ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~   作:榛野 春音

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今回は、オリジナルのストーリーで行きます!!
デュエルの描写とかに注目していただけたら嬉しいです

それでは、更新早いですが三話をお楽しみください!


怒りと誓い

 

 アインクラッド第二層主街区《ウルバス》に入ってから既に4日が経過していた。

 エリウは、現在第一層の裏ダンジョンに来ていた。

 第二層では、武器の強化時に破損するという奇妙な事件が起こっているとのことだが正直興味ない。

 

 エリウは、改めて裏ダンジョンの空気を吸う。

 

 変わっていない。

 

 人工的な数式データの信号でしかないと言えばそれまでだが、それでもここの空気はエリウにとって特別なものだった。

 ゲーム開始当日、今からさかのぼること31日前のことだ。

 エリウは、ここでトラップにはまり死に際にユニークスキル《アブソリュート・セイバー》を手にした。

 このスキルを手にしたことで今自分は生きている。そして、この場所に来なければ今の自分はなかった。

 もし、このスキルを手にしていなければ、間違いなく自分は別のところで死んでいたと思う。

 正直自分はゲーマーとは、いえない部類の人間だ。ソードアートオンラインを知るまではゲームなんかよりも運動するほうが好きだったくらいだ。

 そんな自分が生き残ることのできた奇跡があったからこそ、この場所は特別だ。

 Mobの相手をしながら、ゆったりと奇跡の部屋に向かう。

 

 

 その時、

「うぉい!何言ってんだよアンタ。そんなこと出来るワケないだろうがよ。」

 声は、ダンジョン奥の方から聞こえてくる。

 こんなとこに俺以外にプレーヤーとは珍しい。

 エリウは、興味に従い声のした方に進んでいく。

 角を曲がったところでエリウは声の主達を見た。

 そこには和風武装に身を固めた一団と、灰色のコイフをかぶった男が対峙している。

 和風武装した一団のリーダーらしき人物が一歩前に出る。赤いバンダナに人の良さげな無精面は好感が持てる。

「あのなぁ。デュエルってのはな。命がけなんだ。ましてや初対面のやつとフィールド内でやるなんてありえねぇよ。」

 リーダーの言葉にコイフの男は首を振った。

「アンタ、全然わかってねぇや。命がけだからこそ燃えるんじゃねぇかよ。それにそっちが勝てば、コイツやるっていってんのによ。」

「いや。でもよぅ。確かにそいつはいいアイテムだけど、命の危険をおかしてまでして欲しいもんじゃねぇよ。」

 

 見たこと、デュエル好きのソロがアイテムを餌にパーティー破壊を狙っているようだ。

 直接そう言っているわけではないが、要はそうしたいというのがヒシヒシと伝わってくる。

 和風武装一団のリーダーもそれに気づいているようで、なんとか断ろうとしているが。

 

 エリウは、素通りするのも良いと思ったが、今日は気分が浮いていることもあって助けてやろうという妙な情がわく。

「おいおい。嫌がってのを強要しちゃいかんって。」

 エリウは、少しおどけた調子で両者の前に出る。

 突然の珍入者にその場にいた全員が一瞬だけ驚く。

 コイフの男は、怪訝そうな様子でこちらを見ている。

「アンタ誰さん?」

 コイフの男の声は、明らかに不機嫌だ。

「いやいや。ちょっとした通りすがりだ。ところで今の話だが、アンタらが嫌なら俺が代わりにそこのお兄さんとデュエルするってのはどうだ?」

 そう言ってエリウは、和風武装一団に目を向ける。

「お・・・・おぅ。俺は、構わないが。」

 そう言って、リーダーは一歩下がる。

 エリウは、コイフの男に向き直る。

「いかが?」

 すると、コイフの男は改めてエリウの全身を凝視する。品定めとでも言ったところだろう。

 暫くエリウを見ていたコイフの男は、微かに笑みを浮かべた後に言った。

「OK。そんなら早速やりましょうや。」

 言うなり、コイフの男は、ウィンドウを開いて、デュエルの申請を飛ばしてくる。

 エリウの前にデュエル申請を受諾するための通知が表示される。

 

 Pohから、デュエル[完全決着モード]申請を受けています。受諾しますか?

 

 躊躇わず、YESを選択。そして、受諾後に気づく。

 

 完全決着モードだと?

 

 慌てて、Pohと言う男を見る。

 Pohの表情は、コイフのせいで見えないが口もとが歪んでいるのは分かる。

 既にデュエル開始までのカウントダウンが一分を切っている。

 目的は薄々気づいてはいたが、やはり事故を装ったプレーヤーキル。

 しかし、かと言って奴を殺すわけにもいかない。ならばやることは一つ。

 

 デュエル開始

 

 Pohが動き出した。だが遅い。遅すぎる。

 エリウは、地を蹴った。一瞬にしてPohの背後に回り込み、その背を蹴り飛ばす。

 Pohが吹き飛ぶ。

 周りで見ていた和風武装一団が驚きの声を上げる。

 《アブソリュート・セイバー》の能力で筋力が上がっていることもあって、物理的接触によるダメージは大きい。相手のHPゲージが十分の1削れる。生身の攻撃でこれほど削れるとは上出来だ。

 Pohらは、素早く体制を立て直しダガーを構える。そしてスキルモーションに入った。

 しかし、そのスキルを使おうとすること事態が無駄だ。

 対人戦に置いて、終了後の硬直や起動モーションを必要とするソードスキルは、相手にチャンスを与える。

 エリウは、スキルモーションに入るPohを正面から大剣でぶっ叩く。

 刀身で打ったため、傷的ダメージは与えられないがそれでも大剣にぶっ叩かれたPohは野球の玉のように吹き飛んで転がる。

 内野ゴロ。イマイチだな。

 エリウは、立ち上がろうとするPohに詰め寄り、その顔面を再び大剣で打つ。

 次は、少し振り上げ気味に降ったので高く上がる。

 センターフライ。ダメだこりゃ。

 そろそろ飽きたなと思い始める。

 完全決着モードの仕様上、相手が降参するかどちらが死ぬまでデュエルは終わらない。

 

 その時、

「降参だ。」

 そう言って、Pohが両手を上げて歩いてくる。

 

 なんだ。割に諦めがいい。

 

 エリウもそれに応じてPohに近づいていく。

 しかし、

「ダメだ!デュエル終了通知がまだだ!」

 突然、和風武装一団のリーダーが叫んだ。

 

 刹那

 

「うっひゃあああ!!!!!!」

 奇声を上げてダガーを構えたPohが至近距離からスキルモーションに入った。

 

 罠かよ。

 

「汚ねー野郎だな!!!!!!!」

 エリウは、怒涛の勢いで素早くスキルモーションに入った。

 《アブソリュート・セイバー》固有ニ連撃技[デスクロスブレード]。

 この技は、《アブソリュート・セイバー》固有スキル中でも上級スキルにランク付けされる。奥義級スキルだ。その素早い起動モーションに圧倒的破壊力、卑怯な輩にくれてやるには上等だ。

 Pohがスキルを発動するよりも早く[デスクロスブレード]は起動した。片手に握られた大剣が紫のエフェクトに包まれる。正面に一直線に飛び出して、宙でクロス字に大剣を二度振る。

 完成したクロス字の斬撃エフェクトはもの凄い勢いでPohに直撃した。

 もし、スキル同士のぶつかり合いによる微妙なダメージ中和がなければ、Pohは死んでいただろう。

 地面に転がったPohは、驚愕していた。コイフをかぶっていてもそれは伝わってくる。

「斬撃が・・・・飛んだ・・だと?」

 Pohは、呻く。

 そのHPゲージは、残り2となって真っ赤に染まっている。

「俺の勝ちだ。さっさと消えろ。」

 エリウは、冷たい声で告げる。

 Pohは、悔しげに立ち上がり降参通知を飛ばす。

 

 デュエル終了

 

 回復ポーションを飲んで、Pohは早々に逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怒りに任せて人前でスキルを使用したのは、浅はかだった。

 エリウは溜め息をついた。

 すると、

 「えーと、なんだ?ひとまずありがとうな。助かったぜ。」

そう言って、和風装備一団のリーダーが座りこんでいるエリウに手を差し出す。

「いや。こっちこそ助かった。」

 エリウは、素直にその手を取って立ち上がる。

「俺の名はクライン。ギルド風林火山のリーダーだ。」

 そう言って、リーダーの男は笑う。

「俺は、エリウ。ソロだ。」

 エリウもクラインに習って名乗る。

 すると、

「いやぁ。しかしよぅ。あんなスキルとかあるんだなぁ。ソードアートオンラインも奥が深いぜ。」

そう言ってクラインはウンウンと頷く。

 あんなスキルとは、[デスクロスブレード]を指すのだろう。

 しかし幸いにもクライン含める風林火山のメンバーは、あれを特殊なスキルとは思っていないようだ。まだゲーム開始から日が浅く、プレーヤーがゲームを熟知していないことが幸いした。

「あぁ、まぁな。」

 エリウは、適当な返事をしてその場を去ろうとする。

「ところでエリウ。良かったらよぅウチのギルド入んないか?さっきの戦い見てて思ったんだが、エリウはかなりの実力あるみたいだし、これも何かの縁じゃねーか?ウチとしては入ってくれたら大助かりだ。それにソロにも限界があるみたいだしさ。どうよ?」

 そう言うクラインの後ろで他のメンバーも、それはいいアイデアだと口々に呟く。

 

 実に魅力的な誘いだ。

 ギルドの空気もいいし、確かにソロには限界があるだろう。

 

 しかし、俺にはあの少年を影で支えるという自らに課した使命がある。今日この地に出向いたのもそれを改めて誓うためだった。

 だから、エリウは静かに言った。

「魅力的な話だが、すまない。今は、出来ない。俺は事情持ちでね。」

 そう言って、エリウはすまないというように風林火山の面々に軽く頭を下げて、踵を返した。

 しかし、あることを思いつき再びクラインに向き直る。

「そうだな。クライン。俺とフレンドにならないか?何かあったら連絡くれ。俺も連絡する。」

 すると、クラインの表情が晴れる。

「おお!そうだな!そうしよう!」

 

 フレンド申請を済ませて、エリウはクライン達と別れた。

 

 

 仲間は極力作らない主義なのだが、何故かあの男にはその自己理念をねじ曲げても良いなと思わせる何かがあった。

 それは、優しさかそれとも真っ直ぐさか、はたまた人柄全てなのか?

 

 エリウは、静かに笑い。ダンジョンの奥に進む。

 この裏ダンジョンのダンジョンボスを倒すことでここに誓いをたてるつもりだ。

 

 その誓いを立てることに意味はない。所詮は気休め程度だ。

 しかし、それでもそうでもしなければエリウはこの力の使い方を見失ってしまいそうだと思った。

 

 だから、エリウは誓う。

 

 

 俺は、人の影となり道となる。

 

 と。

 

 

 

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