ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~ 作:榛野 春音
1
無機質なシステムの声がアインクラッド全土に響く。
ゲームはクリアされました。
ゲームはクリアされました。
ゲームは・・・・・・
エリウは、仲間達とリアルでの再会を誓い別れた。
そして、今いるのはアインクラッド第一層裏ダンジョン内のとある部屋。
そう。全ての始まりの部屋だ。
エリウは、ここでアブソリュート・セイバーを手にしたのだ。
「直接出会った場所は違うけど、最初に会ったのは・・・・ここだったな」
エリウが言うと、ストレアは頷き小さな声で言った。
「うん」
エリウは、ログアウトすべくして発光を始める己の全身を見る。
そして、ストレアを真っ直ぐに見た。
「お前に出会えて良かった。ありがとうストレア」
すると、ストレアは首を振った。
「ううん。いいの。救われたのは私よエリウ。あなたがいたから私はただのAIではなくなれたの。あなたやあなたの仲間達から沢山のことを学ばして貰ったわ。だから、ありがとう」
エリウは、微笑んだ。
「お前は、やっぱりこの後は消えちまうのか?」
「分からない。でも、例え消えても私の心はずっとあなたと共にある。暗黒点は永遠に不滅よ」
そう言ってストレアは目に涙をためる。
エリウは、そっとストレアを抱きしめた。
「あぁ。もちろんだ。・・・・・・・・じゃあな。相棒」
「うん」
そして、エリウは目を閉じた。
×××
全天燃えるような夕焼けに包まれている。
エリウは、知らない空間に来ていた。
足元は透明で空中に立っているように感じる。
遥かには、崩壊して行くアインクラッドが見えた。
「エリウくん」
不意に名前を呼ばれ、エリウは振り返った。
「遅いな。約束すっぽかしたかと思ったぜ」
エリウは、そう言って笑った。
そこには、白衣姿の茅場晶彦がいた。
「私はね。約束は守るんだよ」
「・・・・そうか」
そして、少しの沈黙があった。
「なかなか絶景だな」
茅場は、不意にそんなことを言った。
エリウは、答える。
「確かにな。世界中回ったが、こんなの見るのは初めてだ」
「それは、開発者としては嬉しい言葉だな」
そう言って、茅場は白衣のポケットに手を入れた。
エリウは、問った。
「何故、この世界を?」
茅場が苦笑するのが分かる。
そして、
「何故・・・・、か。私も長い間忘れていたよ。君にこの間この世界について聞くと、言われるまでね。・・・・何故だろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時、・・・・いやその遥か以前から、私はあの城を、あの世界を創ることだけを欲して生きてきた。そして私は・・・・私の世界の法則をも超えるものを見ることができた・・・・。同時に二つもね」
茅場は静謐な光を湛えた瞳をエリウに向け、再び崩壊する浮遊城へと戻した。
「子供は次から次へと様々な夢想をするだろう。私があの浮遊城の空想に取り付かれたのは、いつだったかな・・・・。その情景だけは、いつまで経っても私の中から消えなかった。年経るごとにどんどんリアルに大きく広がった。いつか、あそこに行きたい。・・・・そう思い続けて来た。私はね、エリウくん。まだ信じているのだよ。どこか違う世界には、本当にあの城が存在するのだと・・・・・・・・しかし、私は・・・・」
「あるさ。きっと」
茅場の言葉を遮り、エリウは静かに言った。
彼方では、雲が流れ浮遊城は殆ど原形がなくなるまでに崩壊していた。
エリウは、茅場の方を見た。
「茅場さん。最後にもう一度打ち合わないか?」
そう言って、エリウはアイテムストレージからかつての愛剣[ブレイブレード]を取り出した。
「そうだな。面白そうだ」
茅場はそう言って笑い、ウィンドウを開く。そして、そこから[アーニルブレード]と大きめの盾を取り出した。
「てっきりいつものを使うかと思ったぜ」
すると、茅場は優しく微笑む。
「では、エリウくん。始めようか」
そして、エリウはしばらく茅場と打ち合った。
ソードスキルは使わない。ただただ己の力で戦った。
本来なら瞬殺するところだが、何故かエリウはそうしなかった。
十分ほど打ち合っただろうか。
茅場に疲れが見えた。
そこを狙い、エリウは素早く茅場の剣と盾を弾き飛ばした。
そして、剣の切っ先を茅場の首もとギリギリに止めた。
「留めをささないのかい?」
茅場は、静かに聞いてくる。
エリウは、首を振った。
「俺はな。少年兵だったこともあって、リアルでもこっちでも躊躇なく何人も殺した。でもな、それと同時にこっちである力を手にしたんだ。・・・・・・それは、守る刃」
すると、茅場が目を見開く。
「守る刃は人を殺すにあらず、人を倒す為にあり、守るものの為に存在す」
そう言って、エリウは剣をおさめた。
そして、右手を差し出した。
「全部。あなたの創ったこの世界で学んだことだ。ありがとう」
それを聞いて茅場は、暫く呆けるような顔で立ち尽くしていた。
しかし、我に帰るとすぐにエリウの右手を握り返した。
「こちらこそ、ありがとう」
茅場は、それから思い出したように言った。
「君にこれを託そうと思っていたんだ」
そして茅場は、白衣のポケットから金に光る球体を取り出した。
「こいつは?」
それを受け取って、エリウは不思議そうに眺めた。
「それは、ザ・フォースと言ってね。これまでの君とこれからの君の力が詰まっている。他にもいくつかの機能があるが、それは君が直接確認するといい」
「何故俺に?」
「さぁ何故だろう。ただ君なら上手く使ってくれると思ったからね。仮想世界で力が必要な時使ってくれ」
茅場は、それからエリウに背を向けて歩いて行った。
「さらばだエリウくん」
エリウは、ザ・フォースを握りしめ頷いた。
「さようなら。茅場さん」
次の瞬間、眩い光が辺りを包み込んだ。
薄れゆく意識の中でエリウは、呟いた。
「ありがとう。ソードアートオンライン」
2
見慣れた天井があることに驚いた。
ここは、自宅ではないがエリウに取ってはよく知った場所だった。
エリウはゆっくりと起き上がった。
そして更に驚いた。
体がダイブ前と全く変わっていない。
ナーヴギアを脱ぐと、髪は伸びていたので少し安心したが、何故自分がここにいて何故体が衰えていないのかが疑問だった。
ここは、エリウが以前いた世界的武器商社オーランド・エクス・ギアの本社にある医務室の一角だ。
まさか・・・・
そう思った時、
「お!起きた起きた!そろそろだと思ってたんだよねぇ」
元気な英語をしゃべりながら一人の若い女性が現れる。
背まで伸びた美しい金髪に素晴らしいボディーラインとスタイル、オマケに顔を恐ろしく美しい。
エリウは、よく分からないと言うような顔で英語で言った。
「よぅ。なんつうの?ひとまず久し振り、カミラー」
カミラー・オーランド。オーランド・エクス・ギア社社長の娘にして、世界一優秀な女。十九の若さにしてオーランド社の幹部に席を置く女だ。更に自身を守る為に世界中から自ら集めた最強の部隊を指揮する軍官女としても知られている。あとついでに言うとエリウの保護者だ。
正直、二歳ちょっとしか離れていない保護者とかなんか困る。
「いやぁ。良かった良かった。エリウいなくなったらお姉ちゃん悲しくて死んじゃうとこだったよ。本当生きてて良かった」
そう言って、カミラーはエリウを抱きしめる。
「止めろよ。つか、この体どういうことだよ。なんで変わってない?」
カミラーはニヤリと笑った。
「我が社の技術力に感謝したまえ。なかなかの最先端技術だよ?まぁエリウはもうウチの子であってもウチの社員じゃないから、詳しいことは内緒なんだけどね」
全く恐ろしい会社だ。
いったいどうやったら、二年間寝たきりの人間をそのままの状態に保てるのだろうか?
・・・・・・・・まぁ、いい。リハビリがいらないのは、ありがたいことだ。
「ところでエリウ。君の脳波を調べて解析してたらさ。何人かの名前らしき単語がでてきたんだけどさ。誰?」
「どんな名前?」
すると、カミラーはメモを取り出して読み上げた。
「キリト、クライン、エギル、アルトラウス、ストレア、レックス、アスナ、ソルモ、エル、アール、ルリカ、ヒースクリフ」
それを聞いてエリウは、フッと静かに笑った。
そして、一言。
「仲間。大切なね」
そう。大切な仲間。
俺は、絶対に忘れない。
この沢山のものを培った二年間を。
ソードアート・オンライン
SAO篇END
はい!!!
SAO篇の最終回ということで、前書きでなく後書きを書きます。
なんかチートすぎてごめんなさい(笑)
しかしですね。これからもガンガンチートにするつもりです(笑)
現在ALO篇書いておりますが、GGO篇、アリシゼーション篇も設定は書いておりますので、どうかこれからも榛野春音をよろしくお願いします!!!!!
では、次はALO篇でお会いしましょう!!!
(笑)