ポケライブ!〜One More Sunshine Story〜 作:チーケー
オオベニシティに辿り着いた歩夢たち。ドキピポラボにて消えた侑について聞く最中、モニターに映し出されたのはオトノキ最強のジムリーダー、海未の姿だった。
海未「久しぶりですね、歩夢。」
歩夢「海未さん!?どうして?」
しずく「海未さんってあのオトノキ最強のジムリーダーと言われる!?」
かすみ「伝説のアイドル、元μ'sのメンバー!!」
愛「これは大物が出てきたね。」
突如、モニターに映された海未の姿に歩夢たちは口々に驚愕の声をあげる。
海未「色々、言いたいことはあるでしょうが、時間があまりありませんので本題に移らせていただきます。」
そう言って海未は話を続ける。
海未「先程も聞いたと思いますが、今の歩夢では実力不足です。そこで私の方から提案があります。」
海未「実力を上げるために私の出す課題に挑戦してみませんか?短期間で実力を上げる課題のため、達成するのは容易ではありませんが、もしクリアできた時には、歩夢の侑捜索を認めましょう。」
海未のその発言にかすみは思わず口を挟む。
かすみ「そ、その課題っていうのはどういう内容なんですか?」
海未「私を含めたオトノキ地方のジムリーダー8人との本気のポケモンバトルをしてもらいます。私たちはあくまで1人のトレーナーとして相手をさせてもらいますので一筋縄ではいかないと思っていただければ。」
愛「それはまた厳しいね。つまりは歩夢の今のレベルに関係なく、自分たちの最強メンバーで挑むってことでしょ。」
海未「そういうことになります。しかし、これを乗り越えることができれば大幅なレベルアップに繋がります。さぁ、歩夢。乗るも蹴るもあなた次第です。どうしますか?」
歩夢はじっと海未の目を見つめて考える。
歩夢(確かにかなり厳しい課題。今の私の手持ちでは到底、太刀打ちできないことは容易に想像がつく。)
歩夢(でも、私は侑ちゃんを助けたい。今度は侑ちゃんの隣に立って一緒に戦いたい。)
決意を固めた歩夢は大きな声で海未に宣言する。
歩夢「その課題、受けて立ちます!もう私は守られる側ではいたくない。今度は守れる存在になりたい!」
その言葉を聞くと海未は嬉しそうに優しく微笑んだ。
海未「歩夢ならそう言うと思ってました。他のジムリーダーにはこちらから連絡しておきます。詳しい内容については璃奈の方からお願いします。それでは、また会えるのを楽しみに待ってますよ。」
海未がそう言うと通信が切れ、モニターは元の画面を映し出す。
しずく「なんだかすごいことになってきましたね。頑張ってください!歩夢さん!」
かすみ「歩夢先輩!特訓ならかすみんたちも手伝いますよ!」
そう言う2人に歩夢は笑顔で応じる。
歩夢「ありがとう!2人とも!」
璃奈「さて詳しい内容の説明なんだけど、リナロイド、よろしく。」
そう言うとリナロイドは歩夢たちの前に出て淡々と説明を始める。
リナロイド『はい、マスター。歩夢さんにはジムリーダー8人との本気バトルに挑んでもらいます。通常のジムバトルとは違い、ジムリーダーは歩夢さんのレベルを考慮せず、自身の最強メンバーで挑ませていただきます。尚、バトルルールについてはそれぞれのジムのルールに則って行います。』
璃奈「ちなみにここ、オオベニジムのルールは2対2のシングルバトル。普段ならリナロイドが相手するんだけど、今回は私が相手をする。」
そう言って璃奈はモンスターボールを構える。
かすみ「えぇ!りな子、ジムリーダーだったの!?」
璃奈「まあね。璃奈ちゃんボード『えっへん』」
そう言って璃奈は得意げに胸を反らした。
とその時だった。
「モペコ〜〜〜〜〜!!」
突如、奥の部屋から大きな鳴き声が響き渡る。
しずく「な、何ですか!?今の!?」
璃奈「しまった。食料切らしてたの忘れてた。璃奈ちゃんボード『うっかり』」
その後、奥の扉が開いたかと思うと謎の黒く小さな物体がこちらに向かって走ってくるのが見える。
かすみ「な、何なんですか!?」
その声に反応するようにかすみのスマホロトムが飛び出し、ポケモン図鑑を起動させる。
【モルペコ(はらぺこもよう)】 にめんポケモン
空腹ホルモンで 性質が 変化。
お腹の 空きすぎで 狂暴であり
お腹が 満たされるまで 悪の
限りを つくす。
走ってきたモルペコは近くにいたかすみを睨みつける。
かすみ「うぇぇ、すごい怒ってません?」
そして、モルペコはかすみに飛びつき、勢いよく足に齧り付いた。
かすみ「いったあぁぁぁぁぁ!!」
かすみの悲痛な叫びがラボ内にこだました。
〜〜〜〜〜〜
璃奈「ごめん、かすみちゃん。大丈夫?」
かすみ「・・・大丈夫じゃないです。」
どんよりとした表情でそう言うかすみの足には痛々しく包帯が巻かれている。
しずく「傷は深くないから大丈夫です。すぐ治りますよ。」
かすみ「ううぅぅ。」
璃奈「リナロイド、食料のほうは?」
リナロイド『はい、マスター。先程、花陽さんの方に連絡してすぐ送ってもらえるよう手配しました。早くて2日後には届くかと。』
璃奈「2日か。しばらくはこっちで何とかしないと。」
そう言って璃奈は先程、無理矢理戻したモルペコの入ったモンスターボールを見つめる。
璃奈「歩夢さん。さっきの話なんだけど。」
モルペコの今後について考えつつも璃奈は話を先ほどの話題に戻す。
璃奈「ちょっとトラブルでモルペコがあんな状態で、私とのバトルを早くても3日以降にお願いしたい。それに歩夢さんにも準備が必要なはず。」
そのお願いを歩夢は快く受ける。
歩夢「もちろん、私もちょっと準備したかったし。」
璃奈「よかった。ありがとう。それじゃあまた3日以降、ここで。待ってる。」
歩夢「うん、今日はありがとう。」
そう言って挨拶を交わすとリナロイドは再び歩夢たちを先導するため動き出す。
リナロイド『それではみなさん、ポケモンセンターまでご案内します。」
そう言ったリナロイドに続いて歩夢、しずく、かすみは歩き出した。
3人がエレベーターに乗ったのを確認してから璃奈は口を開く。
璃奈「愛さんは別の話があるんだよね?奥で聞く。」
愛「さすがりなりー、話が早い!」
そう言って璃奈と愛は奥の部屋へと消えていった。
〜〜〜〜〜〜
天王寺カンパニーの外へ出ると辺りはすっかり夕焼けに染まっていた。
かすみ「なんか今日は色々あって疲れました。」
そう言ってかすみは今日あったことを思い出す。
ジグ子に振り回されたり、ドゴームに襲われたり。そして、璃奈たちとの出会い。
しずく「確かに色々ありましたね。今日は早めに休みましょう。」
リナロイド『ポケモンセンターはこちらです。』
リナロイドを先頭にしてかすみ、しずくは動く歩道に乗る。
しかし、歩夢だけは何故か、別方向へ向かう歩道に乗る。
かすみ「歩夢先輩?どこ行くんです?」
歩夢「先にポケモンセンター行ってて!すぐ追いつくから!」
そう言うと歩夢はすぐにビルの陰に隠れて見えなくなった。
しずく「大丈夫ですかね、歩夢さん。」
そう心配するしずくをよそにかすみは外のモニターに映し出されていた映像に興味津々だった。
かすみ「しず子!!あれ、あれ!」
そう言ってかすみの指差すモニターを見ると、ちょうどここオオベニシティで行われるポケモンコンテストについての内容だった。
???『ついに明後日に迫りました、ポケモンコンテストオオベニ大会!!今回はビギナーランク!!新人トレーナーの皆様はどしどしご参加を!!』
かすみ「私も頑張りますよ!!」
そう言ってかすみは拳をグッと握りしめて気合いを入れた。
〜〜〜〜〜〜
一方、2人と別れた歩夢は近くの公園に来ていた。
歩夢「ヒバニー、“たいあたり”!」
「ヒバッ!」
ヒバニーは勢いよく木に向かってぶつかっていく。
しかし、その反動に耐え切れず、ヒバニーは大きく地面を転がった。
歩夢「ヒバニー!大丈夫?」
「ヒバッ!」
心配する歩夢にヒバニーはまだやれるといった表情でガッツポーズをしてみせた。
歩夢「よかった。でも、今日はもう遅いし、また明日にしよっか。」
そう言って歩夢はヒバニーをモンスターボールへと収める。
歩夢(こんな調子で勝てるのかな。ただでさえバトルの経験が浅い私が本気のジムリーダーに勝つなんて・・・。)
そう弱気になった自分を奮い立たせるために歩夢は頬を大きく叩く。
歩夢(こんなことじゃダメだ。私が自信を無くしたらヒバニーたちも自信を無くしちゃう。)
そう改めて気合いを入れ直すとポケモンセンターへと向かうため歩き出す。
???「何故そこまで頑張るのですか?」
不意にそう声をかけられ、振り向くとそこには見覚えのある白衣姿の女性が立っていた。
歩夢「あれ?あなたはさっきの?」
このオオベニシティへついてすぐ天王寺カンパニーへ入る際に歩夢とぶつかった女性だった。
???「先程はどうも。私、ニシキノ博士の見習い助手、三船栞子と申します。勝手に覗く気はなかったのですが、先程のドキピポラボでの璃奈さんたちとのやり取りを見てしまいまして。」
そう言って栞子はすいませんと頭を下げる。
歩夢「いや、大丈夫です。」
歩夢がそう言うと栞子は再びキッと目を細めると先程の質問を繰り返す。
栞子「それであなたは何故そこまで頑張るのですか?あなたがやらなくてもジムリーダーやもっと優秀なトレーナーに任せておけばいいのでは?あなたが無理に頑張る必要はないはずです。」
そう言われ、歩夢は言葉を詰まらせながらも反論する。
歩夢「そ、それじゃダメなの。私、今まで侑ちゃんにも他のみんなにも頼ってばっかりだったから。だから今度は私がみんなを手助けできるように・・・。」
そう言いかけたところで栞子が強めの口調で言い放つ。
栞子「無理ですね。あなたには適性がありません。」
歩夢「えっ!?」
栞子「あなたにはポケモンバトルの適性がありません。早々に諦めた方があなたにもあなたのポケモンたちのためになります。」
歩夢「確かにバトルの経験はまだ浅いけど、やってみなくちゃ分からないよ!」
栞子は身を翻し、歩夢とは反対方向に歩き出しながら答える。
栞子「先程の特訓?も見させてもらいましたが、緩いですね。あれが特訓などとは笑わせてくれます。あれで強くなれるのなら誰でもチャンピオンになれますよ。」
そう言い、栞子は暗闇に消えていった。
歩夢「・・・。」
歩夢は唇を噛み、栞子の後ろ姿を見ていることしかできなかった。
〜〜〜〜〜〜
歩夢たちとの連絡を終えた海未は他のジムリーダーたちに先程の連絡を行っていた。
海未「もしもし、真姫ですか?」
真姫『もしもし、海未からってことは例の件?』
真姫はいつものように落ち着いた口調でそう言う。
海未「ええ、歩夢は例の課題を受けました。」
真姫「そう、まあ歩夢なら受けるでしょうね。」
海未「・・・真姫。歩夢は達成できると思いますか?」
海未は少し間をおいて、言いづらそうに真姫に質問をする。
その質問に真姫も言いづらそうに答える。
真姫「まあ、今のままでは無理でしょうね。」
海未「ええ、私もそう思います。・・・歩夢はポケモンに優しすぎる。」
TO BE CONTINUED...