もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─   作:雷訓

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二十一話 合流

 結論から言うと、私は生きている。ぶっちゃけ、死んだかと思ったわ。

 瀕死のレッドゾーンかつ深夜帯に不審なプレイヤーにモンスターPKされて体も動かないってなると、死を覚悟するに決まってるじゃない。

 でも気がつけば、私はどこかの宿屋のベッドで目を覚ましたわ。

 SAOの世界に死に戻りって言う概念がない以上、この状況はまずあり得ないんだけど、私は今ベッドにいるのよね。

 頭の中で整理しようとも、肝心なタイミングで気を失っていたんだから、無理らしからぬ話しよね。そんな、ますますもってパニクっている所で部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。

 

「お、気が付いたんだナ!」

 

「え、アルゴ? 私どうなったの? ここはどこ?」

 

「ここハ、カルルインの宿屋ダ。軽い食事を持ってきたケド、食うカ?」

 

 入ってきた人物を見て私は驚く。それはそうね、名前を呼び捨てにする位仲がいいけど、会うのは仕事で情報交換をする時くらいなんだもの。

 そんな人物が宿の一室で顔を合わせる事になるんだから、寝起きの着付けにはちょうど良いくらいよ。

 

「ありがとう、頂くわ。それで、アルゴが助けてくれたの?」

 

 アルゴから貰ったサンドイッチを食べながら、私は一番最初に聞きたかった事を口にする。

 

「いんヤ、オイラじゃないネ!」

 

「そうなの? じゃあ……」

 

 とは言いつつも、これは予想できた事。

 何故って、ちょっと失礼な言い方かもしれないけど、アルゴのレベルでは最前線をソロで駆け抜けるなんてことは到底無理なことよ。

 いや、ソロ自体が無茶なんだけど、そんな所を私を抱えて脱出出来るとしたら……そう考えた瞬間、部屋をノックする音が聞こえた。

 そして現れたのは、やはりって言うかこの二人だった。

 

「リサ、大丈夫だった!?」

 

「アスナ、えぇ大丈夫よ。心配かけてごめんなさい」

 

「よ、何とか無事だったみたいだな」

 

「キリトも!」

 

 心配そうな顔で駆け寄ってくるアスナの後ろから着いて入ってきたのは、一緒に行動しているだろうと予想していた通りのキリトだった。

 

「二人が助けてくれたの?」

 

「えぇ、そうよ。発見した時は、心臓が止まるかと思ったんだから!」

 

「本当だな、久しぶりの再会の後にこれはきつい」

 

 二人が抗議するように私に迫ると、私を助けるまでの経緯を話し始めた。

 どうやら、二人が私を発見したのは偶然ではなかったわ。ではどう言うことかというと、食堂でアルゴと別れた後に私はそのままダンジョンのマップ埋めを再開したんだけど、その際に例のモンスターPKに遭遇したわ。

 私自身は無我夢中でモンスターの相手をしていたんだけど、いくら何でも帰りが遅いと思ったアルゴがメッセージを送るも返信が来なく、フレンド機能で居場所を確認すると今だにダンジョンの中だから、何かあると踏んでキリトとアスナに様子を見に行ってほしいと頼んだわけ。

 そして二人がダンジョンの最奥付近の袋小路に差し掛かったところで、倒れている私と今にもとどめを刺そうとしているモンスターたちに出会したと言うわけね。

 

「まさに急死に一生を得たわ。二人とも、本当にありがとう」

 

「気にしないで、私たち友達でしょ!」

 

 本当に感謝したいわ。あの絶望的な状況で生還できるとは夢にも思わなかったもの。タイミングなんて関係ない、今ここで再会できていることが何より大事よ。

 それともう一人にも感謝を。

 

「アルゴ、二人を寄越してくれてありがとう」

 

「まぁナ。けド、この借りは大きいゾ?」

 

「えぇ、この借りはいつか精神的にね」

 

「何だそレ?」

 

 キリトの言葉を借りた私のセリフにアルゴはよくわからないって顔をしていたけど、私はキリトとアスナに向き直ってある事を確認する。

 

「それよりも二人に聞きたいんだけど、二人が私を助けにきた時ってその近くに他のプレイヤーはいなかった?」

 

 私の言葉に二人は顔を見合わせる。ありがとう、その反応だけですぐわかったわ。

 そして、キリトも私が何を言いたいのか察したのか、特に隠すことなく話し始めたわ。

 

「あぁ、いたな。俺とアスナはまずは君の安全を確保するためにモンスターの殲滅を優先させたが、次に見た時には既にその場にはいなかったな」

 

「ちなみに顔は?」

 

「フードで見えなかった」

 

 やっぱりそうか、ある程度の看破能力があれば遠目でもわかるけどまだ五階層だし、それ以上にそんなのを上げるくらいなら他のスキルに回したいわ。

 アスナかキリトのどちらかがプレイヤーの顔を見たらと思ったけど、無理だったみたいね。これがただのネットゲームだったらタチの悪い迷惑行為で済む話だけど、実際は死と隣り合わせのデスゲーム。迷惑とかの範疇を遥かに超えた行為だ。

 ってキリトと考え込んでいると、眉を吊り上げたアスナが語気を強めながら鼻先を突き合わせて来る。顔の整っている女性が眼前に迫られると、同性でもちょっと照れるわね。

 

「そ れ よ り!」

 

「?」

 

「今アルゴさんから聞いたけど、元々付け狙われてるのに何で一人で行動するのよ!?」

 

「あ、いや、そう言う可能性だけで、今まで実害がなかったから大丈夫かなと……」

 

「そんなわけ無いでしょ!? 実害が出てからじゃ遅いのよ! 嗅ぎ回られてる事だって私たちに一言相談してくれれば一緒に行動したりして予防も出来たはずよ!?」

 

 私のちょっとの言い訳に倍で返ってきてしまった。息継ぎもせずに捲し立てるものだから、アスナの息が荒々しくなってしまっている。VR技術って極めると凄いものね。

 鼻息の荒いアスナを見ていると、余程心配させたのが見てとれるわ。別に心配されるのが嫌とか煩わしいとかじゃ無いけど、ここまで言わしてしまった事には申し訳なさを感じているわ。

 けどね、今回の事はただの通り魔的に収めようと思ったのに、アルゴってば余計な事を……って抗議の視線を送ろうとしたら、そっぽを向かれてしまったわ。今度色んな意味でお返しをするしか無いわね。

 

「ちょっとリサ、聞いてるの!?」

 

「あ、うん、心配かけてごめんね」

 

「まったく、貴女の為に怒っているのよ? その貴女が上の空でどうするのよ?」

 

 どこ吹く風のアルゴにどんな仕返しをしてやろうなんて考えていると、アスナの叱責で現実に戻されて咄嗟に反応する。

 が、その対応が気に入らなかったのか、またもやお小言が始まってしまった。

 そう言えば、さきからこうやってまともに怒ってくれるのって、私の両親以外にアスナが初めてかもしれない。そう考えると、この小言も全然うるさいと思えなくなるから不思議よね。

 

「…………決めたわ。リサ、貴女もう一度私たちとパーティーを組みなさい!」

 

「え?」

 

 いや、今の流れからどうして? 

 いや、別に組むのが嫌と言うわけじゃ無いけど、あなた達と一緒と言う事はボス攻略戦も出るってことよね?

 第一層でやらかしている身としてはちょっと遠慮したいんだけど。

 

「私としては、攻略本を作る約束があるから」

 

「その辺ハ心配しなくてもいいゾ、前線から戻ってきタ時のデータがあれば、十分ダ。だから、遠慮なく連れ回されロ」

 

 ちょっと、そこは私を協力者と言って確保する所でしょ? 容赦なく見捨てるなんて、酷くない?

 

「貴女だって死にたくないでしょ? だったら返事は一つよね?」

 

「わ、わかったわよ……」

 

 確かにそれを言われては、選択肢はないわね。

 最悪引きこもるなんてことも出来るけど、さすがにこのまま腐った生活を送ろうとは考えていないから、アスナの手を取る事にするわ。

 

「迷惑をかけるかもしれないけど、よろしくね」

 

「何言ってるんだ、幼馴染だろ。それに俺の方が世話になりっぱなしだったんだから、少しくらい返さないとな」

 

 アスナが提案をしたけど、キリトにも迷惑をかけるかもと挨拶をすると、快く返事をくれた。

 普段はぶっきらぼうだけど、困ってる人を放って置けないところは昔からね。

 

 でも今回で私が命を狙われているのははっきりしたし、単独行動を控えた方がいいのは確かね。

 それで諦めるようなら安心だけど、キリトたちを巻き込むようなら更に何か考えなきゃいけないわね。後手になっちゃうのは癪だけど、少しだけ様子見ね。

 




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主人公紗奈の武器

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