破滅フラグしかない悪役国家に転生してしまった… 作:ハンバーグ男爵
タイトル通り、短い
年末の仕事ががががががががががががが
「…セバス、それは本当なのかい?」
「は、このセバス一言一句逃さず記憶しております。
『未知を楽しむ』、モモンガ様はそう仰っておられました」
玉座の間。先程の集会は終わり、主の居ない椅子の前で階層守護者達は今後の予定を整理する。
ナザリック地下大墳墓。
9つの階層と広大なフロアからなる、ユグドラシルにおける大型ギルドホーム。
サービス終了後において、ギルドマスターであるモモンガと共に異世界転移を果たした折、内部に配備されていたNPCキャラクター達もその全てがこちら側へやってきた。
自動POPモンスターを始め、嘗てのギルドメンバーが丹精込めて作り上げた最高傑作たち。
「そうあれ」と生まれてきた1と0の
ナザリックは巨大だ。それ故に各階層の守護者達が代表し、諸事情あって来れない者以外がこの場に残っていた。
「未知を楽しむって…どういう事でしょう?」
「新しい拠点を探すって事なのかな」
そうお互いに顔を合わせる双子の
「ナザリックヲ、捨テルト?」
首を傾げる蒼い蟲王、第5階層守護者コキュートス。
その言葉に皆がしんと静まり返る。
「それは不敬だよコキュートス。
モモンガ様のお考えは我々の遥か先を行っておられる、額面通りの言葉として受け取るのは悪手極まる思考だ」
だからその言葉は今すぐ撤回した方がいい。と、友人として忠告するスーツを着た悪魔、第7階層守護者デミウルゴス。
「ソウダナ、モモンガ様ハ最期マデコノナザリックニ留マッテ下サッタ慈悲深キ御方。
要ラヌ疑問ヲ抱イテシマッタ、謝罪シヨウ」
「モモンガ様は何故護衛に妾を選んで下さらなかっでありんすか…セバスはともかくユリやシズより御身を安全に守れたハズなのに…ううっ」
と一人で嘆く吸血鬼、第1~3階層守護者シャルティア・ブラッドフォールン。
「人間風情がモモンガ様にあんなに近づいて、馴れ馴れしく喋った挙句訳の分からない乗り物に二人乗りなんて許さない許さない許さないユルサナイそこ代われ下等生物が…!」
そんな中全く話の内容と関係ない所でギリリィ…と砕けんばかりに奥歯を噛み締め呪詛を吐く黒翼の
その傍らに侍り、先程まで外でモモンガと行動を共にしていたセバス・チャン。
その全て、全員が自身の創造主によって製作され、異世界転移によってテキスト通りの感情を宛てがわれた人形達。その力は1人で国を焦土に変えることすら可能なLv100NPCだ。
今話には影も形も出てこない主人公を悩ませる最大の要因でもある
「アルベド、シャルティア、物思いに耽るのもそこまでにしましょう。
ナザリックは現在謎の転移現象に加え、様々な問題に直面している。
そんな中先の蜥蜴人との接触に続き、先んじて人間との友好関係を構築なされたモモンガ様の外交手腕には頭が上がらないよ。
彼等はLv換算すると20にも満たない些末な存在だが、慈悲深きモモンガ様はそれにすら救いの手を差し伸べられたんだ」
「はァっ!?弱過ぎんせん!?」
「なんでそんな弱い連中をわざわざ?」
「そんなもの、決まっているじゃない」
シャルティアとアウラの驚きに、さっきまで恨み言を散々口から垂れ流していたアルベドがようやく調子を取り戻したのか不敵に笑う。
「慈悲深きモモンガ様はどんなに弱くて哀れなモノにも手を差し伸べる寛大な優しさを備えておいでだもの。
不快なのは御身の慈悲を受けておきながら、さも対等かのように振る舞う鬱陶しい人間どもよ」
「そういえば、君も例の村での様子をマジックアイテムで覗いていたんだったね。
御身があの村にどんな利用価値を見出されたのかは私如きの浅知恵では理解しかねるけれど…
それほど不敬な人間が居たのかい?」
デミウルゴスの声がワントーン下がる。
カルマ値極悪、悪魔の種族を持つ彼にとって人間は虫以下の価値しかない存在。良くて素材、ないし面白く鳴く玩具だ。
そんな程度の存在があまつさえ至高の御方と肩を並べ対等に振舞おうなど…
既に100通りほどの拷問を考えながら彼はアルベドの言葉を待った。
「村の連中は問題無いわ、他ならぬ御身自ら救って頂いた恩は忘れる事はないでしょうし。虫なりに相応の敬意を感じたから。
問題は後から来た男共よ!
初めこそ土下座して感謝していたけれど、モモンガ様が気を良くしたのをいい事に…
大人しく情報だけ吐けばいいものを馴れ馴れしい態度で盛り上がるわ、鉄騎馬だかなんだか訳の分からないマジックアイテムに御身を乗せて村の周りを走り回るわ、敬意の欠片も無い振る舞いでモモンガ様を振り回したのよ!?
私だってあんな親しく話した事ないのに!
二人乗りもそうよ!あんな近くにモモンガ様を感じるなんてそんなの許さないわ代わりなさい!私が乗るのはモモンガ様だけど!」
騎乗位だって上手いんです!サキュバスだもの!キィーっ!と再びハンカチ噛み締めながら恨みがましくヒスるアルベド。
後半の感想はさておき、デミウルゴスはふむ…と考え込む仕草をとる。
「喪女の嘆きは放っといて、モモンガ様に無礼を働くなら今からでも追い掛け捕まえてニューロストあたりに突き出してやればいいのでありんせん?
拷問の時はわらわも混ぜてもらえると嬉しいでありんす」
「だァれが喪女だヤツメウナギがぁ!!」
ぎゃーぎゃー煩い2人を他所に、考えをまとめたデミウルゴスは先ず咎めるような視線をセバスに向けた。
「セバス、君はモモンガ様の一番近くに居たんだろう?
御身に無礼を働く人間を処断するのは君の役目だったと思うが」
「モモンガ様より問題ないとのお言葉を頂いておりましたので。
また御身も新たな未知のマジックアイテムについてたいへん興味を示されておいででした」
2人の視線がぶつかり合う。
片や主を危険に晒していたかもしれない可能性を責めるデミウルゴス。
片や主の意思を尊重し多少の無礼は静観に留めたセバス
創造主からして、セバスとデミウルゴスは意見の食い違うことが多く度々こうしてぶつかり合う事がある。
なお周りの者は皆Lv100の化け物揃いな為何ともないが、2人の睨み合いは常人なら秒で漏らしてその場から全力逃走するレベルの威圧感がある。
「まあ、良いでしょう。
モモンガ様が認めたのなら下僕である我々がとやかく言う資格など無いからね」
ただし一度命令が下れば、デミウルゴスは喜んで彼等を捕まえ思いつく限りの悪逆をもってして蹂躙するだろうが。
「という訳でシャルティア、悪いが拷問の件は諦めて…って聞いてないねアレは」
眼下でキャットファイトを繰り広げるサキュバスと吸血鬼に深い溜息を吐きつつ、整理した考えを述べる。
ひとつ、この世界の人類はユグドラシルと比べ格段に脆弱であること
ひとつ、至高の御方でも興味を引くような魅力的なマジックアイテムが存在するということ
ひとつ、御方の最も欲しているものはあらゆる情報であり、その為に先の集会で人員の割り振りを行ったこと
件の村にはルプスレギナを、悪魔を複数体召喚できるデミウルゴスには他国の
先の見えぬ異世界故に慎重に、丁寧に未知を…
「なるほど、そうでしたか。私とした事が…」
「?ドウシタ、デミウルゴス」
説明を中断し、急に含み笑う友人に問うコキュートス。アウラもマーレもなんのこっちゃと首を傾げていた。
モモンガ様は言った。
「未知を楽しめ」と
ユグドラシルではないこの世界において、我々の行く先は未知に溢れている。
ユグドラシルもまた、御方方曰く未知に溢れた世界だったそう。
それら全てを踏破せし者こそ我等がアインズ・ウール・ゴウン、ひいてはモモンガ様だ。
何故素材になるのがせいぜいの木っ端にあれほど手を尽くされたのか、それは御身をもって更なる〝未知〟を知らんがため。
至高のお一人であるペロロンチーノ様は嘗て仰った。「フラグ管理は大事なんですよ!話の本筋と関係ないような所にも巧妙に隠されてて、見付けないと即BADENDとかザラですし!」と。
〝ふらぐ管理〟なる言葉には聞き馴染みはないが、ニュアンスから察するに辿り着かなければならない理想への〝通り道〟を意味しているのだろう。
「既にモモンガ様は御身自ら人間のもとへと赴き、数々の〝ふらぐ〟を建てている。
御方の理想へ近付く為の布石という訳さ。
実際、あの時接触した人間達は母国ではそれなりの地位に就いている様子だし、利用する価値は充分にある」
「も、モモンガ様は全てそれを見越してあの村の人間さん達を助けたんですか!?」
「だね。
…いや、ともすればもっと前。
初めて外をご覧になられたあの時から、御身の計画は始まっていたのかもしれない。
いやはや、見抜けなかった己が愚考を恥じ入るばかりだよ」
「それに関しては同感だわデミウルゴス!
私!も!連中の無礼な態度を除けば!
モモンガ様の行われた事には全て!道筋が繋がっている!ようっに…!思えるものっ!
髪は止めなさいよこのクソチビ!」
「うるせェ!髪と一緒にその乳削いでわらわに移植してやるでありんす!」
「アンタは一生パッドの偽乳がお似合いよ!」
「ハァーーー⤴︎︎︎!?超えたね?今ライン超えちゃったでありんすねえええええ!?!?
明日の朝日が拝めると思うなよ大口ゴリラがァ!」
「拝むと不味いのは
「はァー…
コキュートス、セバス、頼めるかい?」
「了解ダ、イイ加減見苦シイ」
「承知致しました」
お互い服も乱れ、髪を掴み合いながらとっ組み合うアルベドをコキュートスが、シャルティアをセバスが無理やり引き剥がし拘束する。
話を戻そう。
御方の行動には全て意味がある、それは下僕如きの思考では辿り着くことなど到底不可能なほど遠く高尚な理想だ。
故に推察の域を出ないが、ナザリック随一の頭脳を持つアルベドとデミウルゴス、その2名が同時に導き出した結論。
それこそが
「「世界征服だ(ね)」」
サングラスを指でかけ直しながらデミウルゴスは呟く。
したり顔(ドレスはヨレヨレ、髪はボサボサ、片乳見えかけ)でアルベドは呟く。
瞬間、守護者に激震走る。
カルネ村から始まる一幕、その後に残るものは御身への敬意と信頼。
更に他国への足掛かりも完備して、相手に一切の不信を感じさせることなく情報を引き出した。
〝ふらぐ〟にするには充分だ。
これを皮切りに、御身は人間世界の奥深くへと身を投じるだろう。
愚かで矮小な人間達を手指の先で転がす為に。
そしてゆくゆくはこの大陸を、世界を我がものとする!
などと知恵者2人の熱の篭った解説に聞き入る守護者達、完全に場が温まってきた。
「すごい!流石モモンガ様!」
「あくまで推論だがね。
そうでもなければ人間如き、わざわざ相手にするメリットが微塵もない」
「同感だわ。
先程も冒険者として自ら人間社会に身を投じると仰っていたのだし、本格的に人心掌握を始めるおつもりなのよ」
「じゃ、じゃあ僕達がすべき事は?」
「情報だ、とにかく情報が要る。
モモンガ様が欲するのは〝未知〟、ならば下僕の我々にできるのはその覇道を支え、あわよくば踏み台にして頂くことだ。
基本的には待ちになるが…御身の方針が決まっている以上遠からず他の守護者にも指令が下るだろう、それまで待ってくれないかい?」
「もどかしいでありんすねぇ…
ハッ!もしかしてこれが噂に聞く放置プレイ!?」
「違うと思う」
「仕事カ…コノ身ニモ出番ガ来ルノカ?」
「ああ、きっとね。
今は雌伏の時さコキュートス」
「…ウム、ナラバソノ時マデ爪ヲ研イデオコウ」
ナザリックでも随一の頭脳を持つ2人が導き出した結論に守護者達は三者三様の反応を示す。
その中でただ1人、あの時モモンガと行動を共にしたセバスだけはその胸中に別の思いを抱いていた。
そんな表情の変化を見逃すデミウルゴスではない。
「どうしたんだいセバス。
何か思うところでもあるのかな」
(現地の方々と話すモモンガ様はとても上機嫌であらせられた。
下僕達の前では見せたことの無い、それこそ他の至高御方とお話されていた時のような明るい雰囲気で)
たっち・みーより創造された竜人のLv100NPCセバス・チャン。
他の階層守護者と違いナザリックの執事長を務めている彼はユグドラシル時代、雰囲気作りの為にギルメンが揃う円卓の会議に侍り、幸運にも至高の御方がたの会話を間近で聞く機会が何度かあった。
もっともこれは転移前、セバスが明確に自我を持つ前の話なので彼としても朧気な記憶に残っている程度の話だが。
その中で浮かび上がるのはモモンガとよく行動を共にしていたペロロンチーノ、そしてウルベルト・アレイン・オードル。
彼らは共に何かしらの〝同盟〟を組むほど仲が良く、モモンガもそんな2人に交じってガチャの結果がどうだの、新しいマップに出たエネミーの性能がどうだのと他愛のない会話を繰り広げていた。
その様子を遠巻きながら眺めていたセバスは、先の人間達との接触の際にモモンガの様子が嘗てのあの時と同じような雰囲気を纏っていた事に目敏く気が付いている。
だからこそ、デミウルゴスとアルベドの出した結論に心から賛同を送る事が出来ずにいた。
この中で唯一のカルマ値極善であるNPCであるから故か、あの時の主の振る舞いは人間を利用してやろうという意図など一切無い、心から未知を楽しんでいるようにしか見えなかった。
それゆえの違和感。
だが自分は主に仕える執事である。
主の三歩後ろを歩き、侍る者。
意見や文句など以ての外だ。
「…いえ、何でもございません。
モモンガ様のお考えがどうであれ、御方の決められた事であるならこのセバス、身を粉にして奉仕させて頂きます」
だからそんな些細な違和感はこの場に持ち込むべきではない、そう自分に言い聞かせる。
まあ、当の本人は世界征服なんて一言も言っていないので本作品においては100パーセント混じりっけなしの幻聴、勘違いであるのだが。
アンジャッ〇ュでももう少しマシなネタを考えるぞおまえら。
その後も化け物達の会議は続く。
デミウルゴスは調査の先触れとして密偵に長けた影の悪魔を各地に散らし、情報収集を図るらしい。
アウラはナザリックが転移した場所のすぐ側にあるトブの大森林内の生態調査を行うようアルベドから要請があった。
デミウルゴスの話したザリュースが所属するという蜥蜴人の村も含め、全体的な情勢を把握するねらいもある。
モモンガの救った村の管理は指名によりルプスレギナに託されるが、御方直々の勅命を受けた彼女は密かにアルベドとシャルティアから恨まれていたりもする。
二人とも嫉妬を隠す気が微塵もないからね、仕方ないね。
『ぶぇあっくしょんッ!!』
『どうしたのよルプー、風邪?』
『…なんか一瞬すっげえ悪寒が走ったような気がするっす。
こう、二人分くらいのが背中にゾアっと』
『やけに具体的ね』
『ナーちゃんもしなかったっすか?』
『全く』
『それより、二人とも準備は出来たの?
ルプスレギナはカルネ村への出立、ナーベラルはモモンガ様と共に冒険者として活動を命じられたでしょう。
いざ当日不備がありました、なんて許しませんからね』
『はぁーいっすユリ姉』
『良いなぁ〜二人とも御方の為に働けてぇ』
『私達にも仕事、回ってこないかしら』
『……むふー(満足げ)』
『なに「ひと仕事終えた」みたいな顔してるのよシズ』
『ずるぅい』
なお、このあとナーベラルはモモンガと共に冒険者デビューを果たし、初対面の先輩冒険者に安定の便所虫呼びを炸裂させてモモンガの無い筈の胃を痛ませてしまうのだが、そこはご愛嬌である。
そして…
「〝魔巧〟か、以前の世界では聞いた事のない技術だが…」
「所詮人間の浅知恵でありんしょう?
モモンガ様のお気に召すようなモノが有り得るとは思えないでありんす」
「それよりモモンガ様を差し置いて魔法詠唱者の〝星〟を名乗るなんて不敬極まりない連中だわ。
敵対したら真っ先に仕留めるべきね」
「それについては同意だがね。
利用できるなら利用して、ナザリックの糧となってもらおう」
人間に使い道は山ほどあるのだから。
カルマ値とは人類への好感度、低ければ低いほどその感情は侮蔑へと変わる。
侮蔑とは嫌い下に見ること、すなわち〝侮り〟だ。
自分たちより弱いから、馬鹿だから、下位に位置するから、取るに足らない命だから。様々な理由でナザリックは人間を侮り、軽視するだろう。
それが設定によって「そうあれ」と決められたNPCの宿命だ。
ならば
さぞ、滑稽なものになるだろう。
文字通り
☆エアプでもだいたい分かるナザリック☆
基本的にナザリック以外の存在はゴミ
人間ならもれなく素材兼玩具、それ以外でも素材か消耗品
弱者は嬲れ、老いも若いも皆家畜、ナザリックの糧になれる事を有難く思え
但し神のごとき至高の御方が認められたもののみ例外とする
ナザリック以外を見下しているので舐めプが止まらない
死んだら復活できるが直前までの記憶が消える模様
まともな敵対者がいないのでマッチポンプ(主人に黙って)で名声を稼ぐ
報連相が完璧()
原作ナーベラルに至っては主に言葉使いを直せと直接言われても直せない
完璧で究極なNPC
これも全部ユグドラシルのテキストデータに基づいた行動だから
全部全部、ゲームの設定をそのまま引き継いだ、在りし日の極悪ギルド
竜帝の悪戯でこの世界に落っこちた、終わるはずだった異物のひとかけら
まだ何も知らない人形たち
……しばらく主人公出てこないとかマ?