ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~ 作:榛野 春音
多分アルヴヘイム篇での公開になりそうです。
いきなりの謝罪でしたが、最新話をお楽しみください!!!
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2024年11月7日
七十五層コリニア市のゲート広場には、既に多くの攻略組メンバーが集結していた。
エリウは、アルトラウス、レックス、ソルモ、エル、アール、ルリカ、ストレアを引き連れてその一団に近づいていく。
すると、皆が急に口を閉ざし畏れるような眼差しでこちらを凝視する。
エリウ達は、何食わぬ顔でゲート近くのスペースに陣どった。
「こんにちは。今日は参加してくれてありがとう」
声をかけられ、振り返るとそこにはアスナとキリトがいた。
「よぅ。お二人さん。礼はいらねーよ。もともと出る予定だったんだから」
エリウがそう返すとアスナは、満足そうに頷いた。
すると、
「お?皆さんおそろいで!」
今度は、クラインが現れた。背後にはいつもの風林火山のメンバーとエギルがいる。
「なんだ。お前らも参加するのか」
キリトが言うと、エギルが笑う。
「なんだってことはないだろ?苦戦するって聞いたから来てやったんだ。少しは、有り難く思え!」
そこまで聞いていた時、エリウはふとあることを思い出しキリトに声をかける。
「そういえば、お二人さん結婚したんだってな?おめでとう」
「「「「「「「!?」」」」」」」
エリウが言った途端、アルトラウス達が驚愕する。
あれ?知らなかったのか?こいつら。
すると、キリトは苦笑いしつつ頭をかく。
「あぁ。まぁそうだな。ありがとう」
気恥ずかしそうなキリトとアスナを見て、エリウはニヤニヤとした笑みを見せる。
微かに背後で殺意が感じられたのは気のせいだろう。
な?レックス、アルトラウス。
そして、なんか知らんが俺に突き刺さるような熱い視線を向けてるのも気のせいよな?ストレア、ルリカ、エル、アール。
そんなこんなで多少緊張のほぐれるような会話をしていると、いつの間にか出発予定時刻となった。
予定時刻午後一時丁度にヒースクリフは、血盟騎士団の精鋭数名を連れて現れた。
ヒースクリフは、プレーヤーの集団を二つに割りながらエリウ達の方に歩いて来る。
威圧されたようにクラインとエギルが数歩下がるが、エリウは白けたような顔で言った。
「よぅ。来てやったぜ?」
すると、ヒースクリフは予想外にも素直に礼を述べた。
「君達には、礼以外の言葉が見当たらんな。本当に感謝する。今日は、共に志向の限りを尽くそう」
そう言って、ヒースクリフは右手を差し出してくる。
エリウは、それを握り返して少し笑う。
「あぁ。こちらこそな」
その後ヒースクリフは、集団に向き直り全員に一言述べた。
そして、回廊結晶を片手に発声する。
「コリドー・オープン!!」
ボス部屋前に続くゲートが開かれ、ヒースクリフはプレーヤー達を見回した。
「では皆、ついてきてくれたまえ」
×××
ボス部屋の前につく。
「では・・・・行こうか」
ヒースクリフは、そう言うと無造作にボス部屋の扉に手を欠ける。
緊張感が走る中キリト、クライン、エギル、アスナが互いに言葉を交わしている。
エリウは、欠伸混じりに首を鳴らし、仲間達に声をかける。
「ヘマすんなよ?喰らいついて行こうぜ?」
すると、レックスが笑う。
「ギヒャッ!喰らいつくどころか、喰い殺すつもりだ!」
アルトラウスも笑う。
「言うねエリウ。俺達ユニーカーにヘマなんて言葉はいらねーよ。圧倒するのみだ」
ソルモは、無言で笑みを見せる。エル、アールも口々に言う。
「私達姉妹を舐めないことよ?」
「そうだよ!絶対ラストアタック貰うからね!」
ルリカは、目を閉じ笑う。
「私は、エリウについて行くだけ。だから、しっかりしてよね?」
ストレアは、無言で頷き大剣に姿を変えた。
エリウがストレアを握る。
その時、ボス部屋の扉が開きヒースクリフが叫ぶ。
「戦闘、開始!!!」
エリウは、深く息を吐き七人の仲間達に言った。
「行くぞ!!」
七人の怒涛の叫びが続き、エリウ達はプレーヤーの波に紛れボス部屋に突入した。
全員がボス部屋に入り、自然な陣形を作って立ち止まる。
背後で扉が閉まる音が響く。
数秒の沈黙が続く。
ボスは出現しない。
「おい・・・・」
誰かが耐えかねたふうに声をあげた、その時。
「「上よ!」」
アスナとルリカの声が重なった。
全員がはっとして頭上を見上げる。
ドームの天頂部にソイツはいた。
全長十メートルはある。骨のような姿に百足を想わす無数の足、そして巨大な鎌上の前足と凶悪な形の頭蓋骨。
ソイツの頭上には、イエローカーソルと共に名前が表示された。
《The Skullreaper》。
「スカル・・・・リーパー・・・・」
あまりの迫力にエリウは苦笑いを漏らす。仲間達も凍りついている。
すると、突如としてスカルリーパーはパーティーの真上に落下して来た。
「固まるな!距離を取れ!!!」
ヒースクリフの言葉で全員が我に帰る。
全員が飛び退く中、三人ほど逃げ遅れる。
そして、
落下したスカルリーパーより鎌の横振りを受けた。
三人が宙に舞い、そのHPゲージが呆気なくゼロになった。
!!!!
全プレーヤーが驚愕する中、三人の名も知らぬプレーヤー達はポリゴン化し爆散した。
「一撃だと!?」
「滅茶苦茶だろ!!」
プレーヤー達がパニックに陥る。
そんな状況を知ってか否か、スカルリーパーは新たなプレーヤーの一団目掛けて突進した。
そこにいたプレーヤー達が悲鳴を上げる。
と、振り下ろしされる鎌の真下に二人のプレーヤーが飛び込んだ。
エリウとヒースクリフだ。
エリウは逆手に握る[デッド・オブ・グレートセイバー]で難なくその鎌を受け止め、ヒースクリフがそれをサポートするように迎撃した。
「いいサポートするじゃん?ヒースさん」
「集中したまえ!それより、隠しきれない冷や汗がこちらにも伝わってくる」
「はっ!よく言うぜ!・・・・暗黒点!飛ばすぜ!」
ヒースクリフと言葉を交わし、エリウは笑った。
そして、間髪いれずスキルを放った。
《アブソリュート・セイバー》固有三連撃技[トライデント]。
三つ叉の槍のエフェクトが飛翔しスカルリーパーを貫く。
スカルリーパーが大きくよろめいた。
ヒースクリフが叫んだ。
「ユニーク使い諸君とアスナくん達は前方に!他は側面から攻撃を!!!」
その声に全員が動きだす。
キリト、アスナ、レックス、アルトラウス、ソルモ、エル、アール、ルリカも前方の攻撃に参加する。
「うおおお!!」
キリトがアスナと素晴らしいコンビネーションで攻撃を加える。
「ギヒャッァアア!!!!!」
レックスが吼え、スキルを放つ。
《怨血刀》固有二十五連撃技[紅蓮万輝~叡牙~]。
黄色いエフェクトを纏う二十五連の斬撃がスカルリーパーに反撃の隙を許さない。
「くおっらああ!!!!!」
ここでアルトラウスが究極技を放った。
《記憶剣》固有無数連撃技[インフィニット・マインド]。
記憶剣の最上位に奥義スキルだ。
アルトラウスが空中で無数に分身しそれぞれがスキルを放つ。その数120以上。
様々な武器の様々なスキルが一斉にスカルリーパーを襲った。
ギュオオオ!!!!!
スカルリーパーが雄叫びをあげる。
「はあああ!!」
アルトラウスに続くようにキリトがスカルリーパーの懐に入り込む。
そして、《二刀流》固有十六連撃技[スターバースト・ストリーム]を放った。
物凄い勢いで二刀流から放たれる連撃技はまさに、流星群。
しかし、スカルリーパーも無理やりにキリトへ鎌を振り下ろした。
が、それはアスナとルリカのダブルパリィに弾かれた。
そこにすかさずソルモが追い討ちをかけた。
《削魂守》固有特殊技[ストーム・カウンター]。
ソルモが発生させた巨大な突風の中から風の刃が出現し骸骨百足を斬りつける。
すると、スカルリーパーが突然として飛び上がった。
ダイブ攻撃による衝撃波ダメージを起こすつもりだ。
その時、
「モンスターサモン!グリームアイズ!!!」
「モンスターコントロール!ターゲット!グリームアイズ!!!」
エルとアールが叫ぶと同時にフロアに第七十四層ボス、グリームアイズが出現した。
グリームアイズは、落下してくるスカルリーパーを受け止めてプレーヤー達へのダメージをブロックした。
グリームアイズは直ぐに消滅したが、全員ダメージは免れた。
その後も激闘が続く。
そして、一時間が経過しようとした時、
エリウが勝負に出た。
「全員下がれ!!!!!!」
突然の言葉に全プレーヤーが飛び退いた。
「行くぞ!!ストレア!」
エリウは、[デッド・オブ・グレートセイバー]を振り体の軸に揃えるように真っ直ぐに高く構えた。
すると、白銀のエネルギーが大剣を染め上げる。
この技は、ソードアートオンラインには存在しない。
エリウがこの二年間アブソリュート・セイバーを振るって来たからこそあみ出せた究極のオリジナルスキル。
まだ実用段階では無いが、ここで使わねば少年兵の名が廃る。
エリウは叫び、地を蹴った。
「オーバーロード・ドライブ!!!!」
刹那
エリウの全身が白銀に包まれ、剣と同化し巨大な槍と化した。
そして、その白銀の槍はもの凄い勢いであらゆる方向から次々にスカルリーパーへ攻撃を加えた。
そのあまりの速さにスカルリーパーは硬直し、その周りにはエリウの描く白銀のエフェクトの残像がまるで対象を塗りつぶしていくかのように染めていく。
「綺麗・・・・」
ルリカが思わず声を漏らす。
「すげぇ・・・・」
「これがエリウ・・・・」
プレーヤーの一団からも口々にそんな声が漏れる。
ヒースクリフも呆気にとられていた。
そして、何故かその瞳には感動の色が見えた。
エリウは、一人で残り三本のゲージをラストギリギリまで削る。
しかし、エリウのオーバーロード・ドライブは終わらない。
すると、ヒースクリフが叫んだ。
「全員、突撃!!!!!!!」
絶妙なタイミングだ。スカルリーパーは、エリウの攻撃で完全に硬直している。今なら、全員攻撃が大きくものを言う。
うおおおあああああ!!!!!!!!
全プレーヤーが叫び、渾身の力でスキルを叩きこんで行く。
エリウもフィニッシュモーションの為、上空高くに飛び上がり、スカルリーパーを真上から真っ直ぐに貫いた。
そして、
ギュオオオ!!!!!
スカルリーパーが砲口を上げ、爆散した。
《Congratulations》
七十五層は、クリアされた。
×××
プレーヤー達は、その場に倒れ込むようにして座りこむ中、エリウは、しばらくその場に立ち尽くしていた。
まさか、本当にあのスキルが使用できるとは・・・・
すると、突然に足の力が抜けて倒れそうになる。
しかし、エリウは沢山の手に受け止められ倒れることはなかった。
見ると、そこにはよく知った顔がいくつもあった。
アルトラウス、レックス、ソルモ、エル、アール、ルリカ、ストレア。
皆がホッとしたような安堵の表情を浮かべる。
それを見てエリウは、そっと笑った。
「ありがとな」
そう言って、エリウがゆっくりと体を起こした時、
ガキン!!!!
フロアに金属が弾かれたような音が響く。
見ると、キリトがヒースクリフに斬りかかっていたのだ。
そして、そのヒースクリフと剣の間にはとある表示が・・・・・・。
《Immortal Object》。不死存在。
エリウは、やれやれと言う顔でヒースクリフを見た。
ヒースクリフは、無表情でキリトを見ている。
エリウは、仲間達に静かに行った。
「行くぞ」
七人の仲間達は微かに頷いた。
そして、エリウ達はそっとボス部屋を後にした。
遠のいていくボス部屋を背にエリウは、呟いた。
「後は、頼んだぜ。キリト」