もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─   作:雷訓

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十八話 隠しスポット

 目の前には牧歌的な風景が広がっている。道は未舗装ながらもしっかりと区分けされていて、獣道の様な雑さはない。

 場所は第二層、私はとある場所へ向かっている。

 あのボス戦の直後すぐにキリトを追いかけたものの、主街区であるウルバスには見当たらなかったわ。当然と言えば当然ね、あの人がこんな所でうだうだしているわけがないと思うもの。

 だからキリトが次に向かう場所を予想する。

 

「んー……あぁ多分あそこね」

 

 そして当たりをつけて、主街区のウルバスを後にして道を急ぐ。

 

「ンモォォォォ!」

 

「はっ!」

 

 私の一撃で青色の粒子となって消滅するのは、牛のモンスター。

 牛と言っても形は様々で、四足の馴染み深いものから体は人型で頭は牛と言ったのまでいる。それらは総じて力は強めだけど、移動速度と攻撃速度はそんなに高くない。けれど、私の戦闘スタイルからして、攻撃を喰らったら一気に瀕死に追い込まれかねないから油断はできないわ。

 一応、第一層のボス攻略で安全マージンを多めに取っておいたから第二層攻略の適正範囲だし、アニールダガーも目一杯強化しておいたから、直接防御なら何とか大丈夫だと思う。

 そうして何度か戦った感じだと、アスナたちも第二層に来てもそんなに苦戦することはないと思う。目的地までの道すがらに転々と遭遇するモンスターを蹴散らしながら突き進み、高台に登って洞窟を潜ったその先にある隠しスポット。

 

「あった!」

 

 良かった。ベータテストの時にもあったけど、さすがにもう一度目にするまで安心は出来なかったからちょっと心配だったわね。

 

「ほっほっほ……こんな所に何ようかね?」

 

「えっと口コミで、ここで体術スキルを会得出来ると聞いてきたのですが」

 

 声のする方に視線を向けると、岩の上に老人がいる。うん、ベータテストの時と同じシチュエーションね。

 そう、ここへ来たのはキリトが来たのを確認するため。実はベータテスト時代の口コミだけの情報だけど、こお爺さんの会話イベントが初回だけ違うのよね。

 二人目からは同じ様に街からの聞き込みでも来れるけど、いきなり尋ねて「口コミ」ってワードを入れて話すと、追い返されずにそのまま修行を受けれるのよね。

 

「ほうほう、なるほどのう。よかろう、ならワシの試練をクリアして見事体術を会得するがよい!」

 

 この階層で一番乗りはキリトで二番が私。それでこの会話だと、キリトが来てるわね。

 ちなみにこれが初回だといきなりここには来れなくて、第二層の主街区ウルバスで聞き込みから始めないと辿りつかないのよね。

 

「ではよろしくお願いします!」

 

「うむ、では修行を始めるにあたってまずはこれじゃの」

 

 そう言って私の目の前にくると、筆と墨を持ってあっという間に私の顔に落書きを始めた。またこれか。

 そう、あれよ。アルゴの顔にもペイントされている可愛いひげ。『鼠のアルゴ』の由来とも言われているわね。

 

「無事に会得したら消えるから安心せい」

 

 そう言われながら私は、奥の修行場まで案内されて大岩を割れと言われる。

 まぁ体術って色々便利だし、短剣スキルと相性いいから習得しておいて損はないわね。なら、ちゃっちゃとやっちゃおうかな。

 そう思って私はふと気がつく。私ってばここにキリトがいると思ってやって来たのにどこにもいない。

 

「お爺さん、ここに私と同じ歳くらいの男の子が来ませんでしたか?」

 

「男の子? おぉいたぞい、お主が来る三十分くらい前に会得して降りて行ったぞい」

 

「え、マジですか? ……って、あ!」

 

 あれ、私がキリトを追って第二層に来たのって精々2時間くらいしか空きがないと思っていたけど、一時間半で会得したってこと? どんだけ早いの?

 そこで私はちょっとしたミスに気づいた。お爺さんが口コミで来たことで修行が出来る判定って、一人目が修行を終わってここを出た時だわ。

 だから、それを聞いた段階でキリトがいるはずがないじゃない。

 

「ミスったぁ……」

 

 なんと言うイージーミス。

 フレンド登録もしていない私にとって追いかける最短の手がかりが尽きてしまい、ガックリと項垂れる。第一層で再開した時は、嬉しさでついど忘れしちゃってたのよ。

 どうしよう、このまま修行を放棄してキリトを追いかけても良いけど、それだとペイントが残ったままになって、私が「鼠のリサ」と呼ばれてしまうわ。

 それはそれでアルゴのお株を奪うことになっちゃうから、キリトの事は後回しにしてひとまずは習得に専念するしかないわね。

 ならまずこの大岩を……っと思ったら、お尻に這うやな感触が!

 

「ほれほれ、座ってても修行は進まんぞ」

 

「きゃぁぁぁ!」

 

 じゃあと思考を切り替えて立ち上がろうとした矢先に、私のお尻を撫で回す正体はこの修行場の主のお爺さん。

 忘れてたわ、このお爺さん何かにつけてお尻とか触ってくるエロジジイだった……。

 茅場ってばこう言うのが趣味なのかしら? それとも隠れた性癖?

 

「えぇえぇ、やりますとも! さっさと終わらせます!」

 

 そう言って気合いを入れて修行を開始し、私は丸一日がかりで終わらせたわ。

 許すまじ茅場明彦!

主人公紗奈の武器

  • 執筆者の思い描いたように書く
  • 思い切って変更もありかと
  • 別にどうでもいい
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