トラックに跳ねられ、気づいたら武器人間にされた件   作:兎の助

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大変お待たせしました

スベトラーナ大統領のプロフィール見たんですが、あの人も元は反ソ連政府デモ運動に参加していたらしいですね。

背中の傷はその時KGBに拷問されたものらしいです。

でもまぁ結局憎んでた政府と同じ末路になったら、元も子もないですが…




国民を蔑ろにする大統領とBOW使う独立派、どちらがマシ?

 

(ん…ここは…?)

 

暗闇の中でモスキートは目覚めた。全身を襲う痛みと寒さが、彼を眠りから強制的にたたき起こした。

 

(寒いな…おまけに狭い。まるで冷凍庫だな…)

 

軽く体を動かして五体満足か確認する。幸いにも欠損した部位は無いらしい。

体に異常がないことを確認しながら、モスキートは己のミスを恥じた。

 

(今思えば、あの後爆発するのは原作知識で分かってたはずだろ。戦闘になると興奮で周りが見えなくなるのは欠点だな…ゾルダートになった影響か?兎にも角にも直していかないと駄目だ…)

 

彼が思考の海を漂っていると、外から音が聞こえてきた。ガチャガチャと開ける音からして、どうやらコンテナの中に入れられていたらしい。

目の前の扉が開き、光が溢れる。眩しさに目がくらむがそれも刹那。やがて光に目が慣れると、目の前にいる人がいるのが分かった。

 

「お目覚めか、化け物」

 

反政府独立派の戦士、アレクサンドル・コザチェンコ。別名「サーシャ」であった。

 

「お前が長老たちの用意した勝利に導く新たな"力"か?」

 

(うーん…違うけど否定しても面倒なことになるしな…ここは一旦肯定しておくか…)

 

サーシャの質問に答えるように首を縦に振るモスキート。その様子を見てサーシャは驚きと呆れを伴った笑みを浮かべる。

 

「まさか質問に答えるだけの知性は残っているとはな…」

 

その時、モスキートの脳内で何かが閃いた。

 

(そういえば、こいつの相棒(JD)は教会でガナードに襲われてプラーガを植え付けられるんだよな?なら植え付けられる前に助けたらシナリオを少しでも変えることが出来るのでは?そしたら運命(ミランダ)に抗うことが出来る可能性も…)

 

モスキートは懐の手帳とペンを取り出し、サーシャにある物を要求した。

 

「地図?地図なんかどうする気だ?」

 

サーシャから地図を受け取ると、現在地と独立派の拠点である教会を探し出した。

 

(俺の憶測が正しければ、ここと教会はそこまで離れていないはず…あ、あった。2kmか…走って向かえば間に合うな…)

 

場所を確認したモスキートは、疑問の表情を浮かべるサーシャなど見向きもせず一目散に教会へと向かった。

 

 

本当はこんな事、無意味だと彼自身が一番分かっていた。さっさとこの国から脱出して村に帰ることも、どこか人里離れた場所でひっそりと生きることもできたはずだ。

 

だがバイオオタクである彼のプライドがそれを許さなかった。

前世のお人好しな性格も災いし、少しでも助けられる命は助けたい。そう思ってしまった。

 

レオンと遭遇した時も、戦いはしたものの命を取るまではしない。そう決めていた。

彼にとって今回は戦闘が本命であり、殺害が目的でないのだ。

 

そんな事を考えていたら、目的地である教会へと着いた。

正面入り口にはガナードになり果てた哀れな人達の群れが集まり、教会内では銃声が響いていた。

 

(これはもう時間がないな…)

 

彼は群がるガナードを押しのけて教会の外壁に両腕の槍と足を突き立てると、器用に壁を上り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

▼   ▼   ▼

 

 

 

「くそっ!!は、離しやがれ!」

 

教会内では独立派のメンバーであるJDが、侵入したガナード達と交戦していた。

最初こそ銃火器を持つ独立派が優位に立っていたが数に押され一人、また一人と殺されるかガナードの幼体を植え付けられて仲間入りすることとなった。

 

もはや生き残っているのはJDだけとなった。そのJDもガナードに馬乗りにされて、床に押さえつけられている。

 

すると、そのガナードは口内から花弁のように開いた寄生体を露出させた。

それを見たJDは顔を青ざめさせる。彼はレオンと共に別の拠点から逃げる際、政府軍の兵士に寄生体を植え付ける瞬間を見てしまっていた。

 

寄生体の口内に右手を入れ、幼体を引きずり出す。そして左手で頬を掴んで無理やり口を開けさせるとそれをゆっくりと近づけた。

 

「うわぁぁぁ!?やめろ!!た、助けてくれ!!」

 

だがその時、彼の後ろにあるステンドグラスが突如割れ、何かが勢いよく飛び込んだ。

馬乗りになっていたガナードはそれにぶつかり勢いよく吹き飛ばされ、手に持っていた幼体は床に落ちて水揚げされた魚のようにビチビチと暴れる。

 

飛び込んできたもの、それはモスキートであった。

 

モスキートは幼体を踏み潰すと、よろよろと起き上がるガナードを躊躇なしに槍で叩き殺した。

首が本来曲がってはいけない方向へと曲がり、頭蓋が割れて中身が外に飛び出している。

 

するとその騒ぎで目覚めたのか、まだ残っていたガナード達が続々と現れる。

だがライカン共に比べたらガナードの動きなど遅く弱い。モスキートは淡々と彼らを処理していく。

 

突き刺し、へし折り、踏みつぶし、叩き潰す。

 

やがて接近戦で処理するのが面倒になったのか、副腕で床に落ちていたAKMを拾い上げると、先ほど処理した反政府軍ガナードのベストからマガジンを取り出し、慣れた手つきで交換する。

 

(前世にやっていたサバゲーでの知識がこんなところで役立つとはな…)

 

一発、一発と着実に脳天に当て、排除する。

 

化け物が化け物を殺す異常な様子に、JDはただ茫然とその光景を眺めることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

▼   ▼   ▼

 

 

 

程なくして銃声を聞いて駆け付けたレオンと少し遅れてサーシャも現れた。

三人によって戦士達の遺体にはシーツがかけられ、丁重に弔われた。

 

「BOWを使う以上、そこには敵も味方もない。戦うための大義も人間としての尊厳も…あれはすべてを奪っていく」

 

レオンは遺体を見つめるサーシャを説得している。

 

その間、モスキートは暇なのでマガジンに弾を詰めていた。するとその様子を見ていたJDが彼に話しかける。

 

「な、なぁ…さっきは助けてくれてありがとな」

 

モスキートは弾を込め続けながら小さく頷いた。

JDはそんな彼の隣に座ると、ぽつりと話し始めた。

 

「俺、実は独立なんかどうでもよかったんだ…ただ昔みたいに皆と一緒に楽しくバカやって暮らしていけたらそれでよかったんだ…」

 

その言葉が聞こえたのか、レオンとサーシャがJDの方を向く。

 

「確かに政府の連中は憎いし、大嫌いだけど…こんな事してもイリーナ*1は帰ってこない…なぁ相棒(バディ)、今からでも遅くねぇよ。もうこんな事はやめよう!」

 

その時、爆発音と揺れが教会を襲った。政府軍によるBOW掃討の爆撃が始まったのだ。

 

「……俺に言わせれば、これ(爆撃)もBOWを使うのも変わりはない…」

 

相棒(バディ)…」

 

「JD、もうここまで来たんだ…止めるわけにはいかない。ここで諦めるわけにはいかない!お前も悲劇を止めたいと言うのなら、お前こそ銃を置け」

 

その問い掛けにレオンもJDも何も答えられなかった。

 

(復讐に取り付かれた者に何を言っても無駄だよ…ハイゼンベルクもこんな気持ちなのだろうか…)

 

「これではっきりしたろ…これが俺とお前の答えだ」

 

直後、爆弾が教会の近くに着弾。天井が崩れ始め、レオンとサーシャの間に降り注いだ。

モスキートは咄嗟に瓦礫を避けて、走り去るサーシャの後ろをついていった。

 

相棒(バディ)!!」

 

「よせ!今は行くな!」

 

JDも慌てて追いかけようとするが、降り注ぐ瓦礫に阻まれその姿を見失った。

 

 

 

 

 

 

 

▼   ▼   ▼

 

 

 

翌朝

 

大統領府区画の中央ゲートでは大勢の兵士がAKS-74やRPK-74を手に持ち、見張りについている。

コンクリートブロックや土嚢、更にはチェコの針鼠(対戦車障害物)からなるバリケードとBTR-80(兵員装甲車)による防御陣地を構築していた。

 

〔中央ゲート、状況を知らせろ〕

 

「こちら中央ゲート、異常なし」

 

〔了解。引き続き警戒せよ〕

 

その時、正面からトラックが三台接近してくるのが見えた。

兵士達は手持ちの武器を構えて警戒し、BTRはトラックに砲塔を向ける。

 

「止まれ!止まるんだ!!」

 

トラックは速度を落とし、兵士達の目の前で止まる。

ミツバチのキャラクターと「Мед Юрий(ユリのハチミツ)」という文字が描かれたトラックの荷台ドアがゆっくりと開いた。

 

荷台の中身を確認しようと兵士達が動いたその時、トラックの上に何かが乗った。銃口を向けた先にいたのはリッカー…ではなく両方の副腕にAKMとPKMを携えたモスキートであった。

 

人からかけ離れたその姿に驚く兵士達に、モスキートは銃口を静かに向けた。

 

「な、なんだこいつは!?」

 

「う、撃て!撃ちまくれ!!」

 

(さてと…実験開始といきますか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
サーシャの婚約者 政府軍の誤爆撃によって死亡した




JD「…お前はこれからどうするんだ?」

レオン「決まっているだろ。大統領府に向かう。お前は安全な場所に隠れていろ」

JD「ふん!嫌だね!親友(ダチ)が死にそうなときに、俺だけ隠れているなんてまっぴら御免だ!…俺も行く」

レオン「危険だぞ?死んでも責任はとらん」

JD「あいつを止められるのは俺だけだ…それにここで逃げたらイリーナに怒られちまうからな」

レオン「……ならさっさと弾を込めて銃を用意しろ。準備出来次第行くぞ」

JD「お、おう!!」
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