ポケライブ!〜One More Sunshine Story〜 作:チーケー
無事にクロサワ炭鉱の調査を終えたルビィたち。そしてルビィは夢への小さな一歩を踏み出そうとしていた。
クロサワ炭鉱の調査を終え、家に帰ってきたルビィ。調査は大成功を収め、鞠莉もルビィの功績を讃えてくれた。
しかし、そんな結果とは裏腹にルビィの表情と身体はガチガチに固くなっていた。
ルビィ「・・・。」
黒澤父「・・・。」
二人はピクリとも動きがない。そんな様子をダイヤは部屋の外から見守りつつ、先ほどのことを思い出す。
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ダイヤ『本当に一人でいいんですの?私も一緒に。』
ルビィ『大丈夫。ありがとう、お姉ちゃん。自分で決めたことだもん。一人でやらなきゃ。』
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ダイヤ「ルビィ、頑張って。」
そんな沈黙を破ったのは黒澤父の方だった。
黒澤父「ダイヤから聞いたぞ。クロサワ炭鉱での調査、大成功だったそうだな。」
ルビィ「・・・う、うん。」
黒澤父「・・・。」
ルビィ「・・・。」
そして再び沈黙が訪れる。
ルビィ(言うんだ。ルビィはポケモンアイドルをやりたいって。)
心ではそう思っても、なかなか言葉が出てこない。喉元まで出てくるも、父の迫力に圧倒され、すぐに引っ込んでしまう。
「ペロォ。」「メラァ!」
いつのまにいたのか、ペロッパフとヌメラがルビィの足に擦り寄っていた。
黒澤父「・・・。」
ルビィ「ありがとう。そうだよね。言うって決めたんだもん。勇気出さなきゃ。」
ルビィは一度深呼吸をすると立ち上がり、自分の想いを伝え始めた。
ルビィ「お父さん、お願いがあるの。私、ポケモンアイドルになりたい。お父さんやお姉ちゃんが言うようにトレーナーとしてはまだまだだってことは十分に分かってる。でも私のやりたいことだから!」
そう言って自身のポケモンたちを抱えると今までにない力強い声で言い放つ。
ルビィ「少しずつにはなると思うけどこの子たちと一緒に頑張りたい!!」
何も言わずにそれを黙って聞いていた黒澤父は聞き終わると口を開く。
黒澤父「正直に言って、お前が一人で何かを成し遂げるなんてことは今のままでは到底無理としか思えない。」
ルビィは父の言葉に唇を噛む。
黒澤父「しかし、お前が決めたことだ。後悔のないようにしなさい。それと、あの力の制御も忘れるんじゃないぞ。」
そう言うと父は部屋を出て行った。
ルビィは全ての力が抜け、すとんとへたり込む。
ルビィ「・・・分かってくれたんだよね。」
腕の中の二匹を強く抱きしめる。
「ペロ?」「メラ?」
ルビィ「頑張ろうね。みんなで!!」
「ペロ!」「メララ!」
黒澤父「ダイヤ、ルビィは大きくなったな。」
ダイヤ「ええ、もっと大きくなりますわ。」
〜〜〜〜〜〜
その後、ルビィは鏡の前に立っていた。
ダイヤ「本当にいいんですのね?」
ルビィ「うん、ばっさりとお願い。」
ダイヤ「じゃあいきますわよ。」
ジョキン
ルビィ「私、なってみせる。お姉ちゃんにも負けないすごいトレーナーに。」
ダイヤ「ええ、その日を待っていますわ。」
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次の日ー
花丸「ルビィちゃん!それ!」
善子「へー。」
ルビィは二つに括った髪を恥ずかしそうにさわさわといじる。
ルビィ「ど、どうかな。似合ってる?」
花丸「すっごく似合ってるずら!可愛いずら!!」
善子「ロングも良かったけど、そっちの方がさっぱりしてていいんじゃない。」
ルビィ「へへ、ありがとう!二人とも!!」
他の人から見れば小さな一歩。
しかし、ルビィにとっては大きな一歩。
ルビィの冒険はここから始まる。
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千歌の教室ー
千歌「えへへへ。」
千歌は席に着きながらニヤニヤと笑っていた。
曜「おはよー、千歌ちゃん!・・・って何かあった?」
千歌「おはよ、よーちゃん!昨日ね、ルビィちゃんをポケモンアイドルに誘ったの!」
曜「おお、ついに仲間を見つけたの?」
その曜の問いに千歌は笑顔で答える。
千歌「ううん。一緒にっていうのは断られちゃった。」
曜「あ、そうなの?じゃあなんでそんなにご機嫌なの?」
千歌「ルビィちゃんがね、『一緒には出来ないけどライバルとしてこれからよろしく!』って!一緒にできないのは残念だけど、そう言ってもらえたのが嬉しくて。」
曜「なるほど。一緒に高め合えるライバルか。いいね、頑張ってね、千歌ちゃん!」
千歌「うん、ルビィちゃんに教えてもらった『ポケモンアイドルランキング』にも登録したし、地方遠征が楽しみだよ!!」
それを聞いてから曜は少し真剣な顔つきになって千歌に問う。
曜「そういえば聞いてみたかったんだけど、千歌ちゃん、ずっとグループでのポケモンアイドルに拘ってたけど何か理由があるの?」
その問いに千歌は少し戸惑う。
やがて決心がついたのか、千歌は曜に向き合うと話し始めた。
千歌「グループでやってたμ'sに憧れたのはあるんだけど、最近ねよく夢に見るんだ。千歌を含めたグループでステージで踊って歌う姿。」
曜「千歌ちゃん、もしかしてそれってー。」
そう言いかけた曜を千歌は手で制する。
千歌「まだよく分かんない。でも関係はあるのかもしれない。だから、こっちでもグループを組んでポケモンアイドルしたら何かわかるんじゃないかと思ったんだけど・・・。」
千歌はそこまで言うと両手で頬を叩く。
千歌「ダメダメ。暗い話は良くないよ。もうこの話はおしまい!!そうそう、よーちゃん!地方遠征はどこ行くの?」
そう話を切り替える千歌を見て曜は胸の奥が痛むのを感じた。
〜〜〜〜〜〜
ところ変わって、
ここはとある場所にある国際警察の総本部。
捜査員の一人でもある絵里は深くため息をついていた。
絵里「ハァ、せっかく久々に取れた休暇だったのに急に呼び出しくらうなんて。」
ここ最近、仕事続きで多地方へ飛び回っていたために余計に憂鬱になる。そう思いながらも気を引き締め、ここUB対策本部の扉を叩く。
???「どうぞ。」
程なくして中から了承の声がかかり、絵里は扉を開ける。
絵里「失礼します。」
???「すみませんね、絵里さん。急に呼び出してしまって。」
絵里「いえ、慣れてますので。リラさんが動いているということはもしかして。」
リラと呼ばれた女性は困ったように顔を顰めると話し出す。
リラ「ええ。ここ最近、オトノキ地方で高濃度のウルトラオーラの反応を観測しています。」
絵里「やっぱり・・・。オトノキチャンピオンと侑選手が失踪した時と同じ状況ですね。」
リラ「ええ。上層部の方でもそのことに着目して何か関係があるのではと睨んでいるようです。そこで絵里さんにはこの失踪事件の再調査をと思いまして。」
絵里「私一人でですか?いつもならハンサムさんとか上司の方と。」
絵里は国際警察になってまだ日が浅い。いつもの調査では直属の上司であるハンサムなどに付き添う形だったはず。一人での調査を命じられたのは今回が初だ。
リラ「実は今、ハンサムさん始め他の方達は別件でシンオウ地方の方に出向いていまして。ですが、諜報部の方から二名がオトノキ地方に潜入捜査してるらしいのでそちらと連携を取りつつ、調査をお願いします。」
絵里「そういうことなら分かりました。早速、行ってきます。」
リラ「くれぐれも気をつけてくださいね。UBが絡んでる可能性もありますので。」
UB。ウルトラホールより現れし異世界の謎の生命体。
リラさんはかつてアローラ地方でUBの任務に当たったことがあると聞いたことがある。それを思い出しているのか、顔はいつになく真剣だ。
絵里「はい、十分に気をつけます。」
そう言って、私はUB対策本部を後にした。
絵里「さてと・・・!!」
そんな絵里の前に直属の上司であるハンサムが現れる。
ハンサム「・・・。」
絵里「ハンサムさん!?どうしてここに?シンオウの方に行ったって聞いてましたけど。」
驚く絵里をよそにハンサムは何も言わず、じっと絵里を見つめている。
ハンサム「・・・。」
絵里「あ・・・あの、ハンサムさん?」
ハンサム「・・・ニッ。」
そしてハンサムがニヤリと笑ったかと思うと突如彼の体は激しく発光する。
絵里「!!」
そして気づいた時にはハンサムの姿はなく、代わりにいたのは。
「ニヒヒ。」
わるぎつねポケモンとも言われるゾロアというポケモンだった。
絵里「ゾロア!!また勝手にボールから出たわね!!悪戯もほどほどにしなさいっていつも言ってるでしょ!」
ゾロア「ニヒヒ!」
ゾロアは笑いながら駆け出していく。
絵里「こら、ゾロア!待ちなさい!!」
絵里はそんなゾロアを追っていくのだった。
捜査官1「絵里ちゃん、また騙されてるよ。」
捜査官2「いつものことでしょ。」
〜〜〜〜〜〜
一方その頃
ヌマヅ地方 クロサワ炭鉱ー
深部にある地底湖にて怪しい人影が蠢いていた。
???『発見しました、文献で見た通りです。これがー。』
鞠莉『分かりました。では地底湖への道を封鎖して戻って来てください。』
???『回収しないのですか?』
鞠莉『まだ早いです。今、目覚めさせても暴走を起こしてしまうだけ。時期を待ちましょう。あの娘の能力が解放する時を。』
???『了解です。』
ピッ
通話を終えると鞠莉は怪しく微笑む。
鞠莉「データは十分に取れました。本格的に計画実行に移りましょうか。私の願いを叶えるためにも。あの子のためにも。」
誰も知らないところで怪しい計画が水面下で少しずつ動き出していた。
TO BE COTINUED...