もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─   作:雷訓

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二十二話 噂の出所

 

 大型モンスターの懐に入り込んで翻弄しつつ下からダガーを腹を斬り上げて、背後から来る味方に入れ替わるるための合図を送る。

 

「キリト、スイッチ!」

 

「おう!」

 

 頼もしい返事をくれたのは、先日からパーティーを組むことになったキリトだ。

 

「こっちは片付いたわ。リサ、大丈夫?」

 

「ありがとう、大丈夫。じゃあ、あとはこいつだけね?」

 

 そう言って見上げるほど背の高いモンスターだけど、ぶっちゃけ言ってそこまで強くはないわ。

 と言うのも私たちは今、第三層のフィールドボスをたった三人だけで相手をしている。

 相手は木でできた巨人で、鞭のようにしなる腕を持つけど動きは結構緩慢ね。それに、取り巻きもトレントと言う木のモンスターが数体だけだから、三人だけで相手するには十分ね。

 

「キリト君!」

 

「任せた!」

 

「……」

 

 アスナがキリトと入れ替わる。それを見た私は、思わず嫉妬する。

 何でって、一々合図を出さなくても名前を呼んだだけで、スムーズに入れ替わっちゃうんだもん。やっぱ第一層からずっとパーティーを組んでるだけあるわね。

 そうなってしまったのも、第二層以降参加しなかった私自身に責任があるのはわかってるわ。

 

「リサ、最後一緒に叩くわよ!」

 

「わかった!」

 

 木の巨人のゲージも残り僅かなところでアスナから声がかかる。最後の一押しを、みんなで畳み掛けようって事ね。

 アスナの高速の突きか決まり、そこへキリトのソードスキルが綺麗にはまる。そして最後に、木々を伝って高くジャンプした私が頭上から切り下ろした所で木の巨人は青い粒子となって霧散していった。

 

 

 

 

 

「お疲れ、全然動けるじゃないか」

 

「本当よ、謙遜する事なかったじゃない」

 

 無事にフィールドボスを倒し終え、第三層の食堂でキリトとアスナが口々に私を褒める。

 確かにレベル的にはキリトと同等と思っているけど、パーティー戦による連携はベータテストの時の数回と、第一層ボス戦の時に組んで以来なのよね。

 だから、今はアスナの方が私よりよほど連携が取れているのよね。

 

「そうかしら? わたし的には、二人の連携について行けなくて苦労するわ」

 

「そこはこれから練習あるのみよ」

 

「だからこそ階層を落としてまで来てるんだから、がんばって慣れてもらわないとな」

 

 ここでフィールドボスと戦っていたのは、私との連携の確認のため。さすがに、いきなり最前線で戦いながら二人に合わせようとするのは厳しいから、階層を落として確認しながら戦っていたけど……。

 

「これから精進しまーす」

 

 そうは言ってもまだまだ先は長いんだから、実戦を繰り返しながら練習あるのみよ。

 まぁそれはそれとして、私は二人に気になっていることを聞いてみた。

 

「そう言えば、キリトたちと一緒になってからここまで気になる視線とかがなくなったと思うんだけど、二人はどうかな?」

 

 と言っても、一緒になってからまだ数日しか経ってないから油断はできないと思うけど、フィールドに出ても特に怪しい人影は見当たらないのよね。

 

「私は特に気になる事はないわね。キリト君は?」

 

「俺もだな。俺たちが一緒に行動をし始めたから、PKが難しくなったって言うのもあるかもな。それで一旦手を引いたと考えるのが妥当かも」

 

 二人とも見てないか。諦めてくれたら嬉しいけど、やっぱりキリトの言う通り一時的にって考えて、油断しすぎないようにするのが良いかも。

 と言っても、気を張りすぎて過敏になるのも負担が大きいから、その辺りの加減が難しいところね。

 

「わかったわ。とにかく、しばらくは二人と一緒に行動するからよろしくね」

 

 ってか私ってそんなにディアベルに恨まれるようなことしたかしら?

 と言うかよくよく考えたら、第一層以降のディアベルとキバオウの話ってどうなった知らないのよね?

 

「そう言えば、二人とも第二層以降もボス攻略に参加していたのよね?」

 

「あぁそうだな。それがどうかしたのか?」

 

「いや、結局ディアベルが現れなくなったって事は、キバオウとの話し合いはダメだったって事なんだろうけど、どう言う話し合いだったんだろうと思って……」

 

「そう言うことか、俺もその時はすぐに第二層に行ったしな」

 

「同じく、私もすぐに上がっちゃったしね」

 

「……」

 

 と言うことは、この三人の中であの場に残っていたのはアスナって事になり、私とキリトの視線はアスナに集中する。

 アスナも私とキリトの視線の意味を悟ると、飲んでいたコップを置き人差し指をほっぺに当てながら自分の記憶を探り始めた。

 

「んー……あの時かぁ」

 

 そう呟きながら当時の事を少しづつ話し始めるが、どうやら多くを語れるような内容じゃないらしい。

 

『ディアベルはん、素直に話してくれへんか。ディアベルはんは初めからラストアタックボーナスちゅもんが目当てで、ワイらの先頭に立ってたんか?』

 

『…………』

 

『何で何も言ってくれへんのや? 言ってくれへん言うのは、そうやっちゅう事か?』

 

『…………』

 

『っちゅう事は、ディアベルはんもベータテスターちゅうことやろ? 色んな狩場押さえながら、ラストアタックボーナスも頂こうっちゅう腹づもりやったんか!?』

 

『……』

 

『一言くらいなんか言ったらどうなんや!? 同じベータテスターなら堂々と言いよったチビの嬢ちゃんの方がなんぼもマシやったわ!』

 

『くっ!』

 

『ワイらも舐められたもんや、そんな奴を担ぎ上げて最前線に立とうと思ってたんやからとんだ道化もや。もうえぇわ、みんな一度第一層に戻るで!』

 

 要するにキバオウが一方的に喋っただけで、終わってしまったというわけね。まぁキバオウの気持ちもわからなくはないわ。何せ自分が信じて着いて行った人が、実は利用されていただけなんてね。

 欲に目が眩んでベータテストとの差異を見誤って死にかけたんだから自業自得なんだけど…………ひょっとして私がディアベルに狙われてるせいって、キバオウが余計なことを言ったせいじゃないの? もしそうだとしたら、随分と余計な一言よね。

 さっきの気持ちを撤回して、次の攻略会議に出た時は一言言ってやらないといけないかしら。

 

「あ、それでね、その、ちょっと謝らないといけないと言うか何と言うか……」

 

 説明が終わってキバオウに物申す的な考えに耽っていた時、いつもハキハキ喋る印象の強いアスナが何やらモジモジしているわ。

 しかも、申し訳なさそうな顔で何かを言おうとしている。

 

「ん? どうしたの?」

 

「えっとね、リサは悪くないの。むしろ皆を代表してよく言ってくれたとは思っているわ。それでね、私やキリト君も庇ったんだけどね……」

 

 要領が得ないって言うか、何か煮え切らないわね。

 主語述語がないから、正直アスナが何を言いたいのかよくわからないわ。

 でも話の中にキリトが出てきたから、キリトも何か知っているのよね?

 

「キリト、アスナが何を言おうとしているのかわかる?」

 

「あぁ、実は第二層の攻略会議の時にキバオウたちがお前の事を探していたんだけど、その時にな……ビーターって言うチーターとベータテスターを掛け合わせた造語みたいな名前がリサについたらしくて……」

 

「はぁ!? 何よそれ!? 絶対にそれ、不名誉な呼び名じゃないの!?」

 

 思わず叫んじゃいました。

 そりゃそうでしょ、本来その呼び名はキリトに付けられるはずだったものを何故か私に向けられてるんだから。

 で、何で私をビーター呼ばわりするかって理由は、どうやら攻略本を作っているのが私だってバレたらしく、ベータテスターだった時の知識を活かしながらチート級の動きや活躍を見せたからだって言う事らしいわね。

 何よそのチート級の活躍って? それを言ったらアルゴだって攻略本製作者の一人じゃない。

 

「えっと、どうもそれを流したのアルゴさんらしいのよ…………」

 

「嘘でしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 あの人何してんのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 私を売ったわねぇぇぇぇぇぇぇぇ!?




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主人公紗奈の武器

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