ふわふわ少年決闘物語   作:7576

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デュエルとの出会い

 

「こんなところで何してんだよ〜彼氏でも待ってるのか〜」

 

「や、やめてくださいまし」

 

とある都会の片隅で制服姿の女子高校生が明らかに不良な輩に声をかけられていた。周りを通り過ぎる通行人は関わり合いになりたくないようで足早に通り過ぎていく。

 

「まぁまぁ、そんな嫌がんないでよ。俺とお茶しない? ちょっとあっち行こ、なんならデュエルで言うことを聞かせてもいいんだぜ〜?」

 

「わ、わかりましたわ。デュエルですわ!」

 

不良は女子高校生の腕を乱暴に掴み路地裏に連れて行こうとする。

 

明らかな犯罪の匂い、こんな光景を見れば今にも警察に通報するはずの光景だがこの世界では誰も通報はしない。

 

なぜなら掴まれた女子高校生の腕には奇怪な半円形の機械が付いており、不良の男の腕にもその機械があるからだ。

 

腕につけられた機械はデュエルディスク。

その機械をつけた者は決闘者、デュエリストと呼ばれ、あらゆる全てのことがデュエルの強さによって決められることになる。

この現代社会で彼らは特異な存在としてそのようなルールが受け入れられていた。

カードの精霊と交信し超常なる力を持つ者達、それがデュエリストだ。

 

「「デュエル!」」

 

路地裏に場所を移したお互いがデュエルディスクを構えてそう叫ぶと、世界がズレた。

 

両者は己の魂、カーを燃料に空間を展開し、デュエル空間を展開した。

デュエリスト、彼らは超常なる力を持つ者達。

 

手札を5枚メインデッキから引きデュエルが始まる。

 

なお、そんな存在を初めてみてデュエル空間に巻き込まれた少年はこの状況にドン引きしていた。

 

(いや、スマホが繋がらなくなったんだけど、どうすれば。流石に犯罪だと思ったのになにこれ……中学に入学早々に大事件発生だよ!)

 

少年は普通に一般社会を過ごしていた。

デュエリストなんて存在を知らなかったのだ。

学校で習ったかもしれないがすぐには思い出す事も出来なかった。

 

「先行は俺だ! 手札からレスキューキャットを召喚するぜ! 可愛いだろ〜? 安心しなよ。優しくしてやるからよ〜〜」

 

(わぁ、いきなり可愛い動物が! あんな動物見た事ないぞ)

 

「わぁ〜可愛い猫さんですわ(棒)……チッ、全くカーをケチるんじゃなかったわね。まぁ幸い良い手札だから良いですわ。さぁ、好きに回しなさいな」

 

「可愛いだろ〜ってそれって強がりかい。君も可愛いね〜ギャハハ。勝っても酷い事はしないから安心してくれよ〜俺と楽しく過ごそうぜ〜」

 

(うわ、男の人は、明らかにやばい人だ。ってあれ、なんかあのお嬢様っぽかったお姉さんの雰囲気がさっきまでと違う?なんかあの怖い男の人より不良っぽい感じに……というか一体なにが起きてるんだ)

 

「俺はレスキューキャットの効果発動、リリースしデッキから獣族モンスター2体を効果を無効にして特殊召喚するぜ〜来いっ、トライブリゲード、ケラスとキット〜!」

 

現れたのは男と女。

ケラスという男の方は戦闘服に身を包み、キットという女は背中に大きなレンチを背負っていた。

それぞれ獣の要素があり人でなくモンスターと呼ばれる存在であることがわかる。

 

ここで少年は見るからにモンスターという存在によってようやく気づく。

 

(あっ!そうかこれが遊戯王ってやつなのか?)

 

デュエリストは異世界の存在をカードとして具現化し行使できる。

その力を平和的に制御するために体系化したカードゲーム、遊戯王。

 

遊戯王がこの世界に生まれてからは争いは収まり、一般社会にも遊戯王が広まり世界的な人気ゲームとなっていた。

 

(あれがデュエリストが使うモンスターカード! 異世界の存在、精霊と呼ばれる存在を具現化した存在だって教科書には書かれていた。昔は戦争なんかで大活躍だったらしいけど危険視されて迫害されて、なんやかんやで今はデュエリストとしてカードゲームをしている存在だっけ、なんか色々と危険な力はあるらしいけど今は大した事は出来ないって授業で習った気がする……)

 

「ケラスキットの二体でリンク召喚! 来いっ、フェリジット。墓地に送られたケラスの効果でナーベルを墓地に、続けてナーベルの墓地効果でデッキからフラクトールサーチ! リンク召喚したフェリジットの効果を使ってフラクトールを召喚するぜ!フラクトール効果! 墓地の4枚の獣族モンスターカードを除外しリンク4モンスターシュライグを特殊召喚!」

 

「うるさいわね。一人でそんなに楽しいかしら? グダグダしつこい男は嫌われるって言葉を知らないのね。大袈裟に言わなくてもわかるからさっさと進めてくれないかしら?」

 

(あの変な機械……確かデュエルディスクがひたすら音を立ててカードを墓地?とやらに送っている……そもそも墓地効果ってなんだろ……リンク召喚? さっぱりわからないけどモンスターの迫力がすごい……リンク4モンスターシュライグっていう名前なのか!)

 

険悪なデュエルを尻目に少年は隠れていることも忘れてデュエルに魅入っていた。

少年は無事ここから帰れたらまずは遊戯王のルールを調べようと決意した。

 

「これで俺はリボルトを伏せてターンエンドだ。俺の展開はどうだったかな? 盤面はセンカソウリュウとデスフェニ、リボルトさ。さっさと諦めてサレンダーしないかい? 俺と楽しく過ごそうぜ?」

 

(……お、恐ろしい流れだった。展開っていうのかな。初めは可愛い動物だったのに、よくわからないうちに今はむさ苦しい男が2人に……いや、どっちもかっこいいけどね。特に火の羽が生えたデスフェニとか呼ばれてたモンスターがカッコいい〜あのマスクの下はイケメンに違いないな。あのやばい男が使ってなければなお良いのに……)

 

「嫌よ」

 

「あれかな、リボルトの効果聞き逃したのかな? こいつは罠カードで……」

 

「無理やりデュエルして言うこと聞かせて、楽しく過ごせると本当に思ってるのかしら? 最低すぎるわね。あなたみたいな人がいるとデュエリストというものの品格まで落ちるの。それとデスフェニじゃなくてデステニーヒーローよ。ヒーローなの。わかる? ヒーロってのはあんたみたいなのが使ってるような紛い物とは違うのよ。カードも泣いてるわ。そうよ、あんたなんかにヒーローを使う資格はない!」

 

「はぁ?」

 

「ヒーローを魅せてあげるわ。私のターン、ドロー!」

 

「ヒーローか、へっ、ガキみたいなそんな古臭いデッキでどうにかなるとでも」

 

「私はライフを半分払い、魔法カード、ヒーローアライブを発動! 効果で下級ヒーローモンスターをデッキから特殊召喚するわ」

 

(ライフ? なんだか苦しそうだ!) 

 

「へっ、リクルートなんかさせるかよ。手札からはるうららを捨て効果発動。こいつの効果はデッキからのリクルートやサーチ、ドローを封じるものってのは知ってるよな」

 

男の目の前に少女が現れる。

 

「いけ」

 

少女は無理な笑顔を作って無言で頷き女にタックルしようとする。

 

「こんな女の子まで……あんた本当に最低ね。墓穴の使命者を発動! あんたの墓地にいるはるうららを除外して次のターン終了時までその効果を無効にする」

 

地面から緑色の腕が生えてきて少女を掴む。

 

「今は眠りなさい」

 

そのまま少女は腕に掴まれ地面にそのまま飲み込まれていった。

 

「そのまま私はエレメンタルヒーローエアーマンの特殊召喚時の効果発動、ヒーローモンスターをデッキから手札に加える」

 

(おお、カッコいいモンスター!)

 

「手札に加えるのはヴィジョンヒーローファリスよ。そのままファリス効果発動、手札からヒーローモンスターを墓地に送り特殊召喚できる。デステニーヒーローディアボリックガイを墓地に送るわ。そしてファリスの特殊召喚時の効果発動、デッキからインクリースを永続罠カード扱いで魔法罠ゾーンに置くわ」

 

(淀みなく綺麗な流れで次々とヒーロー?っていうかっこいいモンスターが現れる。うーん、そもそも永続罠とか魔法罠ゾーンとかさっぱりわからない。ルールが複雑そうだ)

 

「流石にそろそろ妨害させてもらうぜ。罠カードオープン、トライブリゲードリボルト!」

 

「アハっ、嬉しいわ。もう使ってしまうのかしら? チェーンしてインクリースの効果を発動するわ。永続罠扱いのインクリースの効果でファリスをリリースしてインクリースをモンスターとして特殊召喚するわ」

 

(チェーン? またよくわからない言葉が出てきたな……)

 

「リボルトの効果、墓地除外ゾーンの獣族をフィールドに特殊召喚してそのままリンク召喚する。トライブリゲードシュライグをリンク召喚するぜ。素材にした墓地効果で俺はデッキからもう一度フラクトールを手札に加えることもできるぜ」

 

「次のターンはもう来ないのに必死にサーチしてて面白いわね。それにもう使ってしまうなんて……もう少し堪えたらマシだったでしょうに。インクリースの特殊召喚時効果発動、デッキからヒーローモンスターを特殊召喚」

 

「強がりはよせ。あんたのインクリース効果にチェーンして、シュライグの素材にされたモンスターが墓地に送られた事で効果発動、そこにチェーンしてシュライグのリンク召喚時効果を発動。シュライグはフィールドのカード一枚を除外できる。そのインクリースを除外だ!」

 

「あら、あんたにしてはなかなかいい選択ね」

 

「そうだろう? まだセンカソウリュウとデスフェニの妨害がある。何もできないだろう? サレンダーしたらどうだ」

 

「嘘よ。なに真に受けてるのかしら。お馬鹿さんなこと。すでにインクリースの効果は発動しているわ。除外されてもインクリースの特殊召喚時効果は使えるから問題ないの。チェーンを処理してデッキからエレメンタルヒーローシャドーミストを特殊召喚するわ。そしてシャドーミストの特殊召喚時効果発動、デッキから速攻魔法マスクチェンジを手札に加えるわ」

 

「さっきからちくちく馬鹿にするなぁ! いい加減さっきからサーチばっかりうざいんだよぉ! さっさとサレンダーしろよ! センカソウリュウの効果発動!自身をリリースして墓地に送ることでエアーマンを手札に戻す! さらにデスフェニの効果発動! デスフェニ自身とシャドーミストを破壊!! お前の盤面は空っぽになったぞ〜〜!! 残りの手札3枚で俺に勝てると言うのかよ! デスフェニが破壊され効果発動次のスタンバイフェイズに復活する」

 

(こ、怖い、不良がついにキレ始めたぞ)

 

「ただの無駄撃ちでサレンダーするわけないでしょ……。そして次のターンなんかあんたにはこないわ。あんたはもうなにもできないのよ。ヒーローの展開がここで終わりだと思ってるのが本当にお馬鹿さんなのよ。わたしはまだ通常召喚もしてないのよ?」

 

「な、なに!? これだけ展開してまだ召喚していないだと!」

 

(そこから、僕はお姉さんの一方的な動きを見せられた。淀みなく流れるようにヒーローが展開されていく)

 

「ヴィジョンヒーローヴァイオンを通常召喚、召喚時効果発動、デッキからヒーローモンスターを墓地に送る。ディナイアルガイを墓地に、さらにヴァイオンの効果発動、墓地のヒーローモンスターを除外してデッキから融合を手札に加えるわ。除外するのはファリス。墓地のディアボリックガイを除外して効果発動デッキからディアボリックガイを特殊召喚、そしてサーチした通常魔法融合を発動! 手札のリキッドマンとフィールドのディアボリックガイで融合! 現れなさいエレメンタルヒーローサンライザー!」

 

(おー! 今度は赤いヒーローだ)

 

「融合素材になったリキッドマンの効果発動デッキからカードを2枚ドローし手札を一枚捨てる効果だけどその前にチェーンしてサンライザーの効果発動デッキから魔法カードミラクルフュージョンをサーチするわ。そしてリキッドマンの効果処理。捨てるのはこれね。デステニーヒーローブルーディーを捨てる。サンライザーの効果で私のモンスターは私のフィールドのモンスターの属性の数✖️200攻撃力が上昇するわ。サンライザーは光、ヴァイオンは闇だから400上昇ってとこね。」

 

「いくらサンライザーに打点上昇効果があっても俺の8000のライフには全然届かないだろぉ!」

 

「……サンライザーで手札に加えたミラクルフュージョンを発動。フィールド・墓地の融合素材を除外して融合召喚を行う。素材はシャドーミストとリキッドマンにしとくわ。融合召喚! エレメンタルヒーローアブソリュートゼロの属性は水よ。これでサンライザーの効果で攻撃力は600ポイント上昇するわ。リキッドマンの効果にターン1がなければよかったのにね。これで終わりよ。メインフェイズ終了。バトルフェイズに入るわ」

 

(白いヒーロー、足元に氷が! ちょっと寒くなった気がする)

 

「攻撃力は……サンライザー3100 アブソリュートゼロ3100 ヴァイオン1600……合わせて7800。へっ、なんだよ。次のターンなんか来ないと言った割に結局攻撃力が足りないじゃないか」

 

「バトルフェイズ、サンライザーでダイレクトアタック!」

 

「ぐぁ!」

 

「そのままアブソリュートゼロで攻撃!」

 

「いてぇ!」

 

「ヴァイオンで攻撃!」

 

「くッぅ」

 

(うわぁ、ヒーローの攻撃を受けてあの人ボロボロになってる……)

 

「はぁはぁ、ライフはゼロにならなきゃ何もかわらねぇぜ」

 

「そう、最後まで愚かなものね。とどめを刺してあげるわ。手札から速攻魔法マスクチェンジを発動! ヒーローモンスターを墓地に送り、そのモンスターと同じ属性のマスクドヒーローを特殊召喚するわ」

 

「な、なに! そういえばさっき!」

 

「対象はヴァイオン、属性は闇! 現れなさいマイフェイバリットヒーロー! マスクドヒーローダーク・ロウ!!」

 

(闇を纏ったヒーローって事か!)

 

「攻撃力は2400+600で3000! これで終わりよ。ダークロウで攻撃!」

 

「嘘だ嘘だぁうわぁ〜!!」

 

LPが0になったチンピラは気絶した。

 

「勝利者としての権利を行使するわ。はるうらら、デステニーヒーローデストロイフェニックスガイを解放なさい。あとこのチンピラが私を思い出さないようにしなさい。そのぐらいなら釣り合いがとれるでしょう?」

 

デュエルの勝者の願いはある程度叶うのがこの世界の法則だった。

 

チンピラの身体から先ほど緑の腕に掴まれて消えた少女とデスフェニと呼ばれたモンスターが現れる。

 

(あ、少女がお姉さんの体の中に吸い込まれた。あのデスフェニさんは徐々にうっすらとなって最終的には光の粒子になって消えていった……)

 

「そう、力を貸してくれるのね。ありがとう」

 

そしてデュエル空間が閉じて通常空間に戻ってきた。

薄暗い路地裏。

 

「まさかトライブリゲードなんてテーマをチンピラが使ってるなんてね。幸い使い手としては下手だったわね。フュージョンデステニーを使うまでもなかったわ。でもまぁ先行ならダークロウで動けなくさせられただろうから、まったく反省だわ。ケチったせいで無駄に消耗してしまったわね……ん、ダレ!?」

 

ついに少年が隠れてデュエルを見ていたのがバレた。

少年は最後の方はもう隠れるのをやめてデュエルに熱中していたのでここまで気づかないでデュエルに熱中していた方が悪いとも言える。

 

「え、あ! 僕は! ええと……カッコよかったです!?」

 

少年の冒険は始まったばかりだ。

 

 




こんな電波を受信したけど形にするのは大変ですわ〜〜
ダークロウ使いのお嬢様?に導かれふわふわ少年の冒険が今始まる〜
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