ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~   作:榛野 春音

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今回もエリウ並みのユニークスキル使いが現れます。
10あると言われるユニークスキルですが、あと何人分登場するのかな・・・・。

そろそろエリウのスキルが、何故にここまで他者を卓越したものなのかということにも触れていきたいと思う今日このごろです。

それでは、最新話をお楽しみください


絶対の防壁

アインクラット七十一層迷宮区。

 

妙な奴だ。

第一印象は、その一言だった。

エリウは、目の前にいる少年を見る。

エリウとさして年齢差はないだろうが、身長がエリウより少し低いせいか、どこか年下に見えないこともない。

一見どこにでもいるプレーヤーだが、肝心なところが一般プレーヤーと違う。

この少年は、ソロなのだ。そして、もう一つ。・・・・いや、やめておこう。気のせいかもしれない。

「ソロとは、珍しいな。」

エリウが話かけると、少年はヘラッと笑顔を見せる。

「君こそソロじゃないか。」

「・・・・ちょっと違うんだけどな。」

少年の言葉にエリウは、ボソリと呟きながらストレアの変身している大剣をそっと背に回す。

しかし、少年には聞こえていなかったようだ。少年は、ソロ同士というわけでエリウに興味深々なのがにじみ出ている。

「僕は、ソルモ。君は?」

「・・・・・・俺は、エリウ。」

すると、ソルモはうんうんと頷いてある提案をしてきた。

「エリウかぁ。そうだ!ここから暫くパーティー組まないかい?」

 

やっぱりそう来たか・・・・。

 

エリウはパーティーを好かない。ましてや初対面の相手と組むなんて。一般的に初対面の相手とパーティーを組むことは珍しくない。しかし、エリウは《アブソリュート・セイバー》を所持している故パーティーを組めば、その存在露見に繋がる。

 

正直断りたい。

 

だが、ふと考える。

先ほどこの少年を見た際に感じた違和感は、もしかしたら・・・・。だとすれば、この目で見ておきたい。

 

考えた末、エリウはこたえる。

「そうだな。せっかくだからパーティーを組もう。」

すると、ソルモは嬉しそうに笑って手を差し出してくる。

「それじゃ、決まりだね。よろしくなエリウ!」

エリウはその手を握り、曖昧な笑みで返した。

 

 

一時間後

 

 

予感は的中した。

というより、ソルモは隠すどころかそれを堂々と使用した。

 

ソルモは、ユニークスキル使いだった。

 

《削魂守》。

それがソルモのユニークスキルだった。

しかも珍しいスキルで攻撃でなく、防御特化スキルだった。

その威力は凄まじく、モンスターの攻撃を90パーセントブロック出来るのだ。その対象は、ブレス、ソードスキル、状態異常、と全ての攻撃パターンに対応している。

 

俺も明かして損ないかもな。

 

そんなことを思いつつ、エリウはストレアの大剣を両手で扱う。

 

暫くすると、妙な雰囲気のエリアについた。

「エリウ!これってボス部屋が近いんじゃないのか?」

はしゃぐ、ソルモにエリウは小さく頷く。

「そうみたいだな。とりあえず、部屋前まで行ってマッピングを完成させよう。」

「おう。」

 

案の定、そのエリアの奥にボス部屋の扉があった。

エリウが帰宅用の転移結晶を準備していると、ソルモがとんでもない提案をしてきた。

「どうせだからさっ。僕達だけでボス攻略しない?」

「は??」

瞬間的に声を上げてしまい、微かに声が裏がえる。

「やろうよエリウ!!」

「ちょっと待て、確かにソルモの守りは最強だけど・・・・ボスは・・・・。」

しかし、ソルモはエリウの言葉を聞くよりも先にボス部屋の扉を開き、中に入って行った。

 

馬鹿かコイツは!!

 

慌てて、後を追う。確かに防御最強を誇るソルモは強い。しかし、それでも防御率は100パーセントではなく90パーセント。もし、残りの10パーセントに強力な一撃を受ければ・・・・。

 

前にも似たようなことがあったな。

 

エリウがボス部屋に入ると、扉が固く閉じられる。

 

脱出不可・・・・不運もいいとこだぜ。

 

エリウは、ソルモの側に駆け寄る。

「なんて無茶を!」

「大丈夫さ。僕は仲間も防御できるスキルを持ってるし。」

「っ・・・・。」

エリウは、まだ言いたいことがいくらかあったが部屋に響く妙な金属音に動きを止め、息を潜めた。

「来たね。」

「あぁ。・・・・それより、死ぬなよ。」

ソルモの囁きにエリウは、少し荒い口調で言った。

すると、ソルモは微かに笑って答える。

「エリウもね。」

 

出現したのは、八つ首の蛇型モンスターだった。

[オロチ]。

かの日本の昔話に出てくるヤマタノオロチを模したモンスターだ。

 

ギュオオオオ!!!!

 

赤眼の八つ首大蛇が方向を上げ、エリウ達に視線を向ける。

「「うおおおお!!!!」」

エリウ達は、雄叫びを上げ飛び出した。

 

二対八の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

ソルモのソードスキルが発動する。

細剣固有四連撃技[カドラプル・ペイン]。続いて、[シャープ・ネイル]。[シューティングスター]。

次々に繰り出されるソルモのスキルに既にオロチの首は、三体ほど死んでいる。

エリウは、時たまスイッチに入りソルモのサポートに回っている。

 

オロチのメインゲージが七本中残り五本となる。

エリウが一切りするたびにオロチのゲージがガクンと削れる。

 

両手でもこの威力。流石ストレア。流石アブソリュート・セイバー。

 

ここまで順調な戦いにソルモが少し嬉しげな表情になる。

「エリウ!これ行けるよ!!!二人で勝てるよ!」

「集中するんだ!ボスは、舐めてかかると・・・・・・っ!バカ!避けろっ!!」

エリウが叫んだ瞬間、微かによそ見していたソルモにオロチが噛みついた。

「あっ!!!」

ソルモは、オロチに咥えられて空中に投げあげられる。空中でもがくソルモに残りの首が次々に噛みついていった。オロチがトドメのテール攻撃のモーションに入る。

ソルモは、空中で慌てて《削魂守》固有特殊技の構えを取る。独特のカラーエフェクトに包まれたレイピアをソルモは周囲にぐるりと振り回した。すると、ソルモの周りに衝撃の波が出現し、波性のシールドとなった。

しかし、オロチはテール攻撃発動をワンテンポ遅らせた。

「えっ?」

ソルモが驚愕する。

そして、《削魂守》のスキルが終了しソルモが着地した瞬間、オロチのテール攻撃が発動した。

 

直撃だった。

 

吹き飛ばされ、転がるソルモにエリウは慌てて駆け寄る。

「ソルモ!」

幸いにもソルモのゲージは、レッドゾーンのはじめで止まっていた。

急いで、回復ポーションを飲ませる。

「ごめんよエリウ。次は抑えるから・・・・。」

その言葉にエリウは、これまでに目の前で死んでいった者達の姿を思い出す。

「・・・・ダメだ。」

予想以上に低い声が出て、エリウは我ながら驚く。

「え?」

ソルモが疑問の音を上げる。

「・・・・ソルモ。もう下がっててくれ。アイツは俺がやる。」

そう言って、エリウはゆっくりと立ち上がり、ストレアの大剣を片手で構える。

ソルモが慌てて喋る。

「無理だよ。一人でやるなんて・・・・。」

しかし、エリウは静かに言った。

「もう、誰も死なせない。死なせない為に俺は、・・・・この力を得たんだ!」

そう言って、エリウはオロチに向かってその場でスキルモーションに入る。

《アブソリュート・セイバー》固有三連撃技[トライデント]。

三つ叉の閃光がオロチの首の一つを一撃で破壊した。

「おおおおお!!!!!」

続いて、二連撃技[デスクロスブレード]に単発技[ヴァルヴォング]。

いづれも簡単にオロチの首を破壊していく。

 

「エリウ・・・・君もユニークスキル使いだったのか・・・・」

ソルモが静かに呟く。

 

エリウは、残り2つつの首を睨む。

そして、流れるような動作で大剣を逆手に持つ。

もう首の相手なんてしてられない。一気にメインゲージを叩く。

エリウは飛び出した。

《アブソリュート・セイバー》固有二十八連撃技[リジェルデート・ヘイン]。

逆手握った[デッド・オブ・グレートセイバー]から繰り出される二十八連の猛攻でオロチのゲージがどんどん削れていく。

スキルが終了した時、オロチのメインゲージは、レッドゾーンに入っていた。

 

あと数撃!

 

次は、決める!もうカケラすら残さねぇ!

 

エリウは、スキルモーションに入った。

新スキルだ。

《アブソリュート・セイバー》固有十五連撃技[アージェンティアストリーム]。

黄金のエフェクトに包まれた[デッド・オブ・グレートセイバー]から放たれる十五連撃は、これまでのどのスキルよりも速く、一撃一撃がどのスキルよりも重かった。

「おおおおおおおおおお!!!!!」

決めの一撃をあえて、溜めてから打ち込む。

 

ギュオオオオ!!!!

 

オロチは、大気を震わせんとする勢いの砲口を放ちポリゴン化する。

そして、爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボスの消滅した部屋は、不気味な程に静かだった。

 

「エリウ・・・・君は・・・・」

ソルモの小さな呟きにエリウは、そっと答えた。

「暗黒点。・・・・聞いたことぐらいあるだろ?」

すると、ソルモが目を見開く。

「暗黒点って・・・・君があの絶対剣の?」

 

ここ最近、エリウの噂は半都市伝説化していた。そして、ついた異名が[暗黒点]。エリウが人目に付かないようにしているかいあって、あくまで噂の域を越えていないのだ。

 

「そうさ。それと・・・・」

そう言って、エリウは[デッド・オブ・グレートセイバー]を宙に投げあけた。

「ストレア。戻っていいぞ。」

次の瞬間、大剣が光りストレアに変身する。

ソルモは、言葉をなくしただその場にへたり込んだ。

「そんなことが・・・・。」

 

エリウは、アイテムストレージを開き先ほど獲得したラストアタックボーナスを取り出す。

細剣[ユルリエル]。

それをソルモに投げてよこし、エリウは歩き出す。ストレアもすぐについて来る。

「じゃあな。ソルモ。」

エリウは、そう言って七十二層のアクティベートに向かう。

 

ボス部屋を出る時、ソルモが言った。

「エリウ・・・・。」

呼ばれて、エリウは歩みを止める。

「エリウ・・・・。僕は、もっと強くなるよ。・・・・強くなって・・・・君と一緒に戦いたい。もう助けられるだけじゃ、イヤなんだ。いやだから、この力をてにしたのに、また助けられる。だから・・・・・・だから待っていてくれ。僕は、必ず・・・・君のもとに行く!そして、君を助けたい!」

 

そうか。

人を助けたい。人を楽にさせたい。その一心でボス部屋に入ったのか。

でも、それは間違ってる。人は、助けられるものだ。自分が助けなくても、自分が助かることで救われる人がいる。

 

エリウは、そう言いたい気持ちを抑える。

彼の決意は、堅い。自分なりにだした答えを事実を突きつける事で、壊したくはない。

 

エリウは再び歩き出し、一言呟く。

「あぁ。・・・・待ってるよソルモ。」

 

 

その声がソルモに届いたかはわからない。でも、それでいい。

 

結局、届かなくてもこの言葉は伝わるのだ。

なぜなら、それはバーチャルでは再現できない[人の心]だからだ。

 

言わずとも伝わるのが人間であって心。

 

そして、エリウは確信する。この世界でも人は人であれるのだと・・・・。

 

 

 

 

 

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