織田信長が本能寺の変後に天文18年へタイムスリップ?そして何故か現在の戦国時代大好き少女とシンクロしてしまった! 作:華瑠羅
また、唐突に信長の中に存在する香奈が
『信長さん。その仲違いさせるって奴だけど、実際どうやるつもり?前回とは役者が違うわけだし…』
≪またかと申したいが… 香奈の申す通り、そこが問題よ!斯波義統に会うのは爺に任せるとして、信友に会う算段をどうするかじゃ!何か良い手立てはないか?≫
『前回同様、叔父さんに一働きしてもらう事は出来ない?』
≪叔父上にか?それはワシも考えたが、ワシの事を《大うつけ》だと思っておるゆえな…≫
『どうせ帰ったら爺さんに伝えるのなら、爺さんの子飼いを使って間接的に伝えてみては?』
≪おお!それは名案じゃ!ワシが話すより確実だな。≫
と、そうこう話している内に城へ戻った信長は早速、爺の下へ向かい《大うつけ》という噂の真相を報告するのだった。
それを聞いた、政秀は最初に驚き
「なんと!?その様な糸が隠されていたとは!」
そして、号泣し
「爺は、爺は、恥ずかしい!若の事を信じてやれなかった事が悔やまれてなりまぬ!」
「泣くな!ワシも悪いとは思っておるが、これも全て天下を取る為の一環じゃったのだ… 今まで、ワシが《大うつけ》という噂でワシへの不満や織田家家臣らから馬鹿にされ我慢してくれた事を詫びる。」
すると、先程まで号泣していたのは嘘の様に笑顔となり
「そのような些細な事は、若の本心を聞いた事で全て吹き飛びましたぞ!」
「そうか!でじゃ… 先程、父上に会って申された事があってな。」
と、急に至妙な面持ちに成った信長を見て政秀は真剣な表情で
「殿は何と?」
「父上が隠居しワシに家督をという話があったのだ…」
「おお!それは喜ばしい事ではないですか!」
と、また政秀は笑顔を見せた。
「普通に考えれば喜ばしい… しかし、あの噂のせいでワシに家督を継がせると家臣達の反発がワシだけなら良いが、父上にもおよぶ可能性も無きにしも非ずじゃ。」
「それはそうでございまするが… 殿が決めた以上、皆が従うのが世の常では?」
「爺の思惑も分からんではない。まぁ、聞け!ワシに家督をという話で、ワシは一つ手柄をたてる事にした!何をもってだと思う?爺。」
「むむ… 爺には分かりかねまするな。」
「本家を滅ぼす!それも一兵も損なわずにじゃ!当然ではあるが、本家側の兵も含まれておる。」
「おお!(若は、こんな土産を考えていたとは… これならば若を馬鹿にしていた家臣達も納得がいくであろう。)」
「じゃが問題は分家であって、しかも本家の奉行職でもある我らが本家を滅ぶすには、それなりの大義名分が必要じゃ!分かるな?」
という言葉に、驚きと納得の表情を浮かべた政秀は
「まさに!このままでは逆賊の汚名を生み、殿に味方していた尾張の名立たる豪族達が一斉に反旗を翻し、折角の尾張統一が振り出しに…」
「うむ。それを回避するため朝廷に申し立てを行う!そこで爺は子飼いを使い、上手く斯波家討伐の利権を貰って来てほしいのじゃ!」
「そのような事は…」
「何を渋っておる?爺が朝廷に幾度か友好を計るために赴いておるのは分かっておるのだぞ?」
「まさか!?その様な裏事情まで御存知とは… 感服致しましたぞ!(爺は、爺は、嬉しゅうございまする!)」
「うむ。でじゃ、叔父上にも事情を話し…」
「お、お待ちを!そのように事情を話されては…」
「それには及ばぬ。叔父上は母上いや林一派と仲が悪い上、父上に全幅の信頼を持っておるのでな…(いや、もうワシの芝居に父上を通して伝わっておるやも知れんが…)」
「はっ!では早速に説得して参りまする。」
「うむ。頼んだぞ!ワシはワシで別にやる事がある。」
「(何やら企んでおる様子。若!老い先短い某ではありまするが、死ぬまで忠誠を誓いましょうぞ!」
と、思う政秀だった。
そこにまた香奈が
『信長さん。信広に会った後に三河へ向かうのでしょう?』
【織田信広(おだひろのぶ):生年不詳~西暦1574年没。信秀の長男ではあるが側室の子なので家督とは無縁。今川家に捕らわれ、当時に織田家へ人質であった竹千代(後の徳川家康)と交換されたとある。】
≪うむ。よくわかったな!そうじゃ、信広の阿呆のせいで竹千代が今川に仕えてしまうのを事前に防ごうと思ってな。≫
『松平広忠の暗殺に伴う一連の事件だね?』
【松平広忠(まつだいらひろただ):西暦1526年生~1549年没。徳川家康の父。今川義元の庇護下にあった松平家は信秀の侵攻を防ぎきれず今川家に服従したが、家中での考えが分裂し近臣に殺された。】
≪そういう事じゃ!あの阿呆を説得し、松平広忠の暗殺までの時を稼ぐぞ。その後、信広には予定通り三河へ進軍してもらうつもりじゃ。≫
『その戦に乗じて、竹千代を奪取する考えね?頭良いわね!』
≪当たり前じゃ!ワシを誰だと思っておる?織田信長であるぞ!≫
『天下は取れなかったけどね!』
≪やかましい!お前は一言多い!≫
と、怒る信長であった。
つづく