もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─   作:雷訓

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十四話 アルゴさんと私

「よく私がアルゴさんを捜しているのがわかりましたね?」

 

「そうだナ、何となく誰かが俺っちを必要としているのがピンと来てナ、そんな時に街を歩いていたらリサッチがいたっけわけダ」

 

 ……『SAO』にはそう言う電気信号を送る仕組みでもあるのかしら? って、そんなわけ無いわね。

 

「?」

 

 私が一人ボケツッコミをして頭を振っているのを不思議そうに見ているアルゴさんに、私は改めて向き直った。

 

「とりあえず、初日を無事に越えれて何よりですアルゴさん」

 

「アァ、茅場の言うことを真に受けずにそのまま出て行った奴らがナ……オレっちもまさかとは思うけど、流石に試す事はできないからナァ」

 

 恐らく黒鉄宮にある『あれ』を見たんだろう。ベータテスト時代に出会った時は陽気な感じだったけど、久しぶりに見たアルゴさんは少しだけ思い詰めたような顔をしている。

 だからなのね、恐らくこれがきっかけなのかもしれないと思った私は、自身の思惑はどうあれ聞いてみる事にした。

 

「アルゴさん、ひょっとして何とかしようとか思ってません?」

 

「……よくわかったナ。けどヨ、何も浮かばないんだワ。黒鉄宮の奥にあるデカい板見たカ? そこに全員分の名前が書いてあって、死ぬと名前が線で消されるんだヨ……リサッチは向こうから来たって事は既にそれなりに進んでるんだロ? 凄いじゃないカ、オレっちは躊躇なく前線に飛び込めるかと言われるとナ……」

 

 やっぱり見たんだ。アルゴさんの気持ちはよくわかるわ。ベータテスターである私たちは正式組より一歩抜きん出てる。この閉じ込められた仮想空間の中では生存競争としては、リスクを回避できる術を知っている事を。

 けれど、アルゴさんはそれに何の意味もないことを知っているのね。

 

「いえ、私もアルゴさんと同じ思いです。私も何ができるのか、この一日考えました。そしたらふと浮かんだ事がありまして」

 

「それを聞いてもいいカ?」

 

「えぇ、と言うよりアルゴさんに協力して欲しいと思いまして」

 

 私がそう言うと、さっきまでの影を落とした表情から私に食い入るように前のめりになり、早く続きを話せと言わんばかりの目つきになっていた。

 顔が間近に接近する。お互いにフードを被っているけど、フードの隠蔽機能が低いのか、アルゴさんの素顔がはっきり見えてしまった。って事は私の顔も見られてるってことよね。

 

「アルゴさん、近いです……」

 

「ほほぅ、リサッチはこんな顔しているのカ。凄い可愛いじゃないカ。この顔つきだとオレっちより年下カナ?」

 

「じゅ、十四歳ですが……」

 

「なるほどオレっちと同い年か……?」

 

「ん、何か言いました?」

 

「いんや。で、オレっちに協力して欲しい事って何ダ?」

 

 そうだった、思わず話が逸れちゃったわね。思いの外あっさりと会えたから雑談に花を咲かせたけど、本来の目的を忘れちゃいけないわね。

 

「そうでした。えっと、先にお聞きしたいのですが、第一層の情報ってどれだけ持っていますか?」

 

「第一層の情報って、フロアマップとかの事カ?」

 

「フロアマップもですが、クエストやモンスターの情報もって事です」

 

「そこまでのカ……となると、大体七割くらいだナ。と言ってもこれは、ベータテストの情報ダ。閉じ込められた正式サービスになって少しずつ変わったところもあるけどナ」

 

 やっぱりあるんだ。私が昨日今日と出歩いたフィールドモンスターにはそう言った体感できる様な変化はなかったんだけど、アルゴさんの目線では何かしら見つける事が出来たってことよね?

 

「私は昨日今日出歩いた限りでは、モンスターにそこまでの挙動の変化は見当たりませんでした。恐らくまだ第一層だからだと思いますが、これが階層を重ねれば……」

 

 私の言わんとしている事がわかったのか、アルゴさんの目つきが鋭くなった。

 デスゲームとなった今では例え初見殺しであろうと、一つのミスが永久退場に直結するから無茶が出来ないのよね。

 けど、後発組の場合、無茶しないでも私たちが踏破できているところから追いつければいいだけのことなのよね。

 

「そうだナ、攻略本でもあればもっと安心して攻略出来るんだけどナ……ってもしかして」

 

 どうやらアルゴさんは私が何を言おうとしているのかわかって来た様ね。

 

「えぇ、アルゴさんはベータテストの時、他の人と色々情報のやり取りをしていましたよね。今度はそれを困っている人に解放すればいいと思います」

 

「そう言うことカ。けれど、各種の情報をとなるとナ……」

 

 確かにアインクラッドの各階層はとんでもない広さだし、それを纏めるとなると結構時間がかかるわ。まだ私もそれほど奥へ行ってないし……あぁそっか。

 

「アルゴさん、取り敢えずですがこの始まりの街とその周辺、そして次の村とその周辺だけの情報だけ出してみてはいかがでしょう?」

 

「なるほどナ、それだけあれば生き残ろうとする人には最低限の情報は公開できってわけカ! ならエリア事に分けるのもありって事ナ」

 

「えぇ、幸い私は昨日と今日でその辺のマップ情報と敵の種類にクエストなどは調べてあります。それをアルゴさんに渡すので活用してくれますか?」

 

「ん? リサっちがやらないのか?」

 

 んー、私がやってもいいんだろうととは思うけど、『本編の大筋から脱線させたく無いので、アルゴさんがやってね』なんて口が裂けても言えないわね。

 

「いえ、私はフィールド……いえ前線から情報を持って帰るので、アルゴさんは編集と私の情報の抜けを補填してくれると嬉しいです」

 

「わかっタ、なら『アルゴとリサの攻略本』で本屋に出すカ!」

 

「いえ、そこはアルゴさんの名前だけでお願いします!」

 

 こうして私はアルゴさんの攻略本作りに協力する事になったのはいいけど、常に前線に出る事になった。本当は一歩引いたところから支援って形がベストだと思ったんだけど、頑張ってみますか。

主人公紗奈の武器

  • 執筆者の思い描いたように書く
  • 思い切って変更もありかと
  • 別にどうでもいい
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