ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~   作:榛野 春音

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ソードアート・オンラインⅡもスタートして、私の執筆も気合が入ります!!!
今回は、新たなユニークスキルが登場します!そして最後には、あの方が登場します!

それでは、最新話をお楽しみください



絶対と記憶

 

「お前らもつけられたな、クライン。」

ギルド[聖竜連合]を前にキリトは唇を噛み締める。

「・・・・ああ、そうみてぇだな。」

そう言ってクラインも苦い顔をする。

今日は、クリスマス。例のイベントが開催される日だ。

三十五層のフィールドにあるランダムテレポート・ダンジョン[迷いの森]でそれは開催される。

この場所を知っているのは、当初キリトのみだった。しかし、そこにキリトを付けていた聖竜連合が介入し更にエリウとクライン達[風林火山]が参加するという大波乱となった。

[ファントム]の起動で姿をくらましているエリウは、クラインの耳元で囁く。

「予定どおりキリトを行かせてくれ。俺はその護衛にまわる。」

すると、クラインはかすかに頷く。

そして、

「行けッ、キリト!ここはオレらが食い止める!」

クラインは、キリトをかばうように前に出る。

キリトは、クラインに背を向けて無言でワープポイントに足を踏み入れた。

エリウもすかさず後を追う。

 

昨日クラインには、キリトサポート作戦の概要を伝えていた。そして、エリウの予想どうり聖竜連合が出現した。クライン達には、予定どおりその相手をしてもらうことになる。

しかし、大人数の聖竜連合と戦ってクライン達が勝てるわけがない。だから、リーダー同士のデュエルで決着を付けるよう伝えてきた。聖竜連合は、血盟騎士団に負けず劣らずの攻略組最大級ギルドだ。だが、事前調査で個人ならクラインが勝ることはわかっていた。

とは言っても、今回の作戦はかなりリスクと危険を伴う。声をかける際、断られることは承知だった。しかし、クライン達は快く引き受けてくれた。それどころか是非ともやらせて欲しいとさえ、言ってきた。

クラインは、キリトとエリウへの恩故に今回の件を引き受けてくれた。

ここまでのことにつき合わす以上、なんとしてもキリトを無事生還させなくてはならない。

 

間もなく、最後ワープポイントだ。あそこを通過すればイベントの行われる[迷いの森]の中枢、巨大なモミの木の下に出る。

キリトが最後のワープポイント駆け抜ける。

エリウもその後に続こうとする。

しかし、エリウはふと足を止めた。

[ファントム]をオフにして辺りを見回す。

「出て来いよ。」

エリウの声が森に響く。

すると、

「バレちゃったか~。」

おどけた調子の声と共に近くの木の背後から一人の若い男が出てくる。年は、エリウより2つか3つ上だろう。

「誰だ?」

エリウのストレートな問いに男はニヤリと笑う。

「誰であろうと関係ないんじゃないの?」

「キリトの邪魔をするなら、殺す。」

男の言葉にエリウは、冷ややかに返す。

すると、男はヒラヒラと手を振った。

「黒の剣士さんの邪魔するつもりなんてないさ。俺が興味あんのは君だ。」

「は?俺?」

突然のことにエリウは戸惑う。

「そう。俺はあんたとデュエルがしたくてここに来た。相手してくれるかな?」

男の言葉にエリウは頭を振った。

「断る。今はそれどころじゃない。どうしてもやりたいなら後にしてくれ。それに何であんたが俺に興味を示すのかがさっぱりわかんねぇ。」

早口にそう言って、エリウはワープポイントに走ろうとする。

しかし、

「わかんないだって?よく言うぜ。ユニークスキル持ちがよ。」

 

なんだと?

 

エリウは、その場に硬直し振り返る。

「何故そのことを?」

「たまたま見たんだよ。スキル使うところをよ。それに・・・・」

そう言って、男は片手剣を構える。

「俺もユニークスキル使いだからなぁ。同じユニークスキル使いには、興味がある。」

 

ユニークスキル使いだと!?

 

確かにソードアートオンラインには、10のユニークスキルが存在する。

しかし、こんな早い段階で2人も揃うなんて・・・・。

「嘘かどうかは、デュエルで確かめな。」

男の言葉にエリウは、奥歯を噛み締める。

 

こんな時に限って!!!キリト・・・・すまない。

 

エリウは内心でそう呟き、目の前に表示されたデュエル申請に目を通す。

 

アルトラウスから、デュエル[5分間決着モード]申請を受けています。受諾しますか?

 

イエスを選択。

デュエル開始までのカウントダウンが始まる。

エリウは、愛剣を片手で構える。

知られているなら、隠す必要はない。

気にかけるべきは、相手のスキル。ユニークスキルなら固有型の特殊技があるはずだ。そこさえ抑えれば、あとは攻め落とすのみ。

 

デュエル開始。

 

距離は十分!

エリウは、素晴らしくスキルモーションに入った。

《アブソリュート・セイバー》固有三連撃技[トライデント]。

発動と同時に三又のエフェクトがアルトラウスに飛んでいく。

まずは一本。

そう思った。

しかし、アルトラウスはそれをタイミングよくパリィして無効化する。

トライデントがパリィされた記憶などない。エリウの思考が僅かに乱れる。

だが、アルトラウスの次の行動にエリウは度肝を抜かれた。

アルトラウスは、とあるスキルモーションに入る。

 

この動きまさか!?いや、そんなハズない!

 

次の瞬間、避ける間もなくクロス型の飛翔斬撃がエリウを捉えた。

《アブソリュート・セイバー》固有二連撃技[デスクロスブレード]だ。

「んなっ ・・・・バカなっ!」

体制を立て直すエリウにアルトラウスは、静かに言った。

「一度見たスキルを武器を問わずに発動できる。それが俺のユニークスキル[記憶剣]だ。」

 

記憶剣・・・・だと?

 

「くそっ!」

残り半分ほどとなったHPゲージを一瞥し、エリウは素早く距離を詰めアルトラウスの横脇を斬りつけた。

「うおっ!?」

流石にスピードには追いつけないようで、アルトラウスが吹き飛ぶ。

エリウは、すかさずスキルモーションを取る。

《アブソリュート・セイバー》固有六連撃技[ペンタグラムドライブ]。

弾丸のような速度でエリウは星形にアルトラウスを貫いていく。四方からの高速突き六連撃は、体制を崩したままのアルトラウスには効果は絶大。

 

勝った。

 

そう確信した時、ラスト一撃を前に宙に投げ出されたアルトラウスがスキルモーションに入る。見たこともない構えだ。

アルトラウスは静かに言った。

「[記憶剣]固有無数連撃技[メモリーブラスト]!」

 

刹那

 

アルトラウスが空中で5人に分身する。そして、5人のアルトラウスがそれぞれ別々のスキルモーションに入る。

ターゲットが分身したことでエリウのラスト攻撃は、空をきる。

5人にアルトラウスがスキルを発動した。

片手直剣固有単発技[ヴァーパルストライク]。

《アブソリュート・セイバー》固有三連撃技[トライデント]。

両手剣固有単発技[アバランシュ]

片手直剣固有四連撃技[バーチカル・スクエア]

細剣固有六連撃技[クルーシフィクション]

 

計五つのスキルがエリウに炸裂する。

「うおおお!!!!!!!!」

エリウは、雄叫びを上げ飛び上がる。筋力のカンスト故にジャンプ力は異常なまでに高い。

ジャンプすることで[トライデント]以外のスキルをかする程度のダメージで軽減する。

しかし、急いで振り返ったエリウを回避していなかった[トライデント]が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局デュエルの結果は、ドロー。

 

時間に救われた。

正直な感想だった。

アルトラウスは、おどけた口調とは裏腹にえらく冷静な戦いぶりを見せた。そして、ユニークスキル[記憶剣]。

あの強さは、本物だ。絶対剣たる《アブソリュート・セイバー》と同格の力を見せるとは、もはや予想外。さすがはユニークスキルとも言える。

正直なところ完全決着モードなら死んでいた気すらしてくる。

 

アルトラウスは、膝を突き息切れするエリウを見下ろして一言。

 

「さすがは、絶対剣。・・・・また、やろうぜ。」

そう言って、アルトラウスは転移結晶で去っていった。

その場に残ったエリウは、ゆっくりと立ち上がる。

 

早くキリトのもとへ・・・・

 

エリウは[ファントム]を起動させる。エリウの体が消えた時、突然にワープポイントが光を放った。

そして、虚ろな目をしたキリトが現れる。決着は、ついたようだ。

しかし、その手に握られているアイテムを見て、エリウは全てを悟った。

 

[還魂の聖晶石]。

 

以前エリウがサチを救った際に使用した蘇生アイテムだ。しかし、その効果は対象プレーヤーが死亡してから10秒以内しか適応されない。

キリトの目的は、死亡した黒猫団メンバーの蘇生だった。しかし、このアイテムの効果が知れた今、キリトの目的は完全に潰えたと言えよる。

 

 

キリトは、クラインにそのアイテムを渡し去っていった。

別れ際、クラインがキリトに言った。

「キリト・・・・お前ェは・・・・お前ェは生きろよ・・・・もしお前ェ以外全員が死んでも、お前ェは最後まで生きろよぉ・・・・」

 

 

キリトが去った後、[ファントム]を解除したエリウは、クライン達の前に大きめの布袋を落とす。

「せっかくのクリスマス・・・・悪いことをした。これは何かの足しにしてくれ。」

そう言って、エリウもその場を去ろうとする。

すると、クラインはエリウの袖を掴んだ。

振り返ると、そこには涙でしわくちゃとなった顔で無理やり笑うクラインがいた。

「お前も生きてくれよぅ。エリウ。」

そう言って、クラインはそっと手を離した。

エリウは、小さく頷いて踵を返した。

 

 

 

 

宿へと続く道は、いつもに増して長く感じられた。

 

このゲームにおいて、死者は帰らない。わかっていたのに・・・・。それを承知でキリトについていった。

しかし、それでも・・・・。

 

俺に力があれば・・・・。

 

そして、追い討ちをかけるように思い出されるのは《アブソリュート・セイバー》のある欠点だった。

ある時、気づいたのだ。《アブソリュート・セイバー》の熟練度が800以上にならないのだ。スキル熟練度は最高値が1000。あと200。

 

あと200さえ、あればもっと救えたものがあったはず。

 

なぜ、あと200が・・・・上がらない。

 

エリウは、その場にひざまづいた。

 

その時、

 

『全ての鍵は、ここにある。最後の鍵は、ここにある。』

 

突然、エリウの頭に謎の声が響く。

 

「誰だ!?」

顔を上げたエリウは、驚いた。目の前に誰かいる。

 

女?

 

紫を貴重とした装備にカールしたセミロングヘアー。その顔は美しく。そして優しく微笑んでいた。年は、エリウと変わらないくらいだ。

 

少女がクスリと笑う。その声は透き通っていて、まるで鈴のねを聞いているようだった。そして、少女は言った。

 

「私、ストレア。よろしくね。」

 

 

 

 

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