ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~   作:榛野 春音

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 週一守れるように頑張りますww
 近い内にまた、挿絵入れようと思いますww


異端の脅威

1、

 

 

「おいおい。シャレなんねーな」

アルトラウスが歯噛みする。

その言葉にソルモ、ルリカ、エル、アールが同意を示す。

既に全員いくらかのダメージを受けていた。

「おいおい。どしたぁ?ユニーカー共ぉ」

そう言って笑うPohに全員が鋭い怒りの目を向ける。

周囲では、サラマンダーとアンノウンの兵士達が正面からぶつかり合い、互角の戦いを繰り広げている。

誕生したばかりの種族で、よもやここまでやるとは誰も予想出来なかったことだろう。

「さすがは、SAO生還者の集まりってとこね……」

剣を構え直したルリカが苦しげに呟く。

「それよりPohの方だよ。強すぎる」

ソルモは、皆の前に立ち魔法を裁き続けていた。

Pohは、ニヤリと笑い次々に魔法を放ってくる。

詠唱の短い魔法を連続で放つ為、なかなか近寄れない。

近づけば、武器で牽制されてしい魔法で飛ばされる。

アルトラウスが言った。

「ソルモ。俺に魔法耐性が上がる魔法かけてくれ。限界値までだ」

「突っ込むつもりかい?……でも魔法を防げてもPohは自力が強い。たとえユニークスキルでも……」

「心配すんな。ここはアインクラッドじゃねぇ。最悪差し違えるか、隙つくるかしてやるから、そこをやれ」

その言葉にエルが少し考える。

そして、エルはソルモに言った。

「アルを信じよう。私達もサポートするから」

いうなり、エルとアールがスキルを発動した。

「モンスターサモン!《ティアマト・ザ・ロアードラゴン》!」

「モンスターコントロール!《ティアマト・ザ・ロアードラゴン》!」

突如として宙に出現した文字の羅列が集結し、巨大なアバターを作り出す。

色を帯びたそれは、かつてアインクラッド50層の階層ボスであった巨竜、ティアマト・ザ・ロアードラゴン。

「「いっけぇえ!!」」

エルとアールの叫びと同時に巨竜は砲口をあげる。

その轟音にPohを始めとしたアンノウン達が目をむく。

もちろんサラマンダー達も驚愕しているが、SAOサバイバーであるアンノウン達の驚きは、それ以上。

Pohに向かって猛突進する巨竜。

すぐさま、数十人のアンノウンがPohを庇いに前に出る。

しかし、巨竜は鋼翼にてそれを凪払う。

アンノウン達が声をあげて散っていく。

Pohが歯噛みした。

「サモンにコントロール……」

巨竜のブレスをすれすれで交わし、巨竜に斬りかかるPoh。

それを見たソルモが好機とばかりに詠唱する。

するとアルトラウスの体が光を帯びる。

「任せたよ!アルトラウスっ!」

ソルモが背を押し、アルトラウスが飛びだした。

「任せろぉおおおお!!!!!!!」

高速で飛ぶアルトラウスは、立ちふさがるアンノウンを次々に両断しPohに斬りかかる。

 

ギンッ!!

 

金属のぶつかり合う激しい音が周囲に響いた。

アルトラウスとPohはつまぜり合いつつ、互いに笑みを漏らす。

アルトラウスが呟く。

「あの時の借り……今返させてもらうぜ」

「はっ。流石は《記憶剣の支配者》。よく覚えてんなぁ!!」

そう言って、両者は飛び退き互いに距離を取る。

アルトラウスはPohを睨んだ。

「忘れられるわけ、ねぇだろ」

二人の周囲には巨竜がグルグルと旋回し、他の存在を近づけさせない。

アルトラウスは、フッと息を吐いた。

そして、スキルモーションに入る。

Pohもサイスに魔法を帯びさせるべく、詠唱を始めた。

 

両者が同時に飛び出す。

 

2つの刃が交差する瞬間、アルトラウスはその口で誰かの名を呼んだ。

 

 

×××

 

 

ソードアートオンラインがデスゲームと化して2ヶ月。

アインクラッド第一層の地下ダンジョン。

アルトラウスは、目の前の光景に目を疑った。

七人もいたパーティーメンバーが、二人に減っている。

そして、その二人も目の前で麻痺を受けて地に伏せている。

二人の前には、コイフをかぶったダガー使いが一人、フードのレイピア使いが一人、前者に同じくダガーを持つ男が一人。

偵察を勤めたアルトラウスだが、帰ってくるまでの数分で一体何が……。

地に伏せる仲間が叫ぶ。

「アル!逃げろ!こいつら狂ってやがる!」

「みんなコイツらにやられたんだ!」

その言葉にアルトラウスは、身がすくんだ。

つい2ヶ月前、このゲームでの死とは如何なるものかを知らされた。

 

それは本当の死。

アルトラウスは、喉からかすれた声を漏らす。

それを見たコイフの男が笑う。

「助けに来ないの――」

「いいから逃げろ!アルっ!!!!」

男の声を遮り、仲間が叫んだ。

 

一瞬の迷い。

 

しかし、その言葉にアルトラウスは、声をあげてその場を走り去った。

 

背後で仲間の悲鳴が上がる。男達の笑い声も聞こえる。

 

恐怖が先行してしまった。

 

後にこのことを呪い、苦しんだアルトラウスであったが、その時はただひたすらに怯えていた。

 

そして、こう望んだ。

 

「力が、欲しい」

 

 

それから月日が流れ、アルトラウスは力を手に入れた。

そして、あの男達の名を知った。

 

ラフィン・コフィンのPoh、ザザ、ジョニー・ブラック。

 

 

×××

 

 

アルトラウスのヴォーパル・ストライクがPohのサイスを砕き、その右肩を貫いた。

爆音が響き、Pohの右腕が消し飛ぶ。

後退したPohから苦痛の声が上がる。

「貴様っ……」

その言葉にアルトラウスは、冷ややかな目で武器無しの死神を見る。

「こういう時、エリウはなんて言うんだっけな……」

そして、フッと息を吐いたアルトラウスは笑う。

 

「記憶剣、飛ばすぜっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2、

 

 

レックスは、唾を吐いた。

「互いになまったもんだな。ジョニーさんよぉ」

「かもな。しかし、過去は美化されると言う。実際のとこ、どうなんだろうな」

ジョニー・ブラックは、そう答え恨めしげにレックスを睨む。

二人の体には赤いエフェクトが無数についている。

互いに相当なダメージを受けたのだろう。

レックスは、ギャハッと笑って見せる。

「まぁ昔のことはどうでもいい。今が全てだ」

そう言ってスキルモーションに入った。

ジョニーも負けじと武器を構え、迎え撃とうとする。

次の瞬間、レックスの姿がその場からかき消えた。

「っ!?」

ジョニーが驚愕するのも束の間、体に振動が来る。

慌てて振り返ったジョニーは、背後で刀を振り抜いているレックスを見た。

レックスが呟く。

「《怨血刀》固有居合い型単発技[妖一閃]」

直後、ジョニーの体に斜めにダメージエフェクトが出現する。

「バカなっ」

両断こそされなかったものの、ジョニーのHPは一瞬で吹き飛び、残り一割となる。

慌てて距離を取り、回復魔法を使うが、怨血刀の能力で傷口が広がっていく為なかなか回復できない。

レックスは、追い討ちすべくジョニーに斬りかかる。

ジョニーは飛び回りつつ、レックスの攻撃をすれすれで交わす。

両者の激しい空中戦に周りも近づけない。

ジョニーはなんとか回復を終えると、その場でレックスとぶつかり合う。

両者の武器が触れ合い、音を立てる。

レックスは、ジョニーを押しとばすと、たたみかけるようにその腰を狙う。

ジョニーは、クルリと回転することでそれを交わし、通過するレックスの背を斬りつけようとする。

が、レックスは素早く刀を背に回し、それを弾く。

そして、後ろに向けて蹴りを繰り出すが、それはジョニーの蹴りに相殺され、両者とも後退する。

「ギャハッアア!!」

「ははははああ!!」

レックスとジョニーが笑い声を上げながらぶつかり合う。

赤い妖精と、黒き堕天使の戦いは遥か上空へと舞台を変える。

ぶつかり合いながら、どんどん上空に登っていく両者の戦いは、激しさを増す。

まさに互角の戦いだった。

飛行制限エリアに到達した二人は、一度距離を取る。

レックスが笑う。

「ギャハッアア!!悪くねぇ!もっともっとずっとでも、テメェと戦っていたいぜ!!!…………でも――」

そう言って、言葉を切ったレックスはフッと息を吐き目を閉じた。

そして、ゆっくりと目をあけたレックスは、先刻とは打って変わって冷静な様子でその先を続けた。

「――でも、やっぱりあんたは敵だ。ライバルなんかじゃない。絶対の敵。だからよ」

 

 

「絶対に倒す」

 

 

×××

 

 

ルリカとソルモは、ただならぬ殺気を感じ、その場から素早くよける。

見ると、そこには、一人のアンノウン。

先日Poh達と共にいた人物だ。

そのアンノウンは、こちらにやたらと長い太刀を向けて宙を立っている。

ソルモとルリカが剣を構えると、そのアンノウンが口を開いた。

「俺の名は、アナザー。お前ら二人の抹殺の任についている」

その言葉にソルモが苦笑いする。

「なんだか、強そうな人だね。気合い入れて行こう。ルリカ」

「えぇ。もちろん」

直後、二人の目の前にアナザーがいた。

「「っ!」」

一瞬にして詰められた間合い。

ソルモとルリカは、アナザーの一太刀を受けて吹き飛ぶ。

なんとか武器で反応した為、二人ともダメージは受けなかったが、猛烈な勢いで追撃して来るアナザーに防戦一方となる。

「二対一なのにっ!」

「ルリカ!隙を見て離脱してっ!僕が抑えるからっ」

「隙なんてないわっ」

次々に繰り出される斬撃、その一つがルリカの正面に迫る。

「ルリカっ!」

ソルモが叫んだその時、

 

ザシュッ!!

 

何かの力でアナザーが吹き飛んだ。

その腹部には深いダメージエフェクトが一つ。

ソルモとルリカが振り返ると、二人の背後にいつの間にか一人の女妖精がいた。

 

女が笑う。

 

「女の子狙うとか、有り得ないわアナザーさん。私が直々にその根性叩き直してあげる」

 

そして、ウインクをする女は冷ややかな目でアナザーを見て、こう続けた。

 

 

 

 

「このユニークスキル《インビジブル・セイバー》を持ってしてね」

 

 

 

 

 

 




 ティアマト・ザ・ロアードラゴンは、ゲーム「SAOエンド・ワールド」の50層ボスモンスターです。

 次回もよろしくお願いします。
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