オラリオリング   作:ニャニャニャ

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少し長くなってしまいました。ベート、ソード・オラトリア読んでめっちゃ好きになったよ。特に原作12巻、めっちゃかっこよかったよね。



神、人、彼女の視点

 

 

 「・・・たぶん、ここだと思うんですけど。」

 

 石造りで二階建て、奥行きがある大きな酒場にレナとベルは来ていた。ベルのステータス更新をしてから急に不機嫌になったヘスティアに二人で行ってきなよと言われ、ベルがここの店員に誘われたということで急遽、レナも同行したのだ。

 

 その店員が働いている店というのがこの『豊穣の女主人』

 

 

 中を覗いてみると、様々な種族の女性店員が働いている。内装は随分とシックではあるものの酒場というイメージは崩れていない。誰でも入りやすいような店内になっていた。そんな酒場の様子を見て、顔をほんのり赤くさせるベル。酒の雰囲気に当てられたのか、それとも美人の多い店内だからなのか。理由は定かではないが彼は店の前でもじもじとして全く店内に入れずにいた。

 

 「ベルさんっ」

 「っシルさん!?」

 

 そんな彼を見かねたのか、店員の一人がベルに話しかける。

 

 「えっと、その、やってきました。ファミリアのメンバーも一緒なんですけど。」

 「そうなんですね。それでは、2名様入りまーす。」

 

 澄んだ声が店内に響く。レナは堂々と、そして、ベルは注目されないようにするためなのか、ビクビクして体を縮こまさせながら店内を進んでいく。

 

 「それでは、こちらにどうぞ。」

 

 二人が案内されたのはカウンター席、ベルは曲がり角の席に、ルナはベルの斜め前に座る。初めての入店のベルに気遣ったのだろうか。

 「あんたがシルの言ってたお客さんかい? 冒険者のくせして可愛い顔してるねえ。」

 「シルの話を聞く限り一人だと思ってたんだけど、連れもいるみたいだね。とんでもない大食漢だって聞いてるからね! じゃんじゃん食べて、お金を落としていってくれよ! もちろん、連れのあんたもね。」

 「!?!?!?」

 

 ばっ、とベルの顔がシルの方に向く。それに合わせてシルの目がさっとそらされた。

 

 「いつから僕、大食漢になったんですか!? 初耳ですよ!」

 「あのー・・・えへへー」

 「えへへじゃないですよ! ひどい! ごまかされませんよ!」

 「えーっと、私、応援してますから!」

 「ちょっと、誤解を解いてくださいよ。シルさーん!!」

 

 ベルの今日の収入はいつもの2倍ほどになっていたがギルドへの借金の返済や今後のポーション代などを考慮し、無難に普通のパスタを頼んだ。お酒はいらないと言ったのにちゃっかりと着いてきたことに関しては小心者のベルでは断れずなあなあにしてしまった。

 

 「ルナさん。今日はいつもより収入が多かったので、好きなもの頼んでもらっていいですからね。」

 

 ベルも男の子だ。美人の前ではカッコつけたくなってしまう。それに、女性だし余り食べることはないだろうという思いもあった。

 

 「すまないが、私はあまり食事を必要としないのだ。」

 「あんた、酒場に来て何も食わず飲まずで席を取るっていうのかい?」

 「そうですね、何かは頼んだほうがいいと思いますよ。」

 

 そういうものか。そう言って彼女はパエリアとエールを頼んだ。出てきたパエリアはベルの知らない海鮮類が多く乗っていて匂いも食欲をそそられるいい匂いだった。

 

 シルと話すベルを横目で見ながらルナは黙々と料理を食べ勧めていった。

 この時間帯になると店内も盛り上がりを見せ、料理に舌鼓をうつ者や、肩を組みながら酒を飲む者、店内は大きな盛り上がりを見せていた。

 

 そんな中に突如として十数人規模の集団が酒場に入店した。一人ひとりが強者のオーラを体から発していて生半可な強さでないことが十分に伝わってくる。

 ベルはその集団の一点を、目を輝かせて見つめていた。

 

 周囲がその集団が【ロキ・ファミリア】であることに気づき始め、店内の会話がロキ・ファミリア一色に染まっていく。

 

 『あれが剣姫か、近くで見るとやっぱ美人だな。』

 『勇者に九魔姫もいるじゃねえか。一級冒険者勢ぞろいって感じだな。』

 『あれがそうなんだな。始めてみた。』

 

 畏怖や憧れが聞こえてくる会話の中にすべて含まれていた。ベルに落ち着きがなくなっており、シルが話しかけているにも関わらず受け答えすらできていない状況だ。

 ベル・クラネルのこの異常な行動の数々はあの金髪の精巧な顔をした女性によってかとルナは当たりをつける。しかし彼女にとってはどうでもいいことだった。

 

 「ダンジョン遠征ご苦労さん! 今日は好きなだけ飲んで、どんちゃん騒げ!」

 

 赤い髪をした女が音頭を取る。そこから【ロキ・ファミリア】の面々が騒ぎ始めた。ジョッキをぶつけ合う者、豪快に料理を口に入れる者。場の空気を【ロキ・ファミリア】が完全に支配していた。

 そして、時間が立つのに比例してベルの顔もどんどん赤くなり目もキラキラと輝きを増している。そして、興が乗ったのだろう。一人の男が楽しそうにある話を話し始めた。

 

 「アイズ! お前のあの話、聞かせてやれよ!」

 「あの話・・・? どんな話ですか? あの助けてくれた人の話?」

 

 金髪の彼女は本当にわからないのだろう。首を傾げている。

 

 「ちげぇよ! 帰るときに逃したミノタウロス! あれを五層で始末したときにいたあのトマト野郎の話だよ!」

 

 ベルの体が固まり、顔は少しづつ強張っていく。

 

 「ミノタウロスってあの、17階層で返り討ちにしたら、いきなり逃げってたあいつら?」

 「それだよ!どんどん上層に逃げちまって、こっちは疲れてるっていうのによ〜。追いかける羽目になっちまってなぁ。」

 

 そして、5階層で追い詰め、倒したのだろう。そして、その場にいたのが、ベル・クラネルだったのだろう。

 

 「それで、そこにな。いかにも駆け出しっていう冒険者がちょうど居てな。間一髪ってところでアイズが細切れにしたんだが、そん時にあのくせー牛の血を全身に被ってトマトになっちまったんだよ。まじで腹が捩れる。腹痛ぇ・・・!」

 「・・・・・」

 「うわぁ・・・」

 「さらにだぜ! そのトマト野郎、叫びながらどっか行っちまって。うちの姫様、助けた相手に全力で逃げられてやんのおっ!」

 

 それを聞いて【ロキ・ファミリア】に大きな笑いが起こる。

 

 「・・・・くっ」

 「・・・くふっ、ごめんなさい、アイズ。流石にそれは我慢できない・・・」

 「傑作やなー。冒険者怖がらせちゃうアイズたんマジ萌〜」

 「・・・・・」

 

 ベルの顔から表情が抜け落ち、足は小刻みに震えている。

 

 「大丈夫か、ベル。」

 「あ、あの、ベルさんっ・・・どうかされましたか?」

 

 ルナとシルの心配する声も耳に入っていないようだ。

 

 「それにしても、情けねぇ。ピーピー泣きやがって。あんな奴がいるから俺ら冒険者下がっちまうんだよな。」

 「いい加減黙れ、ベート。我々の不手際で起きたことだ。謝罪はすれど、酒の肴にすることなど許されることではない。」

 「さすがエルフ様だな。誇り高い。救えねぇやつ擁護して、失敗をごまかすための自己満足だろ。・・・アイズはどう思うよ。あんな奴が俺らと同じ冒険者を名乗ってて。」

 「・・・仕方なかったと思います。」

 「・・・いい子ちゃんぶりやがって。じゃあ、質問を変えるぞ。ツガイにするんだったら俺とあいつどっちがいいんだよ。」

 「ベート、君、酔すぎなんじゃない?」

 「私は、そんな事言うベートさんとだけはゴメンです。」

 「無様だな。」

 「黙れ、じゃあなんだ。あいつがいいってか? あんな弱くてひょろいアイツが? お前の隣に立つ資格がある? そんなわけねぇだろ。」

 「雑魚じゃ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねぇ」

 

 その瞬間、ガタッという音とともに、ベル、クラネルは外へ飛び出した。ルナのこともお店にお金を払うことも何もかも頭の中にはなく真っ白な頭の中。そこに浮かんでいたのはついさっき聞いた言葉。

 

 『雑魚じゃ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねぇ』

 

 それだけだった。

 

 

 一つの影が外へ一目散に飛び出していったあと店内はざわめきが広がっていた。【ロキ・ファミリア】の一部は他の意味でざわついている者たちが数人居たが。

 

 「この店で食い逃げなんて、怖いもん知らずやな。」

 「あの出てったやつ、明日にはコテンパンだろうな。」

 「彼女はあのときの・・・?」

 「だろうな。顔は見えんがあの特徴的な髪の色といい、あのときの彼女だろう。

 

 そして、その出ていった一つの影の連れである彼女は今、店の店主であるミアに詰められていた。

 

 「あの子が、出てっちゃったからにはあんたからお代をもらわなきゃいけないんだけど、持ってるのかい?」

 「それについては問題ない。彼が立ち上がった時に財布は預かっておいた。」

 「そうかい、あんたももう食べ終わったんだし、さっさと追いかけなくていいのかい?」

 「なぜ? 私が追いかける必要がどこにある。」

 「・・・あの子、あの目はダンジョンに行ったよ。」

 「それで? それがどうした? 彼がダンジョンに向かったからと行って私が同行しなければいけない理由にはならない。もし私が居なくても、彼は一人でダンジョンに向かっただろう。」

 

 ミアはため息を付きゆっくりと言葉を吐く。

 

 「あんたね。おんなじファミリアじゃないのかい? ファミリアは家族だろうに。家族を助ける、それは、当たり前なんじゃないのかい?」

 「認識の違いだな。私にとってファミリアとは家族ではない。それだけの話だ。ここで、死ぬならそのような運命であったということだ。それに、彼が一緒に来てくれと言えばもしかしたらともに行ったかもしれない。しかし、彼はそれを言わなかった。私から動くということは決してない。神の陰謀が関わらない限りこれは絶対だ。」

 「・・・そうかい、後悔のないように好きにしな。」

 「ああ、好きにさせてもらおう。・・・これは私の予想だが彼は死なないだろう。」

 「楽観視してると痛い目見るよ。」

 「ただの、これまでの能力を見ての予想だ。」

 「・・・後ろのはあんたのお客さんじゃないのかい?」

 

 そして、ミアは首を動かし後ろにルナあての人物がいることを伝える。

 

 「せっかくの酒の席で申し訳ない。それに、彼の話で不快にさせたのなら重ねて謝らせてもらいたい。」

 「気にしなくていい。謝罪も不要だ。」

 「気遣いは嬉しいがあの飛び出していった子がベートの話に出てきた子なんじゃないのかい。そして、今勝手に聞いてしまって申し訳ないが、彼と同じファミリアなんだろう? それなら、なおさらこちらが迷惑をかけたんだ。謝罪を受け入れてもらえると嬉しい。」

 「貴公、もう一度言おう。私自身に謝罪は不要だ。謝罪がしたいなら、ベル、彼にするといい。」

 「でもね、君にも・・・」

 「何度も言わせるな、貴公。それにさっきの会話の何が悪い。私に謝る必要などない。」

 「何が悪いって、君のファミリアの団員をうちのファミリアの団員が馬鹿にしてしまったんだよ。当然こちらが悪いだろう。」

 「貴公はそう思うのだな。だが私はそうは思わん。弱者とは強者からの行いをすべて受け入れなければいけない。それは当然のことだ。貴公らは強者であったから好きにできた。強者だからこそ、貶すことができた。擁護することができた。笑うことができた。貴公らも弱者側に回れば同じことをされるだろう。

 それに、自らよりも劣るものを見つけ、それと比べ自らを優れているように見せようとするのは人として当然だ。だから、ベートと言ったか、彼は普通の人間としてあたり前のことをしただけだ。だから私は謝罪を受け取らん。」

 「・・・分かったよ。謝罪は彼にすることにするよ。・・・ここからが本題なんだが、君について教えてくれないかい? 君ほどに強い人を今まで見たことがなくて。もしよかったらいろんなことを教えてほしいんだ。」

 「なんやなんや、どうしたフィン。知り合、い・・・お前、なにもんや? 人ではないやろ。神か? どこの神や?」

 「人ではないのはそうだが、私は神ではない。」

 「神でも、人でもない? 冗談はやめーや。それなら何になるっていうねん。」

 

 その問いに対し、彼女はこう答えた。

 

 法であり、世界だ

 

 

 

 




 裏話をすると、ホントは主人公は最初、神様設定だったんですよ。でも、某有名フロムゲー考察兄貴の考察動画を見させてもらった時にこれだってひらめいちゃったんですよね。

 ということで、その考察を100%参考にした独自世界設定なのでそこはご了承ください。

 ちなみにエルデンリングって有機物で出来てるらしいっすよ(小声)
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