織田信長が本能寺の変後に天文18年へタイムスリップ?そして何故か現在の戦国時代大好き少女とシンクロしてしまった! 作:華瑠羅
清州の町の一角に大きな屋敷を構える織田信友に珍客が訪れていた。
そう、何を隠そう信長や信勝の母である土田御前であった。
「ほう… あの《うつけ》を信秀が跡継ぎに選ぶとは驚きじゃ!ワシは弟の信勝をと持っておったが、良い知らせを持って来て頂いた事に感謝致す。」
しかし、その珍客は不満そうな表情を浮かべ
「信友様とあろう方が、あの《うつけ》が跡継ぎになった方が良い口ぶりとは、いったい…」
「ん?おかしな事を聞くな。信秀は食えん男じゃが、その嫡男が《うつけ》である以上、ワシにとって有利ではないか?」
「有利とは、どういう…」
「ふぅ… あのな、仮に信勝が選ばれた場合は分家が結束するが信長に成れば、と… ここまで申せば解るであろう?(どうやら当てが外れた様じゃな…)」
「信友様の力を持ってすれば三郎を呼び出し、始末して下さると思って…」
「おいおい!待て待て!信長はお前の実の子ではないか?(それを始末しろとは… 狂っておるのか?しかし、逆に申せば信長が当主となれば、隠居させ信勝に家督を譲ればワシは名実共に尾張で暗躍し放題ではないのか?くくく。)まぁ、お前にも色々あるのであろう。土田殿、そこまで申すならワシにも見返りが欲しいのじゃが…」
という発言を聞き表情が見る見る明るく変化し
「信秀様を説得し、三郎を跡継ぎ候補から失脚させて頂けるなら何でも致しまする!」
「ワシが思うに、このまま信長を生かし当主にさせる。」
「え?今何と仰せに?それでは…」
「まぁ、聞け!あの《うつけ》を当主にした後、ワシが信長に信勝へ家督を譲れと命令する。あの《うつけ》の事じゃ、いくらかの金子を与えれば簡単に譲るであろう。そして、信勝が当主となれば万事収まるではないか?」
「それは良い考えだと思いまするが…」
と、また不安そうな落ち込んだ表情を浮かべた。
「まだ何かあるのか?」
「はい… そのお考えは宜しいのですが、肝心の現当主である信秀様が黙ってはいますまい。」
「それに関しては策がある。もっとも、奥方である土田殿の協力が必要なのじゃが… 如何かな?」
「内容にもよりまするが…」
「内容?おいおい。先程、何でも致すと申したのは嘘か?」
「しかし… 内容が不透明で…」
「ここまでお膳立てして、今更なにを申しておるのだ?お前の夫である信秀はワシを、いや本家である斯波家を打倒すると吹いておるそうではないか!」
「そ、それは?」
「馬鹿め!それを知ってか知らずか、お前は敵に成るかも知れない相手にいらぬ企てを具申しに来たのだぞ?女の身で、姑息な企てを考えるからこうなるのだ!で、じゃ… ここまで話して、断るとかは申すまいな?」
土田の顔から血の気が引いて、言いなりになる事を受けたのだった。
「良い心がけじゃ!お前に協力して欲しいのは、この薬を毎食後に混ぜて信秀に食べさせろ!くれぐれも、気付かれぬ様にな…」
と、何やら怪しげな白い粉末を渡された土田は恐る恐る信友に
「こ、これは、如何なる効き目があるのでございまする?」
「何じゃ?顔色が一段と悪くなったみたいだな。この薬には、人を殺す様な成分は入っておらぬ。脱力感が… つまり、凄くやる気を無くさせるだけの薬じゃ。そう心配致すな!ワシも鬼ではない。(くくく。本当は違うがな。全く馬鹿な女じゃ。逆に利用させるとも考えずに、信長を追い落とす為にワシを利用しようとはな。女とういう生き物は時に狂ってしまうと聞くが、典型的な見本であろうな。しかし、良い駒を手に入れたわい。)」
と、信友はほくそ笑むのであったが…
その会見を信友の傀儡である斯波義統の手の者が屋根裏で聞いていたのだった。
つづく