破滅フラグしかない悪役国家に転生してしまった…   作:ハンバーグ男爵

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一応前後編

ツアーや異世界の過去、ユグドラシルの設定云々は作者の独自解釈なので真に受けちゃだめよ


後編は…過労死しなかったら投稿するね♥




16 破滅フラグしかない鎧がやって来てしまった…

 

諸君、私は天使が好きだ。

ジ〇リールが好きだ、アズ〇ールが好きだ、天音か〇たが好きだ、ルシ〇ァーが好きだ。

イカ〇ス、ニ〇フ、アス〇レア、ピッ〇きゅん、ブ〇ピきゅん、パ〇ティ&ストッキ〇グ、立華か〇で、パズド〇だとラジエルが好きだ、グラ〇ルならガブリエル、FG〇ならカ〇ンちゃん。ブル〇カのティーパーティー3人組を知った時、膝から崩れ落ちて当時の時代に生きていなかったことを死ぬほど後悔したし天使の悪魔ちゃんは私に新しい風をもたらしてくれた、スーツ×天使も良いよねえ!!癖ぇぇええ!

 

諸君、私はありとあらゆる天使キャラがだぁい好きだ……!

 

100年以上前になるけどアニメの中の天使達(比喩ではない)は糞みたいな現実を忘れさせてくれる唯一の娯楽だった。

 

だからある日思い立つ。

そうだ、私自身が天使に成れば良いんだと。

 

ゲームの名前は『ユグドラシル』

私が選んだのはもちろん天使!

機械人形みたいな初期フォルムは課金をじゃぶじゃぶキメる事により作り替え、当時私のトレンドだったジ〇リールと立華か〇でとカレ〇ちゃんを足して二で割った感じに仕上げた。気分は天翼種(フリューゲル)、最高ね私!

どうよこのぱっちりお目目にふわふわの羽!抜群のスタイル!そして天使に欠かせない後光が差さんばかりの光輪(ヘイロー)

 

ふつくしい…(ねっとり)

 

私は天使!

 

私は最高!

 

新時代はこの私!

 

よぉーしこのままwikiガン見で進化チャートに従って天使の最高種までメガシンカしてやるぜぇ〜!!!

 

 

なんて言っていたらいつの間にかレベルもカンストし、突っかかってくる異業種狩りプレイヤーを返り討ちにしていくうちに《水星天の熾天使》の種族を得て、ユグドラシルが全盛期を迎えるに伴って後続のプレイヤーが増え始め私は所謂〝古参勢〟と呼ばれるようになった。

 

ソロ活動を続けるうちに周囲の環境はどんどん変わっていって。

 

異形種狩りなる娯楽が流行って狙われたりもした。

 

それを狩る異形種狩り狩りなるギルドが現れた。

 

大きなギルドでスキャンダルが起きてゲーム全体の雰囲気がひりついていた時期もあった。

 

ワールドチャンピオンが集まって作ったとんでもギルドが色んな問題を起こし、悪名高い異形種ギルドが1000人超えのギルドアタックを乗り越え勝利して、新しいアップデートがあまりにも世界観とかけ離れ過ぎて「剣も魔法も関係ないやんけ!」って叫んだことだってあった。

 

起こる沢山のイベント、何度も復刻を望まれるほど面白いやつからシナリオライターの正気を疑うレベルのクッッッソつまんないものまで余すことなく堪能し、どんどん月日は流れて行って。

ゲーム界隈に盛者必衰は付き物で、マンネリ、クソ調整、パクリ疑惑、他にも色んな原因が重なった結果、ユグドラシルは過疎った。

アクティブユーザーはどんどん減って、一時期は全盛期の3%くらいまで落ち込んだらしい。運営は色んな策を講じたようだけどそれでも新しい娯楽に飢えたプレイヤーを思いとどまらせる事は出来なかった。

 

それでもユグドラシルを続けていたのは、ひとえにこのアバターを愛していたから。

他のゲームに気移りしそうにもなったけど、結局ユグドラシルのキャラツールが一番気に入っていたし、やり込みで得たスキルや装備はこれ以上無いくらい私の好み、趣味趣向に合っていた。

 

そう、〝私の考えたさいかわさいつよ天使〟はユグドラシルに完結していたんだ。

 

この姿で過ごせたらどれだけ幸せな事か。

 

 

けれど幸せはいつまでも続かずに、一夜の夢の如く時間は過ぎて行って、あっさりとユグドラシルはサービス終了を迎えてしまう。

 

 

 

そしてサービス終了〝後〟

 

 

VRMMO世界で至高の天使となるべくノリと勢いと天使愛で作り出された(アバター)、〝カナミ〟は今……。

 

 

 

 

 

 

異世界に来ています!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんで、なんなのよ、この真っ白鎧マン御一行は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〝ローグレンツ豊穣祭〟

 

毎年秋から冬に移り変わる頃、私の住む地方で行われる年に一度の大イベント。

 

私の治める領地、高地に位置するこの辺りの冬は非常に厳しいです、冠雪期になると気温は連日昼でも零度を下回り、3日に一度は雪に見舞われます。酷い時は2.5mくらい積もったこともあったかしら?

 

秋の実りに感謝し、冬を超えるための力を蓄える我が領きっての特別行事。三日三晩かけて行う領地ぐるみのどんちゃん騒ぎですの。

 

普段は清貧に勤勉に、質素な暮らしを心がけるスレイン法国民もこの日だけは鼻歌交じりに騒ぎだし、他領の皆様はもちろん、これを商機ととらえた諸外国の商人達もこぞって此処を訪れ商いに精を出す、三日間で白金貨3万枚ものカネが動くと専らのウワサ…というか実際動きます。計算したらそれくらいの額が算出されたので。

 

お父様曰く、初めは領民だけで静かに祈る程度の集まりだったそうなのですが、「それだけじゃつまんないでしょ!」とお母様が規模をどんどん拡大して現在のお祭り騒ぎにまで発展してしまったとのこと。お母様らしいと言うかなんと言うか……。

 

まあ私も?ただ慎ましく祈ってるだけとかつまんねえですし?せっかくのイベントなら派手にお金をバラ蒔いて経済を回した方が為になるので。

 

 

 

 

「という訳で第48回、ローグレンツ〝大〟豊穣祭!

優雅に素敵に開☆幕☆ですわよ!!」

 

 

中央広場に特設されたステージの上に立つ私の宣言により上がる花火とファンファーレ、それに伴い怒号のような歓声がギャラリーからこだましてお祭り開始を告げました。

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

私達が魔樹討伐を果たしてからのお話です。

 

無事帰還した我々漆黒聖典は事の全てを上層部へ報告、私の計らいで生中継をご覧になっていた彼等もその成果にたいそうご満悦の様子でした。

 

討滅した魔樹は私の超位魔法とアンティリーネのスキルにより完全沈黙、もう二度と動き出すことは無いでしょう。

今まで吸った栄養をゆっくりとトブヘと還し、ツケを払い終わったら消滅させて差し上げましょうね。何年掛かるか知りませんが。

 

それに伴って今回出撃した漆黒聖典のメンバーは皆様レベルが上がったご様子。口々に「壁を越えた感覚がした」とか揃って仰ってましたし。

まあ隊長ですらほぼ格上、他の隊員からすれば1.5から2倍近いレベル差のある相手でしたし相応の経験値は貰って当然ですわよね。我ながらとんでもねえジャイアントキリングを成し遂げてしまいましたわ。おほほほほ!!

 

かく言う私も久方ぶりに〝壁越え〟の感覚を味わいました、現実と違い自分が強くなったと実感できるのは良いものですね。アンティリーネも自身にその兆候があったそうで珍しく驚いてました。

 

それから討伐後のトブの様子ですが、アフターケアとして風の巫女ちゃんと《占星千里》ちゃんに監視をお願いして暫く見守って貰った感じ勢力図そのものは原作と変わりないみたいです。

西のナーガ、東のトロール、南の賢王(ハムスター)、共に大きな動きなし。唯一ナーガがかなり遠くから戦う私達を観戦していたようです、クアイエッセ様のテイムモンスターから報告がありました。

私としては森付近のカルネ村まで被害が拡大していなくて一安心、原作が進む上で欠かせない要所ですからね。

大きな変化があった魔樹の傍には相変わらず誰も手を出そうとしていない様子ですが……やっぱ森のド真ん中が急に凍土に変わったら警戒しますよね。周辺環境に影響出ないように出力はかなり抑えたんですが。

 

ただ、蜥蜴人(リザードマン)の集落は魔樹の出現にいち早く気付いたらしく、原作のナザリック侵攻時よろしく部族間で手を結び対抗しようとしてました。まあ私達が全部終わらせて撤退準備を整えていた時に大挙して来られたので凄く気不味くなっちゃいましたが…

 

ちゃんと各部族長の皆様もお揃いで、旅人のザリュースが放浪中で不在以外は主要キャラ全員集合してましたね。

他の聖典メンバーは亜人相手で喋り辛そうだったので私が代表して事のあらましを簡潔に伝え、ご納得して頂きました。ちゃんと話せばわかってくれる賢い種族ですものね、蜥蜴人は。

 

そのあと女同士気が通ったクルシュ様と少しお話したり、《人間最強》と《巨壁万壁》に謎のシンパシーを感じたゼンベル様が肉体で語り合ったりと一悶着(異文化交流も)ありましたが穏便に帰路に着きました。

蜥蜴人は寒さが苦手なそうなので、防寒具とかと引き換えに資源の交渉をしてみるのもよさそうですわね。集落周辺の湿地には粘土があり、質も良いので焼いて煉瓦に加工もできますし、高い断熱性を持つので寒冷地帯の我が領ではそれはそれは重宝します。それに伝手はいくらあっても足りませんから。

 

あ、もちろん雪国ローグレンツ産の安くて丈夫な防寒装備を提供する予定です。流石に蜥蜴人サイズは規格から作り直さないといけませんが、ぼったくる気はさらさらありませんよ。

 

 

 

 

 

ピニスンちゃんなんですが、魔樹の傍に本体があってかつ私が周辺を凍土に変えてしまったせいで魔樹の束縛から解放されても栄養不足で遠からず朽ちるとわかってしまい、泣きつかれた結果私の領地に植え替えをする事になりました。

今では温度管理の施された温室で我が領特産品の林檎栽培をドルイドの能力を活かして手伝ってもらっています。

 

「任せてよ!光り輝くくらい最高の林檎に育て上げてみせるさ!美味しい水と土も貰ってるからね!」

 

うーん頼もしい。

 

新しい土地の栄養を貰ったおかげでドライアードとしても成長したらしく、《擬態》と称する人型の分身体を作れるようになったみたいです。本体の木から離れて遠隔操作ができるらしく肌の色も人間を真似て、見た目は完全に美少女。栽培担当のエルフ達とも仲は良好のようで、よくお喋りしているのを見ます。

 

 

 

 

そんなこんなで帰還した私達ですが、まず一番にやらなければならないことが。

破滅の竜王騒ぎでドタバタしてましたが、亡くなられたカイレ様の弔いは法国式で厳かに執り行い、ご遺体は彼女の故郷へ埋葬される運びとなりました。

漆黒ではありませんが特殊部隊のメンバーであり国宝の所有者であったことは家族にも秘密です、あくまで職場の同僚として私達は出席致しました。

……原作ならばシャルティアに刺されて死亡でしたからね、死期が早まったとはいえお気の毒に。

 

今回作戦に参加した漆黒聖典メンバーは報酬として暫くの間お暇を頂き、遠方から帰還した残りのメンバーと共に全体報告会を開いた後それぞれの日常へと戻っていきました。

私は領主として、本来の仕事を頑張りますわ。

 

これが他のメンバー、例えば隊長だと外交官だったり、ナッちゃんなら所属する修道院の聖歌隊長、《無限魔力》ちゃんは自営業の古書店経営、最年少の《占星千里》ちゃんなんかは現役バリバリの学院生だったりします。

 

ちなみに筋肉担当のお2人は普段は〝農夫〟として過ごしています、お前達のような筋肉した農夫がいるか。

 

 

 

 

 

 

実は漆黒聖典って言外無用の特殊部隊なんですよ。

 

特殊部隊なんですって!(2度目)

 

原作だとプレアデス以下のトンチキイロモノ集団扱いされる事が多い我々ですが、異世界(こちら)目線で捉えれば正しく人理の守護者として創設された精鋭部隊。

周囲の生存域を亜人とモンスターに囲まれながらなんだかんだ600年種を存続させてますからねこの国、その手腕は漆黒聖典あっての物種でしょう。

 

だからといって!人類以外死滅させる勢いで亜人排斥する理由にはまっっったくならないのですが!ねっっ!!

 

 

 

 

 

 

あ、そうだ。

一番変わったことと聞かれれば、これを言い忘れてました。

 

 

「……あによ、私の顔じっと見て」

 

「本当に釈放されたんだなって思いまして」

 

「囚人か私は」

 

 

私の目の前でお上品にアッポウペィとミルクティーで優雅なbreakfastを楽しんでいる白黒髪のハーフエルフこと番外席次アンティリーネ。

 

なんとこの度、宝物番の任を解かれ、晴れて自由の身となりました〜!

 

……っていやなんでですか!?

 

彼女は私の知る限りだとエルフとの戦争に投入されるまで幽閉されたままのハズなのに、なーーんでナザリック襲来より先に自由の身になってらっしゃるんですの???

 

今朝方やって来て、いつものように抜け出したのかと軽く考えていたら「もう宝物番はしなくていいって今代の漆黒聖典指揮官のホラ……レイモン、から言われたの、彼の勧めでとりあえず貴女の所で世話になる事になったから、ヨロシク」とか言っちゃうんですもんこの子。

慌ててレイモン様に確認取ったら、議会の決定で本当にアンティリーネは自由になってるし!

 

『神都以外で彼女を安心して任せられるのは私の知り得る限り君しかいないんだ、急な決定により事後報告になってしまって本当に申し訳ない。

頼む!いやほんとこの通りだ!』

 

レイモン様にしては珍しい本気のお願いだったので思わず了承してしまいましたが……控え目に言って原作崩壊なのでは!?

 

 

「それにしても凄いのね、豊穣祭ってのは。

辛気臭い神都とは大違い」

 

「年に一度のお祭りですからねえ、皆様の熱気で千年氷も溶けますわ。

貴女が宝物番をしなくなったという事は、他に誰かが宛てがわれましたの?大体想像つきますけど」

 

「そーね、御身直々に国宝の管理をなさって下さるそうよ」

 

ルーファス様が復活したんですものね。

元々国宝はユグドラシル(あちら)側の領分ですし、口伝のみで理解の追い付いてない現地人より従属神(NPC)である()()のほうが上手く管理できるでしょう。

 

なんかどんどん原作のスレイン法国から乖離してる気がしますわ〜もう細かいこと気にしたら負けな気がします。

 

ん?でもぉ、アンティリーネが自由になったという事は彼女に着いて回ってた問題も解決したということ?

元人類最強の存在だった当時の第1席次の娘であり、公には伏せられていますがエルフ王族の血も引く女アンティリーネ・ヘラン・フーシェ。

その存在が秘されている理由はただ1つ、評議国の代表たる白金の竜王が法国と定めた条約に反しているから。

 

時は最期の神スルシャーナ様が八欲王に敗れ去り、神の庇護を失って法国が大混乱に陥っていた頃。

藁にもすがる思いで評議国と条約を交わしたのでしょう、たとえどんなに理不尽な条件だったとしても当時の人類は要求を飲まざるをえなかった。

最初の頃の対価は庇護の代わりに亜人種への生贄を差し出せだとか、かなり猟奇的なものだったと聞きますが。それをツアーが独断で変更し、今の不平等条約を強引に裁決した、と。

 

『評議国に属する亜人国家は人類に対して無関心を貫く、その対価として法国は竜王監視のもと過ごすこと』

 

最強種の竜王様が何を思ったのか人間種から強者が生まれることを嫌ってはるか昔にそんな約束を取り付けたそうです。

……これってかなり理不尽な要求なんですよね。

要は『弱い人類のままなら竜王は君たちを見逃してやるよ』と言ってる様なものなので。

 

まるで強い人類が生まれるのを恐れているかのような……。

 

まあ、かの種族は八欲王にあわや絶滅にまで追い込まれたようですしナイーブになるのも当然かと……私怨もいくらかありそうですが。

どっちにしてもあの竜王が監視している限り人類は彼の顔色を伺って生きなければなりません、強くなることも文明を先に進めることも自称裁定者様のお心ひとつ、と。

控えめに言っておf〇ckですわね。

 

 

 

お母様の日記を見る限り、裁定云々依然に彼個人の理由のほうが大きそうですけど

 

 

 

 

 

「おっと、もうこんな時間ですか。

アンティリーネ、支度なさい」

 

「へ?」

 

「何もせずおまんま食えると思わないことです。

『働かざる者食うべからず』が我が家の家訓、私の領地に暮らすのなら手に職を付けてもらわねばなりませんからね。

という訳ではい、コレをどうぞ」

 

「何よこの服……胸に『警備スタッフ』って書いてあるんだけど」

 

「それはもう!警備員(ガードマン)に決まってますわ!」

 

 

今は豊穣祭の真っ最中、街全体で行われる商いや催し物は数多あり、ローグレンツは今、活気で満ち溢れています。

しかし人が横行し、活気があるということは同時にトラブルも多く発生するということ。

事前の厳しいチェックにより禁制品や反社会的な団体からの出店は弾いてますが、それでもこの3日間街中の至る所で商人同士のトラブルや柄の悪い連中同士の喧嘩、乱闘騒ぎなんかは日常茶飯事(チャメシ・インシデント)なのです。警備の手は幾らあっても足りないんですわよね。

 

私も警備に回れば良いんじゃねーの?って話なんですが、祭りの運営がもう忙しいったらないんです。

2日目に竜王国からドラちゃんがプライベートで観光(遊びに)にいらっしゃるのは毎年恒例なんですが、今年は3日目に聖王国の使節が来るみたいなんですよね。

ルーファス様のお目覚めからこっち、どうやら中央政府はかなり融和政策に舵を切ったらしく今まで宗教の解釈不一致と地理的な問題でお互い見向きもしなかった聖王国と国交を持とうとし始めました。

因みに外交官には我等が隊長が抜擢されたそうです。

それで法国で一番盛り上がる祭りを見せてやろう、ってな感じで私の所に話が来ました。なので今年は歓待の準備を祭りの運営と同時進行しているので特に忙しく、まさに猫の手も借りたい現状。

 

アンティリーネがいてくれて助かりましたわ〜。

 

「えぇー……」

 

はいそこ露骨に嫌そうな顔しない!

 

「私はこの後お客様のお相手をしなければならないので詳しい説明は警備隊長(クレマンティーヌ)に任せます、3日間よろしく頼みますわね」

 

「せっかくの外だし露店巡ろうかと思ってたのに……」

 

「警備中はほぼ自由行動なので買い物等好きに歩き回って構いませんわよ?

祭りにあてられた路上喧嘩、商人同士の場所取り合戦、吟遊詩人の弾き語りを警備。やる事に暇はありませんから。

トラブルを見つけたら貴女の裁量で対処(主に話し合いで)してくださいな」

 

「!そうなの、対処(物理)していいのね?

分かったわ」

 

「妙に物わかりが良いですね……。

じゃあお仕事(やさしく喧嘩の仲裁)お願いします」

 

「任せなさい、得意なの(主に殴る蹴る事が)」

 

 

ン〜〜……?なんか会話に妙な齟齬があるような気が……まあどうって事ぁないでしょう。

最近入った新人メイド達に更衣室まで案内され部屋を出ていくアンティリーネを見送って、手元の紅茶を一杯……ふぅ。心が安らぎますわ〜。

 

 

 

 

 

 

取り敢えずこれで人払いはできましたか。

 

 

 

 

 

 

「ベル、私は書斎に戻ります。

これより合図があるまで如何なる者も書斎に近寄らせないようになさい、周辺の掃除もする必要はありません。

メイド達に厳命する事、よろしい?」

 

「畏まりました、お嬢様」

 

「それと、外壁付近で警備しているお父様へ連絡を。

『レイラはお客様のお相手をしています』と伝えて貰えるかしら?」

 

「一言違わず、そのようにお伝え致します」

 

「ええ、ええ。

行きなさい、街まで被害が出てはブラッドレイ家末代までの大恥ですからね。万が一を考えて避難誘導の待機を」

 

「ご武運をお祈り申し上げますお嬢様」

 

「いや武力行使は最後の手段であって欲しいけどね!?先ずは話し合いからですが!?」

 

「説得(物理)ですよね分かりますお嬢様」

 

「ち、ちがわい!

もうっ……!早く行きなさいな!」

 

「……では失礼致します」

 

美しいカーテシーの後、転移で消えるメイド長を見送って、私も移動しましょう。

誰もいない廊下を渡り、執務をこなす書斎へと辿り着くと工廠特製で効果抜群の盗聴防止用マジックアイテムを起動させます。

そして自然な仕草で常備している腰のホルスターに撃杖があるのを確認し、いつも座ってる書斎机ではなく対面用のソファへと座りました。

 

 

「ふぅ……」

 

 

……やっべえやっべえやっべえのですわ、魔樹を討伐したから遅かれ早かれ来る事は分かってましたがもう来るとは。全然心の準備できてないんだが!?

 

 

 

「人払いは済ませましたわ。

そろそろ出てきて下さいませんこと?」

 

 

 

虚空に向かってそう呟くと、対面のソファに光の粒子が集まって、形になっていきます。

霊体化を解くサーヴァントみたいでかっこいいなーとか現実逃避しながら眺めていると現れた白銀の鎧が訝しげに問うてきました。

 

 

『…何時から気付いていたんだい?』

 

「貴方が無断で我が家の敷居を跨いだ時からです。

取り敢えずお掛けになって?不法侵入者さん」

 

 

 

うん、破滅フラグの塊(ツアーの鎧)ですわね☆

 

 

 

 

 

やああああああああだもおおおおおお!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜と、以上が警備担当の大まかな説明……です。

番外席次様」

 

「話し方、別に呼び捨てで構わないわよ。これからレイラの所に厄介になるんだし、むしろ警備は貴女の方が先輩なんだからもっとフランクでいいわ」

 

「……マジか」

 

「マジよ」

 

「じゃあそうするか……てゆーかアタシ番外様の本名知らないんだけど」

 

「アンティリーネよ、アンティリーネ・ヘラン・フーシェ。

よろしくクレマンティーヌ」

 

「よ、ヨロシクオネガイシマス」

 

「固いわ、表情も動きも何もかも」

 

(そりゃ入隊時アンタにズタボロにされたからねェ!恐れもするわ!)

 

「じ、じゃあ早速警備に行こっか。

私は東の通りに行くからアンティリーネは西の広場を……」

 

「まあ待ちなさい。

よく考えたら私、初めてのお祭り参加なの。

レイラからは警備するなら自由に露店を回って良いって言われているし、美味しいお店とか案内しなさい。クレマンティーヌなら詳しいわよね?」

 

「ゑ''っ……」

 

「さあ行くわよ、神官長達から分捕った小遣いもたんまりある事だし」

 

「アッハイ(ねーちゃん助けてえええぇぇぇ……この際クソ兄貴でもいいからあああああああぁぁぁ!!」












はなしすすまん
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