ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~ 作:榛野 春音
申し訳ないです。
これからは、週一を目標に頑張りますので、よろしくお願いします。
1、
エリウは、己と対峙する者を見据えた。
そこにいる者は、他のどのアンノウンよりも強力に見える装甲に身を纏い、その左手には一本の黒い槍。
間違いなくこの者こそ、アンノウンの首領だろう。
「ガイボルグ……か」
思わずそう漏らしたエリウに、首領たるアンノウンはその仮面の下でフッと息を吐いた。
《ガイボルグ》。闇属性にして槍のレジェンダリーウェポン。アイルランドの光の皇子たる男、ク・フーリンの持つゲイボルグをモチーフに作られた槍らしい。
下調べの時点でそのことを知っていたエリウは軽い舌打ちをする。
正直なところ、もしあの槍がレプリカで無い本物だとしたら、その特性上少々厄介だ。
しかし、相手が敵である以上、迷うと言う文字は無い。
相手の漏らした吐息が途切れると同時にエリウは、飛び出した。
瞬間的に敵の取り巻き達が前に出る。
空を駆けるエリウは、ストレアを逆手に構えスキルモーションを取る。
《アブソリュート・セイバー》固有二十八連撃技[アージェンティア・ストリーム]。
緑に輝く二十八の閃光が走る。
次の瞬間、ボスを守るべく前に出た兵士達がまるでグレネードの爆発に巻き込まれたかの如く四方に吹き飛び爆散した。
エリウは、そのまま勢いを殺さず真っ直ぐに首領に飛んで行き、剣を振る。
直後、金属音が響き、エリウの剣と相手の槍がぶつかりあった。
つまぜりあうこと無く、エリウは敵を突き飛ばすと上空に飛び上がった。
そして、体勢を立て直そうとする相手めがけて剣を構えて垂直降下。
エリウの刃が相手の顔面に迫る。
その時だ。
「吼えろ」
不意に相手から小さな呟きが聞こえる。
すると、突然その左手にもつガイボルグと思われる槍から影が飛び出した。
「何っ!?」
エリウが急ストップをかけた瞬間、その影が竜の顎に変わり襲いかかって来た。
慌てて剣で受け止めるものの予想外の怪力に軽く後退させてしまう。
剣を構え直したエリウは、槍に帰っていく影を見る。
「本物か」
すると、同じく槍を構え直した相手が答えた。
「あぁ。見ての通り本物だ。……それにしても、たった一度の剣撃でも伝わってくるその強さ。噂は本当だなぁ。……エリウくん」
その言葉にエリウは答えず、別の問いを投げかける。
「あんたは、SAOの生還者なんだな?」
「……かもね。そうであって、そうでないかも知れない」
そう答えた相手はバイザーの下でクックッと笑いを漏らした。
全身を装甲で覆っている上、声はいろんなノイズの合成みたいなものの為、正体はおろか性別すら分からない。
エリウは、周囲にたかって来た別の取り巻き達を横目に剣を構え直した。
「お前……アンダーバランスを見つけたのか」
エリウの言葉に相手は槍をクルクルと回しながら答える。
「……あぁ~。知ってるのか。……なら話が早いね」
言うなり、ソイツは、背にある魔導ブースターをふかし一気にその場を飛び去った。
「待て!!」
エリウは叫び、取り巻き達を蹴散らしその後を追う。
空中の至るところで戦いが行われている為、なかなか奴に追いつけない。
当の敵は、特に後続のエリウに構うこと無く真っ直ぐに世界樹の入り口へと向かって行く。
入り口には、サラマンダーの兵士達が防衛ラインを張っている。奴とて直ぐには突破出来まい。…………そう考えていた矢先。
「食い散らせ。ガイボルグ!」
奴が声を上げ、槍から先ほどとは比べものにならないサイズの影が三つ飛び出した。
みるみるうちにその影は、超大型のワイバーンへと姿を変えサラマンダーへ襲いかかった。
「うわああああ!」「ぐはっ!!」「やめろおお!!」
ワイバーンに体を食いちぎられたサラマンダー達が次々に声をあげ、入り口の防衛ラインは混乱状態となり崩壊する。
その間に奴はするりと門を抜け、内部へと侵入した。
「んなろぉおお!!」
エリウは吠え、スキルモーションを取る。
《アブソリュート・セイバー》固有三連撃技[トライデント]。
突き出した切っ先から三ッ又の黄色い閃光エフェクトが飛翔し、三体のワイバーンを貫いた。
貫かれたワイバーンは、まるで煙のようにボフッと音を立てて四散する。
エリウは、その様子を後目に素早く世界樹の内部へと滑り込んだ。
×××
エリウは、目を疑った。
噂には聞いていたし、ヤバいことも知っていた。
だが……これは、その予想を遥かに上回っていた。
目の前には、ドーム状に広がる広大な屋内フィールドとものすごい数のガーディアン。
アンノウンのボスはと言うと、ガーディアンの間を上手く縫いながら上に上に登って行く。
あそこまで器用な動きができるのは魔導ブースターの補助あってのことだろう。
アンノウンは種族性質上、羽を持たない。故に魔導技術に長けているとのことだ。
エリウは深く息を吐くと、キッと上空を睨みつけた。
そして、次の瞬間その上空向けて全力で羽ばたいた。
バシュッ!
エリウは、弾丸の如く飛び出してガーディアンの雲を縫い、切り裂いて行く。
気の遠くなる数だが、こんなものアレに比べればっ!!
「うおああ!!!」
エリウは叫び、スキルを発動させる。
《アブソリュート・セイバー》固有単発最上位技[レイボルディア・アルカイヴ]。
虹色のエフェクトを纏ったレーザーブラストがガーディアンの雲に穴をあけ道を作り出す。
エリウは、歯を食いしばり有らん限りの全力でその道をくぐり抜けた。
ガーディアンの雲を抜け出したエリウは、一瞬脱力するも、その先で待っている奴の姿を見て剣を構え直した。
「ご丁寧に待ってたのかよ」
「まぁね。なんたって、ここからは特殊な世界だから」
そう言って、奴はストレージを開くとそこから小さな紙切れを取り出した。
そして、フロアの天井に向けてその紙に記された何かのコードらしき数字を読み上げる。
すると
突然、エリウの体が発光を始めた。
見ると、奴も体が発光している。
「ストレア。こいつは?」
エリウが右手に握る愛剣に語りかけると、すぐさまストレアが答える。
「不正規のエリアに転送されます。場所は…………えっ?これって………………」
その言葉を最後にエリウの視界は目映い光に包まれた。
2、
エリウは、目を開けた。
そこは、見たことの無いエリアでどちらかと言えばALOのようなファンタジーとは縁のない場所。
一言で言えば、SF世界だった。
エリウの飛んでいる場所は、広い縦穴空間の中心。
縦穴の周囲は直径八百メートルはあり、天井はエリウの場所から目視憶測で数キロ先、底は果てしなく続いていて見えない。
壁面にはおびただしい数の配管や電子配線やらが張り付いていて、ところどころに赤いランプが灯っている。
「ここは……」
エリウがそう呟いた時、
「ようこそ。SAOアンダーバランスへ」
突然の声に振り返ると少し離れたところに奴がいた。
「そうか……ここがアンダーバランス……本当にあったんだな」
エリウの呟きに相手は不意に口調を変えた。
「……アンダーバランスは消えない。ここが架想世界を繋ぐ最後の砦にして、始まりの場所」
そして、奴は槍の先を地下へと向ける。
エリウはそちらを見て、息を呑んだ。
先ほどは気にとめなかったが、槍の指す先には一点の光。
「ザ・スティールか!!」
エリウが唸ると同時に奴が光に向かって飛び出した。
「やらすかよっ!!!」
エリウは、一瞬にして間合いを詰め、敵に体当たりする。
轟音と共に敵が吹き飛び、壁に激突しまたしても轟音をあげる。
しかし、すぐさま砂煙の中から飛び出して来た相手は、エリウに向けて槍を突き出して来る。
「ちぃっ!」
紙一重でそれを交わし、エリウはガイボルグを剣で弾く。
素早く距離を取ったエリウは、敵を睨んだ。
「やっぱりアンタがガソールなんだな?」
「…………ほぅ」
敵は、声を漏らすと槍を構える。
「……そうだな。俺は確かにガソールだ。菊岡にでも聞いたのか?」
「まぁな。……お前、ザ・スティールで何をしようとしてんだ?お前テロリストか、どっかのスパイなのか?」
その言葉にガソールは、首を振る。
「違うな。まぁ……せっかくだ。教えてやる。……でも、それは俺のゲージを八割削ることができたら……なっ!!」
言うなり、ガソールはエリウめがけて突っ込んで来た。
一瞬にして詰められた間合い。
エリウは剣で槍を受け流し、反撃を試みる。
しかし、受け流したガイボルグから影が飛び出し、襲いかかって来た。
「クソッ!!」
化物の攻撃を体を捻ることで交わし、エリウはガソールに向かって剣を振る。
だが、その一撃は先ほど避けた化物によって防がれる。
「攻防自在かよっ!」
吐き捨てたエリウは、ガソールと距離を取る。
しかし、突然背後から殺気を感じたエリウは飛び上がる。
直後、眼下を別の化物が通過した。
「まさかっ」
言うと同時に四方の壁から次々と化物が顔を出す。
ガソールは、クフフフと声を漏らす。
「エリウ。まさか、これをゲイボルグと同質の何かと勘違いしてないか?」
「……マジかよ」
ガソールの言葉に唸るエリウ。しかし、時すでに遅く周囲には無数の化物に囲まれている。
「俺のガイボルグ。こいつはなぁ。影の魔物を操る能力を持つ。…………まぁ詳しくは教えないが、少なくとも因果逆転とかじゃぁないな~」
そう言っている内にも、魔物達がじりじりとエリウに迫る。
「…………あははは……絶対絶命って奴か?」
エリウが苦笑いを浮かべると同時にガソールが声をあげる。
「さぁて、そんじゃそろそろご退場願おうかエリウくん。……何心配するな。明日の昼頃には世界は俺のものだ。まぁ悪いことにはならんよ」
しかし、エリウは表情を曇らせた。
「んや。心配しか無い。……つかよ。いつから勝った気に…………なってんだっ!!!!」
次の瞬間、魔物達が全て消し飛んだ。
ガソールが息を呑んだのが分かる。
「何をっ!!?」
ガソールは、声を上げた直後エリウの光を失っていく剣を見た。
「…………ソードスキルか……」
エリウは、ハッと笑うと、剣をガソールに向けた。
「俺を誰か忘れたのか犯罪者。俺は、暗黒点エリウ!テメェなんかの野望に飲まれるほど甘かぁねーんだよ!!」
そう言って、エリウは押し黙るガソールに向かって宣言する。
「暗黒点、飛ばすぜっ!!」
今のALO編は、原作とはあまり関係ないオリジナルの内容なので、考えるのが大変www
次回もよろしくおねがいします!