ポケライブ!〜One More Sunshine Story〜   作:チーケー

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前回のポケライブ!
ついに始まった地方遠征。オトノキ地方へ出発するため港町コンペキタウンへとやってきた千歌たち。しかし、そんな千歌たちの前に野生のドククラゲが襲いかかる。バトルの最中、ピンチに陥った善子を助けたのは真っ赤な眼をしたポケモンだった。


#15 紅き眼光!ルガルガン!!

 

突如、現れた謎のポケモンの突進をモロに受けたドククラゲは海の方へと吹っ飛ばされる。

 

真紅の体をしたポケモンは静かに善子の方へと近づいていく。

 

千歌「善子ちゃん!」

 

ドククラゲのように善子も襲われると思った千歌は慌てて善子の方へと駆け寄る。

 

チャリ

 

静かに歩み寄ってきたポケモンの首にかかっていた首輪のようなものが揺れて音を鳴らす。

 

千歌「あの子、首輪ついてる。ってことは誰かのポケモンってこと?」

 

そう言いながら千歌はスマホを取り出し、ポケモンへと向ける。

 

【ルガルガン(まよなかのすがた)】 

オオカミポケモン

 気に入らない 命令は 平気で 無視。

 肉を 切らせて 頭突きを くらわせ 

 タテガミの 岩で 骨を 砕く。

 

善子「・・・!!」

 

それを聞いた善子は何かに気づいたのか、近寄るルガルガンへと歩み寄る。

 

千歌「善子ちゃん!?」

 

近くまで来るとルガルガンはジッと善子を見つめて動かない。

 

善子は首回りに手をやると首輪についていたプレートに目をやる。

 

そこには子供の拙い字でこう書かれていた。

 

『らいらぷす』

 

善子「!!」

 

それを見て全てを理解した善子は瞳に涙を浮かべてルガルガンへと抱きついた。

 

千歌「!?」

 

善子「ライラプス〜!!あんた、どこ行ってたのよ!!」

 

ルガルガンは大人しく、子供のように泣きじゃくる善子の抱擁を受け入れるのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

5年前・・・

 

善子の家

 

善子「ママ!私、今度10歳の誕生日でしょ!私、ポケモン欲しい!」

 

そんな善子の言葉に善子母は一瞬戸惑う。

 

小さい頃からポケモンに懐かれた覚えの無い善子。

 

外に出れば鳥ポケモンに突かれる。

 

近くに住む知り合いの大人しいというポケモンも善子の前ではなぜか凶暴になる。

 

と、挙げればキリがないほど善子はポケモンに懐かれたことがない。

 

そのことから善子母は善子にポケモンを持たせるのを悩んでしまっていた。

 

善子母「そうね。でも善子、ポケモンに懐かれたことないでしょ?この間だって街の野良ポケモンに噛まれそうになってたでしょ。」

 

善子「今度は大丈夫よ!よーちゃんも10歳の時にポケモン貰ったって言ってたし!だから、ね!いいでしょ!」

 

善子は強い口調で母親へと迫るとそのまま抱きついて駄々をこねる。

 

善子母「分かったわよ。そこまで言うならちょっと探してみるから!」

 

善子「やった!約束だからね、ママ!!」

 

はしゃいで喜ぶ善子の姿に善子母は仕方ないなと思いつつ、知り合いの伝手を当たるのだった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

善子誕生日当日。

 

テーブルには豪華な料理が並べられている。

 

善子母「善子、10歳の誕生日おめでとう!そして、お待ちかねの・・・。」

 

善子「ポケモン!!」

 

そう言って善子母は隠してあったケージを持ってくる。

 

善子母「知り合いのポケモン保護をしてる人に保護ポケモンを譲ってもらったの。大人しい子を選んでもらったんだけど・・・。」

 

そんな母親の話を聞かずに善子は早くもケージの扉を開ける。

 

善子「ポケモンさん、出ておいで。」

 

善子がそう声をかけると少し怯えた様子で一匹のポケモンがケージから顔を出す。

 

善子母「善子、少しは話聞きなさい。その子はイワンコって言うポケモン。捨てられてるところを引き取られてきたんですって。」

 

それを聞いて善子はイワンコを優しく撫でる。

 

善子「そっか、じゃあきっと辛かったよね。大丈夫!これからは私がたくさんお世話するから!」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

それから、善子とイワンコが心を通わせるのに時間はかからなかった。

 

善子はイワンコにライラプスと名前をつけ、可愛がった。

 

一緒に起きて、一緒にご飯食べ、一緒に遊び、一緒に眠る。

 

いつでも2人は一緒だった。

 

今までポケモンに懐かれなかった善子にできた初めてのポケモンの友達。

 

善子「ライラプス!私たち、ずっと一緒よ!」

 

「ワォン!」

 

そんな2人の関係は些細な出来事で終わりを迎える。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

ある日のこと

 

いつものようにライラプスと散歩をしていた善子の前に一匹の野良ポケモンが現れる。

 

「グルル。」

 

黒い体をしたポケモン。デルビルである。腹が減っているのか、気が立っており、今にも襲いかかってきそうな勢いだ。

 

善子「な、何よ!ライラプス、行くわよ!」

 

早々にその場を立ち去ろうと後ろを振り向いたのが悪かったのか、デルビルはその背中に噛みつこうと牙を立て、襲いかかる。

 

それをライラプスは間に飛び込むことで阻止する。

 

善子「ライラプス!」

 

「グルル!」

 

デルビルはそれに怒り、ライラプスへと噛みつく。

 

「キャン!?」

 

善子「ライラプス!逃げて!」

 

しかし、バトル慣れしていなかったライラプスはその場でもがくが、デルビルに簡単に抑え込まれてしまう。

 

「きゃうん。」

 

そうしてライラプスは力無く倒れ伏してしまった。

 

善子「・・・ライラプス。」

 

「グルルル。」

 

デルビルは標的を善子へと変え、ジリジリと迫り来る。

 

が、善子は腰が抜けてしまい、立ち上がることもできない。

 

???「タマザラシ、“ころがる”!!」

 

そこへ突如として丸い物体が転がってきてデルビルを吹っ飛ばす。

 

「ウォゥ!?」

 

善子「タマザラシ、ってことは。」

 

そう言ってタマザラシが転がってきた方を向くとそこには。

 

曜「大丈夫!善子ちゃん!タマザラシ、続けて“みずでっぽう”!!」

 

「タマッ!」

 

タマザラシから放たれた水がデルビルに襲いかかる。炎タイプのデルビルには効果は抜群だ。

 

「ウゥ。」

 

その一撃で負けを認めたのか、デルビルは振り返ることなく逃げていった。

 

曜「善子ちゃん、怪我はない?」

 

善子「うん、ありがとう。でも、ライラプスが。」

 

曜「早くポケモンセンターに行こ!」

 

善子「うん!」

 

ライラプスを抱えると2人は近くのポケモンセンターへと走った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

大した怪我ではなかったようでライラプスはすぐに戻ってきた。

 

善子「ごめんね、ライラプス。」

 

身を挺して自分を守ってくれたライラプス。そんな光景をただ見ることしかできなかった自分がとても悔しかった。

 

善子「ライラプス、私、強くなる。私ももうトレーナーなんだもん。」

 

「・・・・・・・。」

 

善子の言葉をライラプスは静かに聞いていた。ある決意を胸に秘めながら。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

翌日、ライラプスは善子の前から姿を消した。

 

何を言うこともなく、静かに。

 

善子はショックを受け、しばらくの間、部屋に引きこもってしまった。

 

善子「私がトレーナーとして未熟だったからライラプスは私を見限ったんだ。私にもっとポケモンの知識があれば。」

 

これをきっかけに善子はウラホシポケモンスクールへの入学を決める。

 

かつてのライラプスにも認められるような立派なトレーナーになるために。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

現在・・・

 

善子は少し落ち着きを取り戻し、改めてライラプスへと顔を向ける。

 

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた顔をライラプスは優しく舐める。

 

善子「本当にライラプスなのね。」

 

その一言にライラプスはゆっくりと頷く。

 

その光景を千歌たちは呆然と見つめていた。

 

そんな再会も束の間、吹っ飛ばされていたドククラゲが再び陸へと上がってきていた。

 

善子はライラプスへと目を向ける。

 

それだけで伝わったのか、ライラプスは戦闘体制を取り、ドククラゲへと歩み寄る。

 

「クラァ!」

 

「ワォーン!!」

 

ライラプスの咆哮が海の彼方まで響き渡り、バトルが再開される。

 

ドククラゲの触手が一気に伸び、強烈な“どくづき“がルガルガンへと迫る。

 

しかし、善子の指示は、

 

善子「ライラプス、全部受け止めるのよ!」

 

「ガウゥ!!」

 

何本もの触手を避けることなく真正面から受け止める。

 

「ガウゥ。」

 

“どくづき”の追加効果で毒状態になってしまうも、ライラプスはその場から引くことはない。

 

善子「そのまま、投げて!」

 

「ガウゥ!!」

 

ライラプスは受け止めた触手を掴むとドククラゲの巨体を難なく空へと放り投げる。

 

空中へと放り出されたドククラゲは、なす術もない。

 

善子「そこよ!“からげんき”!!」

 

「ルルァ!!」

 

毒状態になっていることで威力の上がった強力な“からげんき”がドククラゲに命中し、そのまま地面へと勢いよく叩きつけられる。

 

それでもまだ倒れず、ドククラゲは起き上がり、次の攻撃の準備を始める。

 

善子「しぶといわね。次で決めるわよ!ライラプス!」

 

「ガルゥ!」

 

ドククラゲはパワーを貯めているのか、体からオーラが迸る。

 

梨子「まずい!“ギガインパクト”をするつもりだわ!」

 

しかし、善子とライラプスに避ける意思は全く感じられない。真正面からぶつかろうとしている。

 

千歌「善子ちゃん、あの攻撃ヤバそうだよ。避けた方が。」

 

善子「大丈夫よ!いけるわよね!ライラプス!」

 

「ワォーン!!」

 

善子に応えるようにライラプスは一際、大きく吠える。

 

それを合図にパワーを溜め込んだドククラゲがものすごい勢いで突っ込んでくる。

 

ライラプスはそれを全身で受け止める。

 

善子「いいわよ!ライラプス!そのまま!“こらえる”!」

 

ライラプスは指示通りにドククラゲの激しい“ギガインパクト”を受け止め続ける。

 

やがてパワーが無くなり、先ほどの勢いが無くなってきたところを善子は見逃さない。

 

善子「そこよ!叩き込め!“カウンター”!!」

 

先ほどの“ギガインパクト”の倍のダメージをドククラゲへ勢いよく叩き込む。

 

「グラァァァ!!」

 

その勢いは凄まじく、ドククラゲは海の彼方へと吹っ飛ばされていった。

 

善子「・・・やった。やったわよ!ライラプス!!」

 

「ガルゥ!!」

 

2人で健闘を讃えあう。

 

こうして、ドククラゲの一件は善子とライラプスの活躍により解決されたのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

コンペキタウン ポケモンセンター

 

善子は報告のため家へと電話をかけていた。

 

善子母『無事に会えたみたいね。』

 

善子「ママ、知ってたの!?」

 

善子母『あなたが出てってすぐライちゃんがうちの扉を叩いたのよ。今、出ていったって言ったら一目散に走り出しちゃって。』

 

善子「そっか。あ、そうそう、ライラプスのボール。」

 

善子母『ええ、今そっちに送るわ。頑張ってきなさい!善子!』

 

善子「ええ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

その後、千歌たちは先ほどのバトルの話で花を咲かせていた。

 

千歌「それにしても凄い戦いだったね!善子ちゃんたち、一歩も引かないんだもん。」

 

善子「ライラプスはじめ、まよなかのすがたのルガルガンはああいう戦闘を好むことを知ってたから。戦いやすいようにアシストしてあげたの。ポケモンの実力を最大限に引き出すのがトレーナーの役目でしょ。」

 

梨子「うん、いい判断だったわね。逆にまよなかのすがたのルガルガンは気に入らなければトレーナーの言うことは簡単に無視するって聞くし。」

 

花丸「じゃああの動きができたのもライラプスが善子ちゃんを信頼してる証ずらね。」

 

善子「ふふふ、当たり前でしょ!」

 

そこへ出航のアナウンスが響く。

 

『まもなく、オトノキ地方行きミライ号が出航いたします。お乗りのお客様は準備をお願いいたします。』

 

千歌「よーし!オトノキ地方にレッツゴー!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

???「・・・。」

 

青い髪をした少女が無表情で海を見つめている。

 

そこへ、赤い髪をした少女が呆れ顔でやってくる。

 

???「また実験失敗か?ことごとくやられちまったじゃないか、四季。」

 

四季「メイ?実験は失敗を繰り返すもの。今回でいいデータは取れた。」

 

メイ「そうか?じゃあ私たちも一旦、戻ろうぜ。」

 

そうして謎の2人組もオトノキ地方行きの船へと乗り込んでいくのだった。

 

 

 

TO BE CONTINUED...

 





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