もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─   作:雷訓

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随分間が開いてしまいました。
これからも不定期が続くと思いますが、よろしくお願いします!


十六話 第一層ボス戦

「リサいくぞ、スイッチ!」

 

「オッケー、任せて!」

 

 翌日の迷宮区。

 ディアベルが率いる攻略班は、前日の打ち合わせ通りにパーティーを組んでボス部屋へ向かっていた。

 私たちの班はと言えば、当然キリトとアスナと私である。ボス相手に三人でのパーティーは少々きついこともあって、取り巻きを任されることとなった。

 それで、今はその道中のモンスター相手に私とキリトでスイッチのお手本を見せていたのである。まぁ初めてのパーティーやレイド戦でボスを相手にするのは荷が重いから、取り巻きで十分な気がするわ。

 

 

 

 

 

 遂に第一層のボス部屋までやってきた。

 アスナのスイッチやパーティーとしての動きも全く問題なかったわ。むしろ、初めてなのかと思うくらいよ。ぶっちゃけ剣技の方も、早すぎて剣先が霞んで見えるくらいね。生(?)で見るのは迫力が違うわね。

 キリトや私がすんなり会得してしまったアスナに驚いてみせると、ドヤ顔をして見えてくれた。そんなアスナもいざボス部屋の前に立つと、緊張の面持ちを見せる。

 

 

「皆、生きて帰るぞ!」

 

 ディアベルの号令と共に部屋に突入する。

 薄暗い部屋が私たちを出迎えるように明るくなり、そしてその部屋の主人は咆哮した。

 

「これがボス……」

 

「えぇ、そうよ、イルファング・ザ・コボルト・ロード。けど、私たちはあれの相手する必要はないわ。私たちの相手はその取り巻きよ! キリト!」

 

「おう、行くぞ!」

 

 キリトがボスの取り巻きであるルイン・コボルト・センチネル に向かって行く。

 ベータテストの時には私も参加したけど、こいつらも侮ってはいけない。ボスほどゲージはなくても、なかなかに厄介なモンスターよ。

 

「リサ!」

 

「オッケー! スイッチ!」

 

 キリトがソードスキルで剣を跳ね上げて隙を作ると、私がスイッチで一気に懐まで入り込み短剣のスキルで畳み掛ける。

 短剣の良いところは、スピードと小回りが効くところだけど、その反面として決定力に欠けるところね。だから、かなり良い攻撃が入ったとしても、手数が足りないと、倒し損ねる事もあるわ。

 けれど、その分は仲間に頼ることで補うわ。

 

「アスナお願い!」

 

「任せて、スイッチ!」

 

 私が翻弄して懐に入り込んで切り崩してから敵の体制を崩すと、アスナに合図を送る。

 その合図を待っていたとばかりに最高のタイミングで私と入れ替わると、細身の剣を一瞬にして複数回敵に叩き込んで止めを刺した。

 

「グッジョブ!」

 

「リサのアシストのお陰よ」

 

 とは言うものの、私やキリトは曲がりなりにもベータテスターだし、それなりに経験を積んでいるから動けているわけで。

 何もかも初見のアスナがここまで動けるのは正直凄すぎるわね。何だかんだ言っても、適正があったと言う事なのかしらね。

 

「二人とも、次が来るぞ!」

 

 アスナとお互いに称え合っていると、キリトから声がかかり私とアスナは構えなおす。

 確かに、今までとは違って一瞬の隙が命取りになるから目が離せないわね。

 けど、この三人なら全くもって全然余裕ね。これなら予定より早くボス戦に参加できるかも。

 

 

 

 

 

 そうして私たちが二体目を楽勝で倒した直後、少し離れた場所から腹の底から響くような雄叫びが聞こえる。

 

「え、これって……」

 

「あぁボスのバーを二本飛ばした後の雄叫びだ」

 

 私の呟きにキリトが答える。

 そうだ、これはボスの体力ゲージを削った直後の雄叫びで、この直後って確か……ってあれ、何か展開が早くない?

 当初の予定って、取り巻きを全部倒した後にボスを取り囲んで倒すはずだったのに、何でこの段階で雄叫びが聞こえるのよ?

 

「攻略本によると、この後モーションが変わるんじゃないの?」

 

「えぇ、本隊だけじゃ心もとないから、早く合流ね」

 

「なぁリサ、ボスの腰にあるのって何に見える?」

 

 アスナと頷き合った後、キリトが私に聞いてくる。

 私が何のことか見ると、本隊とボスが向き合っているところにディアベルが一人だけ前に出て構えている。

 何って、そりゃあ……タルワール……ってしまった、完全に忘れてた!

 

「タルワールじゃない!」

 

「え、何⁉」

 

 自分がベータテストを体験したせいですっかり失念していた。

 けど、そんな事を気にしている場合じゃない。

 

「だめだ、武器が違う。下がるんだ!」

 

 アスナが何のことかわからず聞き返そうとするけど、私は構わずボスに向かって走り出しキリトもそれに続いてくれた。

 けれど、ボスを一騎打ちで仕留めようとするディアベルとはまだ距離がある。

 ひとしきり叫んだボスを見届けたディアベルが剣を構えて突っ込むが、それを見たボスが不敵な笑みを浮かべるように顔を歪ませて腰から獲物を引き抜く。

 それは、柄から切っ先まで直線的にも拘らず、元のタルワールにも劣らない威圧感を放っている。見紛うことのない野太刀だ。

 ボスにはディアベルが雑魚にでも見えるのか、向かってくる様子を見据えた後にも拘らず猛然と突っ込んでいった。

 だめだ、初撃は間に合わない。なら!

 

「キリト!」

 

「⁉……おう!」

 

 私はそれだけ叫び少しだけ進路をずらすと、意図をくみ取ったようにキリトも動く。

 猛然とディアベルに突っ込んで行ったボスはその長大なリーチを生かして相手の剣が届くはるか前に切り上げて吹き飛ばした。

 

「ぐあぁ⁉」

 

 ディアベルが、ボスの全く違うパターンに何も対処ができずに斬られるがままに宙に浮く。

 それ以上はやらせない!

 相棒のアニールダガーを構えながら変えた進路先へ迷うことなく、私は突っ込んでゆく。追撃を防げばまだ取り返しはつくはず!

 止めを刺そうとするボスとディアベルの間に強引に割り込んで、振り下ろされる野太刀に対抗するように切り上げた。

 

「間に合ってぇぇぇぇぇ!」

 

 叫びながら切り上げた私のアニールダガーが火花を散らしながら野太刀と激突する。間に合った!

 けれど、元々の武器と体格の違いから私はもろに吹き飛ばされてしまう。

 けど、追撃は阻止した。なら、あとはキリトの出番だよ!

 

「スイッチ!」

 

「任せろ!」

 

 そのキリトの頼もしい声を聴いた後、私は床に激しく打ち付けられて意識を手放してしまった。

主人公紗奈の武器

  • 執筆者の思い描いたように書く
  • 思い切って変更もありかと
  • 別にどうでもいい
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