もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─ 作:雷訓
「僕の名前は、桐ヶ谷和人です!」
「……え?」
その名前を聞いた瞬間、私は脳の中で反芻しながら自身の目と耳を疑った。私はその名前を知っている。まじまじと顔を見れば、確かに面影はある。記憶の中の彼の顔は幼顔だけど、今の姿はそれよりも更に幼い。
そんな事も知る由もない男の子は、先生に「よくできました!」と褒められたのが嬉しかったのか、ちょっと照れ臭そうにして椅子に座り直した。
そんな男の子を横目でチラチラ見ている私の名前は、
今年から小学校に入学する、ピカピカの一年生だ。それで何故そんなに驚いているのかと言うと、となりの男の子の名前が私のよく知っている小説に出てくる主人公と同じ名前だったからだ。
「だったから」と表現する理由は、私自身が一度生まれ変わっているからだ。その生まれ変わりの際に前世の知識を全て引き継いでいるが、今世の情勢や環境が色々と違うために良い思い出としてしまっていたためだ。
それなのに、ただの生まれ変わりだと思っていたはずが、実は『ソードアートオンライン』の世界だったとは。
前世では、少しアニメを知っている人なら誰でも耳にしたことがあるだろう、小説が原作の作品だ。ナーヴギアと言うフルダイブ型のゲーム機を使い、本格的なファンタジー世界を体験できるはずだったのだが、アインクラッドと言う仮想の牢獄に閉じ込められ、その中で主人公である桐ヶ谷和人ことキリトは数々の仲間や敵と出会って最上階を目指すと言う内容だ。
そしてその件のキリトが私の隣に座っている。
いや待て、本当にこれはあのキリトかしら? 私の知っているキリトはちょっとだけ影のある印象なんだけど、目の前の彼の瞳は妙にキラキラ輝いていて後光が差しているかのように見えるわね。もしやただの同姓同名という事もあり得るわ。なら、ここは一つ確かめなければ。
「初めまして、私は金森紗奈。家族は両親と私だけ。気軽に紗奈って呼んで。よろしくね!」
「あ、初めまして、僕は桐ヶ谷和人。和人でいいよ。僕は両親の他に妹がいてね、直葉って言うんだ。僕の事も和人って呼んで。よろしくね」
あー、こりゃ本物だわ。疑うところが一つもないわ。いやぁ、ただの転生だと思ったら、『SAO』の世界にいたとはね。それも本編より七年も前に出会うとは思わなかったよ。
と言うわけで、ここから私が何ができるのか考えてみる。
一、キリトと一緒のクラスになれたと浮かれる。……うん、それ誰に自慢するのよ? 親に言ったところで、お友達が出来た程度にしか思われないわね。
二、キリトにこれからの事を明かす。これは一番やっちゃいけない事よね。確か十歳頃に住基ネットか何かで自分の身の上のことを知るんだっけ。それだけでも結構重いのに、「あなたはゲームの世界に閉じ込められるよ」なんて言えるわけないわね。
三、アスナより先に恋人関係になる。これはかなり魅力的な提案かも知れないわね。正直、私自身にネトラレ属性なんてものは無いし、興味もない。けれど、今から仲良くなれば幼馴染属性が付くわけだし、それならネトラレじゃないわね。それなら、アスナとのアドバンテージが七年もあるんだからこれを生かさない手はないわね。
「どうしたの、紗奈ちゃん」
「なな、何でもないわ、キリト君!」
私の表情がころころ変わっているのが気になったのか、怪訝そうな顔で覗き込んだもんだから咄嗟に何でもないと返事したついでに大きなミスをしてしまった。
「キリト? 僕の名前は和人だよ?」
「そ、そうよね。和人君、これからよろしくね」
やっば、いきなりやらかしちゃったわ。で、でもまだ運命を大きく変えるような事でもないから大丈夫かな。大丈夫だと信じておくことにするわ。
さて、ただの転生だと思っていたら実は『ソードアートオンライン』の世界にいたとは驚きね。と言う事は、この世界には他のキャラ達もいる事になるのよね。その中にはもちろん茅場晶彦もだ。ぶっちゃけ、彼の目論みを知っていても私には止める力なんてものはない。
ならば、今の自分を楽しみながらキリトの力になれる様に頑張るしかないわね。そんで、あわよくばキリトの彼女のポジションを頂ければ万歳よ!
待っていなさい、茅場晶彦!
主人公紗奈の武器
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執筆者の思い描いたように書く
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思い切って変更もありかと
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別にどうでもいい