もう一つのSAO ─ただの生まれ変わりだと思ったら、実はSAOの世界でした─ 作:雷訓
卒業式。それは多くの別れ悲しむと同時に、新たの門出を祝い喜ぶものである。
しかし、それは卒業という学舎からの離別という性質上、悲しみが先行するのも世の常なのは無理のないことである。
担任教師は一年間自分が担当した生徒達が無事に巣立つのを安堵して涙し、生徒はクラスメイトがまるで今生の別れの様に抱き合って泣くのである。
「紗奈ちゃぁぁぁぁぁん!」
「うんうん、泣かないで。またメールするからさ」
「絶対だよおぉぉぉ⁉︎」
正直、泣きたいのは私の方よ。
何が起きたかといえば、親の転勤の為に家族でお引っ越しをすると言うのだ。まさかこのタイミングで⁉︎ という驚きと共に、それは単身赴任でどうにかならないのかという疑問が浮かんだけど、新たな家族会議で私にもついて来てほしいと言われたために従う事にしたわ。
私だけ一人暮らしと言う案も頭に浮かんだけど、中学生で一人暮らしは安全性もだけど、両親に不安にさせないために言わない事にしたわ。そう言う時に限って、金銭面だけは私の在宅ワークで潤っているってのが皮肉よね。こう言うのが、お金だけでは解決できない問題って言うのかしらね。
泣きながら再会を約束した友達に見送られ、次に向かったのは当然ながら桐ヶ谷家だ。
「紗奈お姉ちゃぁぁぁぁん!」
「またすぐに遊びに行くから。それに電話もできるからね」
「絶対だよ!」
当然ながらこっちでも泣かれてしまった。この頃の直葉は剣道の実力がメキメキと伸びて来ているけど、なぜか私の前ではやたらと甘えたがりなのよね。剣道に影響が出ないか少し心配だったけど、見たところ問題なさそうだし暫く会えそうにないから、最後に猫可愛がりしておくわ。
「紗奈ちゃん、今までありがとう。こっちに来る時があればいつでも連絡してね」
「ありがとうございます。その時はお邪魔します」
翠さんはしゃがんで私の目線に合わせたかと思うと、抱き寄せて私の頭を撫でてくれた。何だろう、お母さんに包まれる感じとは少し違うけど、また別の安心感がある。こう言うのを第二の母とでも言うのかしら?
大人ぶった私にも優しく接してくれるんだから、キリトのことも大丈夫よね。
「俺にもメールくれよ」
「もちろんよ」
最後にキリト。
まさか、こんな形で離れ離れになるとは思わなかったけど、あとはキリト自身を信じるしかないわね。今の所ぎこちなさはあるけど、キリト自身もそこまで忌避感を出しているわけじゃなさそうだし。
それにあの向けてくれたあの笑顔を信じるしかないわね。
「紗奈、そろそろ行くわよ」
横にいるお母さんから促される。
親同士で挨拶を交わして、私も車に乗り込もうとした時、後ろ髪を引かれた感覚がしたから無意識のうちにキリトに走り寄って行って……。
「和人、大好きよ。またね……」
「え……?」
耳元で囁くと、そのままキリトの頬にキスをして私は車に乗り込んだ。
このキスは再開の誓い。そしてキリトに私がいたことを焼き付けてもらうための儀式。
そうは言っても、前世でも異性と付き合った経験は片手で余る。きっと、耳まで真っ赤だったろう事は本人でもわかるくらい熱いわ。
それでも、まだ見ぬが確実に表れるライバルへの先制攻撃は必要だったから。
ゆっくりと走り出す車を三人が見送り、私も小さくなっていく姿を見届けた。
「紗奈、はいこれ」
助手席に座っているお母さんが、不意に手紙を渡してきた。
差出人は……桐ケ谷家一同から。その内容は、それぞれが個別に今までのお礼や、再会を誓う内容とかが書いてある。
「まだ何か入ってる……鍵?」
手紙の中には一緒に鍵も入っていた。新しく作ったんだろう真新しい鍵に、猫のマスコットのキーホルダーがついている。
手紙の追記には、「紗奈ちゃんは、私たちの家族よ。いつでも遊びに来てね」と記されていた。
「これ、和人君の家の鍵だ……」
「おぉ、じゃあ第二の実家って感じね。キスもしちゃったし、ついでに花嫁修業もしちゃう?」
「もぉ、お母さんってば! ご飯くらい作れますぅー!」
おちゃらけたお母さんの冗談に、私もふざけて返す。せっかく顔のほてりが収まったのに、また熱くなりそだわ。
照れ隠しのついでに顔を外に向けると、そこには雲一つない突き抜けるような青空が広がっていた。
この空の下のどこかにアスナやリズ達がいるのかと考えると、それはそれで心が躍るわね。
数週間後には新学期が始まる。ならこの青空は新しい門出への祝いとでも思っておくことにするわ。
主人公紗奈の武器
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執筆者の思い描いたように書く
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思い切って変更もありかと
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別にどうでもいい