◆◇◆
『…おねえちゃん、わたし、しんじゃうの…?』
『——大丈夫ですわ。お姉ちゃんが必ず、——あなたたちを救ってみせます』
姉妹がいた。眠る妹、励ます姉。
『■■■■は怖くないの…?
青い三つ編みの妹がいた。妹の名前は…、私の名前は…。
『あなた、勇気があるのね』
黒い三つ編みの姉がいた。私が唯一姉ではなかった時、ただ一人の姉。
『私は■■の■様ですもの』
『————』
記憶がなくなろうと、例え永遠の眠りにつこうと、その絆は切れることがない。
———姉妹の絆は何よりも尊い。
◆◇◆
親竜王国ルグニカは四大大国の一つ。神龍ボルカニカを信仰する国。魔獣の多く生息する国。そして、——貧富の差が最も激しい国でもある。
そんなルグニカ王国の負の面、輝かしい王城の影に隠れる貧民街にて二人の少女がいた。
「——まったくこんなに散らかして、片付けるのが大変ですわ」
「——勝手に居座って勝手に保護者ずらしてんじゃねぇ!つか早く出てけ!」
背の高い方は貧民街には似合わない高尚な口調でそう言い、家とも言えぬおんぼろテントの片づけをしている。そして背の低い方がそれを粗雑な口調で止めている。
まったく正反対な二人であるが、一見してその様は姉妹のように見える。いや、どちらかと言えば母親と娘だろうか。勝手に部屋を掃除する母親と散らかっているようで独自の規則性で整っている部屋を崩されて止める娘…だろうか、違うかもしれない。
「はぁ全くこの子ったら誰に似たのかしら」
「アンタはアタシの母親か!ああもう、なんだってアタシはこんなやつを助けちまったんだ…」
黒髪ロングの美女がボケ、金髪ショートの美少女がツッコミを入れている。
———それをナレーションする、省かれている男、ナツキスバルが傍から見ていた。
「姉妹漫才、か。んだらば、ここは一つ俺が兄に…」
「あら、もちろんわたくしが姉ですわよね?」
「兄ちゃんまでふざけたこと言うな!」
「おお、ノリがいいな妹」
「だーッ!そういうことじゃねーって!」
「ははは」「ふふふ」
完全に金髪美少女、フェルトが遊ばれていた。
「…はぁ、なんで初対面でそんなに息ぴったりなんだよ…。やりにくいったらないぜ」
ノリノリでボケていた男女、スバルとベネットだったが二人は完全に初顔合わせだった。
この状況を簡潔に説明するのであれば…家出令嬢と貧乳孤児と無知蒙昧な無一文の貧しくも愉快な一日…、
「——だろうか」
「もうアタシはつっこまないぞ」
「そろそろ自己紹介しませんこと?」
ガンスルー、悲しい。が、それほど時間がないのも事実。
スバルは交渉を始めることにした。
◆◇◆
こっから普通の時間軸で進めるゾー、オー。