破滅フラグしかない悪役国家に転生してしまった…   作:ハンバーグ男爵

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傀位レベル上げるのしんど過ぎて現実逃避






4 破滅フラグの立ちそうな国に派遣されてしまった…

 

 

とある竜の独白

 

 

 

【監視の任より戻った。

北部の山あいに亜人種の部隊が接近している、数は目視で50程、〝十王〟含む警戒対象は確認していない。下っ端が功を焦ったか…

警戒を厳に、防護を固めよ。】

 

「承知致しました、ムンウィニア殿。

聞いたな諸君、北防壁に部隊を展開せよ。弩部隊は炸裂ボルトを装填し所定の位置で待機、威嚇射撃の後後退しなければそのまま交戦に入る。急ぎゲバルト様へお伝えしろ。」

 

「はっ!」

 

部隊長の言に応えキビキビと移動する兵士たち、その動きには一切の乱れはない。みなが戦う者の眼をしていた。此処は国の最端であり、亜人との生存競争の最前線でもある。僅かばかりでも気を抜けば敵は防壁を突破し、領内へと雪崩込んでくるだろう。故に衛兵達は皆、厳しい訓練を受けた精鋭達だ。

そんな人間達の中に私は混じる。

 

 

ムンウィニア=イリススリム

 

 

嘗ては一都市を統治していた誇り高き霜の竜が一頭。それが何故人間の国で哨戒などを行っているのか、ままならないものだ。

 

【必要ならば私も出よう、レイラに留守を任された手前何もしない訳にもいくまい。】

 

「おお…かの霜の竜(フロスト・ドラゴン)が背を守って下さるとなれば我々も後顧の憂い無く戦えるというもの。

御気持ち有難く頂戴致します。

もしもの際は、頼みますぞ!」

 

霜の竜(わたし)という上位存在に頼りきりになるのではなく、あくまで最後の砦として利用する彼ら。しかし自分達が捨て駒であるという諦めは一切感じさせない。

人間とは不思議な生き物だ。

 

 

 

 

 

全てはあの娘がオラサーダルクの城へやって来た時から始まった。

 

 

『ごきげんよう霜の竜の皆様!

私、レイラと申します。フィールドワークしてたら道に迷った挙句たまたまこの都市を見つけてしまいましたわ、雨宿りならぬ雪宿りさせて下さいな。

あ、このとおり敵意は無いのでご安心下さいまし。

取り敢えずお近付きの印に…

 

一発芸でも披露しましょうか!

 

 

変な人間がやって来た、俺達では手に負えん、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ、と息子達が連れて来たヒトの雌。(筋肉モリモリマッチョマン…?)

アゼルリシアの豪雪地帯。取り分け今日は寒く、冷寒耐性を持つ我々ですら外に出るのが億劫になる程の悪天候の中、薄着のまま平然と歩いてくるレイラと名乗った人間は開口一番そんな事を宣った。

 

沈黙の後一同、困惑

 

直後に彼女が行った一発芸とやらをオラサーダルクがえらく気に入ったせいで天候が回復するまで城への滞在を許された。

…いや確かに氷の塊を削り出してオラサーダルクそっくりの氷像を一瞬で作り上げたのには霜の竜一同感嘆の声を上げてしまったが。財宝達と一緒に城の一角に飾るほど気に入ったのか…【特にこの鼻元の辺りなど俺の凛々しさを的確に再現しているだろう?素晴らしい出来だ。】アッソウ。

 

それから時間潰しに()()だと言う彼女の話を聞くに至り、その過程で一緒に聞いていた息子の誰かが【人間ならあの扉を開けられるのではないか】と呟いて、真に受けたオラサーダルクは彼女に依頼する。

元々この都市を治めていたらしいドワーフの一族が遺した大扉。奥に宝物の類があるのは本能で察しているのだが強固過ぎて夫の攻撃ですら傷1つ付かず、開け方も分からないため最近では爪研ぎ様に利用されるのが専らな代物。その解錠を。

 

【見返りに俺の財宝を求めたら解錠した後に殺してやる。】と意地の悪い笑みを浮かべていたオラサーダルクをよそに、レイラは快くこれを承諾した。

一族総出で扉前に集めていた財宝をどかし、準備を整え綺麗になった謁見の間に立つレイラ。

何度か扉を殴りつけ、傷が付かないと悟ったあいつは表面を調べ始め、カチャカチャという軽い音が響いた後に…あっさりと扉は開いてしまった。

 

えぇ…

 

一同再び困惑、オラサーダルクのみ大喜びで扉の向こうへ飛び込んで行ったが

 

扉の向こうはまさに黄金の山といった絶景で、謁見の間の4割近くを専有していた金庫内にうずたかく積み上げられた財宝の数々に思わず私も声を上げてしまう程だった。

開けた当人は「はえーすっごい」などと間の抜けた声を漏らしている。緊張感死んでるのかお前は。

 

オラサーダルクなど子供のように財宝の山で嬉しそうに転げ周り、嘗てないほど上機嫌になった奴から願いを聞かれ、暫く考えたあと彼女が出した自国の防衛の為に霜の竜を派遣して欲しいという申し出にみたび一同困惑。あいつ、宝に夢中で簡単に了承しやがった。

 

財宝馬鹿になった夫は役に立たないので妻同士で話し合った結果取り敢えず2頭派遣するに至り、うち1頭は引きこもりのデブ、ヘジンマールに白羽の矢が立った。【引きこもりは要らん】と事実上の放逐宣言だったが家長を否定する者もおらず、本人の与り知らぬところで裁定が下る。

 

そしてもう1頭の枠は自己申告で私が赴く事になった。

ハーレムの中で一番の高齢でもう子供を産むこともできない、巨人共との領土争いが続く中、戦力強化の為多くの子を産むことが務めである雌の竜にとってこれは致命的だ。故に私が抜けてもオラサーダルクが困る事はない。

それに正直領土争いに嫌気が差した、というのも理由の3割ほどを占めていた。

 

だって独身の頃からオラサーダルクとナワバリ争いを繰り広げ、負けたら孕まされて今度は巨人共と領土争いとかぶっちゃけやってられん。疲れた。

 

突然の勘当宣告に最初は異を唱えるヘジンマールだったが人間が少し口添えすると手のひらを返して了承し、急いで準備を整えると言って小走りで部屋に戻って行く。

 

 

そうして人間の国へとやって来た私達。

 

 

任された仕事は敵部隊を空から監視し状況を報告する事、そして可能なら上空から援護する事。

 

そして初めて目にした、あのヒトの雌。

いや、レイラの本当の実力を。

亜人達を瞬く間に氷砕し、振るう刃で屠っていくさまは正に嵐のよう。なんだ詐欺だろうアレは、オラサーダルクなどより余程強者ではないか。なのに初対面だった我々にも平身低頭を貫き、あくまで〝びじねすぱぁとなぁ〟としての協力関係を築きたいと申す謙虚な態度。これが分からない。

強ければ己を誇示していいハズだ、ふんぞり返って威張り散らしても文句は言わぬ。

どうしてと困惑する私にレイラは品のある笑顔を浮かべ、言うのだ。

 

 

『淑女たるもの、常に余裕を持って優雅たれ』と

 

 

いや、全然意味わからん…なにそれ…怖…

 

 

だが彼女の言う『強さ』とは、なにも力に限ったものではないのだと理解できる。

霜の竜には持ち得ぬ(したた)かさ、それが私にも備わるのなら…あの暴力夫をギャフンと言わせてやれるのかもしれないな。そう心の中で想像し、久方ぶりに声を出して笑ったのだった。

 

それからというもの、人間の国での経験は驚きの連続だった。

知らぬ土地、知らぬ種、知らぬ物。

雪山に篭っていては決して得られぬ新たな知見の数々は私に大いなる活気をもたらし、まるで若い頃に戻ったかのよう。

中でもヘジンマールの激痩せした姿には驚いた、若い頃のオラサーダルクと瓜二つだ。こんな所で血の繋がりを感じるとは思わなんだ。

 

一番の変化は私自身が強くなった事。

レイラと共に亜人達の討伐を続けた結果、嘗ての頃より私は随分と強くなった。四肢に力が漲り、爪はより鋭利に、牙はより強靭に、身体の変化を感じ取れる。

更には息吹(ブレス)の強化に加え、《凍晶装甲(アダマシアライズ)》という新たなスキルまで取得する事になるとは、まさかこの歳になって新たな力に目覚めるなど…楽しくなっちゃうじゃないか、ふふふ。

 

『ムンちゃんも中々の戦闘狂(バトルマニア)ですわねぇ』

 

ええい喧しい、お前に言われたくはない。

私は誇り高き霜の竜、常に冷静沈着だとも。

なあヘジンマールよ…何故私から目を逸らす?お?やんのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲバルト様がご到着なされたぞ、総員傾注!」

 

物思いに耽っていたところを部隊長の号令に起こされ、思考の海より舞い戻った。

かの国特有の軍装に身を包んだ威風ある男が私の前に立ち、その整った口髭を撫でながら穏やかな表情で紡ぐ。

 

「ムンウィニア嬢、此度も空からの情報提供まことに感謝する。おかげで事前にこちらで準備ができる、先手を取れば戦略的にも有利に立てるからな。」

 

【構わぬ、これも〝びじねすぱぁとなぁ〟の務め。】

 

「ハハハ、これからも娘と仲良くしてやってくれ。

さて…連中は炸裂ボルトによる牽制射撃にも怯まぬようだ。

先日大部隊を儂とレイラに滅ぼされた後だと言うのに、忙しない事だな。」

 

「件の〝豪王〟の姿も見えないとの事で、前回の残党による破れかぶれの特攻作戦かと思われます、公爵閣下。」

 

「本来群れる事の無い亜人種共だ、一度統制を失ってしまえば戻る事は難しかろう。

いつまでも学ぶ事を知らん哀れな生き物かと思えば豪王のように短期間で学び変化する者もいる、全く亜人という奴は思い通りにならなくて腹が立つ。」

 

「違いありません。」

 

ゲバルト・レーム・ブラッドレイ。

亜人生息域と隣接するこの地を公爵として治めていた男。

今は家督を娘であるレイラに任せ、本人は隠居の身であるがその威光は現役の頃から失われておらず実力は相当なものである。

 

「門を開けよ、正面から打って出る。」

 

そして、あのレイラの父親

 

【一応に問うが、私とヘジンマールは必要か?】

 

「なに、そこまで気に掛けて頂く程の大事でもないよムンウィニア嬢。

普段通り空から援軍の来訪を知らせてくれるだけで事足りる。」

 

それに…

 

「先日工廠に依頼していた物が届いてね、試し斬りがしたかった。」

 

ニコリ、そう穏和に笑みを浮かべるゲバルト。

腰につがう二本のシンプルな作りのカットラスが日を反射し煌めいた。

耐性があるのにもかかわらずヒヤリと冷たいものが背中に走る。

あの眼光、アレは幾多もの戦場を生き延びた強者の眼だ。彼もまた、我々にはない強かさを持つ者である。

 

「私が神を敬うのは救いを求める為ではない。

人を救うのは神ではなく、いつだって人なのだ。ならば人に仇なす亜人共(やつら)に鉄槌を下すのもまた、我々だ。

一匹残らず皆殺しにする、娘のかけた慈悲を無下にする連中に容赦は要らん。骨も残さず殲滅せよ。」

 

怒号が響き、呼応するように門が開く。

 

 

そこから先は一方的な殺戮だった

 

 

これがスレイン法国辺境都市の日常である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠征任務ですわよ全員集合!

 

 

 

「ハァイ番号〜!1ッ!」

 

「2ィッ!!」

 

「…えぇっ!?さ、3ン!」

 

「4ですぞ!」

 

「5!!」

 

「6!」

 

「7ァ!」

 

 

よォーっし全員居ますわね!

 

「点呼ヨシッ!!ですわ。

早速竜王国へ出発しますわよ〜!!」

 

オォーッ!!と皆も拳突き上げやる気満々。困惑するニグン様はこの際放っておきましょう、ノリが大事ですのよノリが。

本日は別部署である陽光聖典の皆様のお手伝い、竜王国でビーストマンとドンパチしますわ!

人類を餌として食らう亜人、ビーストマン。獣の力を持った蛮族共は隣国である竜王国の住民を狙って昼夜問わず攻め込んで来るのです。成人のビーストマンの筋力は人間の10倍、種としての差があり過ぎる為に国民をバクバク食べられてしまい大きな被害を受けた竜王国のお姫様は困り果て、スレイン法国へ救援を求めました。そして多額の寄付金を法国へ納付する代わりに戦力を派遣してもらう契約を結びましたの。

 

「毎度の事ながら、派遣するのはたったの7人って法国もケチですわねぇ。」

 

「竜王国のお姫様はドラゴンだからねー、人間じゃないからお上も渋々ってカンジなんだろね。」

 

「そのくせ金は毟り取るんですもんねぇ、良い商売してますわ。」

 

クレマンティーヌの言う通り、竜王国の国王は真にして偽りの竜王と呼ばれるドラゴンの血を継いだワンエイスのお姫様。国主が人間ではないので法国的にはポイする流れなんでしょうね。

ただお金もらってるから仕方なく最低限の援助はしてやってるみたいですけど。

 

マジ汚ねぇ守銭奴国家ですわスレイン法国、我が神スルシャーナ様もこれには激おこですわよまったく…

 

今回派遣されるのは漆黒聖典から私とクレマンティーヌ、そして天使による波状攻撃と殲滅戦の得意な陽光聖典の精鋭5名ですわ。

 

「かの漆黒聖典から2名も出動を許されるとは…

共に戦える事を神に感謝致します。」

 

「かの《疾風走破》と《獄界絶凍》のお2人が居てくださればこれ程心強い事はありません、頼りにさせて頂きますぞ!」

 

ガッハッハと豪快に笑うオジサマはイアン・アルス・ハイム様。その隣で祈り捧げてるのはみんな大好きニグン・グリッド・ルーイン様ですわ。

2人とも声が良い!レアリティ★5はありますわね!

他のモブ聖典さん達も今日は頑張って下さいまし!

 

「「「お任せ下さい!」」」

 

うん、いい返事ですわ!でも左の貴方、スリングショットには注意して下さいね。打ち返されて頭が吹っ飛びそうな声してますわ。

 

 

 

 

 

 

移動中は特筆すべき事もなく、私達を乗せた移動用八足馬(スレイプニル)は森を抜け、まもなく竜王国へ到着しました。

荒らされた大地、壊され欠けた城壁に静まり返った街の中には負傷して苦しむ騎士や竜王国所属の冒険者達の姿が目立ちます。馬を降りてここからは徒歩で王城まで向かいましょうか。

 

「……なんか見られすぎじゃない?」

 

「私が美し過ぎるからじゃありませんの?」

 

「ナチュラルに自画自賛するのは相変わらずですか《獄界絶凍》殿…」

 

「ニグン様は前回の遠征で同じ班でしたもんねぇ、懐かしいですわ。

その時から戦況は悪かったですけれど…この様子だと前から酷かった物流が更に滞ってるみたいですわ。」

 

市場らしき一帯には露店はあっても商品は疎ら、食料品だけでなく医療品も不足している模様。

なんというか…前回よりも疲弊してません?

 

 

中には睨みつけるようにこちらを見つめてくる方もいますわ、「お前ら来んのおっせーんだよ」って目で訴えられてます?しょうがないですわよお役所仕事なんですから。

あ、諸事情により漆黒聖典である私とクレマンティーヌは外套で顔を隠してます。一応最高機密部隊ですので。手続きがめんどくせぇ所為で2人ともフル装備で来れませんでしたし、やはり法国はお排泄物(クソ)ですわね。

法国から神官の派遣と食料品の追加要請を出しときましょう。残り2つの砦を取り戻すまでの辛抱ですわ。

王城付近まで辿り着くと騎士に案内されて、私達は女王陛下の下まで通されました。小さな王女様は精一杯の笑顔で出迎えてくれます。

 

「ようこそスレイン法国の精鋭たち、待ちわびておったぞ!」

 

「オッスオッス久しぶりですわねドラちゃん!」

 

「おお!《獄界絶凍》どのも来てくれたのか。

これは頼もしい、これでようやく2つ目の砦を奪還する為の算段を立てられるな!」

 

玉座に座るドラちゃんの両脇を掴んで持ち上げてぐるぐる振り回すと「や〜め〜ろ〜!」って慌てる可変型ロリババア、マジ天使ですわ。

ドラウディロン・オーリウクルス。滅びかけの竜王国の為に健気に頑張るお姫様。やり手の宰相と竜王国唯一のアダマンタイト冒険者チーム『クリスタル・ティア』の助力の成果もあって、今日までビーストマンの侵攻から国を保ち続けています。

現在はスレイン法国から私や陽光聖典の皆様が介入した成果もあって、奪われた都市のうち王都から一番近い都を取り返す事に成功しましたの。

…私、原作でもこの国の結末知らないんですわよねぇ。割とガンガン介入しまくってますけど大丈夫でしょうか?あっ、クレマンティーヌでもういい加減やらかしてましたわ。今更今更。

ところで、後ろのクレマンティーヌの顔が真っ青になってんですけどお腹でも下しましたの?ぽんぽんぺいん?

 

「《疾風走破》殿、彼女達は初対面でこのやり取りをしていますので大丈夫です。今さらですよ。」

 

「えー…一応相手は女王陛下なんだけど。」

 

「宰相殿も無反応でしょう、なら問題ありません。慣れてください。」

 

「えー…」

 

ニグン様が悟った表情で何か言ってますけど無視ですわ無視!今はドラちゃんであそびますのよ!

こんなんじゃ満足出来ねえぜェ!

奥のセラブレイド様が凄く羨ましそうにこっち見てますわね…とりあえずドラちゃん抱き締めてこれみよがしに令嬢スマイルかましときますか。

 

あっ、血の涙を流し始めましたわ!(無邪気)

 

「ねー、なんで奥のおにーさん目から血ぃ流してんの?」

 

「心を無になさって下さい《疾風走破》殿。

いつものお戯れです。」

 

「ニグン隊長悟り過ぎでは?吾輩少々心配になってきましたぞ。」

 

暫くロリ女王陛下を撫でくりまわし、満足(サティスファクション)したので宰相殿とセラブレイト様からビーストマンの動向を詳しく説明してもらってから作戦会議です。

えーっと前回の襲撃ポイントは此処で、取り戻す都市はこっちだから…

 

「森の中の前線拠点が厄介ですわね。」

 

「少なくとも300は下らない数のビーストマンがそこにひしめいています。」

 

「宰相殿、この拠点はいつ頃から?」

 

「一週間ほど前ですかな。

前回、法国の皆様の御助力あって取り戻したこの都市からさほど離れていない。

恐らく次を奪い返される事を恐れて防衛線を敷いたのでしょう。」

 

森の中での遭遇戦はビーストマンに分があり過ぎるので、迂闊に突っ込むのは自殺行為。連中を天然の要塞から手前の平地に引きずり出す必要がありますわね。なら…

 

「前線に私が陣取って敵を誘き出しましょう。

クレマンティーヌ、クリスタル・ティアの皆様と森の側面から回り込みなさい。正面は騎士達のファランクスと陽光聖典の天使で固めて防御陣を敷いて下さいな。」

 

「《獄界絶凍》殿が陽動をして下さっている間にクリスタル・ティアと《疾風走破》殿が手薄になった拠点本陣を突くのですな。」

 

「そういう事ですわ。

竜王国側も兵の損失は望むところではないでしょう、なので防御に徹して頂きます。手を貸せるうちは私共に頼って下さいまし。」

 

「うぅ…すまんの《獄界絶凍》どの。」

 

「クリスタル・ティアの皆様は如何かしら?

敵拠点にはきっと都市から連れて来られた“食料”が沢山居ると思うのですが。」

 

「無論、生きている者は全員回収してみせるとも。任せてくれ。」

 

仲間と共に力強く頷くセラブレイト様。

決意は堅く、頼もしいですわね。血涙の跡が残っていなければまだ格好がつくのですけど。

 

「クレマンティーヌもいいですわね?

万一ビーストマンに囲まれても貴女の強さなら問題なく突破でき……クレマンティーヌ?」

 

「ほぇ〜〜ねーちゃんが真面目に会議してるとかめっずらしぃ〜…」

 

「ちゃんと聞いてましたの?ア・ナ・タ・はぁ!!」

 

「ごめんなさいごめんなさい聞いてませんでした!

ぎにゃあああああグリグリは止めでぇぇえッ!?」

 

仕事中なのにぼぅっとしてるクレマンティーヌに令嬢神拳奥義『脳天爆砕拳(妹の顬グリグリ)』が炸裂し現実に連れ戻します。力加減間違えるとホントに爆砕しちゃうのでていねていねていね〜いにね。

今のこの子の実力なら5、6匹同時に相手したとしても問題ないでしょう。後でクアイエッセ様から借り(ぶんどっ)た伝令用の使い魔を渡しておきますか。

私のレベリング中にクレマンティーヌもちょくちょく交じっていたので少しずつですがレベルが上がっているみたいです。実は漆黒聖典内でも純粋な近接戦闘でクレマンティーヌに勝てるのは私と隊長、それから番外ちゃんくらいなんですよね。

 

 

例のブツの実地試験もやりたいですし、ここは私が前に出るしかありませんわ。

番外ちゃんとの戯れに比べればビーストマンなんて貧弱貧弱ゥ!ですから。

 

「それでは拠点制圧戦、始めますわよ!」

 

 




《キャラ紹介》

レイラ・〝ドゥレム〟・ブラッドレイ
合計Lv85~90
槍使い【ハルバード】Lv10
エクスキューショナーLv10
ウォー・ウィザードLv10
エンチャンターLv10
ゴーレムクラフトLv10
エレメンタリスト・アイスLv10etc…

異能力《獄界絶凍(仮名)》
取得魔法の属性が一部に限られるのと引き換えに発動時に多大なバフがかかる、これは加算ではなく〝乗算〟である。ヤバい。
また冷気に対して完全耐性を持ち逆に相手が冷気に対する耐性を持っていても上書きしてダメージを通す希少能力。属性値の暴力で相手は死ぬ


ゲバルト・〝レーム〟・ブラッドレイ
合計Lv65
双剣使い(カットラス)Lv15
エクスキューショナーLv10
テクニカルマスターLv10
フェンサー(軽戦士)Lv10etc…
異能力《無し》
主人公の父親にして元漆黒聖典隊員、レイモンと同期。所属時は第2席次を担っていた。
洗礼名は『剣帝凄絶』、異能力無しにも関わらず神の血を覚醒させ、己の腕ひとつで戦果を上げ続け聖典入りするまでに認められた法国きっての武人である。その俊足と細腕に似合わぬ剛力をもってして容赦なく敵の首を斬り飛ばし、帰還時にはいつも返り血で真っ赤になって帰ってくるさまから一部の者から〝血濡れ(ブラッドレイ)〟と揶揄されている。が、本人はわりとその名を気に入っていたようで引退時に公爵の位を頂き領地を割譲された際、家名としてブラッドレイを登録している。




ん、こんなもんやろ


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