ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~   作:榛野 春音

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ついにALO最終回です!


生還と未来

1、

 

 

世界樹大戦が終わり、エリウはその事後処理に追われた。

残念なことにアンノウンの幹部連中は、敗北と同時に雲隠れしていた為逮捕にはいたらなかった。その他のアンノウン達は、悪意の有り無しに問わず、一時的に警察に補導された。今は詳しい事情聴取を受けているらしい。

そして数日後、菊岡からキリトがアスナを奪還したとの連絡が入った。

後、キリトへの傷害罪で須郷伸之は逮捕され、ギリギリまで足掻いていたが重要参考人の召喚でアッサリと諦めた。

ALO内に捕らわれていたらしい人々も、須郷逮捕から間もなく無事に解放された。

 

しかし、全てが上手くいくわけでは無い。

須郷逮捕の件とアンノウン事件は世間に公表され、ALOを含むいくつかのVRMMORPGは閉鎖に追い込まれた。

 

 だが、更に事態はひっくり返される。

 

 《世界の種子》だ。

 どこからそれが現れたのか知れないが、それの出現によって世界は、アップデートされた。

 出どころは何となく予想できるのだが、ここは口にしないのが粋というものだろう。

 《世界の種子》通称《ザ・シード》は、フルダイブ・システムによる全感覚VR環境を動かすための一連のプログラム・パッケージのことだ。

 つまり、これが世界に広がることでVRMMORPGは、これからどんどんと活性化し進化して行くことだろう。

 

 

×××

 

 

「キリトの奴、あんなにくっついて……」

 そう言って、カフェテリアの窓に額をくっけるリズベットこと里香が悔しげな顔をする。

 その視線の先では木陰のベンチに腰かけるキリトとアスナ。

「もう、覗きとか、趣味悪いですよ~」

 ぐぬぬと呟きながら、窓の外を凝視する里香にシリカこと珪子がヤレヤレと苦笑いを漏らす。

 すると、その後ろからヘラヘラとした笑いを浮かべる男が現れる。

「んまぁ。和人はそんなもんさぁ」

 見ると、そこには長身で左の額に剃り込みのある鋭い目つきの男がいた。

「んもう。レックスさん~」

「ダメですよ。里香さん。ここでは、その呼び名禁止ですよ」

「あはは。そうだった」

 そう言って、頭をかく里香にレックスこと風木高汰(かざき こうた)はケラケラと笑う。

「まっ。あのリア充をとめることぁ~できねぇよ」

 そんなことを呟きながら、高汰の背後から一人のイケメンが現れる。

 アルトラウスこと虎薄有希(とらうす ゆうき)だ。

 そして、更にその背後からピョコピョコと双子が顔を出す。

「こんにちは。みなさん」

「ヤッホー!みんなー」

 エルこと遠崎麗織(とおざき りり)に、アールこと遠崎夢舞(とおざき むむ)である。

「みんな。お久しぶりじゃん?」

 4人の姿に里香が楽しげな声を出す。

 すると、カフェテリアの入り口から更なる客が入って来る。

「おいおい。はたから見りゃ、オメェらも立派なリア充だぜ?」

 エリウである。

 その後ろには、ソルモこと諸月太陽(もろづき たいよう)と、ルリカこと海星瑠璃香(うみほし るりか)がいた。

 二人ともバーチャル内の時とは違い、どこか柔らかい表情である。

 エリウは全く変化が無く、逆にフッと笑みを漏らす全員。

「ったくよぅ。相変わらず、スカしてんな」

 そう言う有希にエリウは、フッと笑う。

 

「まぁ、んなことはどうでもいい。それよりよ……オメェら、今日のオフ会忘れてねぇよな?」

 

 その一言に、全員が満面の笑顔で頷いた。

 

 

×××

 

 

 エギルの店《ダイシー・カフェ》は、いつもに増した喧騒に包まれていた。

 広い店内には、ギッシリと人がつまっている。

 キリトとその妹、直葉、そしてアスナの三人と共に入店したエリウ、ルリカ、ソルモ、アルトラウス、レックス、エル、アールは、同時に苦笑いする。

 キリトが呟く。

「――おいおい。俺達遅刻はしてないぞ」

 すると、人々の中から制服姿のリズベットが進み出てきて言った。

「へっへ、主役の皆さんは最後に登場するってものでしょう。あんた達ご一行にはちょっと遅い時間を伝えてたのよん。さ、入った入った!」

 エリウは、たちまち店内に引っ張り込まれ奥の席に座らせられる。

 ドアが閉まり、BGMが途切れ、証明が絞られる。

 と、突然スポットライトが俺達の落ち、再びリズベットの声がした。

「それでは皆さん!ご唱和ください。……せーのぉ!」

 

「SAOクリア、世界樹大戦の勝利、おめでとー!!!!」

 

 全員の唱和。クラッカーの音。拍手。

 一斉にたかれるフラッシュにエリウは、ヤレヤレと微笑を浮かべたのだった。

 

 

 今日のオフ会――《アインクラッド攻略記念及び、SAO事件完全終息記念パーティー》は、予想以上の規模だった。

 乾杯の後、全員の簡単な自己紹介、続いてキリトのスピーチにエリウからの一言。

 いつのまにやら、料理も並び宴は完全なカオス状態に突入する。

 エリウは、様々な人からの祝福を受けた後、カウンターに腰掛ける。

 気がつくとキリトも同様にカウンターについていた。

「マスター。バーボン。ロックで」

 キリトが格好つけてそんなことを抜かす。

 エリウは、鼻で笑いエギルに注文を述べる。

「エギル。俺にはジンジャー」

 直ぐにエギルが二人分のタンブラーを滑らせてくる。

 キリトの方をみると、どうやら本物ではなく烏龍茶だったようだ。

 残念そうなキリトと、してやったりと笑うエギル。

 すると、

「エギル。俺には本物くれ」

 そう言ってクラインが隣の席に座った。

「おいおい。この後会社に戻るんじゃねーの?大丈夫なのかよ」

 エリウの言葉にクラインは鼻で笑うと、出てきたタンブラーを呷った。

「それにしてもよぅ。エリウ、キリト。……いいねぇ」

 そんなクラインにため息をつきつつ、改めて周囲を見る。

 確かに、まぁ視覚保養にはなる光景だな。

 アスナ、リズベット、シリカ、アルゴ、サーシャにユリエール、サチに直葉、ルリカ、エル、アールと――――まぁ、異常なまでに美人が揃ってやがる。

 横を見ると、シンカーとキリト、クラインが何か話はじめる。

「お久しぶりです。エリウさん」

 突然の声に振り返ると、そこには一人の高齢の男性がいた。

「あぁ!ニシダさん!ご無沙汰してます」

 エリウは、急いで向き直るとニシダに礼をする。

 このニシダと言う男性SAOの湿地エリアを歩いた際に偶然知り合い、それからというものSAOクリアまで、何かとお世話になった男性なのである。

 その後、エリウはニシダと他愛も無い会話に花を咲かせ、パーティーを楽しんだ。

 他のみんなもそれぞれにパーティーを楽しんでいるようだった。

 そんな時、不意に隣のクラインが言った。

「そう言えば、二次会は変更無いよな?」

 すると、キリトとエギルが頷いた。

「もちろん。今夜十一時、イグドラシル・シティ集合だ」

 エギルの言葉にキリトが声を潜めた。

「それで……アレは動くのか?」

 その一言に、今度はエリウが口を開く。

「そのことなら心配無いぜ?新しいサーバー群まるまる使ったみたいだしな。なんせ《伝説の城》だ。ユーザーも増えるに間違い無い」

 

 エリウの言葉にカウンターにいた全員が笑みを漏らし、確かにと強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

2、

 

 

 ALOの夜空をエリウは、一人で飛んでいた。

 ストレアをはじめとしたみんなには、先に行っておいてくれと言っておいた。

 

 一人、流れる雲を抜い飛ぶ様は、端から見れば流星の如くなかなかの見ものだろう。

 

 それにしても、日本に来ていろんなことがあったものだ。

 

 まさか。部隊を抜けてすぐに剣士になって、剣士を引退したと思ったら、妖精になって世界の危機に立ち会って――、まっ結局のところ自分の人生は波乱続きなのかもな。なんて思えてしまう。

 でも、そんなことを呑気に考えられる今は、案外幸せなのかも知れないな。

 でも、日本に来てからの全ての出来事は、どれも大切な記憶となった。

 血みどろに塗り潰された過去を照らす、大きな光になった。

 

「改めて思うよ。日本に来て良かったとな」

 

 思わず口に出したエリウは、仰向けに浮遊し天を見た。

 と、不意に視界の隅に何かがうつる。

 それは、天で踊る二人の妖精だった。

「キリトに……リーファか」

 そう呟いた時、エリウは何者かに袖を引っ張られた。

「おっと!?」

 起き上がり振り返ると、そこにはルリカがいた。

「私達もどう?」

 そう言って、手を差し出して来るルリカ。

 エリウは苦笑し、その手を取った。

「先行けって言ったろ」

「さぁて、そんなこと言ったかしら?」

 エリウの言葉にルリカはフフッと笑い、ステップを踏み始めた。

 エリウは、ぎこちない動作でそれに合わせる。

 キリト達が雲に隠れ、その場はルリカとエリウのみの空間となる。

「ねぇエリウ?」

「ん?」

「もう。戦場には行かないで欲しいな」

「っ!?……なんでそれを?」

 突然のルリカの言葉にエリウは、驚く。

「この間からなんか様子おかしかったから、なんとなくね…………」

 ヤレヤレ、マジか。

 エリウは、ため息をつく。

「守らないといけないんだ」

「?」

「いやな。俺の保護者になってる奴が今度、ある国に商談に行くんだ。でもその国がヤバいとこでよ。一人でも盾が多い方がいい」

「だから、いくの?」

「いや。違うな。…………こいつは俺のケジメなんだ。今回の仕事が済んだら、俺は兵を辞める。だから、最後に一番世話になった奴を守りたいんだ。……お前らには心配かける。でもっ」

 そう言って、エリウはルリカを抱き締めた。ルリカの顔が真っ赤に染まる。

えは続けた。

「でも、だからこそ、心配せず、帰りを待っていて欲しい。待っている人がいる限り、俺は強くなれる。そして、絶対に帰ってくるから」

 すると、ルリカの手がギュッとエリウを抱き締める。

 そして、ルリカは涙をいっぱいに溜めたその瞳で真っ直ぐにエリウを見た。

 

「うん。……わかった。待ってるよ私。いや、私達。あなたがきっと全てやり遂げて、ここに戻って来るのを待ってる。いつまでも待ってるよ」

 

 ルリカの言葉にエリウは、優しく微笑むと「ありがとう」と小さく口にした。

 

 その時、

 

 ゴーン ゴーン

 

 どこからか鐘の音が聞こえて来る。

 その音を聞いたエリウは、そっとルリカの手を取る。

 

「行こうぜ!俺達の未来に」

「うん!」

 そう言って、飛び出した二人。

 天空には、巨大な浮遊城が現れている。黒いシルエットに包まれてその正体は、はっきりとは分からない。

 

 その近くでブレーキをかけたエリウとルリカ。

 すると、

「おーい!何やってんだお前ら!」

「ギャッハ!遅れんじゃねーよ!」

「キリト達、もう向こうに集まってるよ~!」

「押さないでよ。アール」

「ごめ~んエル~」

 口々に様々のことを言いながら、五人の妖精が飛んで来る。

「お前ら……」

 エリウが呟くと、どこからともなくストレアが姿を現した。

「行こうよ!二人共っ!」

 見ると、空の浮遊城には明かりが灯り、遥かではキリト達妖精の一行が浮遊城に向けて飛び出していた。

 

 浮遊城アインクラッド。

 

 かつて、見た伝説の城が今ここに戻って来たのだ。

 

 

 エリウは静かに笑い、仲間達を見た。

 アルトラウス、レックス、エル、アール、ソルモ、ルリカ、ストレア。

 全員がかつてのように不敵な笑みを浮かべ、そこにいた。

 

 エリウは、スゥと息を吸うと、仲間達に言った。

 

 

「さぁ!行こうぜ!」

 

 

 その声に一斉に飛び出した八人の妖精は、かつての戦場に向かい飛んで行く。

 

 エリウは、己に違う。

 

 

 俺は絶対に帰って来る。そして、こいつらと次の未来を歩むんだ。

 

 ――と。

 

 

 

 

 

 

 

                     ALO篇END

 

 




ついに終わりましたw
ALO篇大変でしたねwww

次回から、GGO篇です!
ちょっとした告知ですが、GGO篇はルリカがメインの話ですww

物語の質問他、要望、感想などお待ちしております!!

そして、これからもよろしくお願いします!!!
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