リコリス・バレット   作:倉崎あるちゅ

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 アニメ10話が放送されましたね。
 アニメ最新話を見た人ならお、ってなるところがありますので楽しみながら読んでください!


Chapter 2 Words with meaning
Episode 1


 

 

 

 

 

 喫茶リコリコの地下射撃訓練所。そこには射撃レーンの他に模擬戦のために小さいがスペースが存在する。

 柾木(まさき)(しん)錦木(にしきぎ)千束(ちさと)が、似た制服を着て格闘していた。

 

「ふっ!」

 

 千束が拳銃──ストライクウォーリアで心を殴ろうと振り抜く。しかし、そのスパイク状の銃口は彼の腹を穿つことはなく、ひらりと躱されてしまった。

 千束の頬が引き攣った。

 近接格闘において、錦木千束はハッキリ言ってしまえば柾木心より劣る。それをカバーするための銃だが、ここまで距離を縮められてしまうと、近接戦特化のC.A.Rシステムですら使えなくなってしまう。

 

「しぃ──ッ!」

 

 振り抜いたせいでガラ空きになった千束の小さな背中へ、心の渾身の左フックが襲う。

 

「っ!」

 

 ほんの一瞬、心の表情が凍りつく。拳を解き、掌底を彼女の背中に向けて放つ。

 トンッ、と押され、千束がつんのめった。すかさず体勢を整えて、彼女は振り向きざまに右脚で蹴りを放った。苦虫を噛み潰したような表情で、心は左から迫る千束の脚を左腕で受け止める。

 

「っ、硬っ!?」

 

 蹴りを受け止められた千束が思わず声を上げた。

 腕にプレートを装着しているかのような硬さだった。実際、心はリコリスが着る制服──の男子版──にはプレートを付けており、防弾性に加えて直接攻撃によるダメージの軽減の工夫をしている。

 千束の脚を払い、右の拳を彼女の顔へ突き出すが持ち前の洞察力によりその突きは読まれていた。

 左へ顔を背け避けたことにより千束の頬が緩む。しかし避けることは彼も読んでおり、そのまま裏拳を千束の顔に叩き込まんと右へ拳を薙ぐ。

 

「ちょっ!?」

 

 彼女が焦りながら上体を逸らした。

 その瞬間、心は千束の視界を覆うように手を広げる。これで、彼女の洞察力は封じられた。

 踏み込んで、彼は左ストレートを千束の腹へ叩き込んだ。

 

「……降参」

 

 すんでのところで止められた拳を見て、千束が渋々両手を上げた。

 

「だぁぁぁ! 負けた負けたぁ!」

 

 訓練所の床に、彼女が大の字になって寝転ぶ。その顔は心底悔しそうでありながらも口には笑みも垣間見える。

 そんな千束に心は近づいて苦笑いを浮かべた。

 

「ズルしてるみたいなもんだけどな」

「まぁいいんじゃない? わたしも近接の特訓になるし」

 

 もともと拳銃による近接戦をしていたのだが、二人ともエスカレートしていき、格闘戦になってしまったのだ。

 心は拳銃による射撃が得意ではなく、その穴を埋めようと格闘戦を極めた。その腕は彼が所属する部隊でも一二を争う。片や千束はDA時代から拳銃に慣れており、自身のその才能もあって近接戦もできるがメインは銃撃である。距離を縮められてもある程度は対応できるが、限度があった。

 にしてもさぁ、と千束が起き上がって胡座をかく。

 

「心さ、手加減してる?」

「え?」

 

 予想外な質問に心が固まる。

 

「なーんか決定打を与えるのを躊躇ってる感じなんだよね」

「……えっ、と」

「あ、別に嫌なら言わないでいいからね!? ただちょーっと不思議だなって」

 

 眼を泳がせる彼に千束は慌てて両手を振ってフォローする。

 心自身、手を抜いているつもりはなかった。無意識にストッパーをかけていたのか、と彼は思う。

 

「悪い」

「まぁ、手加減してて心が負けてもわたしは困らないしね。模擬戦で負けたら家事する決まりだし」

「そうだな。で、今回負けたわけだが」

「……あ゛!?」

 

 思い出したように千束が悲鳴をあげる。コロコロ変わる彼女の表情を見て、心が笑う。しまった〜、と頭を抱える千束に手を差し出すと、口をへの字にして握ってきた。

 引き上げて立たせ、壁際に設けられたベンチに二人揃って座り込む。二人の間には同じメーカーの天然水が二本置かれていた。

 それを盛大にあおり、千束は一息つく。

 

「ぷはー! お水が美味しぃ〜」

「今日は結構ハードだったから余計にそう思えるな」

 

 心もまた同様に水で喉を潤す。

 非殺傷弾による射撃訓練、その後のCQB強化訓練、模擬戦と、心と千束が知り合ってから続いている訓練は本日で三ヶ月目になった。

 狙ったところへ当たらなかった弾は次第に命中していき、ある程度の敵相手だと制圧できるようになっている。まさに歴代最強のリコリス様々である。

 

「って、おい千束」

「ん?」

「ペットボトルどっちだこれ」

「あ、ホントだ。どっちだろ」

 

 並べて置かれたペットボトルの中身は似たような量で、どちらも同じメーカー。心は眉間に皺を寄せて手をわなわなと震わせる。

 

「まー、どっちでもいいじゃん。……それとも、心くんは気にしちゃう感じかなぁ?」

 

 千束はニヤリと笑って彼の顔を覗き込む。そんな心は少し身を引きながらもむっ、と口をつぐんだ。

 

「別に気にしない」

 

 そう言って彼は無造作にペットボトルを持って口に含んだ。これは俺のものだ、そうだ、と必死に内心唱えながら水を飲む。

 そんな心を見て、千束は微笑みながら自身も水を手に取った。

 

「……」

 

 あれ、と疑問に思う。

 ペットボトルの口を見つめ、徐々に顔が熱く感じ始めた。

 思ったより恥ずかしいなぁ!? と、彼女は残った水を一気飲みした。

 妙な雰囲気が二人を包む。何分経ったのかわからない状態で、訓練所の扉が開かれた。

 

「お、もう終わってたか」

「あ、先生だ」

「うす」

 

 現れたのは紫色に染められた和服を着こなす黒人男性、ミカ。杖を突きながら二人の前へ歩いていき、穏やかな笑みを浮かべている。

 

「どうだ、心の方は」

「いやぁ、わたし負けちゃってさぁ! 今日の家事わたしになっちった」

 

 あはは、と千束が笑いながら、その白金色の髪を梳く。

 

「ほぉ。凄いじゃないか」

「ほとんどズルしたみたいなもんだ。近接格闘の距離に持ち込んだからな」

「それでも千束相手に勝ったんだ。すごいことだ」

「……そうかよ」

 

 ふい、と顔を背ける。

 まだまだ直接褒められることに慣れない心に、ミカは呆れたように息をつく。

 

「それで、先生はどうしたの?」

「あぁ。心にちょっとな」

「……俺に?」

 

 首を傾げる心に、ミカは真面目な表情を作って厳かに言った。

 

「自衛隊からの招集だ。仕事について、とな」

「……そうか」

 

 嫌な予感がする、と心は呟いた。そんな彼を、千束はただ見つめるだけだった。

 

 

 

 

 α

 

 

 

 

 陸上自衛隊、習志野駐屯地。

 そこに心──柾木一等陸尉が所属する特殊作戦群の本部が存在している。

 基地内のとある一室へ入っていく。

 招集された心は自衛隊の隊服ではなくリコリスのような制服のまま、呼び出した張本人である男の目の前に立った。

 

「お久しぶりです、(やなぎ)さん」

「あぁ。しばらく顔を見なかったな、心」

 

 柳──柳ショウイチ一等陸佐は目元のシワを深くして微笑んだ。初老に入りかけているが、若者に負けないほどの体力を誇る化け物であり、この特殊作戦群の群長である。

 心の服装を見て、柳はふっ、と笑う。

 

「よく似合ってるぞ」

「……それはどうも」

 

 なんだか笑われるのが釈然としない心は不機嫌そうに返事をした。

 

「おいおい、本当だぞ?」

「いいんすよ別に。それより、仕事の話をしましょう」

「相変わらず無愛想なやつだな、お前は」

 

 仕方ないな、と彼は微笑む。

 柳は少し体をずらし、モニターにとある映像を流した。

 映し出されるのは監視カメラ特有の荒い映像。場所はどこかの道路だろうか。

 

「これは?」

「まぁ慌てるな。見ていればわかる」

 

 心の質問に初老の男は苦笑する。

 次第に映像内の道路が震えているように見え始めた。一際揺れた瞬間、道路が急に陥没した。

 一瞬にして大きなクレーターを生み出してみせたこの映像に、心は不可解なものを見るような目で群長を見る。

 

「つい先日、地震が発生して都心から少々離れた地下鉄の脱線事故が起こってな。もともと地盤が緩かったのもあり、こうして陥没したという」

「乗客は?」

「幸い回送中だった、と」

「ふぅん?」

 

 あまりにも出来すぎている報告に、心は片眉を上げて柳を睨む。

 

「ハッキリ言ったらいいんじゃないか、柳さん? これ、DAが絡んでるだろ」

 

 東京だけでなく日本全ての治安を保つため、DAは存在する。事件は事故になる。それを知っているが故に、彼は事故ではないと理解している。

 柳は肩を竦めて心からモニターへ視線を移した。

 

「その通りだ。正体不明の組織が重装備で侵攻してきてな。それを検知したDAが動き、こうして陥没した」

「それを今になって俺に話すってことは、まだなにかあるんだろ?」

「あぁ。この事件、まだ解決していない。()()()()()()()()()()、リコリスたちはこの正体不明の組織と交戦し続けている」

 

 その言葉に心は目を見開く。

 

「バカげてる。リコリスたちの実力は俺も知ってる。それと拮抗してるだって?」

「……」

 

 押し黙る柳の表情は暗い。まさかと心は頬を引き攣らせる。

 

「DAが押されてるのか?」

「そうだ。……一刻を争う案件だ。本当なら私が部隊を率いて制圧しに行きたいが、上から圧力がかかっていて動けん。そこで、お前の部隊を向かわせることになった」

「待ってくれ! 俺の部隊だと?」

 

 苦虫を噛み潰したような顔で言葉を紡ぐ群長を遮り、心が声を荒らげた。

 

「柳さん、アンタだって知ってるだろ。アイツらは今回みたいな案件に首を突っ込んでいいヤツらじゃない!」

「わかっているとも。アイツらは私の大切な部下たちだ」

「じゃあなんで──」

「言っただろう。上からだと」

 

 声を押し殺しながら、柳は拳を作る。

 

「私だって、代われるなら代わってやりたい……!」

「……すんません」

 

 謝る心に柳ははっ、として握った拳を解いてひらひらと手を振った。

 上──自衛隊全体の上層部でなにかあるのだろうと心は顎に手を添えて考える。そもそも、彼の部隊は上層部で毎回のように議題に上がるほど嫌悪されている。受け入れてくれているのは、特殊作戦群のみだった。

 

「わかったよ柳さん。俺らで受けよう」

「……すまん」

「いいって。アンタの顔を立てると思えば腹も立たない」

 

 心そう言ってにっ、と珍しく笑った。そんな心へ柳は眉間に深い谷を刻んで重々しく口を開く。

 

「では、柾木一等陸尉。機械化部隊を率いてDAと共に、アンノウンを制圧せよ」

「了解しました」

 

 素早く敬礼し、心は部屋を出るため扉の前へ向かう。部屋から出ようとしたその時、柳が声をかける。

 

「頼むぞ」

「安心しろよ、柳さん。方針は、()()()()、なんでね」

 

 明るく、まるで、彼の(こころ)に根強くいる錦木千束のように、柾木心は快活に笑った。

 

 

 柳さんと話を終えたあと部隊に顔を出して任務の説明を行い、DAと共同戦線を張ることになるということも理解させた。

 まぁ、みんな俺より歳上だし理解できるだろ。

 習志野駐屯地内を心が歩いていると、様々な隊員とすれ違う。

 一人は中年の隊員。心のことを不思議そうに見ながらも普通の挨拶をし、心もまた挨拶を返した。一人は少し階級の高い隊員。心を見つけてはすぐに敬礼し、心もまたそれに応える。

 そんな中、若い男性隊員が心の目の前に立ちはだかった。

 

「……なんか用か?」

 

 心が胡乱気な眼差しを若い隊員に送る。すると、その隊員はいきなりちっ、と不機嫌そうに舌を鳴らした。

 

「お前が柾木心だろ。()()()の部隊長の」

「それわかってて聞いてくるってことは、アンタはウチの反対派ってことか。わざわざ俺に挨拶してくるなんて、ご苦労さま」

 

 心のその皮肉が効いた一言で若い隊員はますます不機嫌になっていく。

 

「オレは沢田(さわだ)ライタ。三曹だ」

「ほー、若いのに三曹なんてすごいな。んで?」

「……! オレはお前たち(機械化部隊)なんか認めねぇ」

 

 ギリ、と歯を軋ませて、沢田は侮蔑混じりに彼を睨んだ。睨まれた心は疲れたように息をつき、頭を搔く。

 

「いちいちそんなことを言いに来るなよ。ウチの部隊が嫌われてんのは百も承知だ」

「いいや、わかってない」

「あ?」

「お前はなにもわかってないさ、ガキ」

 

 そう吐き捨て、沢田は心にぶつかりながら横を抜けて行った。心は振り返り、その背中を目を細める。

 

「なんだ、アイツ」

 

 ふん、と鼻を鳴らした彼は再び基地内を歩いて行く。

 ……アイツからは嫌な感じはしない。

 ……というより、午前中に先生から話を持って来られたタイミングからずっとそれが残り続けている。

 気持ち悪い感覚に、心は顔を顰めながら駐屯地から出ていった。

 

 

 

 

 β

 

 

 

 

 喫茶リコリコに戻ってきた頃にはもう閉店の時間になっていた。

 カランカラン、と喫茶店の扉を開けて、俺は口を開く。

 

「ただいまー」

 

 そう言った俺に返ってくる言葉はない。代わりにあるのは、やたらにテンションの高い千束と先生の声と聞いたことのある声たち。

 顔を右に向けると、座敷の方で千束と先生、複数人のお客さんたちでボードゲームを囲んでいた。

 

「お! 心おっかえりー! お客さんたちとボードゲームやってんだけど、やらない!?」

「疲れたからやらん」

「えー、そんなこと言うなよ〜ケチ。一緒にやったら楽しいって」

「わかってるけど、今は無理。ホントに疲れた」

「電車に乗って帰ってきたんでしょ? じゃあ大丈夫じゃん」

「アホ。お前と違ってそんなに体力お化けじゃないんだ、お前を基準にするな」

 

 こいつと一緒に運動してて気づいたがとんでもない体力だ。俺の知る限り、柳さんよりも体力お化けなんて驚きだった。

 

「なんだい、心くん遠出してたのかい?」

 

 ライダースーツを着たお客さん──後藤さんが手札を持ちながらこちらを見やる。その隣には明るい色のジャケットを羽織った刑事さん──阿部さんもいる。

 

「そうなんですよ〜、千束さんを放っておいてどこの女と会ってたのやら〜」

「アホか」

「なにぃ!?」

 

 千束の冗談を一蹴したその時、カウンターでだらけてたミズキが飛び起きて鬼の形相で俺を睨んだ。

 

「きさまァ! アタシは汗水垂らして働いてたのに女と会ってただとぉぉ!?」

「そうやってすぐ僻むな!? てか、女の人とも会ったけどそういうんじゃない。千束、どうすんだこれ」

「さぁ、どうしようねー」

 

 わたし知らなーい、と千束は再びお客さんたちへ混ざっていく。

 アイツ、火種をばらまくだけばらまいて放置するなんて悪魔か。どうすんだよ、ミズキのやつこうなったら面倒臭いんだぞ。というか酒臭い。

 

「取ったどぉぉ!!!」

 

 先生は先生でめっちゃ楽しんでるし。どうすんだよ、ホント。

 

 

 閉店後のボドゲ大会もお開きとなり、店内には俺と千束、先生とミズキのみとなった。

 カウンターにはアタッシュケースが数個とトランクケースが二個ほど置かれている。すでに三人には今回の仕事内容を説明しており、それぞれ三者三様に反応していた。

 

「DAと共同戦線、か。確かに、楠木からも連絡を受けている。何名か捕縛したいと、千束の出撃要請も出ている」

「結構ヤバめな仕事ね。心、アタシにできそうなのは?」

「ミズキには陥没した一帯をスキャンをかけて欲しい。陥没したせいで地形の把握が難しいからな。機材は明日、俺の部隊が運んでくるからそれを使ってくれ」

 

 タブレットに映し出される陥没する瞬間の映像を見て、ミズキは冷汗をかいている。

 

「千束、一緒に頼めるか?」

「ん、いいよ。心の部隊にも興味あるしねー」

 

 そう言いながら彼女はアタッシュケースを開いた。

 その中身はグレネードがぎっしりと敷き詰められている。

 

「なにこれ」

「胡椒手榴弾。部隊(ウチ)で作った非殺傷武装だ。炸裂したら胡椒がブワッとばら撒かれる」

 

 俺の顔が歪む。

 二度と受けたくない武装のひとつだ。くしゃみは出るし目も痒くなるし、散々な目にあう。催涙ガスより弱いが、こちらの方が手軽というのもあって作った代物だ。

 

「それと、これは俺が今回使う武装だ」

 

 俺はそう言って隣に置かれたアタッシュケースを開く。その中には特徴的な形をした白色の銃がアタッシュケースに収まっていた。

 

Kriss Vector(クリス・ヴェクター)。クリス・スーパーVと言われる反動吸収システムを用いた低反動サブマシンガンだ。マガジンはグロックと同じものが使えるし、弾も拳銃と同じものが使える」

「じゃあ、いつも使ってるゴム弾が使えるんだ?」

「そう。明日、そのゴム弾が大量に届くからそれを使う」

 

 今回は俺の部隊に、先生のゴム弾を生産してもらう。その生産の時間のために作戦決行を明日にしたのだ。

 ヴェクターについてはサブマシンガンだし、マガジンは五十連か三十三連だろうな。流石にハンドガンと同じサイズだと弾数が足りない。

 千束には慣れているストライクウォーリアで対応してもらって、俺や部隊のヤツらが臨機応変に動けたらいいだろう。

 

「じゃあ、まとめよう。作戦決行は明日、機材や物資は俺の部隊が運ぶ。ミズキは陥没地一帯のスキャン。先生は地上でDAとの連絡を取る。俺と千束、そしてリコリス、俺の部隊は陥没地へ降りて相手を叩く。質問は?」

 

 三人ともなにもないのか、口を開くことなく力強く頷いた。

 

「あ、ごめん。作戦とは関係ないけどさ、心の部隊ってどんなの?」

「俺の部隊名は、特殊作戦群機械化部隊だ」

「へぇ、機械()かぁ。だから今回の作戦に起用されたんだ」

 

 ……まぁ、そういうことにしておこう。

 千束の言葉を訂正することなく、俺はアタッシュケースやその他もろもろを片付けていく。千束もまた着替えるために更衣室へ向かっていった。

 片付けている最中に先生が俺の肩をトントン、と叩いた。

 

「心、いいのか?」

「別に部隊名教えるくらいどうってことない」

「千束のやつ、勘違いしてるぞ」

「……別にいいよ」

 

 店内の奥へ物を置いておき、俺は千束に声をかける。

 

「ほら、明日も早いし帰るぞ」

「ちょいまちー、今行くからー!」

 

 アキさんの件からずっと、千束は自分の原付ではなく俺のバイクに乗るようになった。

 まぁ、俺は構わないから別にいいんだけど。

 喫茶店の前に停めたバイクに跨って千束のことを待つ。暗くなった空を見上げ、俺は目を細める。

 

「……まだ嫌な予感が拭えない。なんだ、これ」

 

 漠然とした感覚に、俺は顔を顰めた。

 電波塔事件の時はこれとは比較にならないほどの嫌な予感はした。まだその時よりかわいいものだと、俺は思考を放棄し、店の扉が開く音が聞こえたのでそちらへ視線を移す。

 俺はこちらを見て笑う千束がパタパタと駆け寄ってくるのを見つめた。

 

 

 






 というわけで、ヴェクター(ベクター)でした。

 Kriss Vectorは45口径の黒ベクター(アニメで出てきたのはこれ)と9.19mmパラベラム弾(リコリスが使うグロック、柾木心が使うXDMもこの弾)を使う白ベクターの二種類が存在します。

 まさかアニメでベクターが出てくるとは思いませんでした。解釈一致って思っておけばいいかなぁ!!

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