織田信長が本能寺の変後に天文18年へタイムスリップ?そして何故か現在の戦国時代大好き少女とシンクロしてしまった!   作:華瑠羅

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1.

天文18年(西暦1549年)

 

 

以前の信秀は織田家の一奉行として仕えていたが、隣国との抗争で徐々に頭角を現し織田家の本筋に当たる織田家当主信友に次ぐ勢力と成った事で、信友は矢面には出ず斯波家当主である義統を擁立し、そこ家臣として裏で実権を握って、虎視眈々と織田家本家として過去の栄光である尾張一国を狙っていた。

 

 

 

信長は昔懐かしい那古屋城へ帰ると、美濃の斎藤道三の娘である帰蝶が出迎えたのであった。

 

 

【斉藤道三(さいとうどうさん):西暦1494年生~1556年没。油売りから美濃一国を盗った人物で、蝮と恐れられた。織田信長の実力を早くから認めていたが、嫡男の謀反にて戦死した。】

 

【濃姫(のうひめ):西暦1535年~没年不明。斉藤道三の娘。名前に関しては於濃(おのう)や帰蝶(きちょう)、鷺山殿(さぎやまどの)とも呼ばれていた。言わずと知れた織田信長の正室である。】

 

【那古屋城:現在の愛知県名古屋市中区にあたる場所に建っていた城で今川義元の父である氏親が築城した。しかし信長の生まれる前は今川家直系ではない氏豊が城主の時、信長の父である信秀に城を奪い取る。その後、信長に譲ったとある。】

 

【今川義元(いまがわよしもと):西暦1519年生~1560年。東海一の弓取りと謳われる大大名だったが、尾張に侵攻の折に桶狭間にて信長に破れ戦死。】

 

【末森城:現在の愛知県名古屋市千種区城山町にあたる場所に建っていた城で西暦1548年(天文17年)に信秀が建てた城。信秀死後、信長の弟である信勝の城と成った。】

 

 

「信長様!毎日のごとく城を抜け出して!私の事がお嫌いなのですか?」

と、帰蝶は激怒し信長に詰め寄って来た!

 

「え?(そういえば、もう帰蝶が嫁いで来ていたのか… それにしても若い帰蝶というのも新鮮で良いものであるな。おっと…)いや、別に帰蝶の事が嫌いではないのだ。お前にそういう風に思われていた事は素直に謝罪する。」

と、信長は帰蝶に頭を下げた。

 

そんな信長を見た帰蝶は驚いた表情を浮かべ

「え?!(私の耳がおかしくなった?)信長様?どこかで頭でも打たれましたか?」

 

「それは爺にも言われたが、ワシは至って正常じゃぞ?」

 

「それなら良いのですが…(正常?明らかにおかしい!この私に謝罪?何かの天変地異の前触れ?)」

 

 

帰蝶は信長の様子が少し変な事に気付き、慌てて平手政秀の傍へ向かい小声で

『平手様。信長様は何処かで頭とか打ったりしていませんか?』

『それは某も思っておりまする… 言動が若らしからぬのでございまする。』

 

 

「さっきから、何をぼそぼそと話しておるのだ!それより、ワシは一刻も早く父上に会わねばならんのだ!悪いが、後にしてくれ!」

 

「え?義父上にって、つい最近にも会われたばかりではありませぬか?」

 

「そうじゃったか?」

 

という信長を見て心配そうな表情を浮かべ

「大丈夫ですか?今日の信長様は少し…」

 

「少し、何じゃ?」

 

「いえ、それより急ぐのでございましょう?」

 

「うむ。では行って参る!」

と、父である信秀の居城である古渡城へ向かった。

 

 

 

信長自身の中に宿ってしまった思考体である香奈が

『信長さん。』

 

≪なんじゃ?≫

 

『何処かで頭を打った変な人にされてるみたいだけど大丈夫?』

 

≪ふん!未だに《大うつけ》と思われておるゆえ、今更じゃ!捨て置け!≫

 

『信長さんがそう言うならいいけど… それより、この約1年後に病死するのでしょう?信長さんの父上…』

 

≪うむ。たぶんな… しかし、さすがじゃな。この先どうなるか分かっている、お前の発言が信憑性を帯びて来たな。≫

 

『何言ってんの!信憑性?あんたも死んで戻って来てるじゃない!しかも、若返ってさ!』

 

≪くくく… そうじゃった!そうじゃった!そちの申す通り、若返ったという事は非常に有難い事じゃ!何故かは知らんが感謝しかないな!≫

 

『話題が逸れたけど、その父上に会ってどうするの?まぁ、懐かしい再開ってのは分かるけどさ…』

 

≪いや、確か京に日ノ本で有名な医者が居ると思い出してな。そこで、その医者…≫

 

『曲直瀬道三ね!』

 

 

【曲直瀬道三(なませどうさん):西暦1513年生~1573年没。日本医学中興の祖で「医聖」と称された戦国時代から安土桃山時代の日本の医師。】

 

 

≪おお!それじゃ!その曲直瀬何某から薬を購入し父上に献上しようと思って、爺に話し手配させておる、≫

 

『へぇ… 結構、色々考えてるんだね。(って、いつそんな話を?そして、何の病気で何の薬かとかのツッコミどころ満載だけど一先ず置いといて…)で、弟の信勝はどうするわけ?』

 

≪当たり前じゃ!それより、問題はそこじゃ!ワシが無能だと、母上や林にすり込まれてるだけあってな…≫

 

 

【林秀貞(はやしひでさだ):西暦1513年生~1580年没。織田家の家臣。織田信秀に信長の付家老に命じられたが信勝を織田家当主として擁立して信長と対立。後に許されて家老を務めるが追放させられた。】

 

 

『それに関しては一言、信長さんが悪い!敵を欺くには味方からっていうけど、やりすぎ!だから、爺こと平手政秀さんにも…』

 

≪わかっておるわ!今度はそんなヘマをせぬ!先程申した薬が届き次第、爺に話すつもりじゃ。ワシの志もな!≫

 

『それはナイスな判断ね!』

 

≪ないす?お前は時折、訳の分からん言葉を発するな!(普通に喋れ!)≫

 

『あのね、私に対する〈悪口〉は全て聞こえてるから気をつけてよね!』

 

≪何?!むむ。わかった… 善処しよう。っと、懐かしき古渡城が見えて来た!出発する時にも話したが親父殿と話してる時に横槍を入れずに頼むぞ!≫

と、信長は香奈に念を押したのだった。

 

 

【古渡城:那古屋城と同じく現在の愛知県名古屋市中区にあたる場所に建っていた城で西暦1534年(天文3年)に信秀が建てた城。末森城を築くまでの信秀の拠点。】

 

 

城門を抜けると、今信長が一番出くわしたくない土田御前こと信長の母親と弟の信勝が信長を見かけるなり近寄って来た。

 

 

【土田御前(つちだごぜん):生年不詳~西暦1594年没。織田信秀の二番目の妻。信長よりも信勝を可愛がっていて、信勝が一度目謀反を起こした際に信長に殺さない様に願い書を出したとか。】

 

【織田信勝(おだのぶかつ):生年不詳~西暦1558年没。尚、文献によれば信行とも達成とも信成とも。信長の弟。柴田勝家シバタカツイエや林秀貞らが信勝を織田家の当主に擁立させようと信勝をまるめ込み、信長に2度に渡り謀反を起こし謀殺されたらしい。】

 

 

「これはこれは三郎殿、いや信長殿ではござらぬか。」

 

「これは母上…(よりにもよって母上に会うとは!しかも、コブ付き…)ご機嫌麗しゅうごうざいまする。」

 

という信長の発言に驚き

「え?!(私に向かって「ご機嫌麗しゅうごうざいまする」って、頭でも打ったのでしょうか?)」

 

「は?」

 

「いえ、失礼。で、今日は何故この城に?」

 

「いや、父上に話が合って参った次第でござるが…(話題を変えねば!)それはそうと、勘十郎と何の話をしていたのでござる?」

 

「それは良い意味で信長殿には関係ない話でございまする。旦那様は奥に居ますので御無礼がない様に!」

 

「はっ!それは心得ておりまする。では、失礼致しまする。」

と、信長は早々と城内へ向かって歩いて行った。

 

 

それを見送った土田は信勝に

「今日の三郎は変に礼儀正しかったのですが…」

 

すると土田の隣にいた信長の実弟である勘十郎こと信勝は

「母上。どうせ今日だけでしょう。何やら機嫌が良かったみたいですし…(あの《大うつけ》が!今更、某の母上の気を引こうとしおってぇ!)」

 

「そんな事はどうでも良いではございませぬか!それより先程の続きを…」

と、相変わらず実の息子である信長には無関心な土田御前であった。

 

 

 

そして、信長は久方ぶりの父に会うのだった。

 

「父上!」

 

 

信長の父である信秀は側近の小姓も付けず書物を読んでいたところに信長の声がしたかと思えば、よく見ると信長の目から涙が流れているのを見て

「い!?いったいどうしたのじゃ!?」

と、驚き聞いた。

 

 

そう、信長は感動のあまり号泣していたのだった。

 

「父上!お久しゅうございまする!」

 

「何じゃ?お前、酔っておるのか?ついこの間、会ったばかりではないか!」

 

「そ、そうでございましたかの?(まずい!つい、生きてる父上を見て感極まってしまったわい…)父上の申す通り、酒が抜けておらぬやも知れまぬな…」

 

「むむ。まぁ良いわ!それより、そんな顔を家臣達には見せるでないぞ!で、今日は何用だ?」

 

「はっ!風の噂で聞いたのでございまするが… 最近、父上が病に臥せっておるとか…」

と、信秀は物凄く驚いた表情を浮かべ

「何じゃと?!」

 

「やはり、身に覚えがあるのでございまするな?そこで某が今、京に有名な医者が居る事聞き付け、病によく効くとされる薬を調達しておるところでござまする。」

 

「む?それは有難いが… 何かの裏がありそうじゃな?違うか!」

 

「さすがは父上!巷で某が何と呼ばれておるか知っておいでか?」

 

「《大うつけ》であろう?」

 

「はっ!」

 

「そんな与太話は捨ておけ!ワシはお前がその様な事は無いと信じておる!その証拠にワシが信頼しておる平手政秀をお前の傅役に据えたのじゃからな。」

 

「こんな某にその様な配慮を… 有難き幸せ!しかしながら、その噂を広めたのは何を隠そう… 某にございまする!」

 

 

という問題発言に信秀は言葉を失う。

 

 

「驚くとは思っておりましたが、続きがございまする。先程の「そんな与太話は捨ておけ!」でも分かるように某を思って頂いてる事で、敵を欺くには味方からという言葉の通り誰にも話さぬと思っておった事を父上だけには話そうと思いました。」

 

「ほう…(くくく。やはり何やら策を講じておったか!面白い!)」

 

「某が《大うつけ》だと分かれば諸国、いや隣国はどう見ましょうや?」

 

「それは、ワシが死ねばこぞって攻めて来るであろうし、取り込んで信友のような手段で傀儡に仕立てるであろうな。」

と、話ながら何かに気付いた信秀は

「ちょっと待て!お前… まさか、それを見越して蝮(斎藤道三)との?」

 

「仰る通りでございまする。」

 

「ほう…(まったく、末恐ろしいな!)」

 

「話が逸れましたが、その《大うつけ》が実は偽りだとすれば…」

 

 

その言葉に信秀は笑みを浮かべ

「三郎!やはり、お前はワシの後を継ぐに相応しい!(なんとういう発想じゃ!こやつは天才じゃ!勘十郎とは雲泥の差じゃな。)」

 

「有難き幸せ!」

 

「うむ。しかし、この策の事は政秀にも話すが良い!アレも、お前の事を幾分か疑っておる様なのでな。」

 

「はっ!仰せの通りに致しまする。そして、もう一つ父上に進言したき事がありまする!」

と、いつもとは違う真剣な眼差しで信秀を見つめる。

 

「な、何じゃ!(こやつ… いつになく真剣な表情を…)」

 

「某はこの尾張の様な一国の領主ではなく、天下を望んでおりまする!父上!病など患って暇などありませぬぞ!某が、父上に天下泰平の世を!この織田信長が治める日ノ本を見て頂きたい!」

 

「大きく出たな!三郎!(天下を望むか…)わっはっはっは!面白い!お前がそのような大望を持っておるなら、病を真剣に治してもみようではないか!が、一つ懸念がある。舅殿(斎藤道三)はどう致すのだ?」

と、織田家と斎藤家をどうするか信長に問いかけるのだった。

 

 

 

つづく

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