提督よ…迷えば敗れるぞ(羅針盤
ここはとある前線近くの鎮守府。
人類の希望である艦娘たちとそれを指揮する提督が所属する場所である。
そんな鎮守府の工廠では提督と秘書艦の神通が装備開発をしていた。
「さてさて、今日も今日とて装備開発だ!」
「今日は何狙いなのですか?」
「今日は……そうだな、機関狙いで行こう!」
「機関ですか?」
「あぁ、改修で幾つか使ったから今足りないんだよね」
そう言いながら装置に資源を入れていく。
「これでよしと、それじゃ開発スタート」
ボタンを押し、装置が動き始める。
「できれば缶が欲しいなぁ、タービンでもいいけど」
「きっと出ますよ、提督は運がいいじゃないですか」
「そうかなぁ? そうだったらいいんだけど」
そんな他愛もない会話を少ししてると、装置が止まり装置に付いている画面に『開発完了!』と表示される。
「お、出来たか。さぁて、お目当ての物は出来たかなー?」
そんな事を言いながら装置を開けるとそこには……
「……えっ? なにこれ」
「これは……刀、でしょうか?」
そこにあったのは一振りの刀であった。
かなり使い込まれたのか汚れている。
「新装備とかかなぁ?」
「明石さんなら何か分かるかもしれません。見せに行きませんか?」
「そうだな見せに行くか」
────────
『執務室』
「調べ終わりましたよー」
「あっ、明石さん。お疲れ様です」
「おー、明石。なんか分かった?」
「正体に関してはなにも分かりませんでしたが、銘らしき物が彫ってありましたよ」
「銘? あぁ、たしか刀の製作者の名前とかだっけ?」
「なんて彫ってあったのですか?」
「『楔丸』と、聞き覚えありますか?」
「『楔丸』……ね。聞いたことないなぁ。神通は?」
「いえ……私も初めて聞きました」
「そうですよねぇ、私も調べたんですけど全然でした……まぁ、それは置いといてこの刀凄いですよ」
そう言いながら執務机に刀を置く。
「凄いって……切れ味とかが?」
「いえ、切れ味とかは普通で刀自体も樋*1が彫ってあること以外は至ってシンプルな刀です。ただ、耐久力が凄まじいんです!!」
「耐久力……ですか」
「そうです! 天龍さんに手伝ってもらい、いらない鉄板とかで試し斬りしてみたところ、全く折れることも無く、しかも刃こぼれもしませんでした!!」
「それは……凄いですね」
「それとですね……何故か装備すると速度と回避が大幅に上がります」
「なんで?」
「分かんないです……」
「まぁ、いっか。使えそうな装備だし。問題は誰に装備させるかだよなぁ……」
「刀使える人なんて一部の人しかいませんもんねぇ……」
「天龍はどうなんだ? 試し斬りで使ったんだろ、欲しいとか言わなかったか?」
「いえ……天龍さんは自分の刀があるからと……」
「そうか……じゃあ、伊勢とか日向とかは……」
「あの! 提督。私に装備させて貰えませんか?」
「えっ? 別にいいけど……大丈夫?」
「はい、大丈夫だと思います」
「そうか……じゃあ、神通に任せるわ」
「はい! ありがとうございます、提督!!」
提督から渡された刀を腰にさしながら礼をする神通。
その姿は何故かとても様になっている。
「なんか、神通さん凄い似合ってますね」
「確かに、まぁ侍と言うより忍者だけどな」
「忍者……ですか。姉さんの方が合うかも知れませんね」
「違いない」
そう言い笑い合う3人。
その笑い声の中に微かに草の笛の音が聞こえた気がした。
『楔丸』
「とある世界にて役目を終えた刀。
その鞘には何か飲み物を零したような形跡がある。
楔丸の名には、願いが込められていると言う。
忍びは人を殺すが定めなれど
一握の慈悲だけは、捨ててはならぬ…
その願い、時に刃が汲むこともあろうか…」
回避+19
索敵+3
火力+2
命中+1
装備すると速度が1段階上がる。
とある条件を満たした艦娘が使うと…?