ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~   作:榛野 春音

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久々の投稿です!!

楽しんでいってください!!


動き出す影

 

 

「「参った」」

蘇生された二人のサラマンダーが最初に言ったのは、その一言だった。

 

先ほどまで大歓声を上げていた両軍も流石に静まり返り、事の行く末を見守っている。

 

ユージーンは、静かな声で言う。

「見事な腕だな。俺が見た中で最強のプレーヤーだ。貴様らは」

「「そりゃどうも」」

キリトとエリウの声が重なる。

「貴様らのような男がインプやスプリガンにいたとは・・・・・・。全く・・・・完敗だ」

モーティマーのセリフにエリウとキリトは首をすくめる。

「それは、そうと・・・・俺の話、信じて貰えるかな?」

それを聞いて、モーティマーとユージーンは目を細め、一瞬沈黙する。

その時、一人のサラマンダーがユージーン達の背後に出てくる。

そいつは、二人にそれぞれ一礼するとバイザーをあげる。

「ティマさん、ジンさん、ちょっといいか?」

「カゲムネか・・・・何だ?」

すると、カゲムネと呼ばれたそのサラマンダーは二人を引き寄せて何やら一言二言交わす。

その後、モーティマーとユージーンは何やら小声で話あっていたが、終いには二人とも何か納得したように軽く頷いた。

「まぁ・・・・そう言うことにしておこう」

「確かに現状スプリガン、ウンディーネと事を構えるつもりはない。この場は引く。・・・・だが、いずれ貴様ら二人とはもう一度戦うぞ」

「望むところだ」

キリトの差し出した右拳に、己の拳を打ち付けると、ユージーンは一歩下がった。

すると、モーティマーがエリウに近づいてくる。

エリウが不思議そうな顔をしていると、モーティマーは言った。

「少しいいか?」

「あ?何だ?別にいいけど」

エリウがそう返すと、モーティマーはエリウを皆から少し遠ざけた後、小声で言った。

「その・・・・なんだ?なんと言うべきか・・・・。その占領権についての話何だが・・・・・・」

 

それを聞いてエリウは思い出す。

アルヴヘイムオンラインにおいて、領主討伐成功は莫大なボーナスを得る。たしか、討たれた領主館にある資金の三割を入手でき、十日間、領内の街を占領下に置け税金を自由にかけられると言う内容だった。

 

「あぁ。そうだったな」

そう言ってエリウはニヤリと笑った。

見ると、モーティマーが冷や汗をかいている。

「そ・・・・その件について交渉なんだが・・・・」

モーティマーが何か言いかけたが、エリウはそれを制した。

「いや。金は返すし、占領権とかいらねーよ。その代わりだ・・・・俺達の世界樹攻略に協力してくれ。もしかしたら、いろんな種族と一緒になるかもだけどな」

すると、モーティマーは腕を組んで少し考える。が、直ぐに頷いた。

「了解した。かたじけない」

それを見て、エリウはアイテムストレージから先ほどのボーナスで手に入れた金額を全てモーティマーに返却した。

モーティマーは、申し訳なさそうにユルド金貨の入った大袋をストレージに収める。

そして、直ぐにフレンド申請を飛ばして来た。

エリウがそれを承諾すると、モーティマーは頭を軽く下げて言った。

「直ぐに準備しておく故、いつでも連絡してくれ」

その後、モーティマーはサラマンダー達を連れて去っていった。

 

サラマンダー達を見送った後、キリトの連れていたリーファと言う少女から事の説明があった。

 

それからは、何やらシグルドとか言うヤツの裏切りがどうたらで、そのシグルドを追放することでなんとかで事は丸く収まったようだ。

 

「そうだ・・そう言えば・・・・君は、いや、君達はいったい?」

そう言って、シルフの領主サクヤは首を傾げる。

ケットシーの領主アリシャ・ルーも続けて言った。

「ねェ、君、スプリガンとウンディーネの大使・・・・ってほんとなの?」

その言葉にキリトは胸を張って答えた。

「勿論大嘘だ。ブラフ、ハッタリ、ネゴシエーション」

「「なー・・・・」」

二人の領主は、絶句。

エリウとその仲間達はそれをやれやれといった様子で眺める。

「そ・・・・そう言えば、エリウくんだっけ?君達はなんでここに?」

不意にリーファがエリウに問いかける。

「あ?あぁ。たまたま通りがかっただけなんだがな・・・・。キリトとは知り合いだったんだが・・・・まぁ。気まぐれで参加したようなもんだ」

すると、サクヤが苦笑いする。

「・・・・二人共無茶な男だな。あの状況でそんな大法螺に気まぐれとは・・・・」

キリトが笑う。

「手札がショボい時はとりあえず掛け金をレイズする主義なんだ」

「つーか、負ける気しなかったからな」

キリトに続きエリウがしれっと呟く。

全くもって、悪びれた様子の無い二人を見て、アリシャ・ルーはニィッと笑う。

そして、

「おーうそつきくんに、気まぐれくんにしては君達、ずいぶん強いネ?知ってる?さっきの二人はアルヴヘイム最強の二人なんだョ。それに正面から勝つなんて・・・・スプリガンとインプの秘密兵器だったりするのかな?」

「まさか。しがない流しの用心棒だよ」

「そんなんじゃねーよ。気まぐれって言ったろ?」

「プッ。にゃははははは」

あくまでも人を食ったキリトの回答に素っ気ないエリウの言葉を聞いて、アリシャはひとしきりに笑う。

そして、ひょいっとキリトとエリウの間に入り、キリトの右腕とエリウの左腕をそれぞれ取って胸に抱いた。ナナメ下方からコケティッシュな流し目に乗せて、

「フリーなら、君達・・・・ケットシー領で庸平やらない?三食おやつに昼寝つきだョ」

「「「「「なっ・・・・」」」」」

リーファ、ルリカ、ストレア、エル、アールが同時に口もとをピキッとひきつらせた。

だが割り込む隙を見つけるより早く・・・・。

「おいおいルー、抜け駆けはよくないぞ」

とサクヤの心なしかいつもより艶っぽい声。スルリとアリシャとキリトの間に割り込むと、着流しの袖がキリトの右腕に絡みつく。

「キリトくんはシルフの救援に来たんだから優先交渉権はこっちにあると思うな。どうかな?キリトくん、この後礼も兼ねてスイルベーンで酒でも?そして、エリウくん。個人的興味もある故、今夜ディナーなんてどうかな?」

 

しれっと二人同時に取るか・・・・この女やるな・・・・。

 

ピキピキッ。と女性陣のこめかみまでもが引きつる。

「あーっ、ずるいョ、サクヤちゃん。色仕掛けはんたーい!」

「人のこと言えた義理か!密着しすぎだお前は!」

美人領主にそれぞれぴったりと密着され、エリウは無表情だがキリトは困った様子ながら顔を赤くしてまんざらでもないといった感じだ。

 

と、突然、エリウとキリトの服をグイッと引っ張った者達がいた。

「ダメです!キリトくんは私の・・・・」

「「「「ダメ!エリウは私の・・・・」」」」

エリウ達が振り返るとそこには、リーファ、ルリカ、ストレア、エル、アールがいた。

少女達は、我に返ると同時にしどろもどろする。

 

その時だ。

 

「「おい・・・・エリウ」」

 

まるで地より這い出てきた魔物のように低い声が辺りに響く。

思わず、その場にいた全員が竦み上がる。

 

エリウが恐る恐る顔を上げると、そこには殺意を全身から放つ二人の妖精が・・・・。

 

アルトラウスにレックスだ。

 

「え?おい待て!これって俺のせいじゃ・・・・ちょっ!おい待てって!おい!!・・・・ちょっ!おまっ」

エリウが慌てて口を動かすが、二人の魔物は問答無用でその手をこちらに伸ばしてくる。

 

 

そして、

 

暗転

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サクヤ達と別れた後、エリウ達はキリトとリーファと改めて向かいあった。

リーファに一通り自己紹介を済ませると、キリトが言った。

「エリウ達も世界樹に行くなら、これから一緒しないか?」

すると、アールやストレアがいいねーと声を上げる。

しかし、エリウは首を振った。

「いや。すまね。事情的に先に行かなくちゃならねぇとこが出来たからな」

ええ~。とアール達が残念そうな声を上げる。

だが、キリトは特に気にする風でも無く言った。

「そうか。なら、ここでお別れか」

「そうだな。・・・・必ず連れ戻せよ?」

「わかってる。エリウ達もよく分かんないけど、頑張れよ?お前のことだし、またなんかデッカイ山追ってんだろ?」

キリトの言葉を聞いて、エリウは苦笑する。

「刑事みたいに言うなよ。・・・・まっ。次会うときは、互いに余裕のある時だといいな」

「あぁ。全部終わったらエギルの店でオフをやろう」

「いいねぇ」

 

その後、エリウ達はキリト達とわかれた。

キリト達がアルンへ続く山脈の方に消えると、エリウは溜め息をついた。

 

そして、

「おい。・・・・いるんだろ?ジョニー」

 

!?

 

その怒りのこもった言葉に仲間達が驚く。

 

すると、

「ひっひっひ!流石エリウくんだ」

そう言って、空気が染み出すようにアンノウンの男が現れた。ジョニー・ブラックだ。

しかし、エリウは更に言った。

「まだいるだろ?」

 

途端にジョニー・ブラックの横に二人の人物が空気から染み出てくる。

ジョニーともう一人の間にいる男がニヤリと笑った。

「いよぉ。暗黒点。久しぶりだな」

「・・・・・・・・Pohか」

「よく分かったねぇ。もと兵隊さんは、やっぱ違うなぁ?え?」

そう言って、元ラフィン・コフィンのリーダーはニタニタと不気味に笑う。

アルトラウスが威嚇する。

「テメェら!!!」

「落ち着いて、アル」

ソルモがそれを制した。

レックスは睨みを利かし、女性陣は警戒し武器に手をかけている。

エリウが言った。

「尾行とは、趣味が悪いな。・・・・まさか、あれの場所が分かんないからって、つけてたってクチか?」

Pohは、首を振った。「違うなぁ。あんたらの足止めが目的だ」

「ってことは、やはり世界樹にあるんだな」

「どうだかね。アルンにあるのは間違いない。でも、それ以上は言えねぇな。上に止められてるからよ」

エリウは、それを聞いて冷ややかな笑みを浮かべた。

「お前が下につくなんて、よほどのヤツなんだな・・・・ガソールさんってのは」

すると、Pohが笑った。

「元々ずっと下にいるぜ?ラフィン・コフィンだってよ。あの方のプロデュースでできたんだからなぁ?言わば、あの方こそが全てだ!」

「何!?」

 

これは初耳だ。

 

エリウが続けようとすると、Pohが戦闘包丁を構えた。それにあわせてジョニーともう一人が剣を抜く。

それを見たエリウは、舌打ちして叫んだ。

「ストレア!」

素早くストレアが大剣に変わる。

仲間達も武器を構えた。

 

双方が睨みあい、暫しの沈黙。

 

と、突然Pohが言った。

「やっぱりや~めた」

言うなり、素早くスペル詠唱を行う。

 

これは、キリトと同じ・・・・

 

刹那。

黒い煙幕が辺りを覆った。

ジョニーの声が響く。

「次は、キチンとやろうぜ?この間のカリもあるしなぁ~」

その時、ルリカのスペル詠唱が聞こえる。

そして、

一瞬にして煙幕が晴れた。

無効化魔法を使ったのだろう。

 

が、

「逃げられたわね」

エルが歯軋りする。

エリウは、ストレアを元に戻すと考える。

 

時間稼ぎ・・・・か。

 

エリウは、直ぐに仲間達に振り返ると言った。

「予定変更だ。アルンまで飛ばすぞ!」

そして、もの凄い速度で飛び出した。

仲間達も頷き、それに続いた。

 

八人の妖精が高速で天を横切る。

 

今、世界の命運をかけた戦いは、もう始まろうとしていたのだった。

 

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