破滅フラグしかない悪役国家に転生してしまった…   作:ハンバーグ男爵

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実はこの話は昔書き散らしてそのまま残してたやつを今更投稿しているからストックはわりとあったりする。無くなったら失踪するんちゃう?(適当)





2 破滅フラグしかない議会のおじさんたち…

スレイン法国神都、大聖堂内会議室。

 

漆黒聖典隊員達が和気藹々とした朝の報告会を行っていた頃、時を同じくしてこちらの会議も早朝から喧騒の一途を辿っていた。

 

「…王国への対応は折を見て陽光聖典へ通達する事にする。

さて、次の議題だが…風花聖典よりエルフ軍に動きが見られたと情報があった、急ぎ火滅聖典より応援の人員を送ってもらいたい。」

 

「先ずは水明聖典を送って様子見するべきでは?

火滅は漆黒にも劣らぬ精鋭揃い、故においそれと戦線に放り込む訳にもいかない。」

 

「おや、それはまるで水明(ウチ)の部隊に捨て石になれと言ってるように聞こえるけれど?」

 

「そうは言っていない。

火滅の得意とするのは戦闘だが、馬鹿正直に突っ込んでも成果は上げられん。それに比べて野戦と生存戦略に関せば水明は人員豊富だろう?彼等に斥候を任せ、相手の出方を見るというのはどうだ。と言っているんだ。」

 

「そう言って、火滅はいつも美味しい所だけ持っていくじゃないか。大体ねぇ……」

 

「……!」

 

「!!……」

 

ここにおわすはスレイン法国の中央政治を司る12人の賢者達。

メンバーは各六式聖典の神官長6名と司法、立法、行政を司る3人の機関長、そして魔法開発を行う研究館長と軍事機関を統率する大元帥。最後に彼らのトップとして取り纏める最高神官長。

彼等の手腕により、今日のスレイン法国における政は成っている。

しかし、頭の固い議員が侃々諤々の言い争いを繰り返し、話が一向に前に進まないのは何処の世界でも同じらしい。

それを見かねた漆黒聖典神官長、レイモン・ザーグ・ローランサンは白熱する火と水の神官長達を宥めるように口を開いた。

 

「お二人共冷静に、火滅も水明も人類を守護する大切な部隊だ。優劣など付けられるものですか。

裏切り者のエルフ王は高慢だが策略家だ、今回の出兵も何らかの罠を用意している可能性も十分有り得る。」

 

嘗てスレイン法国と協力関係にあったエルフの国、今から約100年ほど先王が退位し突如現れた新王は今までの友好関係を一切断ち切り、唐突に法国へ宣戦布告を行った。戦いは泥沼化し今でも続くエルフとの戦争はスレイン法国の目の上のたんこぶとなっている。

 

「幸いアベリオン丘陵に隣接する領地は“彼ら”の働きもあり亜人の襲撃も落ち着いている。

武器や防具が必要ならまた注文すればいい、だが人的資源は簡単には取り戻せない。大切なのは被害を少なくし、人類の損失を如何に抑えられるかだ。そうは思いませんかな?

必要ならば漆黒聖典の派遣も視野にいれるつもりだが…」

 

レイモンの言いかけた言葉に大元帥と火滅の神官長の顔が一瞬喜色に染まるが、直ぐに何かを思い出し沈痛な面持ちになった。

 

「ありがたいが…それには及ばんよレイモン。」

 

「そうですな。既に『絶死絶命』という前例がある以上、これ以上あの国へ神人を投入するべきではない。」

 

この国の最高戦力、漆黒聖典番外席次《絶死絶命》。エルフと人間のハーフである彼女はエルフ王が当時の漆黒聖典第1席次を強姦し孕ませた結果生まれた子だ。彼女を巡ってはスレイン法国とエルフ国にとどまらず、竜王の居るアーグランド評議国とすら話が拗れに拗れ、結果彼女はその存在を悟られぬよう聖堂の地下へ軟禁状態になっている。

 

「それこそがあの男の狙いやもしれないねえ…戦争を泥沼化させて神人を誘き出す。」

 

「あンの淫売王がァッ…!!」

 

他の者達が渋い顔をする中、我慢できなくなった火の神官長が苛立ち紛れに円卓を殴りつけた。その怒りを分かっているからこそ誰も彼を咎める者はいない。

 

「…神人は出せない。

《絶死絶命》は勿論、漆黒聖典の隊長もだ。

となると必然、彼女も。」

 

「《獄界絶凍》か…」

 

この場にいる全員がその名と共に彼女の顔を脳裏に浮かべた。

トレードマークである銀の髪と金の瞳、真っ黒なドレスで元気に走り回り時折わざとらしい高笑いをあげる問題児…もとい問題令嬢の姿。

 

『はぁ〜〜〜…』

 

満場一致でクソデカ溜め息が皆から漏れた

 

「駄目だ、あの娘は駄目だ。

絶対に戦争に巻き込んではイカン。」

 

「負けてエルフ王に孕ませられる危険もそうだが…あの女が関わるとロクな事にならんのが火を見るより明らかだ。色んな方面に迷惑がかかる。」

 

「本人は嬉々として出兵しそうですが…」

 

「か、彼女には竜王国を任せてあるから…(震え声)」

 

「それなんですが、先日彼女1人で都市を1つ奪還したそうですよ…」

 

「おおぅ…戦闘能力だけは流石だな《獄界絶凍》。」

 

「容姿は完璧なのにどうしてああなった?“血塗れ”は一体どんな教育しているんだ…」

 

「だが彼を初めとした元漆黒聖典のOB達がいなければ国境付近の安全は見込めんだろう。あの辺境周辺の放任主義を認めたのは我々だ。後の祭りよ。」

 

「最近彼女がアゼルリシア山脈から霜の竜(フロスト・ドラゴン)を連れて来て国境警備に当たらせているというのは本当かね?」

 

「ええ…現在2匹の霜の竜が彼女の領地を巡回し警備しているようです。他にもドラゴンによる空輸で物資を運んでいる姿を目撃したとの報告も。

あの娘は行動に実益が伴ってますからこちらで文句を付ける訳にもいかず、ドワーフの工廠建設やエルフの手芸商品製作所創設に続き黙認するしか無いですな。」

 

「し、手芸商品…?」

 

「確か…若年層向けのアクセサリーや小物を作らせているんでしたな。エルフは手先が器用だとかで。」

 

「ウチの若い衆も愛用してるよ、それ。

全く、破天荒な娘よねぇ…」

 

レイラの連れてきた30人程のドワーフで創設された工廠は武具から日用品まで多数の金属器を取り扱っており今や法国で一二を争う生産数を誇っている。

依頼料は現金の他に『酒払い』が採用されており、珍しい酒、酒豪で有名なドワーフ達のお眼鏡に適う物であれば格安で受注してくれる。その為近年は神都含む各首都で彼等の舌を唸らせんと造酒が盛んに行われるようになったそうな。

 

そしてエルフ。

スレイン法国ではエルフは皆戦争奴隷として捕え心を折り、労働力とされているのだがレイラの治める領地では真っ当な従業員としての扱いを受けている。それどころか彼女の独断でメイドとして自身の屋敷に仕えさせたりと結構やりたい放題だ。

当初はレイモンを通して注意喚起を行ったものの、今度はエルフ達の器用さに目を付け小物やアクセサリーを製作させ周辺の領地に売り込むようになった。これが娯楽に飢えた神都の若者達に爆発的大ヒットを生み出し、値段は格安ながら総合的に莫大な利益を稼ぎ出す結果となる。

戦争以外で国の金回りが潤滑になり、国庫も潤う。それに加え清廉なスルシャーナ信徒であるレイラはこれらとドワーフ工廠の一部売り上げ金を中央政府へ『寄付』という形で納めているのだから上層部も迂闊に文句を言えなくなってしまった。

差別意識の激しい国民達にもアクセサリーや武具は浸透し、「エルフやドワーフも悪くないね」と主に若者や騎士達の間でそのような風潮が広まり始めている。

 

「これだけやって既存の武器屋が食いっぱぐれないように市場の流れも読んで行動しているのだから、彼女の経営手腕には舌を巻くよ。」

 

「金の流れは全てこちらで把握できるように手配もした上でな…彼女の作った産業は今や完全にスレイン法国に浸透している。」

 

「というか儂の孫娘がアレの大ファンなんじゃ…こうして神都に赴く度に土産に“いやりんぐ”やら“ぺんだんと”を買ってくるようせがまれる。」

 

「奇遇ですね土の神官長、私の妻と娘も神都へ来る度同行するようになりましたよ。

いやはや、女性のお洒落は我々には理解しかねる。」

 

さっきまでの殺伐とした雰囲気とはまた毛色の違う和やかな空気になっていく。

漆黒聖典レイラ・ドゥレム・ブラッドレイの表の顔は国境付近を守護する領主であり、興業主であり工廠の責任者で自称スルシャーナ様の巫女…なんかもう設定過剰でむせそう。

何度も彼女の奇行を聞かされるうちに、中央政府のお偉いがたも「まああの女なら仕方ないか」となあなあで片付けてしまえるほど慣れてしまっていた。要はもう諦めてる。ちゃんと人類繁栄の一助になっているのだから問題ないよね?よし解散!帰って麦酒と枝豆で一杯やろうぜ、神への祈りは忘れずにな!

 

…正直な話、レイラの行っている事は法国の規律的にギリギリの線をいっていた。

人類を守護する為、宗教による意志統一を図り、一致団結しなければならないと考えている法国は亜人や準人類種の排除に積極的だ。なのにレイラはエルフやドワーフといった他種族をも「家族」として扱い、友好を示している。国是に反するこの行為に対し当時の中央政府はレイラの処分に向けて動き出そうとし…すんでの所で踏みとどまった。

何故ならば彼女の行う事全てに法国の利益が伴っているからだ。

ドワーフの工廠は良質な武具を作り出し、エルフの小物販売は国民の消費を加速させ中央政府に莫大な利益を生み出した。この結果として「無理やり従わせるより対等な契約で手を結んだ方がお互いに得をする」という国民感情が法国内で生まれ始めている。

最近連れてきた二頭の霜の竜に至ってはレイラの命令で国境付近の警備を任されている、その影響は計り知れないだろう。難度は100を優に超え、伝説でしか語られないような巨竜が亜人との国境線を守っているのだ。周辺領民や衛兵達にとってこれ程心強いものは無い。

 

そして何より、彼女の存在は失うに惜しい価値がある。

潤沢な魔力とかの《絶死絶命》に匹敵する戦闘能力は、かの『プレイヤー』を彷彿とさせる。

魔法研究にも尽力し、今日も出席している開発局の館長とは何度も魔法について議論を交わす馴染みの間柄だ。

それに加え領民を率いる圧倒的なカリスマ、経営力、あの胡散臭いお嬢様言葉に恥じぬ貴族として目覚しい働きぶり。彼女の影響か他の貴族達も身が引き締まり、各領地の犯罪率が極端に低くなっているのが何よりの証だ。

議論に議論を重ねた結果、「人類を救うに足る器量」をここまでまざまざと見せつけられては、最早暗殺などを考える愚かな不信心者はこの議場には誰一人居なかった。

 

だが問題が1つ

 

彼女は熱心なスルシャーナ教信者である。スルシャーナは異形のプレイヤーにして、他の神達が滅ぶなか最期までスレイン法国を守護した神の1柱。異形種でありながら他の神と協力し、スレイン法国を支えた偉大な神だ。

信心深いレイラはその意志を継ぎ、エルフ、ドワーフ問わず共に暮らす領民を護り他種族との共存を是としているのだろう。

 

しかし他種族平等の救済を掲げるスルシャーナ教は「人類主義」のスレイン法国にとって些か都合が悪い。彼女の勝手を許せばスレイン法国の根幹を揺るがしかねない事態を生むかもしれない。

 

ならばと彼らは考えた。

 

番外席次を除き、本来12名しか在籍しないハズの特殊部隊、《漆黒聖典》に13番目(特別枠)として彼女を組み込むのはどうか?

国の運営する特殊部隊でなら彼女をある程度コントロールし、かつ人類の為に使える戦力にできる。

そこを落とし所とし、彼女に組織という名の首輪を付けるべきだと判断された。

決まるや否や彼等は早速レイモンを通してレイラに接触し、トントン拍子で事は進んだ。そうしてめでたくレイラ・ドゥレム・ブラッドレイは《獄界絶凍》のコードネームを以て漆黒聖典に所属する運びとなったのである。

 

 

これには最高神官長もニッコリ

 

 

だ っ た の だ が

 

 

『竜王国から受ける寄付金の額なのですが、なんですかこの法外な額は!!

今すぐ減額なさい!法国の経済状況なら差額を引いてもこちらの額で十分でしょう?

それとも…相手が竜の女王だからってワザと金額を引き上げてるとかそんな事、無いですわよねぇ…?』

 

竜王国からスレイン法国へ贈られる上納金の額を聞いた彼女が中央政府の議事堂に飛び込んで来て放ったセリフである。右手には気を失った漆黒聖典隊長がボロボロの姿で首根っこを掴まれ引き摺られていた、恐らく最後まで彼女を押しとどめようと努力したのだろう。

その勢いでレイラは最高神官長含む中央政府のお歴々全員の前で恫喝…もとい寄付額引き下げの交渉を行う。持参した資料と懇切丁寧な説明、元々この高額設定は一部の亜人を蔑む議員が亜人軽視の感情に流され半ば一方的に取り付けた金額だった為、理詰めで不要な理由を説かれてしまえばぐうの音も出ない。

正論の上から更にド正論を重ね、金額を決めた議員達が泣き出すまで説教(おはなし)した結果、最終的な落とし所としてレイラの行う中央政府への売上金寄付を2割から3割に引き上げるのと引き換えに竜王国の負担を減らす事に成功した。

余りの気迫に当時の会計担当者は恐怖で下着を濡らす羽目になったとか。

 

 

 

 

 

 

『敵将、討ち取ったりイイイ!

たとえ素手だろうと私の勝利は揺るぎはしないッ!

さあさあ残りの下っ端ビーストマン共、貴方達のボスはこの通り使い古されたカーペットみたいになっちまいましたわ。これを見ても尚向かってくるのなら止めはしませんが、相応の覚悟を持って挑みなさいな!

今宵の我が魔剣ちゃんは血に飢えてましてよォ!

オラァ!ビビっとらんで掛かってこんかァい!』

 

 

派遣先の竜王国にて、奪われた都市を取り戻す為に都市を統括していたビーストマンの族長と決闘をし打ち勝ったらしい。

邪魔の入らないように氷の結界で覆われたリングの中、素手同士の殺し合い。

種族の身体能力差などものともせずレイラが圧倒的な勝利を収めたのだとか。

 

既にレイラによってその7割ほどを殺されていたビーストマン達は這う這うの体で都市から逃げ出した。すかさず別働隊が都市を制圧し、竜王国は悲願の都市奪還を果たしたのだった。

他にもレイラが何やら怪しい格好(変装だと思われる)をして自身の領地から食料や武器を荷馬車に積み込んで戦火の街々を定期的に往来しているとの情報も密かにレイラを監視する任を授かった風の巫女から上げられている。彼女曰く「絶対あの人私が監視してるの気付いてますよ、こっち向かってダブルピースキメてましたもん。」との事で担当者は恐れ慄いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねえ、あの新しい隊員。

《獄界絶凍》だっけ?面白そうじゃない。会いたいわ、まさか断るなんて言わないわよね?』

 

ああ、なんと恐ろしいことか。

この台詞を聞いた神官長の面々は気が気でなかっただろう。

その生まれゆえ人目を避け、神都奥にて育てられ半ば幽閉扱いとなっている漆黒聖典番外席次にして我が国の最高戦力《絶死絶命》が放った一言は議員達を震え上がらせた。

会議中の護衛という名目で偶に同席させる事はあるものの、いつも議場の隅でつまらなさそうに玩具を弄っている彼女だったが何処から聞きつけたのかレイラに興味を持ったらしい。

 

神官長達は兎に角考えた、問題児と問題児を付き合わせたら一体どうなってしまうのか目に見えているからである。具体的に言うと法国がやべー、物理的に。

徹底した議論を行い、最終的にどちらに自重を促しても意味無いならもうぶっつけ本番で対応するしかなくない?との結論に落ち着く。

この結論を捻り出すまでに既に5徹を迎えていた神官長一同、考えるのをやめた。

 

その後〝特殊な戦闘訓練〟という体で彼女を呼び出し、絶死絶命と獄界絶凍は相見える事となった。

絶死絶命に関しては竜王との密かな盟約がある為細心の注意を払い、風と水の聖典から巫女を動員し幾重にも結界を張らせて秘匿したうえでの密会だった。

 

その結果は案の定…

 

『あはははははははははははっ!!

良いわぁ、最高じゃない貴女!もっと遊びましょうよ!ほらほらほらァ!!』

 

『ちょっ待っ…死ぬ!

レイモン様!レイモン様!?流石に30人分の結界維持しながら戦うのキッッツいんですが!!あの子止めてくださいませんこと!?え?神官長一同議場で爆睡中?

あのお排泄物老人ども全くもって役に立ちませんわね!後で全員寝てる背中に氷柱差し込んでやりますわ!あああああああもう《極地の爪(ポーラー・クロー)》っっ!!』

 

『何その魔法、さっきの氷のゴーレムといい初めて見たわ!もっと見せてよ!』

 

『隊長おおおおおっ!恨みますからねえええええっ!!!

私知ってるんですから!昔貴方が番外ちゃんにボロクソやられて馬の小便で顔洗ってるところ現場で見ましたの!映像記録もバッチリ保存してるんですから!

次の定例報告会で鑑賞会開いてやりますわ!』

 

『こっちにまで飛び火するの止めてくれませんかねえ!?!?』

 

 

神都中心部、大聖堂内に設えられた特設の大広間。生半可な攻撃では傷一つつかないように魔法で補助もしながら行われた訓練だったのだが途中で巫女達が魔力切れで力尽き、代わりにレイラが肩代わりするという方法で維持していたのだがそれでも舞台は半壊し、レイラが魔力切れで降参するまで戦いは続いた。またあれだけの攻撃魔法と斬撃が飛び交い、巫女を含めた50人以上が観戦していたにもかかわらず死者ゼロ人という奇跡的な被害報告はあとから目覚めた神官長一同目を疑ったとか。

 

 

 

 

 

 

(冷たかったなあ、氷…)

 

力尽きて寝てた我々が悪かったので甘んじて受け入れたが、それでもキンッキンに冷えた氷柱を背中に生み出されるのはクるものがある。

おもわず全員情けない悲鳴をあげながら寝起きでわけも分からず床を転げ回った、火の神官長などは腰をやってしまうほど背筋を伸ばし過ぎて声にならない嗚咽を漏らす羽目になったのは記憶に新しい。それをレイラはぷんすこ腕組みしながら眺め、隊長は白目を剥き、番外席次は笑い転げた。

その一件以来時たまレイラは大聖堂内に菓子を持参し遊びに来たりしており、二人の仲は悪くない模様。

「広場は半壊したけど法国最強の実力者2人が仲良くなって結果オーライやな!人類バンザイ!」とは当時の最高神官長の意見である。ただ番外席次が時々行方不明になっている事をレイモン以外の神官達は知らない、行先は見当が付くが軟禁中の身なのだからおいそれと外に出られるのは困る。いつ竜王に察知されるか気が気でなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(そういえば今朝《獄界絶凍》から貰った林檎酒、瓶越しでも分かるほど良い香りがした、美味そうだったな。今夜妻と一緒に飲もう。)

 

そのお酒、金の林檎使われてますよレイモンさん。知らぬが仏というやつか。

 

 

密かにウキウキするレイモンのよそに会議は続く。

朝の殺伐とした報告会が愚痴吐き大会に変わり、レイラが領内にスルシャーナ様を祀る為の社を建てようとしているなど彼女の近状が語られたのを最後に今日の会議はお開きとなった。火と水の神官長はこの後大元帥と今後のエルフ国への対応について協議するため会食に行くらしい。それでいいのか中央政府。

 

 

 








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