ポケライブ!〜One More Sunshine Story〜   作:チーケー

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#11 ドキピポラボの決戦!!VS璃奈!

 

コンテストが終わったその日の夜。

 

かすみ「うぇぇぇ!!」

 

ポケモンセンターで1日の疲れを癒していた歩夢一行。

 

各々が静かなひと時を楽しんでいると、突如として部屋の中にかすみの大きな声が響き渡る。

 

それに驚き、しずくが声の方を見やるとそこにはスマホロトムを片手に固まっているかすみがいた。

 

しずく「どうしたの?かすみさん?」

 

かすみ「しず子、これ見て!これ!!」

 

そう言って興奮気味に見せてきたスマホの画面にはポケモンアイドルランキングの順位表が表示されていた。

 

そこには、

 

『中須かすみ   4943位』

 

とかすみの名前も表示されていた。

 

かすみ「今日の朝までランキング圏外だったのに!!」

 

しずく「今日のパフォーマンスを見て少なからずファンが増えたってことだね!おめでとう!」

 

かすみは改めてランキングの表示をまじまじと眺めると、ふぅと息を吐き、昂った心を落ち着かせる。

 

かすみ「よーし!!この調子で頑張るぞ!!」

 

傍から見れば小さな一歩。しかし、かすみにとっては夢に向かって確実に大きな一歩を踏み出していた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

その頃、オオベニシティ内の公園にて

 

「ヒバァ!」

 

「シャボォ!」

 

ヒバニーとアーボは歩夢の元、明日の戦いに向けて特訓を続けていた。

 

ヒバニーとアーボが取っ組み合いを続けている中、歩夢がパンと手を叩いて言った。

 

歩夢「ここまでにしよ!疲れたでしょ。」

 

歩夢はそう言って特訓を切り上げると帰り支度を始める。

 

まだやり足りないといった不満そうな顔を向ける2匹をボールに収めると急いでポケモンセンターへ向かう。

 

歩夢(ついに明日は璃奈ちゃんとのバトル。勝たなきゃいけない。でも・・・。)

 

絶対に勝ちたい。そう思う歩夢だったが、心のどこかにはあの時の言葉が未だに引っ掛かり続けていた。

 

栞子『無理ですね。あなたには適性がありません。』

 

思い出して歩夢は唇を噛む。

 

歩夢「ねえ、侑ちゃん。私、どうしたらいいか分からないよ。」

 

歩夢のか細い呟きはすっかり暗くなった夜の闇に吸い込まれるように消えてしまった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

次の日。

 

歩夢たちはリナロイドの案内の元、再びドキピポラボへとやってきていた。

 

璃奈「みんな、待ってた。璃奈ちゃんボード『にっこりん』。」

 

待っていた璃奈は笑顔のボードをつけ、そう言った。

 

そして、かすみに顔を向けるとボードを外して素顔で言った。

 

璃奈「かすみちゃん、昨日は残念だった。私、これからも応援してるから頑張って。」

 

そんな璃奈の真っ直ぐな言葉にかすみは思わず璃奈へと抱きついた。

 

かすみ「ありがとう!りな子〜〜!!」

 

璃奈「璃奈ちゃんボード『あわわ』。」

 

突然のことでびっくりしたのか、璃奈は驚きのボードをつけ、あわあわとしている。

 

しばらくかすみのなされるがままになっていた璃奈は解放されると、再び素顔で今度は歩夢に向き直る。

 

璃奈「歩夢さん、準備はいい?」

 

そう言ってモンスターボールを構える璃奈。

 

それに歩夢は緊張した面持ちでこくりと小さく頷いた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

璃奈に促され、奥の部屋へとみんなで向かう。

 

かすみ「りな子、愛先輩は来てないんですか?」

 

璃奈「愛さんなら昨日、コンテストが終わってすぐこの街を出たよ。みんなによろしくって。」

 

かすみ「え〜!もう行っちゃったんですか?」

 

かすみは残念そうにしゅんと項垂れる。

 

しずく「愛さんもきっと忙しいんですよ。」

 

歩夢「またどこかで会えたらいいね。」

 

そんな会話をしながら歩いていくと広大なバトルフィールドが広がる大部屋へと辿り着く。

 

かすみ「うわぁ!こんな地下にバトルフィールドが!!」

 

璃奈「普段は私の開発・研究に使ってる。」

 

しずく「一体、どんな研究を・・・。」

 

璃奈「実はそれについてみんなにお願いしたいことがあるんだけど・・・それは後で話をするとして。とりあえずバトル始めようか。リナロイドは審判をお願い。」

 

リナロイド『承知しました。では、マスターと歩夢さんは定位置へ。かすみさんたちはこちらの方で観戦をお願いします。』

 

リナロイドの指示で歩夢はバトルフィールドへと立つ。

 

リナロイド『これよりジムリーダー璃奈とチャレンジャー歩夢によるオオベニジム戦を始めます。使用ポケモンは2体。尚、ポケモンの交代は双方に認められます。』

 

本来のジム戦であればポケモン交代はチャレンジャーのみに与えられる特権だ。しかし、今から始まるのはジム戦の体をとった公式戦。そのためジムリーダーである璃奈にも交代が認められる。

 

リナロイド『双方、ポケモンを前へ。』

 

璃奈「いくよ。モルペコ。」

 

歩夢「お願い!サスケ!」

 

「モペッ!」

 

「シャボォ!」

 

双方にポケモンが繰り出され、お互いに睨み合う。

 

かすみ「あれ?あのモルペコ、前に見たのと違いません?」

 

フィールドへ出たモルペコを目にしてかすみはきょとんとして首を傾げる。

 

前に見た黒い体に凶暴そうな顔とは打って変わって、目の前にいるのは黄色い体に実に穏やかそうな顔。

 

そんな疑問を解消するようにかすみのスマホロトムが反応して飛び出してくる。

 

【モルペコ(まんぷくもよう)】 にめんポケモン

 どんなに 食べても すぐに お腹が 空く。

 ポケットのような 袋に 入れた タネを

 食べて 電気を つくる。

 

かすみ「なるほど。つまりは2つの姿があるってことかぁ。」

 

しずく「ちなみにモルペコの特性は『はらぺこスイッチ』。バトル時にはその2つの姿を使い分けて戦うよ。」

 

かすみ「むむむ、なかなか手強そうですね。」

 

やがて審判であるリナロイドがバトル開始の合図を出す。それを確認してから璃奈が言う。

 

璃奈「『天使!天才!電脳戦士!』オオベニジムリーダー璃奈。いくよ。」

 

そんな璃奈の口上でバトルの火蓋が切って落とされた。

 

璃奈「いつでもどうぞ、歩夢さん。」

 

璃奈は表情は変えずとも余裕そうな声でそう歩夢を挑発する。

 

歩夢「それじゃあお言葉に甘えて!サスケ、“こわいかお”!」

 

「シャーボ!!」

 

「モペッ!?」

 

サスケの迫力ある顔にモルペコは怯んでしまう。

 

しずく「“こわいかお”は素早さを下げる技です。歩夢さん、一気に畳み掛けるつもりでしょうか。」

 

かすみ「でも、りな子、全然動じてないけど。」

 

そう言って指差す先にいた璃奈は表情を変えず静かに戦況を見守っている。

 

歩夢「続けて“まきつく”!」

 

サスケは動きの鈍ったモルペコへ素早く迫るとその長い体でモルペコを締め上げる。

 

「モペ・・・。」

 

歩夢「いける!!“かみつく”」

 

そうして動けなくなったモルペコにサスケは齧り付こうと勢いよく口を開く。

 

その時、璃奈が動いた。

 

璃奈「モルペコ、“オーラぐるま”!!」

 

突然、モルペコの体を電撃が迸り、アーボを巻き込んで大回転。

 

「シャボォ!」

 

完全に不意を疲れたサスケはそのまま回転の勢いと共に吹っ飛ばされた。

 

歩夢「サスケ!!」

 

「シャボォ!」

 

土煙の中、サスケは立ち上がるとモルペコへと睨みをきかす。

 

歩夢「よかった。」

 

しかし、安心したのも束の間。

よく見ればバトルフィールドからモルペコの姿が消えている。

 

璃奈「モルペコ、“うっぷんばらし”。」

 

「モペコォ!!」

 

「シャボォ・・・。」

 

強烈な一撃がサスケを襲い、宙を舞う。

 

“うっぷんばらし”は能力を下げられている場合、威力が2倍になる技である。

 

歩夢「サスケ!!」

 

不意の高威力の技に耐えられず、サスケは地面にどさっと落ちてくるとそのまま動かなくなった。

 

リナロイド『アーボ、戦闘不能!モルペコの勝ち!!』

 

かすみ「な、なんですか今のは。気づいたら終わってたんですけど。」

 

しずく「これが本気のジムリーダーの実力、ということでしょうか。」

 

???『何もしないことで相手を油断させ、“オーラぐるま”で下げられた素早さを戻しつつ、“うっぷんばらし”で通常の2倍のダメージを与える。流石は璃奈だね。』

 

かすみのスマホロトムがそんな解説をし始める。

 

いきなりのことにかすみもしずくもスマホロトムを見つめる。

 

かすみ「こ、こんな機能あったの!?」

 

???『どうも初めまして!僕は璃奈によって作られたトレーナーナビAI『アラン』です。バトルが始まる直前にこちらの端末に送られました。今後、困ったことがあれば何なりと。これからよろしく、かすみ。』

 

しずく「こんなものまで作れるとは璃奈さん、恐るべしです。」

 

そんな会話を二人が繰り広げている中、

 

歩夢「・・・。」

 

歩夢はアーボの戦闘不能を認められず、しばらく動けずに固まってしまっていた。

 

リナロイド『歩夢さん、次のポケモンを。』

 

しかし、リナロイドに促され、サスケをボールへ戻すと次のポケモンの準備をする。

 

歩夢「ごめんね、サスケ。あなたの力を引き出せなくて。」

 

そんな歩夢に璃奈は厳しい言葉を浴びせる。

 

璃奈「歩夢さんの力はこんなもの?こんな程度じゃ認めるわけにはいかない。」

 

歩夢「・・・。お願い、ヒバニー!」

 

何も言い返せないことに歯噛みしつつ次のポケモンを繰り出す。

 

「ヒバッ!!」

 

ヒバニーは元気よくボールから飛び出すとやる気を出すようにその場で2回ほど大きくジャンプした。

 

かすみ「やる気満々だね!これなら勝てるんじゃない?」

 

そう言うかすみにしずくは苦い顔を見せる。

 

しずく「どうかな。モルペコには勝てたとしても、璃奈さんにはまだもう1匹残ってる。それにさっき見せたあの実力差。かなり厳しい戦いになるかも。」

 

歩夢「ヒバニー、相手をよく見て!」

 

さっきのバトルからか、歩夢は無理に突っ込もうとせず、様子を見ようとする。

 

璃奈「来ないならこっちから。モルペコ、“オーラぐるま”。」

 

「モペコォ!!」

 

いつのまにか黒い姿へと変貌していたモルペコが黒いオーラを纏って突っ込んでいく。

 

歩夢「よけて!ヒバニー!」

 

「ヒバッ!」

 

これをヒバニーは軽い身のこなしで避ける。

 

璃奈「まだまだ。連続で“オーラぐるま”。」

 

攻撃のたびに姿を変えながらモルペコは連続でヒバニーへと突っ込んでいく。

 

しかし、ヒバニーも負けじと連続で避けまくる。

 

かすみ「歩夢先輩!攻撃しないと!!」

 

かすみがそう叫ぶも、歩夢は一定の距離を保つように指示を出すだけで攻撃へは転じない。

 

しずく「このままだとまずいんじゃ。」

 

アラン『まずいね。“オーラぐるま”は使うたびに素早さを上げる技。ヒバニーも避けきれない速度に到達すればもうお終いだ。』

 

アランの言う通り、ヒバニーの動きは徐々にモルペコについていけなくなってきている。

 

「モペコォ!!」

 

「ヒバッ!?」

 

そして、ついにはモルペコの“オーラぐるま”がヒバニーへ連続ヒット。

たまらずヒバニーは地面へと倒れてしまった。

 

歩夢「ヒバニー!!」

 

苦しそうな表情で地面に倒れ込むヒバニーの姿に歩夢はもう耐えられなくなってしまった。

 

歩夢「・・・ごめんね、ヒバニー。私、やっぱりポケモンバトルは無理だよ。私の不甲斐なさでみんなの苦しむ顔を見てられない。侑ちゃんのことは悔しいけどやっぱり私よりも適任の人に・・。」

 

かすみ「・・・歩夢先輩。」

 

「ヒバァッ!!」

 

勝負を諦め、膝をつく歩夢。それを見たヒバニーは震える足で立ち上がり、歩夢へと叫んだ。

 

「ヒバッ!!ヒババッ!!」

 

捲し立てるように歩夢へと叫び続けるヒバニー。何を言おうとしてるのか、言葉では分からずとも歩夢にはその必死さで伝わった。

 

歩夢「まだ諦めたくないの?・・・でももうそんなにボロボロで・・・。」

 

そう言う歩夢にヒバニーは手を自身の胸にポンと当て、「任せろ」とでも言うようにニコッと笑って見せた。

 

その光景を見た歩夢の脳内にいつかの侑とポケモンたちの姿がフラッシュバックする。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

侑「ハァ、手強いね。ルカリオの体力も残りわずか。ここはやっぱり一度戻して・・・。」

 

「ウォウッ」

 

くるりと侑の方を向き、胸に手を当てこくりと頷くルカリオ。

それを見た侑は笑って答える。

 

侑「分かった、ルカリオ。私はあなたを信じるよ!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

歩夢「そうだ、いつだって侑ちゃんはポケモンの想いを一番に考えて行動してた。それなのに私はみんなが傷ついてほしくない一心でヒバニーたちの想いを何も考えられてなかった。」

 

歩夢は一度、大きく深呼吸をしてから立ち上がる。

 

そしてヒバニーへと目を向ける。

 

歩夢「ヒバニー、私まだ諦めたくない。もう少し頑張れる?」

 

「ヒバァッ!」

 

璃奈「これで終わりにする。モルペコ、最大速度で“オーラぐるま”!」

 

歩夢「ヒバニー、“でんこうせっか”で対抗して!」

 

モルペコの凄まじい速さの“オーラぐるま”。それをヒバニーは“でんこうせっか”でギリギリで避けていく。

 

しずく「いくら“でんこうせっか”でもヒバニーの体力じゃもう避けるのが限界です。」

 

かすみ「ちょっと待って!ヒバニーの足!!」

 

そう言うかすみの通り、ヒバニーの足を見るとなんと火の粉が吹き出ている。

 

アラン『あれは“ニトロチャージ”。“オーラぐるま”と同じく素早さが上がる技だ。』

 

歩夢「“ニトロチャージ”。凄いよ、ヒバニー!!」

 

「ヒババァッ!!」

 

“ニトロチャージ”でフィールド内を走り回るヒバニー。そして、モルペコのスピードにも徐々に近づいてきている。

 

璃奈「ま、まずい。モルペコ、ヒバニーを近寄らせないで!“じだんだ”!!」

 

「モペコォ!」

 

モルペコは怒りに身を任せて地面を強く踏み鳴らし、ヒバニーの勢いを一瞬、鈍らせる。

 

歩夢「負けないで!ヒバニー、“にどげり”!!」

 

歩夢の言葉でヒバニーは負けじと飛び上がるとモルペコを射程圏内に収める。

 

「ヒバァッ!!」

 

大きく飛び上がったヒバニーはそのまま強烈な蹴りを二度、モルペコへと叩き込む。

 

かすみ「効果は抜群です!!」

 

歓喜の声を上げ、喜ぶかすみ。しかし、まだモルペコは倒れていない。

 

璃奈「モルペコ!もう一度、“オーラぐるま”!!」

 

歩夢「ヒバニー!!“ニトロチャージ”!!」

 

「モペコォ!」

 

「ヒッバァ!!」

 

2匹の渾身の一撃がぶつかり合い、大きな爆炎が上がり、少しして爆炎の中から強い光が放たれる。

 

璃奈「この光、まさか。」

 

煙が晴れ、立っていたのは。

 

歩夢「ヒバニー?」

 

フラフラとしながらなんとか立っていたのはヒバニーに似たポケモンだった。

 

歩夢「もしかして!!」

 

歩夢は急いでスマホロトムを取り出す。

 

【ラビフット】 うさぎポケモン

 ふかふかの 体毛の おかげで 高温の

 強い 炎を 出せるようになった。

 多彩な キック技が 自慢。

 

歩夢「やっぱり、進化したんだ。」

 

かすみ「これが進化!!」

 

しずく「凄い、初めて見ました!」

 

「ラビ・・・」

 

やっとの思いで立っていたのか、ラビフットはやがてその場に倒れ込む。

 

歩夢「ラビフット!」

 

リナロイド『モルペコ、ラビフット共に戦闘不能!!歩夢さんの手持ちポケモンが全て戦闘不能になったのでこの勝負、璃奈の勝ち。』

 

こうして、歩夢の初挑戦は色々な何かを得た敗北という形で幕を閉じた。

 

 

TO BE CONTINUED...




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