破滅フラグしかない悪役国家に転生してしまった… 作:ハンバーグ男爵
今から約1年前、図らずともほとんど同じタイミングで連載を始めていたオバロの作者さんの作品がつい最近、無事完結なさってた。
主人公の感情の変化や話の落とし所、原作キャラの持つ魅力の表現や文章力が素晴らしくて尊敬しておりました。
対して拙作はなんだ
1年経っても原作は始まってない!
誤字脱字は山ほどある!
お次は過度な原作改変ときたわ!
どういう事か説明して頂戴!
作者「駄目だ」
駄ぁ目ぇ!?ああ〜もうヤダ!
王都近郊、リ・ボウロロープ領
王都に最も近く、流通の拠点となる比較的規模の大きなこの街にも夜はやってくる。
多くの国民が寝静まる中で、娼館や賭博場などの運営を除き夜の帳が降りても活動を続ける者は限られていた。
「ふわぁ〜〜…夜勤なんてやってられねえよ」
リ・ボウロロープ領中心街、栄えた都市内でも一際大きな建物の前。
松明を片手に2人組の門番が見回りを行っている。
此処は現世でいうところの役場にあたる施設、貴族から選出されたエリートが働く街の要所だ。
今日も夜遅くまで部屋に明かりが灯っているし、きっと役人が仕事に追われている…という訳では決してなく。
「文句言うな、楽な外回りで稼げてんだから儲けもんだろうが」
「どうせ此処の領民が八本指に逆らってくるわけねえのにさあ、気張り過ぎなんだよ
はぁー俺だって女の股に顔を埋めながら書類作業してみてえ」
そう男が肩を竦める。
はい、ご覧の通り役場とは名ばかりの犯罪組織の施設に成り果てていた。
さすが八本指と最も関わりが深いとされる六大貴族が治める直轄領、都市の役場にすら汚職が蔓延し人目に付かぬ夜遅くに麻薬の裏取り引きや密輸品を横行させ私腹を肥やす者がいる。
見廻りの彼等はさしずめその下請けの下請け辺りだろうか。
金で雇われた傭兵くずれ、多少腕に覚えのある程度のチンピラだが、夜の警備に抜擢されるくらいには実力があるようだ。
「サカってんなら後で地下室の女を好きなだけ抱けばいいだろ」
「あんなやせ細ってガリガリの骨みてえな女に突っ込んで何がイイんだよ!
俺はぁ、もっと健康的な娘が抱きたいの!
ホラ、『蒼の薔薇』のラキュースとかぜってえ締まりも良くて最高だろ?」
「高望みが過ぎる…相手はアダマンタイト級の冒険者だ。お前なんか目を閉じててもひとひねりだろうよ。
大体、そんな良い女がいたとしてもとっくに上のお手つきになってる。俺らの所になんか一生回ってこねえよ」
「はぁーずりいよなあ、警備部門の下請けなんて割に合わなくてやってらんねえ。どうにか麻薬部門に異動できねえかなー」
「読み書きと計算ができるようになってから文句言え、馬鹿」
なんて無駄話を繰り広げる二人、ふと建物横の雑木林付近を見回っていると木々の間からした小さな物音に気付く。
「あん?なんだ今の音」
「野良犬かなんかだろ、気になるなら見に行けよ」
「もうちょっとやる気出せよお前は、一応警備なんだからよ。
全く…」
しぶしぶ、と言った感じで片方が茂みの奥へと確認へ向かう。
それを待ちつつ松明持ちながら欠伸をかもし、だらしなく相方が消えていった暗がりを眺めていた。
しかしいつまで経っても帰ってこない、業を煮やし声のひとつでも掛けようかと思案したその時。
「おいいつまで待たせ……ぁ?」
視界が真っ赤に染まる。それが自分の喉から吹き出たものだと理解するまで数秒、その間に男は白目を剥いて膝から崩れ落ち事切れた。
男の背後には闇に溶ける真っ黒なローブに身を包む集団、袖でナイフの返り血を拭き取ると1人が血塗れの男を森の奥に引き摺りこみ、木の影で既に息をしていない相棒と隣り合わせに並べられる。
5人ほどの彼らはハンドサインでそれぞれに指示を出し四方八方に散っていく。
その後も次々と同じように見回りの兵が闇へ葬り去られ、草葉の陰へ隠蔽していき、彼らの通った後には闇の中で時折か細いうめき声だけが響いていた。
洗練された仕草で淡々と、夜闇に紛れ見張りの数を減らしていく。
「中庭
「東通用門前
「正門
それぞれが建物の窓から侵入し、1階と2階を同時に制圧を行う。
事前調査にてこの時間、この役場に居座る者は皆八本指関係者である。なので加減は一切無用。
淡々と、一方的に、油断しきっている役場の八本指構成員は次々とこの世を去っていった。
《水明聖典》
その存在は魔法による監視を主とする《風花聖典》と同一にされがちだが、かの聖典とは別のスタイルで諜報活動を行う法国の特殊部隊。
それは己が身一つで敵国へと潜入し、周囲へ溶け込み欺き情報を掠め取る原初の
600年前、六大神の指導のもと生まれた諜報機関は魔法に頼らない、より広い範囲での情報収集を目的として創設された。
年を重ねる毎に人類の生存圏が拡充し、幾つもの隣接国が誕生してからはその動向を探るための潜入捜査、または工作員として働き、人類繁栄のため尽力しているそうな。
過去には国を転覆させるような大事件すら内々に処理し、民の誰にも知られぬまま解決した実績もある。
この事は記録にすら残っていないが、600年分の
かく言う現職水の神官長も嘗ては凄腕の諜報員であり、現役引退後も優秀な
彼らが欺くのは人類に限った話ではない。
容姿はもちろん、声、雰囲気、匂い、仕草、癖、凡その外見的特徴から内面の性格に至るまで、レイラ達がマジックアイテムに頼るであろうそれを水明の工作員は自力で矯正、会得する。
特殊部隊なので相応の体力と技術力は当然として、人間関係に違和感なく溶け込むコミュニケーション能力やあらゆる状況で臨機応変に対応する柔軟な思考、孤立無援になろうとも常に最善を掴み取る冷静な判断力、精神力や必要なサバイバル知識など、どれも必須事項である。
故に他の聖典とは違い、水明聖典では独自のペーパーテストや面接、適性診断などで〝ふるい〟にかけた後、更に厳しい試験によって選ばれたものだけが所属できる
漆黒聖典が生まれ持った神器の適性や稀有な異能力持ちで構成された〝選ばれた者のみが就ける超人集団〟であるならば、水明聖典は血の滲むような努力と鍛錬の末に超人の隣に並び立てるほど精鋭化された〝凡人の頂点〟なのだ。
その実力たるや、並の組織では到底太刀打ちなどできない。
その気になれば各国の王の首だって誰にも気付かれず持って来て挙げた首級で展示会ができる、とまで揶揄される特殊部隊の彼等と王国に蔓延るのがせいぜいの悪人集団。
どちらが本当の意味で〝ヤバい〟のか言うまでもない。
そんな部隊を我らが氷の魔女様は400人規模で動員し、ご丁寧に激励の言葉まで贈って任務へと駆り出した。
「な、なんだお前達!?
オイ見張りは何をやっ(コキッ)けぺ」
この施設の
人ひとり分の重量が石造りの床へ転がって、動かなくなる。天蓋付きの大きなベッドには全裸に体液まみれの女性が5人、皆ヒクヒクと小刻みに身体を引き攣らせ虚ろな表情で伸びていた。枕元には黒い粉末状の物体が少量。
「必要な処置を施した後《蟻》に回しておけ。
貯蔵庫を確保次第周囲を警戒、合図が来るまで待機せよ」
「「「「了解」」」」
それを一瞥した部隊長らしき人物(全員黒づくめで判別つかないが)が飛ばした指示に従い、再び影が役場内を走る。
この世界の人間には想像もつかないだろう。
徹底された統率力、圧倒的な練度、全員がひとつの身体のように意思疎通を行い、音も立てずに影も残さず制圧してくる。
凡人の極みたる
このような展開が、国内残り72箇所の密売施設と128箇所の密造施設で一晩のうちに繰り広げられるのだ。
それは最早戦いに非ず
一方的な蹂躙に他ならない
「……見捨てる、などしないのだろうな。あの御方なら」
女性隊員によって介抱される
黒粉漬けにされ心を壊された女、例え身体が完治しても後遺症によっては社会復帰できるか怪しい。場合によっては自らの手で介錯してやったほうが幸せなのかもしれない。
が、此度の総司令は「全ての商品の回収」を望む。
きっと彼女なりの解決策があるのだろう、我等の
部隊長は悪党の犠牲となった彼女達に束の間の祈りを捧げ、仕上げのゴーレムを呼び込む準備を整える。
影の進軍は止まらない
暗く湿った石レンガ造りの廃坑道。
灯りは無く、中は真っ暗、王都地下をどこまでも続く迷路のような地下通路。
その中をまるで見えているかのようにスイスイと進む1人の女の姿があった。
闇に紛れる漆黒のドレス、肩に掛かる輝く銀のストール、煌めく黄金の瞳。
彼女が通った足跡は霜が降りたように白く染まり、歩く度坑道内の温度が僅かばかり下がっているように思う。
すると、真っ暗な坑道を進む先に見える松明の灯りが3つほど揺らめいているのが見えた。
恐らく巡回の八本指構成員なのだろう、徐々に近付いてくる灯りにも構わず彼女は歩みを止めない。
「あ?何だ、ありゃ」
先頭を歩く男が灯りを掲げ目を凝らすと、そこには坑道という薄暗く煤けた場所には明らかに不釣り合いな格好をした淑女の姿が映る。
はて?と男は無い頭を一瞬捻り、背後の仲間と顔を見合わせた。後ろの2人にもちゃんと見えているらしい、どうやら欲求不満を拗らせて幻覚を見ているわけではないようだ。
誰か娼婦呼んだか?
だったら案内も無しにここまで来るのはおかしいだろ
上からの連絡もねえよな?
余りにも場違い感溢れる姿に一瞬思考停止する3人を他所に、女は優雅に堂々と彼らの間を通り抜け先に進もうとする。
「オイちょっと待」
3人組の一番後ろ、一足先に思考停止状態から戻った男の横を通り過ぎようとした時放ったのが彼の最期の言葉だった。
その手が彼女の肩に触れる前に凍り付く。
表情を変える暇もなく、悲鳴を上げる事すら許されず、凍死した
足先から髪の一本に至るまで全てが一瞬の出来事。
いつの間にか坑道は暗闇に戻っていた。
3人の持つ松明は極低温に晒されみるみるうちに小さくなり、冷風に靡かれるまま程なくして完全に鎮火。哀れな男達が凍ったままバランスを崩し、薄硝子を砕いた時のように床に叩き付けられた衝撃でバラバラに砕け散っていく。
残るのは静寂と暗闇
そこに小さな鼻歌を交えながら、淑女は巣穴の奥深くへと進んで行った。
王国地下通路のとある一角、松明に照らされた広間に簡素な机と椅子が並べられただけのスペースには8人の男女が集っていた。
全員とも風貌は…ハッキリ言って悪い。
少なくとも陽の光を浴びて生きているような人間の放つ雰囲気ではなかった。
この場もひりついており、彼らを護っているであろう護衛達はいつでも得物が抜けるように腰に手を掛けている。
『麻薬取引部門』
『奴隷売買部門』
『警備部門』
『密輸部門』
『暗殺部門』
『窃盗部門』
『金融部門』
『賭博部門』
八つの部門からなり、王国に巣食う巨大犯罪
名を『八本指』
その歴史は古く王国建国時より影で暗躍し続け、何代にも渡って組織を拡大した。
表立っては言えないが、その力は今や王国内において比類無き程に成長、国の隅々まで広く深く浸透しており、悪辣な手腕と工作で国家を裏で操る悪の組織である。
「集まったわね、皆お元気ぃ?
急な招集だったケド全員応じてくれて感謝してるわ、早急に話しておかないとイケない話題ができちゃってねェ」
卓にかける者の1人、なよっとした線の細い男が甲高い声で形のみの感謝を述べる。
名をアンペティフ・コッコドール、八本指において奴隷売買部門を担当する
「そりゃ嫌でも集まるでしょうよ。
大事件が起きた後だもの」
8人の中で紅一点、麻薬部門長のヒルマ・シュグネウスが鼻を鳴らす。
八本指の情報収集能力はそんじょそこらの軍隊とは比にもならない。市井の至る所に間者を潜ませ、耳聰い者はコッコドールの緊急招集の理由に心当たりがあった。
ひとつはスレイン法国による寄付の話題。
嘗て王国と法国、二国間の友好の証として贈られた神官を常駐させる為の教会。
ボヤ騒ぎで焼け落ちてしまったのを法国持ちで再建したいそうだ。
その額なんと金貨100万枚。
人類救済を自称する護法国家様が何を考えているのか知らないが、棚から牡丹餅とはまさにこの事。
利益を独占せんがため、八本指も虎視眈々と金に目を光らせている。
「ウチに『建築部門』が無かったのが惜しいな。
建設業まで掌握できていれば中抜きだけでなく再建事業の胴元すら狙えたというのに」
「ま、職業安定所を掌握してるんだから何処の事務所にやらせても仲介料はしっかり頂くつもりだけどね」
「タダで使える労働力なぞ幾らでも調達出来る」
せせら笑う幹部達。
そしてもうひとつ、大きな事件が立て続けに起こった。
「それに厄介だった第三王女もくたばってくれたんだもの、これを期に王国をかっ攫っちまうのも視野に入れないとねェ」
第三王女ラナーの死亡。
王国を揺るがす大事件、まだ国民には秘匿されているが耳聰い彼等には筒抜けだ。
あの手この手で間接的に八本指の邪魔をし続けていた厄介者が居なくなったとなれば、いよいよもって〝国盗り〟が見えてくる。
ボウロロープ侯を通じ、一番王位に近い第一王子を甘い言葉で釣り上げ癒着させる事で汚職の沼に肩まで浸からせ、いいように操ってきた。
彼が即位すれば王国とは名ばかりの八本指による傀儡政権の出来上がり。
そうなれば今まで闇に潜み行っていた悪行を国家ぐるみで行使し、ますます自分達の懐は潤う事だろう。
まさに金儲けの為だけ、目先の利益の為に国家転覆まで考えるほど突き抜けた8人の悪人共による企みは成就目前であった。
……それが他国から見てどう思われているのか、微塵も考えていないまま
「警備部門の若いのがボヤ騒ぎを起こした時は肝が冷えたが、金貨100万が返ってくるなら結果オーライか」
「ホント勘弁して欲しいわぁ、彼処の神父取り込むのにどれだけ苦労したと思ってんのよ!
タダでさえスレイン法国絡みの教会で慎重にならなきゃいけなかったのよォ!?
その分稼ぎは良かったから残念だわ…」
きいぃぃっ!とハンカチを噛むコッコドールに半目になるヒルマ。
麻薬部門長の彼女だが元娼婦だった経験を活かして違法娼館にも手を出しており、巧妙に表舞台から隠していた。
過去に摘発されたのはコッコドールが経営するものが殆どだった為、運良く生き残ったヒルマの娼館は彼に恩を売る形で譲渡され、以来八本指の中では商売敵でありながらも比較的友好な関係を築いている。
まあ麻薬漬けからの奴隷娼婦堕ちという地獄のコンボが相性良過ぎて儲けにも繋がってるから止められないというのが本音であろう。
この成果もあって、ヒルマとコッコドールの2人は組織内でもかなり発言力が強く他部門と比べて権力を持っていた。
今日も警備部門や暗殺部門から人を多く雇って護衛として侍らせているし、ここにいる護衛達も今日に限っては八本指の護衛ではなくヒルマとコッコドールの護衛。
組織内のパワーバランスは傾きつつある、それを良く思わない者も勿論いるわけで。
八本指は巨大犯罪組織であるその実、内部でも裏切りや策謀が横行する問題も抱えていた。
他人を食い物にし、隙あらば仲間すら貶めて自らの糧とする。
人道も配慮も捨て去って、自らの利益の為なら他はどうなっても構わない。
八本指はそういう連中の集まりなのだ
どうしようもなく、救いようがない
だからこれから起きることも全て
彼らの自業自得なのである
ドンッ
会議室の扉を強く叩く音。
会議に熱中していた面々にも聞こえた。
この会議は重要なもので、邪魔はするなと待機させている部下たちには既に伝えているはずだ。
鬱陶しそうに賭博部門の長が部下に確認に行かせた。
徐に扉のノブを捻るとそのまま勢い良く開かれ、人一人分ほどの大きさの青い塊が会議室入口にぶちまけられる。
床に落ちた衝撃で硝子の割れるような小気味よい音と共に、粉々に散らばる欠片、それに伴い扉向こうの暗闇から冷たい風が吹き荒れた。
「さっむぅ!?」
「オイ扉閉めろ、寒いだろうが!」
「へ、へい!」
怒鳴る上司に言われるがまま、先程開けた扉を閉める。
この時、扉を閉めた彼は目を落とした拍子に床に転がっているナニかの欠片、それが『人間だったもの』であり、そのひとつが『凍った人の目玉』だと理解した。してしまった。
ころころと床を転がる目玉と目が合い、脳が理解を拒む異常な光景に背筋を凍らせながらも警備部門の矜持として報告だけはせねばと彼は口を開き息を吸う。
まあ、その口が閉じることは永遠に無かった訳だが。
「ぁ……かっ…かっ……へ…ッ!?」
男の顔に霜が降りる。
喉元から広がった白い模様がじわじわと身体全体に広がって、男の身体を冷たくしていく。
口が閉じない、息も吸えない、呼吸困難と酸欠が襲い、必死の形相でもがく男の涙すら地面に落ちる前に氷の粒となり、床に転がった。
やがて全身が霜に覆われ、苦痛の表情を固定されたまま男はその生を終えることになった。
動揺は広がる。
慄く護衛達が次々と同じ症状を発し始め、同様に苦しみながら苦悶の悲鳴と共にもの言わぬ氷塊に成り果てていく。
「ヒッ!?あっ…あ……助け…」
「いっ…息ッ……がっ…はッぁ!?」
三者三様に悶え苦しみながら白くなる。
もがき苦しみ、体勢の悪かったものは完全に凍った後、バランスを崩して床に叩きつけられた。
粉々に砕け散り、床を欠片で汚す様を見て漸く部門長たちは異変を悟った。
「し、襲撃だ!」
「警備部門は何をやってる!?全員連れて来い!」
賭博と密輸の長が警備部門長を睨み付けながら叫ぶも、その後ろでは次々と護衛が氷漬けにされていき部屋に侍らせていた20人近い護衛は既に半分にまで減ってしまっている。
「部門長、控え室からの通信が途絶してます!」
「外の連中とも一切連絡が………あっ…アッ…カッ」
「ヒィィィ!?助けてくれぇ〜!!」
目の前で同僚が白く染まり、半狂乱になりながら仕事も忘れて別の扉から逃げようとする警備の男がドアノブに掛けた手から徐々に凍り付く。
自らの手が凍っていく様をまざまざと見せつけられながら正気を保っていられるほど男の精神は強くなく、パニックになってドアノブから手を離そうと感覚の無くなった腕を無理矢理に引っ張ってしまった。
ぼきり
と、音を立て男の二の腕から下がへし折れた。
「ぎゃあああああああああああああッ!?!?」
自らの腕が枝みたいにぽっきり折れてしまった視覚的な衝撃もそうだが、それ以上に感覚が消えて痛みが無かったのが余計にパニックを掻き立て、ゴロゴロと床を転げ回る。
「ぉ俺の…腕…うでがああぁぁぁ!?」
「止めろ触るな!触るんじゃねえ!」
「た、たすけて…!たすけて……たす…け……ァ」
縋るように同僚に泣き付くが、肩まで登っていた霜が急速に伸びていき男の顔まで覆い尽くした。
間もなくして全身白く染った氷像がゴロリと床に転がる。
因みに縋り着かれた同僚の男も断末魔の後直ぐに同じ運命を辿ることになった。
ヒルマが周りを見渡せば護衛は全て白い塊に成り果てて、残るはこの部屋にいる八本指の幹部8名のみ。
もう一度、冷たい風が吹く。
身も凍りそうな冷風が幹部達を凍てつかせ、同時に灯り替わりに灯していた部屋中の松明が一斉に掻き消えた。
「ッ!!灯りが消えたぞ!」
「早く代わりの松明を…(ベリベリベリッ)ッ!?!?
ぎゃあああああああああああああ!!」
「クソォ何が起こってる!
一体何がッ……カッ…!!アァ…!?!?」
耳障りな野郎どもの悲鳴など関係なく、危機を察知したヒルマは1人で素早く緊急脱出用の隠し扉へ向けて走り出した。もしもの時に備え連中を出し抜き隠し扉に一番近い席を確保しておいて本当に良かったと思う。
暗闇でも問題ない、場所と逃走ルートは全て暗記しているのだ。
(クソッ!クソッ!
やっぱり嫌な予感は当たってた!)
ヒルマは内心できうる限りの罵詈雑言を吐き捨てる。
思えば元々おかしかったのだ。
第三王女の失踪、そして死亡の報告に至るまでの経緯が不自然なまでに早すぎる。
まるで予め決められていたかのようにトントン拍子で話が進んだ、自分達に都合がいいように事が運び過ぎていた。
第三王女を捕まえてコッコドールの娼館に売り払った?
どうやって警備が厳重な王城から姫を連れ出したのか、何故今攫ったのか、そもそも暗殺部門や警備部門、コッコドールはそんな命令を出していたのか?誰も知らない、構成員すら誰も見ていない。
まるで過程をすっ飛ばして結果だけ残ったみたいだった。
会議中の彼等の話からして、3人の部門長は誰一人としてそんな命令を下していない。邪魔者が居なくなった喜びに浸る彼等は多少の齟齬など構いやしない様子だったが、この時からヒルマは嫌な予感が消えなかった。
疑問は絶えない。
なら次に襲ってくるのは未知の恐怖。
第三王女を攫ったのは八本指の差しがねではない。
なら一体誰がこんな事を?
ならばこの状況は自分たちを囲う為の……
「ッなんなのアンタ!!?!?なんなのよォ〜〜!!」
コッコドールの甲高い悲鳴を最後に静まり返った議場を背に彼女は走る。
動くべき時に動かない者は餌として食われる。
高級娼婦の身でありながらこの地位にまで実力で成り上がったヒルマの信念は揺るがない。
(とにかく今は隠し扉から逃げて状況を把握しないと。
場合によっては聖王国あたりに雲隠れできるよう手配しなくちゃ…!!)
あと数歩で手を伸ばせば隠し扉の前まで手が届く。
ヒルマが表情を緩めたその時、がくんっと身体が大きく傾いた。
「はっ?ぐぅ…ッ!?」
受け身も取れずに冷たい床に叩きつけられ呻くヒルマ。
もがこうと脚を動かすが、既に両脚の感覚が無いことに気付く。
「な…なによコレ…」
視界も段々暗闇に慣れてきた。
そんな彼女の目の前にあったのは、闇夜に溶けるような漆黒のドレスとブーツ。
「アンタ…誰…」
どんどん酷くなっていく寒さに凍えながら顔が見えない誰かに服を捕まれ、そのままありえない力で持ち上げられる。
途中バキバキと変な音が鳴った。
そのまま引き摺られ、自分が座っていた椅子に引き戻される。
服越しに当たる椅子は冷たく、今にも凍え死にそうだ。
そんな中マジックアイテムだろうか。唐突に《
そこでヒルマが目撃したのは……
「ひっ……!!」
もの言わぬ氷塊と成り果てた幹部達の姿。
ほぼ全員が苦悶の表情に塗れ、歪んだ表情のまま固まってしまっている。
特に酷いのは窃盗部門の長だ、無理矢理立ち上がろうとしたのか椅子に触れていたであろう背中から腕にかけて服ごと皮膚が霜に張り付いたままめくれ上がり、筋繊維がむき出しの状態で凍り付いている。絶叫したまま固まったであろうその表情に思わずヒルマも目を背けたくなるほどだった。
何故かコッコドールだけは場違いなくらい凄い間抜け面で凍っていたため何とも言えない気持ちになったが…
「あらあら。彼、中途半端に凍った状態で動いちゃいましたか」
声がする。
ヒルマの知らない、幹部の誰でもない第三者の声。
「振り返らない方が身のためですよ。
彼みたいになりたくなければ大人しく座って前だけ向いていなさい」
椅子の後ろから優しく諭すように忠告され、振り向こうとした首を止める。
声の言う通り、現在ヒルマの身体は椅子に張り付いて中途半端に凍っている状態だ。
無理に動かせば…窃盗部門の彼のようになる。
「アンタ、どうやって此処に…一体誰のさしがねよ。
八本指に手を出してタダで済むとでも思ってるわけ…?」
「あらこわい、流石は天下の巨大犯罪組織。
こんな状況でも強気ですのね。
嫌いじゃないわ」
その威勢に免じて、顔くらい見せましょうか。
ひゅう、と凍える風が吹く。
照り下ろす灯りのもと、可視できるほど白い冷気の束が目の前の卓の上に集まり、やがて人の形を成していく。
そこにはいつの間にか銀の髪と金の瞳を携えた黒づくめの淑女が脚を組み腰掛けていた。
「初めまして、八本指麻薬部門長ヒルマ・シュグネウス様。
ご機嫌いかがかしら?」
最悪よ!と言ってやりたいところだが、ヒルマは凍えてそれどころではない。代わりに白い吐息を吐きながら思い切り睨みつけてやった。
「ああそうそう、どうやってここまでやって来たかですが…」
途端、女の身体が溶けるように消えていく。
そのまま白い
「《
第9位階、この通り非実体化して物理攻撃を躱したり、広範囲に重度の凍傷を負わせる霜を降ろす事ができますの。
まあ言ったところで貴女には分からないでしょうが」
「第…9位階…?
馬鹿げてる、そんな魔法この世に存在するワケないじゃない!」
「裏社会のボス気取ってる割には思ったより知見は狭いのね。
金儲けばかり考えているからですよ」
カラカラと笑う彼女にヒルマは特大の悪寒と危機感を覚えていた。
地下道からこの部屋にたどり着くまでに大量の部下を張り巡らせており、連絡手段も用意していたはずだ。なのにただの一度もこちらに連絡は来なかった。
この部屋も、地下道内で数ある部屋のうちの一つ。自分達が居る部屋を見つけ出すのにも時間が掛かるはず。
実際それを想定して警備を組んでいたのだし、地下道内は入り組んだ一本道だ。一度に通れる道幅は3人がそこら、対してこちらは無数の出口を使ってゲリラ戦に持ち込める。
過去にこの地下道を作った王の思惑通り『攻められにくく逃げやすい』構造をした此処は八本指が集会を行うにあたって最適な場所だった。
護衛の足止めによる時間稼ぎと早期発見による情報を得ることにより、例え軍に正面切って攻め込まれようとも幹部全員が無事に逃げおおせる自信は過分にあった。
だが蓋を開ければどうだ。
たった1人の侵入者に幹部達は尽く凍らされ、自分の命も風前の灯。
それだけ相手は手練で、かつ自分達の事も調べ尽くしている。
「と、取り引きしましょう!」
最早組織の体を装う余裕もない。
必死の形相で唾を飛ばしながらヒルマは叫ぶ。
「雇い主はこの際言わなくてもいいわ!
貴女が雇われた金額の2倍…いえ3倍出しましょう!だから私に雇われなさい!
金の事なら心配しないで、貴女も知っている通り私は麻薬部門のトップなの。報酬なんて幾らでも上乗せしてあげる!
悪い話じゃないでしょ!?」
まくし立てるヒルマに非実体化を解いた彼女は再び卓に座り直し、少し考えるような仕草をとる。
「そうですわね、麻薬部門長の貴女ならはした金なんて幾らでも集められますものね」
「そうよ!
王国中に網を張り巡らせて、製造場所が2、3ヶ所潰された程度じゃ利益が落ちることもない。
王国で一番安定したビジネスなの!
勝ち馬に乗るなら私に着いた方がお得よ!」
「勝ち馬…そう、勝ち馬ねえ……」
正体不明のこの女の目的は分からない、しかし命の危険が迫っているのだ。
どうにか言いくるめて生きなければ!
考え込んでいた女は徐に胸元からマジックアイテムを取り出す。
野球ボールほどの大きさのそれがコロコロと転がって、卓の真ん中で淡く輝き、放たれた光で部屋の壁じゅうに大小様々な『映像』が映し出されていく。
「は…なんなのコレは…」
「見覚えありません?
…そう、『状況は?』」
『《蟻》、該当施設58箇所制圧』
『こちら《蜂》、拠点65箇所制圧』
『《花》、42箇所制圧完了』
『《枝》、全目標制圧』
『こちら《幹》。
現時刻をもって全ての
後は先輩が合図を送るだけ』
訳の分からない会話をよそにヒルマは思い出す。
あの映像の向こうにある建物、何処かで見た事があるような。
あの倉庫らしき建物も、あの畑も、直近あるいはかなり前に視察した事があるような。
「うふふ、良いタイミングです。
では…」
ヒルマが口を挟む暇もなく、画面の向こうに異変が起き始めた。
薄明かりに照らされた彫像のようなナニか、それが片膝を着き撒き散らす冷気に周囲が白く凍り始める。
或いは畑のど真ん中で、また或いは倉庫らしき場所の中央で、音を立てて軋む。
「…待って」
思い出した。
「なんでそこに居るの?」
どんどん吐き出す冷気が強くなる。
さっきまで周囲を覆うだけだった白いモヤが瞬きする間に鎧の隙間から勢いよく漏れ出すようになった。
ギシギシと軋む音が大きく響き、心做しか鎧そのものが膨らんでいるような…
「ばーんっ☆」
零すヒルマなどお構い無しに、全画面ではち切れんばかりに膨らんだ鎧が白く輝き弾け飛ぶ。
画面越しでも分かるような衝撃に小さな悲鳴を上げるが、隣で魔女は楽しそうに画面を眺めていた。
「……『状況を』」
『ちょっと!あんな威力だなんて聞いてないんだけど!?』
「『あら?言ってなかったかしら、おほほほ』」
『全く…
エリア1から40まで全ての栽培所及び密売倉庫の消滅を確認。
記憶してた分と照合して、確認班の証明待ちだけど、あの規模なら文字通り草の根一本残らず消失したでしょうね』
ああ、思い出した。
あの画面に映っていたのはヒルマの管轄する麻薬部門の密売所や保管倉庫、そして販売ルートを確保していた密売施設。
会話の内容から察するにその全てが今、目の前で吹き飛んだ?
「と、まあこの通り貴女の資金源は在庫ごと消し飛んでしまいました」
「…は?」
「わざわざ見せる必要はなかったのだけど、やっぱり麻薬部門長の貴女には顛末を見届けて頂かないと。
心残りもあるでしょうし」
残念、雇えなくなっちゃいましたね。
にこにこと微笑みながら言葉を紡ぐ姿を半ば放心状態で眺めるヒルマ。
「ああ、貴女含めて此処にいる8人は殺さない予定なんですよ。
こう見えて全員今も生きてます、意識はありませんが。
八本指の最高幹部なんて大きな看板背負ってる方々をこんな人目の付かない地下で始末してしまうなんてとてもとても」
白々しく喋る彼女の口は止まらない。
此処では殺さない、すなわちこの8人は王国へ突き出され、王命のもと直々に処断されるということ。
ランポッサ王が姫を殺され怒り狂っていることは既に八本指の耳にも入っている、そんな彼の下に下手人を出せばその末路がどうなるか分かりきっている筈だ。
即ち、裁判や拘留の措置すら取られることは無い、
即処刑台が待っている。
「ちょっと…待ってよ…
ねえ…お願い……」
それを自覚し、自らの末路を悟ると同時に、じわじわと椅子から伝わる冷気を強く感じる。
ヒルマは理解した、全て理解してしまった。
自分たちは罠に嵌められたのだ。
甘い汁を啜ろうと樹木に集る虫のように、集められ、一纏めにされ、後は羽根ごともぎ取られるのを待つだけ。
「お願いします…お願いしますから!」
「…………」
「ふざ…けんな……!
なんで私がこんな所でぇ…ッ!!」
命乞いなど意味を成さない。
憤りを力に変え椅子を揺らす。
幸運にも皮膚は完全に椅子に張り付いており、倒れても皮ごと剥がれることは無かったが、無防備に冷たい床へ叩きつけられ鈍痛がヒルマを襲った。
そんな事もお構い無しに床を這いつくばりながらなおも彼女は出口を目指す。
両脚は既に凍ってもげ落ちて、這う這うの体でも諦めない。
それを魔女は何も言わずにただ眺めていた。
女の身でありながら、高級娼婦という身の上ながらヒルマは実力でここまで上り詰めたのだ。
自ら上の者に取り入ってコネクションを作った、屈辱にも散々耐えてきた、使えるものは全て使ってあらゆる無駄を削ぎ落とし、全ての人間を利用して今の自分がいる。
他の連中が自分を羨むのは当たり前のこと。
それだけ努力してきたのだから。
努力は報われるべきで、苦労は実になるべきなのだ。
だから自分がこんな結末を迎えることなど間違っている、そうに決まってる。
椅子が背中に張り付いたままという滑稽な姿で床を這い、芋虫のように進む。
それがどれだけ無様でも生きていれば勝ちなのだから、生き残ったらどんな手段を使ってでもこの女に復讐してやる。
だから今は…
「あっ…はあっ…!!か……ッ」
喉元が急激に冷たくなる。
とうに手足の感覚は無い、音を立てながら身体の動きが鈍くなり、冷たく、眠くなってくる。
「いや……いや……!わた…し…は……ッ」
身体がどんどん重くなる。
最早自分が動いているのか止まっているのかすら分からない。
やがて全身が真っ白に染まり、同時にヒルマの意識はぷつりと途絶えそれっきり動かなくなった。
後に残るのは冷え切って静まり返った会議室と、ヒルマの顛末を見届け卓に腰掛ける氷の魔女のみ。
「『《獄界絶凍》より全部隊へ、目標を全て確保致しました。
現時点を以て全ての作戦行動は終了、各々撤収作業に入りなさい。
後片付けを怠らぬように』」
『《蜂》、了解』
『《蟻》、撤収作業に入る』
『《花》了解、迅速に』
『《枝》、確認した。撤収する』
『《幹》より、千里眼で全てのエリア内目標の沈黙を確認。
本作戦は全て計画通り完遂したものとする』
「『ええ、ええ。
皆様ご苦労さまでした、戻ったら祝い酒でもいたしましょうか』」
『ダメよ、水明は禁酒義務があるの。
漆黒聖典と違って厳しいんだから』
「『まあまあ、いいじゃないですかこんな時くらい。
長期任務だったんですよ?
神官長には黙ってますから。
ちょうど販売用に我が領地で取れたりんご酒が届いている頃でしょうし、ついでに祝杯も上げちゃいましょう。
これは部隊長命令、つまり仕事です。
何も問題ありませんわね!』」
『《蜂》、了解』
『《花》、大歓迎』
『《枝》、任務なら仕方ない』
『《蟻》、麦酒とエールも所望』
『えぇ…?
あーもーめちゃくちゃだよ…
何言われても知らないからね』
軽口を叩き通信を落とす。
物理的に冷えきった議場。
仮死状態で生きているとは形ばかりの犯罪組織幹部達が囲うなか、卓の上に座る氷の魔女は暫し物思いに耽った後、姿を消した。
《永続光》の効果が切れ周囲が再び暗闇に包まれる。
彼女が去った地下通路にもはや人の気配はなく、夜の暗闇と肌を刺すような冷気が支配する静寂のみがそこに残っていた。
まるで時が止まったよう。
そんな空間に勅命を受けた王国戦士長率いる討伐隊が突入し驚愕するまでさほど時間は掛からなかった。
「そうやって、貴女たちの生き汚いところは尊敬してますよ。本当に」
凍ったヒルマを感情のない瞳で眺めながらひとり呟く。
「神の名の下に、なんて。
所詮殺人を誤魔化す言い訳にしかならないのに」
この世界に生まれて20年余り、任務然り防衛然り様々な名目で命を奪って来ましたけれど、やっぱり同族殺しだけは何度やっても慣れませんわね。
人殺しを忌避するのは私の持つ前世の記憶、21世紀日本に居た頃に培った一般人としての残滓が残っているから。
それとこの世界のシステム的にカルマ値の高い私は無自覚のうちに人間に対して酷いことをしたくないと思っているのかも知れません。
けど彼らは犯罪者。弱者を自分の為に使い捨て、何人もの犠牲の上に生きる事を選んだ悪人です。
死んで当然、とは言わないですが相応の罰は与えられて然るべき、なのでしょう。
少なくとも人を裁くのは人で、まかり間違っても絵物語の神などではない、そうでなければならないのです。
それを『神の名の下に』だなんて脳死で殺人の免罪符にするとか馬鹿の極みだと思いませんか。
殺したのは私、処刑台に送るのも私
どんなにこの世界の倫理観が死んでいて、人の命が羽毛の如く軽くとも
これだけは受け止めて、覚悟しなければ
この
驕りではなく〝慣れ〟が破滅フラグを呼び寄せる事になる。
必要な犠牲、とは言いません。
八本指、貴方たちは邪魔だった。
破滅フラグを回避する為、王国の後ろ暗い部分は切除する必要があった。
どれだけ大義名分を掲げて、どれだけ巧妙に誤魔化しても、結局私の
笑っちゃいますわね、人殺しが人類救済を願うなんて。
恨んで下さって構いませんわ、それほどの事をしたのだもの。
まあひとつ言い訳をするならば
貴方たちも散々やった事でしょう?
抵抗できない弱い者を利用して、貶めて、生以外の全てを奪い尽くした。
弱者が強者に食われるなんて日常茶飯事、自分達はやられないなんて確証はどこにもないわけで。
今回は八本指の番が回ってきただけ。
いずれ私の番もやってくるのでしょう。
できる限り足掻きますけどぉ…
ダメな時はせめて苦しまずに逝きたいですわ〜…
はぁ〜病むぅ〜…殺人が絡む任務の時はついついおセンチになっちゃいます。
やっぱ破滅フラグなんて大嫌いですわ…
はい、お疲れ様でした
さて完走した感想ですが……うーん難しかった!
途中の六腕強襲とラナーバレが無かったらもっとタイム詰める事が出来たかもしれません、でも安定取って栽培所は全滅させて後顧の憂いは絶ったし多少はね?
みんなも八本指壊滅RTA走ろう!私もやったんだからさ
やろう?やれ(豹変)
《
第9位階
周囲に冷気の力場を生じさせ、範囲内に存在する敵に強力な氷属性継続ダメージを与える
またこの状況下でHPが0になった敵MOBは蘇生時間延長などの復活ペナルティを受ける
自身を《青褪めた乗り手》のような非実体化状態にし、攻撃を回避したりすり抜け可能な壁や床を移動する
ただし魔法発動後と、霊体化している際は効果を維持する為にMPを消費し続けるので魔力管理に注意が必要
転移後だと始原の魔法かユグドラシル産のダンジョンでも無い限りほぼ全ての壁と床を透過し、奇襲が可能
レイラ曰く「それなんてルミ○オン?ゲームのバグみたいですわね」
ゲームなんだよなあ…
この魔法に限り、非実体化状態同士の戦闘であれば物理攻撃が通るため、浮遊霊系モンスターなど通常の物理攻撃が通らない相手に対してのメタ手段としても利用される
魔力系魔法でありながら死霊系統のビルドでも取得ができる珍しい魔法であり、この魔法を取得し行使する敵MOB、主にオーバーロード・ワイズマン辺りは無駄に高いレベルと非実体化を繰り返し後衛で逃げ回るクソモンスターと化しており、プレイヤーから蛇蝎のごとく嫌われていた
余談だが、名前の響きが某厄災の厨二病プレイヤーにどストライクだった
元ネタは『死の指』という海中で起きる自然現象
ヒトデがバッキバキに凍っていく動画が見られるよ、ヒルマたちもあんな感じで凍ったよ!
ちな、レイラは自分に適した環境によって魔力の消費を抑えるクラススキル(ユグドラシル産)を持っているので周囲が冷えれば冷えるほど魔力の消費は抑えられ異能力(氷属性に限り耐性貫通超強化)で威力もハネ上がる仕様になっております
周囲の環境を自分好みに描き変えて自己強化する古龍みたいな女
同格とのPVPだと嵌れば強いよねって話
次回、王国編エピローグ
それが終われば原作開始…できるといいなあ…