ポケライブ!〜One More Sunshine Story〜 作:チーケー
歩夢たちの旅はまだ始まったばかり!
ドキピポラボ 地下の通路ー
広大な地下通路を歩く人物が一人。
栞子「・・・。」
先ほどまで行われていた璃奈と歩夢のバトルを陰からこっそり見ていた栞子は憤りを感じていた。さっきから頭に浮かぶのは敗北をし、落ち込む歩夢の姿。
栞子「やはりこんなのは間違っています。早く計画を実行に移さなければ・・・。」
そう言いながらどこかへと電話をかける栞子。
栞子「もしもし、ミアさん?例のシステムの方はどうですか?」
通話先であるミアと呼ばれた少女は疲れたような声で答える。
ミア「まだもう少しかかりそうだよ。それに僕はこういうのは専門外なんだ。そろそろ四季たちも帰ってくるからもう少し時間をくれよ。」
栞子「分かりました。こちらでできることはやっておきますのでお願いします。」
そう言って通話を終えた栞子はグッと拳を握る。
栞子「トレーナーもポケモンも適性に従うべきです。そうすればあのような悲しみもなくなるはず。」
不敵な笑みを浮かべ、栞子は通路の奥へと消えていった。
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バトルを終えた歩夢は急いで倒れたラビフットの元に駆け寄る。
歩夢「ラビフット、お疲れ様。本当にありがとう。私、これからも頑張る。」
「ラビ。」
そう言ってラビフットをボールへ戻すと璃奈の元へ向かい、精一杯の笑顔を向ける。
「ありがとう、璃奈ちゃん。やっぱり負けちゃった。」
そう言う歩夢にいつの間にか近くまで来ていたかすみ達が励ましの言葉をかける。
かすみ「歩夢先輩、まだこれからですよ!」
しずく「一緒に特訓しましょう!」
歩夢「ありがとう2人とも。璃奈ちゃん、また挑戦しに来てもいいかな?」
それを聞いた璃奈はコホンとわざとらしく咳払いをすると口を開く。
璃奈「歩夢さん、実は言ってなかったことがある。璃奈ちゃんボード『ごめんね』。」
そう言う璃奈に歩夢はきょとんとした顔を向ける。
歩夢「言ってなかったこと?」
璃奈「うん。このバトルに実は勝敗は関係ない。」
かすみ「勝敗は関係ないってどういうこと?」
璃奈「思い出してほしいんだけど海未さんはこの挑戦でバトルに勝てとは一言も言ってない。」
その時のことを思い出しながらしずくが呟く。
しずく「そういえばそうですね。そのようなことは一言も言ってなかったです。」
歩夢「じゃあ何を基準に合格、不合格を決めるの?」
歩夢のその問いに璃奈はキラリと目を光らせるとビシッと指を指す。
璃奈「璃奈ちゃんボード『キリッ』。ここからが本題。この歩夢さんの挑戦ではバトル内で私たちジムリーダーの課す課題をクリアすることが合格の条件になってる。それで私の課題なんだけど歩夢さんの成長を考えてあえて言わないように海未さんから言われてた。」
璃奈はそう言いながら海未の言葉を思い出す。
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璃奈「課題を提示しないの?璃奈ちゃんボード『はてな?』」
海未「はい、あえて課題のことは隠してバトルを行ってください。歩夢の成長のためにはこの課題は歩夢自身が自分で気づいて乗り越える必要があると思いますので。」
璃奈「そういうことなら分かった。璃奈ちゃんボード『むんっ』。」
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かすみ「そ、それで課題の内容は?」
恐る恐る聞くかすみに璃奈は答える。
璃奈「『自身のポケモンとの強い信頼関係を示せ』。」
しずく「け、結果は・・・?」
少しの間を置いて璃奈は歩夢に向かって言う。
璃奈「バトル始めた時は、ポケモンバトルへの強い抵抗があってポケモンたちの本来の力を引き出せてなかった。でも後半には、お互いに信頼し合って生き生きとバトルしてた。極めつけは土壇場での進化。文句なしの強い信頼関係を見せてもらった。よってこの課題は合格。おめでとう、歩夢さん。璃奈ちゃんボード『いえーい』。」
歩夢「えっ、合格?本当に?」
それを聞いた歩夢は驚きを隠せず、動けなくなる。
かすみ「やりましたね、歩夢さん!結果はどうあれ合格は合格ですよ!」
歩夢「・・・合格。そっか。」
しずく「嬉しくないんですか?」
歩夢「いや、とっても嬉しいよ。侑ちゃんを自分の力で探すことに一歩、近づいた気がするし。でも、絶対に不合格だと思ってたから実感湧かなくて。」
璃奈「合格とはいえ、まだ歩夢さんの挑戦は始まったばかり。残り7人の課題もぜひ頑張って欲しい。璃奈ちゃんボード『ファイト』。」
こうしてオオベニシティでのそれぞれの挑戦は幕を閉じたのであった。
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歩夢「璃奈ちゃん、次はどこに行ったらいいかな?」
璃奈「うん。次はジンバタウンの彼方さんのところへ行ってほしい。」
スマホを操作しつつ、そう答える璃奈。
しずく「ジンバタウン。確か自然に溢れる町でしたよね。ここからだとワカナタウンを経由したルートが近いですね。」
かすみ「それじゃ次の目的地はワカナタウンですね!早速、出発しましょう!」
トントン拍子に次の目的地が決まり、歩き出したかすみたちを慌てた様子で璃奈が引き留める。
璃奈「あっ、ちょっと待って。頼みたいことがあるの忘れてた。璃奈ちゃんボード『あわあわ』。」
その璃奈の言葉に歩夢たちは足を止める。
かすみ「頼みたいこと?」
しずく「そういえばバトル前にそんなこと言ってましたね。」
璃奈「とりあえず見てもらった方が早い。リナロイド。」
それを聞いたリナロイドが近くの端末を操作すると辺りが急に暗くなる。
かすみ「わわ、真っ暗です。」
リナロイド『MBS起動。』
そうリナロイドが言うと、歩夢たちの目の前に信じられない光景が広がる。
かすみ「な、何ですか!?」
歩夢「えっ何これ!?どうなってるの?」
しずく「私たち、いつの間に外に出たんですか!?」
歩夢たちの目の前には広大な草原が広がっていた。太陽の光が降り注ぎ、心地いい風も吹いている。しずくの言う通り、正に一瞬で外にワープでもしたようだった。しかし、それを璃奈は否定する。
璃奈「移動はしてない。ここはさっきのバトルフィールド。ホログラムによる映像をこの部屋に投影してる。」
驚きの声を上げる一同。しかし、地面を触っていたかすみが当然の疑問を投げかける。
かすみ「ホログラムの映像ならここまでリアルな地面の感触するものなんですか?本物にしか思えないよ!」
それにリナロイドが淡々と答える。
リナロイド『難しい話は省きますが、簡単な話、脳に直接信号を送ることで感覚の再現を実現しています。』
しずく「す、すごい発明です!これ、草原以外にも映せるんですか!」
璃奈「データさえあればどんな場所でも再現可能。璃奈ちゃんボード『ブイ』。」
想像を超えた璃奈の発明に興味津々の3人。しかし、璃奈の発明の真骨頂はここからだった。
璃奈「本当に見てほしいのはこれ。」
そう言って手元の端末を手早く操作する。
すると、歩夢たちの目の前にポケモンが急に現れる。
「ヒバッ!!」
歩夢「!?これもホログラムなの!?」
璃奈「ちょっと違くて、ポケモンはミラージュシステムっていうものでデータから生み出した実体のあるもの。そのヒバニーは歩夢さんのヒバニーのデータをもとに生み出した。」
「ヒバッ!」
しずく「た、確かに動きの端々に歩夢さんのヒバニーを感じますね。」
歩夢は恐る恐るヒバニーの頭に手を乗せ、撫でる。
歩夢「す、すごい!感触も本物だよ。」
リナロイド『実体と変わりありませんのでバトルも可能。トレーナーのバトルデータ等があれば、AIに学習させることで疑似的にそのトレーナーとのバトルも可能となります。これぞマスターの最高傑作MBS(ミラージュバトルシステム)。』
かすみ「りな子、凄すぎ!!そのトレーナーとかポケモンもどんな子でも生み出せるの?」
璃奈「データさえあれば可能。・・・でもそこが問題。璃奈ちゃんボード『しゅん』。」
璃奈はあからさまに落ち込む様子を見せると、MBSを停止させる。一瞬で先ほどのバトルフィールドへと風景が戻る。
しずく「何か問題が?」
璃奈「圧倒的にデータが足りない。リナロイドのジムバトルのデータ等は収集してるけどそれだけじゃ全然足りない。そこでみんなにお願いしたいのが、ポケモンのデータやバトルデータの収集。これから旅をしていくみんななら色んなデータが取れるはず。璃奈ちゃんボード『わくわく』。」
歩夢「そういうことなら協力するよ!でも、どうすればいいの?」
璃奈「さっきみんなのスマホにデータ収集用のアプリを送った。後はみんながポケモンに会ったりバトルをすることで自動的にデータを収集してくれる。」
かすみ「それじゃかすみんたちはとにかく色んなポケモンに会って、たくさんバトルをすればいいんだね!」
璃奈「そういうこと。璃奈ちゃんボード『キリッ』。」
リナロイド『皆さん、よろしくお願い致します。』
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歩夢たちが天王寺カンパニーを出るとすっかり陽が沈みかけていた。
歩夢「それじゃあ、私たち行くね。」
璃奈「うん、気をつけて。健闘を祈る。璃奈ちゃんボード『ファイト』。」
かすみ「りな子、見ててよ!かすみん、きっとポケモンアイドルの頂点を獲ってみせますから!」
璃奈「うん、応援してる。璃奈ちゃんボード『キラキラ』。」
リナロイド『これを皆さんに。ぜひ持っていってください。』
そう言ってリナロイドは謎の液体の入った瓶を3人に差し出す。
かすみ「なんですかこれ?」
リナロイド『マスターのレシピを参考にして私が作った栄養ドリンクです。名前を付けるなら『リナロイド特製ドリンク』ですかね。元気が出ますので是非。』
かすみ「へ~。そういうことならありがたく頂きます。」
しずく「ありがとうございます、リナロイドさん。」
そうして3人は次の目的地、ワカナタウンを目指して歩き始めるのだった。
璃奈「ん?」
リナロイド『どうしました?マスター。』
璃奈「いや、なんか歩夢さんの影が変な動きした気がして・・・。」
そう言ってもう一度、歩夢の方を見るが特に変わった様子はない。
璃奈「・・・気のせいかな。帰ろう、リナロイド。」
リナロイド『はい、マスター。』
TO BE CONTINUED...