ポケライブ!〜One More Sunshine Story〜 作:チーケー
梨子の用事のため、善子たちと分かれてハクヨウシティへと向かうことになった千歌と梨子。そんな2人の前に謎のポケモンが空から現れて・・・。
千歌たちがトラスタウンを出発した頃・・・。
オトノキ地方のとある街のホテルの一室に集まった3人。
絵里「初めまして。UB対策本部のリラさんの依頼で来ました。絵里です。」
千砂都「諜報部の千砂都です。そんなに畏まらなくていいよ。私たち、そんなに歳も変わらないし。」
愛「そうそう、肩の力抜いていこうよ。リラックス、リラックス。リラだけに!あっ、同じく諜報部の愛でっす!」
思っていたよりも軽いノリの二人に驚きつつも、軽く笑顔を見せてから用意された椅子に座る絵里。
絵里「それじゃあ遠慮なく。千砂都、愛、よろしく。」
お互いに自己紹介が済んだところで椅子に座った千砂都は先ほどと打って変わって神妙な顔つきになると口を開く。
千砂都「さて、早速だけど本題に入ろう。愛ちゃん。」
その言葉で愛は用意していたスクリーンに資料を投影する。
愛「リラさんから言われてできる限り情報は集めておいたよ。まずは事件の概要を改めて。ちょうど1年前、現オトノキリーグチャンピオンでもあるツバサさんとこの年のオトノキリーグ優勝者、侑さんがオトノキリーグの閉会直後に謎の失踪。この時、近辺で高濃度のウルトラオーラの反応やウルトラホールらしきものの目撃情報が多くあったことから本件をUB関連の事件として国際警察が調査に当たったものの、特に決定的となる証拠や痕跡などが見つからなかったため、捜査が打ち切られる。」
絵里「しかし、最近になってオトノキ地方各地での高濃度のウルトラオーラの反応に加え、侑さんと思しき人物の目撃情報が多く上がっていたことから再捜査をすることになったと。」
その絵里の言葉に愛は真剣な顔つきから先ほどの元気な顔に戻ると言った。
愛「そうそう!ゆうゆの目撃情報なら信憑性は上がったよ。ここ来る前にりなりーのとこに寄っていったんだけど、りなりーによればウルトラオーラの反応のあった近くでゆうゆのポケモン図鑑の反応もあったって。」
千砂都「愛ちゃん、今、会議中。」
千砂都にそう言われ、愛は慌てて口調を元に戻して言い直す。
愛「侑さんのポケモン図鑑の反応がウルトラオーラの反応のあった近くで確認されていたみたい。」
千砂都「じゃあ、侑さんは何かの目的でウルトラホールの出る場所を周ってるってこと?」
絵里「それか、侑さんがウルトラホールを使って移動をしているから侑さんが現れる場所にウルトラオーラの反応があるとか・・・。」
愛「ウルトラホールを使った移動。現実味はないけど、可能性としてはなくはないかもね。」
そうして3人で腕組みして唸る。」
千砂都「仮にウルトラホールの出る場所を周ってるのだとしたら、侑さんはどうやってウルトラオーラを検知してるんだろう?」
絵里「誰か協力者がいるとか?」
愛「ウルトラオーラの反応を事前に検知できる人物というと思い当たるのは・・・。」
そう言って千砂都と愛は絵里の方を無言で見る。
その視線に気づき、絵里は小さくうなずくと口を開く。
絵里「・・・穂乃果ね。確かにあの子ならそれができるわ。」
愛「確か穂乃果さんがいなくなったのもあの事件の少し前じゃなかったっけ。」
千砂都「無関係とは言いにくそうだね。」
と、その時けたたましいサイレン音が室内に響き渡る。
絵里「こ、この音は!?」
千砂都「ウルトラオーラの反応を知らせるサイレン!愛ちゃん、場所は!?」
愛は急いで持っていたタブレットを操作するとすぐにスクリーンへと映し出す。
愛「トラスタウンのすぐ近く!と、ちょっと待って!UBの反応も確認!」
千砂都「嘘でしょ!?2人はトラスタウンにすぐ行ってもらえる?私はこのことを上層部の方に伝えてくる。」
そう言って慌ただしく千砂都は部屋から出ていく。
愛「私たちも行こう!エリー!」
絵里「ええ。・・・エリー?」
そうして2人も急いでトラスタウンへと向かうのだった。
〜〜〜〜〜〜
突如として空から現れた謎のポケモンを前に動けなくなる2人。
その理由として現れたソレがおよそポケモンとは思えない奇妙な姿をしていたからだ。
赤い色に虫ポケモンのような頭部、筋肉質な上半身、4本の細い脚。
梨子「こんなポケモン見たことない。」
千歌「こういう時こそポケモン図鑑!」
そう言って千歌はスマホを取り出してポケモン図鑑を起動させる。
しばらく検索中となった後、スマホに表示されたのは。
『データなし』
千歌「えっ。データなし?」
梨子「ポケモン図鑑内のデータにないポケモンってこと!?新種!?」
「ババァルクウッ!!」
千歌 梨子「!?」
驚いていた2人に容赦なく謎のポケモンの拳が振り下ろされる。
急なことで2人はとっさに避けるもすぐに躓いてしまう。
千歌「じ、地面が・・・。」
梨子「な、なんてパワー。」
2人がさっきまでいた地面は大きくひび割れを起こしまるで地割れでも起きたようになっている。
千歌「あ、あんなの当たったら怪我なんかじゃ済まないよ!?」
梨子「ここを離れよう!」
現れた圧倒的強者に恐怖を覚えた2人はすぐにこの場を離れることを決める。
千歌「私が隙を作る!梨子ちゃんはこの子のこと、お願い!!」
千歌はそう言って抱いていたニャースを梨子に預け、謎のポケモンへ向き直る。
千歌「ヨーちゃん、お願い!“いやなおと”!!」
「ヨギ~~!!」
辺りに不協和音が響き渡り、謎のポケモンも一瞬、怯む。
千歌「今だ!走れ~~!!」
梨子「言われなくても!!」
その隙を見逃さず、千歌たちは全力で走り出す。
が、大きな影が上空を通ったかと思うと目の前に先ほどのポケモンが立ちふさがる。
「ババァルクウッ!!」
千歌「うぇっ!?」
梨子「嘘でしょ!?」
また襲ってくる、かと思いきや、謎のポケモンはその場でまるで体を見せつけるようにポーズを取る。
千歌「な、何やってるの?」
梨子「私に聞かれても。」
そんな謎の行動に動けずにいると、上空から大きな影がもう一つ現れる。
???「オンバーン、“ばくおんぱ”!」
上空から放たれた強力な音波攻撃に謎のポケモンは大きく吹っ飛ぶ。
梨子「今度は何!?」
千歌「ポケモンだよ!誰か乗ってる!!」
千歌が指さす先には、大きな翼をはためかせ、飛ぶポケモンの姿。その背中には人らしき影も見える。
それに反応したのか、千歌のスマホロトムが勢いよく飛び出してきてポケモン図鑑を起動させる。
【オンバーン】
おんぱポケモン
耳から発する 超音波は 巨大な
岩石も 粉々に 砕く。血の気が
多く 残忍な 性質。
「ババァルクウッ!!」
先ほど吹っ飛んだ謎のポケモンは怒ったのか、先ほどよりも甲高い声を上げ、オンバーンに向かって飛んでいく。
???「オンバーン、“ぼうふう”!!」
「ゲキャキャキャ!!」
オンバーンは翼を素早く動かし、強力な風を起こす。その風は竜巻となり、謎のポケモンを襲う。
そのまま地面へと叩きつけられ、動かなくなる謎のポケモン。
「バルゥ・・・。」
そのポケモンの近くへオンバーンは降り立つ。
千歌「うわ、近くで見ると結構大きい・・・。」
梨子「乗ってたのは人よね?」
梨子がそう思ったのも無理はなく、降りてきた人物は青と白のスーツのようなものに身を包み、目元には仮面のようなものを付けており、人間離れした姿をしていたからである。
その人物は、千歌たちには目もくれず、先ほど倒したポケモンの前まで行くと見慣れない青いボールを放り、ポケモンを捕獲してしまった。
仮面の人物はボールを拾うと、千歌たちの元まで行き、声をかけてくる。
???「貴方たち、怪我はない?」
千歌「は、はい。私は大丈夫です。」
梨子「私も。そんなことよりあのポケモンは何?あなたは何者?」
そう質問をする梨子に仮面の人物は、オンバーンに再び乗ると人差し指を鼻の前に持っていく。
???「悪いんだけど、ちょっと詳しいことは話せないんだよね。ここであったことも他言無用でよろしく!」
そう言って、空へと飛び立っていったかと思いきやその姿は一瞬で見えなくなってしまった。
千歌「うわ、もうあんな遠くに。」
梨子「何なの一体・・・。」
多くの謎を抱えモヤモヤするも、2人はニャースのことを思い出し、急いでトラスタウンへと戻るのであった。
〜〜〜〜〜〜
それから数十分後・・・
愛「愛さん、とーちゃーく!!」
ウルトラオーラを感知した現場に愛と絵里の二人が到着する。
絵里「ウルトラビーストが出たというのは本当みたいね。地割れが起きてるわ。」
愛「恐らくだけどここに現れたのはこれだね。UB02 EXPANSION、マッシブーンとも言うね。」
そう言って愛は持っていたタブレットに情報を表示して絵里に見せる。
絵里「凄まじい筋肉を持つウルトラビースト。」
愛「近くのトラスタウンには被害は出てないみたいだし、そこは一安心だね。」
絵里「一体ここで何が・・・。」
〜〜〜〜〜〜
トラスタウン ポケモンセンター
千歌と梨子はジョーイにニャースを預けると、待合室で待つことにしていた。
梨子「さっきのこと、どう思う?」
ふいに梨子がそう口を開く。
千歌「う~ん。確かに色々と気になるけど、考えても分かんないことは考えるだけ無駄かなあって。」
梨子「まあ、そうよね。」
千歌のその言葉に梨子は余計な思考を振り払うように頬を叩く。
梨子(そう、余計なこと考えるより今は自分のこと。)
その時、治療室の扉が開き、ジョーイとラッキーがニャースを乗せたストレッチャーを押して出てくる。
千歌「ジョーイさん!この子、大丈夫なんですか?」
心配そうに顔を歪める千歌にジョーイはにっこり微笑んで言う。
ジョーイ「大した怪我ではなかったから大丈夫よ。2~3日もすれば目を覚ますわ。」
千歌「良かったあ!梨子ちゃん!!」
梨子「分かってるわよ。急ぎでもないしあの子が元気になるのを見届けてから出発しましょ。」
千歌「わーい!ありがとう!!梨子ちゃーん!!」
こうして2人はニャースが元気になるのを待ってから出発することを決めるのだった。
〜〜〜〜〜〜
2日後・・・。
未だ目を覚まさないニャースの看病を続けながら、千歌たちは先にアキバシティへ向かったルビィたちと話をしていた。
千歌「それじゃあ無事にアキバシティに着いたんだ!」
ルビィ「うん、これから善子ちゃんのジム戦に行くところ。」
梨子「良かった。アキバシティへは“惑わしの森”を抜けなきゃいけないから心配してたの。」
トラスタウンからアキバシティへ向かう途中、通ることになる森。通称“惑わしの森”。ここは野生ポケモンの悪戯により迷う人が後を絶たない森であり、梨子が心配だった場所の1つでもあった。しかし、そんな心配をよそに3人は見事に森を抜け、アキバシティにまで到達していた。それを知り、梨子は胸を撫で下ろす。
花丸「マルの新しい仲間のおかげずら!!」
そう言って花丸は緑色のポケモンを千歌たちに見せる。
「ポポッ!!」
【ポポッコ】
わたくさポケモン
気温が 高くなると 花開く。
太陽の 光を 浴びるため
空に 浮かんでいく。
ルビィ「ポポッコちゃんの活躍、2人にも見せたかったなぁ。」
善子「そっちも大変そうね。傷ついたポケモン、拾うなんて。」
この間の出来事については口止めされたこともあり、善子たちにも詳しくは話していない。とりあえず傷ついたニャースを拾ったということだけ伝えていた。
千歌「まあね。でも、傷ついた子、放っておけないし。」
善子「それもそうよね。それじゃ私の初ジム戦突破の報告を楽しみにしてなさい!!」
そうして通話は切れた。
千歌「みんな、元気そうで良かったね。」
梨子「そうね。この子も早く目を覚ますといいけど。」
そう言って梨子はニャースを軽く撫でる。
「・・・ンニャ。」
それに反応したのかニャースの目が開く。
千歌「あっ!起きた!私、ジョーイさん呼んでくる!!」
今にも部屋を飛び出して行こうとする千歌に梨子が叱責する。
梨子「ここ、ポケモンセンターだから静かに!!」
千歌「あっそうでした。」
そう言って千歌は静かに部屋を出て行った。
そんなやり取りを薄目で見ていたらしいニャースは驚いたように目を見開く。
そして、
ニャース「・・・こ、ここはどこなのニャ~~~~!?」
一瞬の沈黙。
それから梨子は大声で叫んだ。
梨子「ニャ、ニャースが喋ったあああぁぁぁぁぁ!!!」
その叫びはポケモンセンター中に響き渡ったのだった。
TO BE CONTINUED...