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「知ってる天井だ」
目が覚めてすぐ、そう言ったのは病人服を着る男、ナツキスバルである。
二人寝ても余りある大きなベッドにシンプルな内装ながらに整頓された広い部屋、およそ一般家庭には縁遠い豪華さである。
彼がこの部屋で目覚めるのは二度目。一度目は謎のドリルロリにしてやられたが今度はそうはいかない、そう意思を固めているところだ。あとあのロリっ子は今度とっちめる。
「さぁナツキスバルの異世界生活いっちょやっていきますか!」
「――朝から元気ですね。お客様」
「――もう一度眠りについてはいかがですか。お客様」
「ですわ」
誰もいないと思って気合を入れたナツキスバルだったが、部屋にはスバルの他に三人もいた。
「お?おぉ、メイドさんか!随分若いけど似合ってるな!メイド服!」
この世界にもメイド服があるのか、という衝撃とメイドとはこんなにも若い子がするものなのだろうかという疑問、そして可愛いという感想。すべてが集約された上での言葉だった。
しかし。
「レムレム。お客様がセクハラ発言しているわ」
「姉さま姉さま。お客さまったら変態なのでしょうか」
「ですわ」
悲しきかな、その服似合ってるね、はセクハラ扱いである。
「服を褒めただけで変態扱いされる現代社会!というかさっきから、ですわ、しかいってないやついるな?!」
「ですわ?」
「あれ?!どう見てもベネットさんですよね?!いつの間に喋れなくなったんです!?」
「新人。お客様と知り合いなの?なら発言を許すわ」
「新人?というか発言に許可がいるって何!?」
発言を許可された彼女は、新人とは思えないほど綺麗なお辞儀と共に今の肩書を名乗った。
「んっん。改めまして、わたくしはメイザース家所属新人メイドのベネットですの!よろしくお願いいたしますわ!」
元気に明るく笑顔を振りまく黒髪美少女メイド。その破壊力は想像を絶する。
もしその笑顔に点数をつけるのであれば文句なしの満点だろう。
「ん、新人にしては上出来ね。褒めてあげるわ。でも微笑みすぎ、もっとお淑やかに笑いなさい。必要以上のサービスははしたなく思われるわ。それにちゃんと公の場ではロズワール・L・メイザース辺境伯家、と正式名称で言いなさい。使用人の不始末は主の顔に泥を塗ることと同義だと思いなさい」
「わかりましたの」
「判定厳しいな!?褒めて落とすなんて、この先輩メイドスパルタか?!というかそういうのお客様の前でやっちゃうのメイドとしてどうなの」
「「あ」」
天然なのか、スバルが舐められているのか、口元を押さえてうっかり、という顔をする二人。ポンコツメイドさんなのだろうか。それはそれで可愛いけど。
「あ、って。まぁ、いいけどさ。つか新人メイド、ってことは雇ってもらったってこと、か?」
「ですの」
「その返事もしかして気に入ってる!?」
「ですの」
「あ、違う、これさては返事するのが面倒くさいだけだな!ともに死線を潜り抜けた仲なのに寂しい!」
「?」
「ん?というか…そう、フェルトだよ!フェルト!」
スバルはベネットを見て色々と思い出したようだ。
一度目に起きた時は忘れていたが、そうスバルはあれから何がどうなったのか知らないのだ。ラインハルトに連れていかれたフェルト、倒されたロム爺に、確実に死んでいたはずのベネット、そして助けるために奔走したエミリアはどうなったのか。
この屋敷はいったいなんなのか。さきほどロズワールという辺境伯?の名前が出たがその人物が拾ってくれたのか。
聞きたいことが山ほどあるのだ。
目の前にいるベネットに色々聞きたいがよく考えるとおかしい。
ベネットであればなんとしてもフェルトに付いていくものだと思ったが、何故新人メイドになっているのか。
「あんたこんなとこでメイドなんてしてていいのか?フェルトのやつ、ラインハルトに連れていかれちゃっただろ?俺もなにか協力できるならしたいところなんだが如何せん自分の身も…」
「――お客様」
スバルの言葉はその呼びかけに遮られた。それはベネットのもの。
「お?おう。なんだ?」
お客様と呼ばれることに少し違和感を感じたスバルだが、元々名前で呼ばれたことはなかったな、と思い直し答える。
「大変言いにくいのですが」
「お、おう」
何かが。
「先ほどから一体何の話をされているのか」
「え?」
おかしい。
「そもそも、―――フェルトって、誰ですの?」
は?
少女から出た、ありえない言葉に、スバルの思考は停止した。
◆◇◆
紛らわしいデスガ、暴食でも鯨でもないデス。タイトル、デス。
これまでの話を無にするかのような屋敷編出だシ。
こっからまた構想がないのデ、字数少なめでゆっくり進みマス。が、不要なところと原作と変わらないところは飛ばしてスピーディにいこうと思ってマス。
会話量
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たくさん!
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適度に。
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少なめがいい…