
振り返るとルリカがいた。
ルリカは、真っ直ぐにこちらを見ていた。
「信じてる」
一言だけ言って、ルリカは階段を登って行った。
残されたエリウは、薄く笑い、闘技訓練場に足を踏み入れた。
闘技訓練場の中心には、既にヒースクリフが待っていた。
「わりぃな。変な挑戦に乗ってもらってさ」
すると、ヒースクリフは首をふる。
「いや。構わない。私も君とは一戦交えたいと考えていたからね。丁度良かった」
エリウは、その言葉を聞いて満足そうに笑うと、ヒースクリフにデュエル申請を飛ばす。
ヒースクリフは、それを見て眉をひそめた。
「半減決着か。これはどういった意図でかな?」
「簡単さ。より緊張感が欲しくてな」
エリウのさらりとした回答にヒースクリフは釈然しない様子だったが、ひとまず申請を許可した。
デュエル開始一分前。
空中にカウントダウンの数字が表示される。
ヒースクリフが剣を抜く。
エリウも大剣を構える。
互いに睨み合う中、エリウは言った。
「ヒースさんよぉ?あんたさぁ、ゲージ最大でどの位削られたことある?」
すると、ヒースクリフの顔が微かに曇った。
「私は、具体的には覚えていないがイエローまで削られたことがないのは確かだ」
「神聖剣を手にしたのはいつ?」
「それは、秘密だ。・・・・急になんだね?」
「いや。なんとなくさ」
そこまで話して、エリウはカウントダウンを見る。
三 二 一・・・・デュエル開始!!!!
両者が同時に地を蹴った。
エリウは、すぐさま初撃を入れる如く瞬時に間合いを詰める。
が、ヒースクリフは基本スタンスとして盾を前に出している為、切り込めない。
エリウは、間合いを詰めた瞬間に一歩下がる。
すると、ヒースクリフクリフがそこを狙って剣を突き出して来る。
しかし、弾丸の飛び交うリアルな戦場で戦い抜いてきたエリウに取って、それを交わすことは容易い。
エリウは、ヒースの突きを潜るようにして交わしその脇を軽く斬る。
ヒット!
ヒースクリフは、驚愕し慌てて後ろに下がる。
エリウは、畳かけるようにスキルを放った。
《アブソリュート・セイバー》固有単発技[ヴァンヴォルグ]。
一本の蒼い閃光が飛翔しヒースクリフを襲う。
しかし、ヒースクリフはそれを盾で受け流すことで交わした。
エリウは、尚もスキルを放つ。
《アブソリュート・セイバー》固有ニ連撃技[デスクロスブレード]。
クロス字に放った紫の斬撃エフェクトが飛ぶ。
ヒースクリフは、それを自分のスキルで中和させようとする。
爆音が響く。
中和しきれなかったダメージがヒースクリフのゲージをえぐる。
だが、ヒースクリフは直ぐに体制を立て直し攻撃に出た。
それから暫く打ち合いが続く。
十分ほど経った時、ヒースクリフに疲れが見えた。
エリウは、スキルを発動させた。
《アブソリュート・セイバー》固有単発技 [リフェクト・ランス]。
トライデントと同様に全身をしならせるようなモーションの後、全力の突きを放つ。切っ先から飛び出した真っ直ぐな閃光は、ヒースクリフに直撃すると思えた。
しかし、ヒースクリフはそれをジグザグと曲がるようなバックステップで交わした。
刹那。
エリウの放った閃光がジグザグとヒースクリフの動いた方向に数秒遅れて曲がる。そして、ヒースクリフが動きを止めた位置から少し手前で消滅した。
スキルが消滅したのを確認したヒースクリフが飛び出そうとした時、
「はい!ストップ!」
エリウが大声で叫んだ。
それを見て、スタンドにいたレックス達が何事かと、身を乗り出す。
ヒースクリフだけが青い顔で硬直している。
エリウは、勝ち誇った笑みを浮かべた。
そして、ヒースクリフを指差して高らかに宣言した。
「お前が茅場晶彦だ!!!」