もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─   作:雷訓

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三話

 二年生

 学校生活にも慣れ始めた頃に訪れる初めてのクラス替え。やっと纏まってきたグループが全てシャッフルされ、心機一転などと思う余裕もなく新しいクラスに入るなりソワソワと落ち着きなく気になる。入学して初めての学校公認の試練だ。

 新しい教室に入れば、一年生の時に一緒だっただけで固まる子、新しい友達を増やそうとする無邪気な子、そして既に自分だけの世界を作っている個性的な子などが見受けられる。

 

「紗奈ちゃんよろしくね!」

 

「うん、よろしくね!」

 

「桐ヶ谷君も一緒?」

 

「もちろん、そこに」

 

 私もその例に漏れず、一年生の時に一緒だったクラスの子が話しかけてくれた。私にとってはそれだけで感無量よ。

 そして件のキリトも無事に同じクラスになれた。流石に隣の席ってわけじゃなく、出席番号の関係でキリトが一つ下がり、左後ろになってしまった。でもこの位は些事よ。

 そして何より変化が大きいのは、今年は直葉が入学してきたことね。去年の初対面から定期的に交流を重ね、今ではすっかり「紗奈お姉ちゃん」として定着しているから喜びもひとしおよ。

 

「和人君、今年度もよろしくね!」

 

「うん、直葉共々よろしく」

 

 

 

 

 

 こうして直葉も入学して一緒に学校生活を送る以外何もなかったかなと考えを巡らせなく鳴った頃、事件は唐突に起きた。

 

「え、剣道教室?」

 

「うん、今週末から通うことになったんだ」

 

「私も行くんだよ!」

 

 そうだった、キリトは八歳から二年ほど剣道教室に通うんだった。って直葉も一緒に通うのは初耳だわ、同じ時期なのね。

 

「へ、へぇ……痛そうだけど、大丈夫なの?」

 

「僕も乗り気じゃないけど、お爺ちゃんが行けって言うから」

 

 あぁ、そう言えばキリトのお爺さんってお巡りさんなんだっけ。私は普通の家庭で、周りに言いそうな人はいなさげだけど、習い事かぁ。

 

「紗奈お姉ちゃんも一緒にやる?」

 

「どうしよう、一度帰ってから考えてみるわね」

 

 

 

 

「習い事かぁ」

 

 家に帰ってベッドに転がって呟く。習い事について考えた。剣道に限らず、運動だったら空手だってそうだし、水泳だってある。書道や珠算だってそうだ。楽器や音楽も習い事に入るだろう。

 キリトは確か自分に合っていないと感じて、いつか辞めちゃうんだっけ。なら私も一緒に入って通えば続けてくれるのかな? なんて思ったけど、それが正しい事なのか心に引っかかる。今までは物語の中の展開として読むだけだったのが、私は二人と共に生を受けている。恐らくだけど、私と言う要素が入り込んだもしもの世界として成り立っているんだろうと考えていた。これは予想としては正しい部類だとも思えるわ。

 だからこそ私は一抹の不安を抱えていた。これらの展開に深入りしすぎてキリトたちの未来を変えてしまい、色々なことがなかったことになってしまうんじゃないかと。

 そうやってもしものことを考えているうちに一つの仮定が頭によぎった。

 

(キリトと茅場との戦いって、結構綱渡り的なものよね。それで勝てたのって、これまでの出来事があったからって解釈よね? だとしたらこの先の展開を崩すのは悪影響? キリトに剣道を続けさたらSAOをやらなくて閉じ込められることはない。けど、アスナが死ぬ可能性が。アスナだけじゃない、キリトと直葉の関係が微妙になったからこそシリカだって助かってる。なら私は大筋を変えるべきじゃないこと? わからない……何が正解なのかな……?)

 

「紗奈ーごはんよー」

 

「はーい……」

 

 そこから寝るまでの間、どうするべきかわからずにお母さんの返事も晩ごはんもずっと上の空だった。

 それから数日、の授業も放課後もキリトやクラスメイトが声をかけてくれているにも関わらず、私の頭の中は色んな考えが堂々巡りしていた。

 

「紗奈ちゃんどうしちゃったの? 桐ヶ谷君何か知ってる?」

 

「や、僕にも何が何だか……」

 

「紗奈ちゃん、日直が……」

 

 そんな中、私の背中を押してくれる出来事があった。それは、未だ悩みの中にいる私を見かねたお父さんやお母さんが放った一言だった。

 

「紗奈、何に悩んでいるのかわかんないけど、決めたら教えてね。紗奈は今までずっと聞き分けが良くて聡い子だったから、悩んでいることもきっと私やお父さんと同じような大人っぽいことなのかもしれない。けど、それでも貴女は私たちの子よ、曲がったことじゃなければ貴女の決めたことに反対はしないわ」

 

「あぁ、お母さんの言うとおりだ、気付いてやれなくてすまない。紗奈はわがままをほとんど言わなかったから、手がかからなくて楽だとずっと感じていた。でもそれはきっと違う。紗奈の将来のためになるのならお父さん達は協力を惜しまない、だから悔いのない様に頑張るんだぞ」

 

 やっぱり生まれ変わっても親は親だって事をつくづく再認識させられたわ。前世の分を合わせてもまだ私の方が年上なのに、両親というのはかくも偉大だってことを思い知らされるわね。

 

「お父さんお母さん……ありがとうございます!」

 

 そしてこの日、私は一つの決意をした。

主人公紗奈の武器

  • 執筆者の思い描いたように書く
  • 思い切って変更もありかと
  • 別にどうでもいい
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