リコリス・バレット   作:倉崎あるちゅ

9 / 17


 ※注意
 9月23日に0時、錦木千束誕生日回を更新しています。
 そちらをご覧下さい。


Episode 3

 

 

 

 数箇所にある駅の入口から機械化部隊、リコリス、そして心と千束が小隊を組んで暗い地下鉄内に入っていく。

 

『こちら、〝アーチャー〟。地下鉄内に入りました』

『〝ランサー〟、こちらも入りました』

「〝セイバー〟も着いた。サードリコリスたちが今もなお戦闘している。流れ弾に気をつけて行動しろ」

『『了解』』

 

 機械化部隊に指示を出し、心は手に握ったヴェクターを構えながら先陣を切る。

 その後ろから千束が、さらに後ろからはフキとエリカ、ヒバナが続く。その後方には数名の機械化隊員とサードリコリスの姿もある。

 

「なに今の」

 

 千束が今の通信で疑問を持つ。

 

「ウチのやり方だ。普通はアルファやブラボーって言うが、ウチはセイバーやアーチャーを使う」

「へぇ、なんかかっこいい!」

「もっと語彙力つけろ」

 

 緊張感のある空間に、そんな心と千束の気の抜けた会話が響く。フキが二人を見てギリ、と歯を軋ませた。

 

「警戒しろてめぇら」

「大丈夫だ。あと二○○メートルは大きな瓦礫がないから待ち伏せの心配もない」

「そうそう。そんなカリカリしないの〜」

 

 ぶち、とフキの額に青筋が立つ。

 

「ふ、フキ、今はうちらで警戒しておこう? な?」

「……ちっ!」

 

 今にも怒鳴り声を上げそうだった彼女に、ヒバナが肩に手を置いて引き下がらせる。エリカもうんうん、と何度も頷いていた。

 言った通り、二○○メートルほど歩いて大きめの瓦礫の前に辿り着くと、心の顔に真剣味を帯び、立ち止まった。

 

「どしたの、心」

「敵がいる」

 

 その一言で、千束やフキたちが身構える。

 フキが拳銃──グロックを構えて彼に問うた。

 

「なんでわかる?」

「勘」

「部隊長、いつものですか?」

「……あぁ」

 

 機械化部隊の隊員が一歩前に出て訊くと、心はヴェクターを構えながら頷く。

 嫌な予感、というよりも敵がいるという直感が働いた。

 機械化部隊の隊員は疑うことなくアーマーリグから非殺傷用手榴弾を手に取ってピンを抜いて、瓦礫の奥へ放り投げた。

 カラン、と手榴弾が転がり、ボンッ、と破裂する。

 

「げほっ、げほっ……! なんだ、これは!?」

 

 酷い咳をしたのは、瓦礫の奥に潜んでいた敵。

 胡椒が入った手榴弾が弾けて、大量の胡椒が周囲に舞う。堪らずそこから出れば、既に戦闘準備していた機械化部隊の隊員によって銃撃される。

 ヴェクターからゴム弾が連射され、伏兵は呻き声を上げながら地に伏した。

 

「ガスマスクじゃないと無意味なんだよな、このグレ」

「うーわ、悪い顔」

「いくらでも言え」

 

 ニヤリと笑って手榴弾を弄ぶ心に千束がドン引きしたように身を引いた。

 

「まさか、本当にいるなんてな」

「言ったろ? 敵がいるって」

「勘で当てるなんてどうにかしてる。敵地だぞここは」

 

 眉間に皺を寄せ、フキは心のスタイルを非難する。

 

「えー、別に良くない? わたしだって勘で避けてるよ?」

「お前の話はしてねェ!」

 

 千束が身を乗り出してそう言えば、彼女が眦を上げて噛み付いた。

 心自身、この直感を疑った時もあった。しかし、疑って別の行動をとれば失敗する体験を幾度となくしている。

 勘で動く彼に、エリカとヒバナ、サードリコリスたちが不安そうに表情を固くする。

 

「大丈夫ですよ。自衛隊の仕事の時もこんな調子なので」

 

 機械化部隊の女性隊員がリコリスたちにそう言い聞かした。

 

綾瀬(あやせ)、変なこと言うなよ?」

「言いませんよ。走り込みなら構いませんけど、腕立ては勘弁してください」

「お前に走り込みは意味ねぇだろ……」

 

 呆れ気味に心がぼやいた。

 他の隊員が倒れている敵を拘束している間、リコリスたちは周囲の警戒をし、心たちは敵の武装を確認していた。

 ライトを照らし、銃を確認する。

 

「こりゃあ、SCAR(スカー)じゃないですか、部隊長」

「あぁ。弾は5.56か。Mk16だな」

 

 男性隊員にアサルトライフルを押し付け、通信を行う。

 

「こちら〝セイバー〟、敵勢力とエンカウントした。敵はSCARを所持してる。弾は5.56mm。他にも別の銃を持ってるかもしれない。気をつけろ」

『『了解』』

 

 通信を切って、心はふむ、と考える。

 SCARを所持しているということはそれなりの武器商人からの取引か、それとも国絡みの組織か。

 武器商人からの取引ならばDAが検知して未然に防いでいるはずだ、と思考した。

 拘束し終え、横倒しにされた敵を見下ろしていると、地下鉄の奥から銃声がいくつも聴こえてきた。

 

「向こうも始まったか。行こう」

 

 千束たちが頷き、いつでも対応できるよう慎重に足を運んでいく。

 進んでいくにつれて敵の数も増えていく。瓦礫や地下鉄の割れた溝に身を潜ませる敵が現れては機械化部隊やリコリスたちが確実に倒していった。

 しかし、

 

「はぁ……はぁ……!」

「君、大丈夫?」

 

 度重なるゲリラ戦によりサードリコリスたちが疲弊していた。物資隊から水を渡され、疲れたリコリスが水分を補給する。

 

『こちら〝ランサー〟、リコリスたちの遺体を確認しました』

「……そうか」

 

 そして、一番の疲労はこれだ。

 心の目の前には、銃弾を受けたであろう血まみれの少女が線路上で倒れていた。他にも、瓦礫に押し潰された少女を発見した。

 同僚の死に、無感情になれるはずがない。少なからず精神はすり減り、溜まりに溜まった疲労にサードリコリスたちは膝をつく。

 

「これは、結構キツイなぁ」

 

 千束が物資隊から渡された水をゴクリと飲み、乾いた笑みを浮かべる。

 

「流石にキツイか」

「そりゃあね……心は?」

「……俺も」

「だよねぇ」

 

 体力はなんともなくても精神的な疲労が溜まっていく。

 体力に自信のある千束でさえ、疲れの色が少し見える。

 

「フキ、お前は?」

「それなりには……」

「だろうな」

 

 フキは千束と同じような疲労度だが、エリカとヒバナの息が荒い。

 敵勢力の遺体ももちろん存在しているが、なによりも若い少女たちが死んでいる痛ましい状況に、機械化部隊の隊員たちも沈んだ表情をしている。

 少し休憩が必要か、と心が思ったその時、

 

「っ! 伏せろ!」

 

 ゾワリ、と嫌な予感が彼の体を駆け巡った。

 咄嗟に身体が動き、右腕で千束を抱き寄せて押し倒した。

 

「ちょっ!?」

 

 ペットボトルが水を零しながら宙を舞ったその時、先ほどまでいた場所に銃弾の嵐が通過した。

 心は体を起こし、撃ってきた敵へ銃口を向けて、左手に握ったヴェクターの引き金を一気に引く。

 

「え……?」

 

 その時、彼の下にいる千束が困惑の声を漏らした。

 サブマシンガンを片腕で撃って、()()()()()ことに彼女は目を見開いて凝視する。

 いくらヴェクターが低反動を謳っているとはいえ、反動がないわけではない。それを片腕となれば、銃は反動を制御できず跳ね上がってしまう。

 それをまったくのゼロにしてしまうのは、千束の目から見ても異常な光景だった。

 

「ぐぅ……く、そが……!」

 

 撃ってきた敵が、心の銃撃によって倒れ伏した。

 彼は大きく息をつき、下にいる千束を見下ろす。

 

「怪我はないよな、千束?」

「あ、うん。大丈夫。ありがと」

 

 よかった、と心は安堵する。

 先ほどの不意を突いた銃撃は、流石の千束でも避けることは不可能だっただろう。

 じっ、と彼女が心のことを見つめる。反動がなかったことが気になり、話しかけたいが訊かないほうがいいかな、と思ってしまう。

 

「千束、どうかしたか?」

「……いや、なんでもないよ。……というか、そのぉ」

「……あ、ごめん、すぐ退く」

 

 いわゆる床ドンの体勢になっていて、千束は思わず顔を赤らめた。心はドキリとし、慌てて彼女から退いて立ち上がる。

 ゴホン、と彼はわざとらしく咳払いをして千束から顔を背けた。

 

「俺は今の奴を見てくる。どこで敵が出てきてもおかしくないから、気をつけろよ。フキ! カバー頼む!」

 

 早口でそう言って、心は千束から離れた。

 残された千束は体を起こして、ふと胸に手を置く。

 

「……?」

 

 なんだこれ。

 不思議な感覚に、彼女は首を傾げた。

 

 

 

 

 ‪α‬

 

 

 

 

 あー、咄嗟だったとはいえ押し倒したのまずかったかな。

 頭を雑に掻き、俺はついさっきヴェクターで沈めた敵を確認した。所持している銃はG36。

 倒した連中の武装を並べてみると、SCAR、HK417、M4A1、G36と有名どころが多い。そして、これらの銃は自衛隊が採用している武装だ。

 まさか、な。

 漠然とした嫌な感じが、徐々に収束していく感覚。

 俺は敵のヘルメットとマスクを剥ぎ取り、素顔を確認した。

 

「っ! コイツは……」

「どうしたんですか?」

 

 近くにいた蛇ノ目エリカが首を傾げた。

 

「……自衛隊の人間だ」

「え!?」

 

 敵の素顔は、昨日俺に噛み付いてきた沢田ライタという三等陸曹だった。

 これだったんだ、と漠然とした嫌な予感の正体に気づいた。

 すなわち、自衛隊の上層部は本格的に、俺たち機械化部隊を消しに来たということだ。DAすら巻き込んだということは、なにかしらの策もあるはずだろう。

 

「最悪だな」

 

 冷や汗が頬を伝う。

 すぐにインカムでこのことを伝えようとした瞬間、通信が入った。

 

『こちら〝アーチャー〟! 突然、学生服を着た少年たちがこちらに銃を──っ! ちぃっ! 撃ち返せ──!』

 

 アーチャー、ウチの副部隊長である伊達が切羽詰まったように通信越しで指示を出す。

 

『〝ランサー〟もです! 少年たちが急に──! っ! またか!?』

 

 思わず息を飲んだ。

 どうなってやがる。

 

「心! これ、どうなってんの!?」

 

 千束が慌てて俺のもとへ駆け寄ってきた。

 

「俺にもさっぱりだ。とにかく、向こうはアイツらを信じるしかない」

 

 それと、と俺は言葉を紡ぐ。

 

「敵の正体が判明した。敵勢力は、陸上自衛隊。おそらく俺の部隊を消したい反対勢力だ」

「は? なんで? 同じ組織じゃん」

「ウチの部隊は少し特殊なんだ。……出る杭は打たれる。そうだろ」

 

 機械化部隊の隊員たちはぐっ、と表情を引き締めた。

 千束は納得できないのか、少し怒ったような顔をしている。

 

「この件は俺らの責任だ。リコリスたちをこれ以上巻き込むわけにはいかない。後方に下がって、待機していてくれ」

 

 柳さんの部隊が出張れなかったのはこういうことだったのだ。機械化部隊は自衛隊全体から見れば特殊で、浮いた存在だ。

 特殊作戦群という秘匿される群に席を置いているが、上層部が機械化部隊を嫌悪していて秘匿のひの字もない。

 学生服の少年たちが気になるが、身内の抗争に外部をこれ以上巻き込むのは心苦しい。

 

「千束、フキたちを連れてここから脱出しろ。ここから先は、俺らの戦いだ」

 

 千束のほうへ顔を向けてそう言うと、突然両頬をぎゅむ、と挟まれた。

 

「!?」

 

 挟んでいたのは千束の手。彼女は珍しく怒っていて、瞳には強い意志を感じさせる。

 

「心、わたしたちの作戦は?」

「……い、命大事に」

「だよね。今心がやろうとしてることってそうじゃないよな?」

 

 彼女の手に挟まれながらもコクリコクリと頷く。

 これ、ガチでキレてる……? 

 

「この事件が心の部隊を消すためなら、わたしは絶対そんなことさせない。嫌いだからって、人の時間を止めるなんて勝手なことさせない」

「いや、でも!」

「でももへちまもなーい! わたしがやりたいからやるの」

 

 思い切り俺の頬を抓り上げて、千束は真っ直ぐ俺の目を見つめた。

 

「それに、こんな状況ほっとけないでしょ」

「……さっきみたいなことが起こるぞ」

「それは心がなんとかしてくれるって思ってる。だから頼むぞー?」

 

 なんでコイツは、わざわざ自分から渦中に突っ込んでいくんだ。

 

「勝手なことばっかり……」

「ははっ。まぁ、わたしはしたいこと最優先だからね」

 

 したいこと最優先、か。羨ましいくらい清々しい理由だ。

 俺が間違っていたのかもしれない。俺たちの責任だから千束たちは下がってろ、なんて彼女が素直に聞くはずもなかった。

 

「それじゃあ、一緒に頼む」

「千束さんにお任せだ〜!」

 

 とん、と千束は自身の胸を叩く。

 

「話はまとまったか?」

 

 フキが腕を組みながらそう訊く。俺は頷いて、機械化部隊とリコリスたちを見渡した。

 

「このまま突き進む。学生服の少年たちが銃撃してくるという情報が来てるが、それも込みで敵勢力を叩く。敵が自衛隊である以上、できるだけ殺すのは避けたい。生きていれば証拠にもなる」

「それだとこっちが死ぬぞ?」

「リコリスたちは急所を外して、半殺しにしてくれ。そして、物資隊が処置して情報を吐かせる」

 

 先陣は機械化部隊だ。

 これ以上リコリスたちを犠牲になんてさせないし、反機械化勢力なんて知ったことか。

 全部、ぶち抜く。

 

「〝アーチャー〟、〝ランサー〟まだ行けるか?」

『〝アーチャー〟行けます!』

『〝ランサー〟も行けますよ!』

 

 士気は十分。

 最速で、けれど慎重に進んでいく。

 

「……っ! 来るぞ」

 

 ピリ、と敵が来る、という直感が働く。

 物資隊が照明をつけ、敵の姿を露わにする。

 ライトに照らされた敵は小柄な学生服を着た少年と、身長が少し高い学生服の少年だった。

 手に持っている武器は、自衛隊では採用していないAS VAL(アスバル)。ゲリラ戦に用いられる、消音効果の高い大型サプレッサーを装備したアサルトライフル。

 

「お前たちか……! 構えろ!」

 

 俺の号令に、機械化部隊の隊員はそれぞれヴェクターを構えて、一斉射撃を行った。

 戦闘慣れしているのか、彼らはすぐに遮蔽物に体を隠した。

 

「投げろ」

 

 二、三個ほど非殺傷用手榴弾を遮蔽物に投げると、少年二人はすぐさま奥へ移動を開始する。

 手榴弾が地面に転がった瞬間、胡椒がばら撒かれた。

 対応が早いな。

 

「俺と千束で行く。あとから突入してくれ」

 

 それだけ指示を出して俺と千束は少年たちを追うために走り出す。

 正面は胡椒が舞っているが、構わず突き進んだ。

 遮蔽物で影になっている部分を千束とともにクリアリングしていき、不意を突かれないようにしていくと、僅かに呼吸音が聴こえてきた。

 

「……」

 

 隣にいる千束とアイコンタクトを取り、彼女はそのまま遮蔽物から飛び出して拳銃を撃ち鳴らす。

 

「ぐっ!?」

 

 見事それは小柄な少年に命中した。しかし、ただでは終わらないようで、アサルトライフルを撃つ。

 千束は最低限の動きだけでその弾を避け、もう一発ゴム弾を放った。

 一人、沈んだ。

 俺はその少年が隠れていた遮蔽物を飛び越え、さらに奥でAS VALを構える少年を視界に捉えた。

 眼を見開き、俺はヴェクターの引き金を引く。

 

「ちっ」

 

 少年には二発しか当たらなかった。これが実弾ならばもう少し当たっていた。

 やっぱ、ゴム弾はキツイな!! 

 着地した俺に、少年がAS VALの9.39mm弾を放ってくる。直感的に銃弾が通る場所を避けるように、俺は身体を半身にした。ギリギリのところで銃弾が横を通る。

 すぐに俺は地を蹴り、少年に急接近した。

 

「なっ!?」

「悪いな」

 

 左拳を少年の鳩尾に叩きつけると、白目を剥いて彼は前へ倒れる。その体を支えて、瓦礫を背にして座らせた。

 

「千束、そっちは?」

「こっちも大丈夫。拘束しといた」

 

 少年二人を並べ終えた時、フキと蛇ノ目、篝がこちらへ走ってきた。

 

「終わったぞ〜フキぃ」

「まだ残りがいんだろうが」

 

 フキを挑発するように千束が言うと、フキが眉間に皺を寄せてゴツン、と彼女に頭突きする。

 

「で、コイツらは?」

 

 篝がファーストコンビを放っておいて俺に質問してくる。

 

「それを今から調べる」

 

 まぁ、制服を見る限り普通の学生じゃないのは確かか。見たことのないデザインの制服で、腕には何かの意匠が施されている。

 この場の誰もわからないようなので、スマホで写真を撮って先生に送った。

 

「どう思う、先生?」

『今楠木に送った。すぐ返事が通信で来るさ』

 

 私も知らんしな、と先生が呟く。

 先生も知らないなら可能性があるのはDAの司令官か。

 

「綾瀬、フキたちとサードリコリスたちを連れて奥へ向かってくれ。ゆっくりでいい」

「はい。部隊長は?」

「このまま連絡を待つ。この二人の処遇もあるしな」

 

 了解しました、と女性隊員は敬礼をしてサードリコリスたちを連れて奥へ向かっていく。

 すると、先生から通信が入った。

 

『心、チャンネルを変えてくれ。千束もだ』

「ん? わかった」

「はいはい」

 

 言われた通りに指定されたチャンネルに変える。

 少し経って、インカムから音が聴こえてきた。

 

『DAの楠木だ。その二人の所属がわかった』

「お、楠木さんがわざわざ教えてくれるんだ」

『無駄なお喋りはしないぞ、千束』

「はいはい。で、どこなのこの人たち」

 

 厳しそうな声だ。というか、司令官相手に千束はいつも通りだな。いやまぁ、群長相手にタメ口混じりの俺が思うのもアレだが。

 

『そこの二人の所属は、私たちDAと大元の機関が同じ、組織だ』

「「は?」」

『私たちは彼岸花だが、その組織は君影草──スズラン。リリベルとも呼ばれている』

 

 大元の機関が同じ? それってヤバくないか。

 俺は声を震わせてDAの司令官、楠木さんに話しかける。

 

「楠木さん、それ俺たちに話していいのか?」

『緊急事態と判断し、お前たち二人にしか話していない。リコリスとリリベルが対立するのは昔もあったことだ。気にしなくていい』

「けど、極力殺さない方がいいよな?」

 

 俺の質問に、彼女はふむ、と少し考える。

 

『……いいだろう。そのほうがリリベル側に借りを作れる。千束、前に出てリリベルを捕縛しろ』

 

 楠木さんのその言葉を聞いた千束は、顔を顰めた。

 

「楠木さんに言われなくても殺しなんかしませんよーだっ!」

『ふん、普段はDAの義務を全うしないんだ。今ぐらいしっかり全うしろ』

 

 そう言って楠木さんは通信を切った。

 千束はべぇ、と舌を出している。

 うわ、すげぇクソガキだ。

 

「にしても、リリベルかぁ」

「おそらく自衛隊の上層部が、コイツらに機械化部隊を消すよう依頼したんだろう」

 

 そんなに俺たちが嫌いか。

 

「でも、なんで機械()部隊を消すなんてしようとするのさ?」

「言ったろ、特殊なんだ俺たちは」

「……」

「そんな不満そうな顔するなよ。今度教えてやる」

 

 不満気な千束の肩を叩き、俺は歩き始める。

 リリベル二人はこのまま放置だ。この件にもう関わることがないように拘束していればそれでいい。

 

「約束だからな?」

「わかってるよ」

 

 遅れて彼女が俺の隣を歩く。

 俺は歩きながら思考する。

 今回の件、首謀者はおそらく陸将だ。DAと同じような組織と繋がりがあるのはあの筋肉ジジイしかいない。けど、十中八九この場にはいないだろう。居るとしたら、その下の陸将補か、一佐くらいか。

 俺は気を引き締め、ヴェクターのマガジンを交換した。

 

 

 






 アニメ本編で虎杖出てきたから、結構ビビりましたが、この作品で敵対しててもどうせアニメ本編で千束の家にリリベル来てるんだし、変わらない変わらないと思って更新です。

 感想、評価お待ちしております〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。