織田信長が本能寺の変後に天文18年へタイムスリップ?そして何故か現在の戦国時代大好き少女とシンクロしてしまった!   作:華瑠羅

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5.

その三河では松平家当主である松平広忠と、その家臣達と今川家の要求に応じるか否かを議論している真っ最中であった。

 

 

「何度も申しておるが、そもそもの発端が今川家に対し宣戦布告したという一方的な案件についてだ!しかし、ワシには身に覚えがない!」

 

「それはただの難癖でございましょう。」

 

「難癖だろうが何であろうが、このままでは松平家が滅亡してしまうかも知れないのだぞ!」

 

「しかし、今川家の完全な属国に成り下がっては元も子もないではないではありませぬか!」

 

「その通り!それに嫡男である竹千代君を今川家に差し出すとか、有り得ませぬぞ!ましてや、あの糞坊主に預けるとも聞きましたし…」

 

「なんと!?あの坊主の噂を信じるなら、竹千代君の貞操が…」

 

「ええい!やかましい!これは、もはや決まっておる事じゃ!これで松平家が残るなら安いものじゃ!」

 

「言うに事を欠いて安いですと?それでも親でございまするか!単に、己の保身に回っただけでは?」

 

「そうでござる!そんな事までして松平家を守りたいなら、ご自分が腹を斬り今川家に亡骸を突き付け謝罪すれば良いのでは?」

 

「何故、当主であるワシが腹を切らねばならん!さてはお前達… 竹千代を擁立してお前達が実権を握ろうとか思っておるのではなかろうな?」

 

「それは良い考えですな!しかしながら、我らはその様な考えは一切持っておらぬ。我らは竹千代君に生きて真っ当な三河武士に成って頂きたいと思っているだけでございまする。たとえ松平家が無くなろうとも!」

 

「お前達の意見など、どうでも良い!我が松平家は今川家の属国に成って松平家として存続する。」

 

「ほう… では、どうしても我らの意見を受け入れないという事ですな?」

 

「当たり前じゃ!どうせ大原雪斎の難癖じゃ… それに対し、誰が腹を切って詫びなければならん?竹千代を差し出せば済む話ではないか!」

 

「ならば致し方ありませぬな…」

と、殺気に満ちた家臣の目を見た広忠は

「何じゃ?その目は… このワシを斬ろうと思っておるのか?たかが家臣の分際で… おい!この無礼者どもをこの部屋から、いや… この城はら追い出せ!」

と、自身の後方に居た側近に命令したが、その家臣は微動だにしない。

 

「おい!聞いておるのか?早く… 何?!」

と、広忠の回りに居た家臣が一斉に刀を抜き広忠は無数の刃に突き刺されてしまった!

 

 

その広忠は

「ば、馬鹿め… わ、わしをこ… ろしても… 状況は… 変わらん!ごはっ!!」

と、口から大量の血を吐き絶命した。

 

 

そこに竹千代が家臣の制止も聞かず、部屋に入って来て

「ち、父上!これはどういう事じゃ!説明致せ!」

 

「竹千代様… 惨状は見ての通りでございまするが大原雪斎の難癖に対し、殿は嫡男である竹千代様を今川家に、しかも雪斎に差し出すという暴挙に出ようとしたため…」

 

「殺したと… そう、お前達が?馬鹿者共め!」

 

「我らを恨むのは分かりまするが、これは全て竹千代君の…」

 

「そうではない!この一連の騒動は全て雪斎の仕組んだ罠だという事じゃ!」

 

 

という、竹千代の言葉に一同静まり返った。

 

 

「お前達が謀反を起こし父上を殺した今、大義名分を得たのは雪斎だという事が分からんのか?」

と、竹千代の言葉に皆が聞き入っていた時、部屋に城の物見台に居た高力清長が入って来て

「殿!って、え?これは…」

と、驚きはしたがかまわず皆に

「今川家の軍勢がこの城に近付きつつありまする!その数、およそ1万!旗印から察するに大原雪斎の軍勢にございまする!」

 

 

【高力清長(こうりききよなが):西暦1530年生~没年不詳。正信同様、三河の一向一揆に参加し家康を裏切るが、すぐに帰参を果たした。三河の一向一揆に参加した折、寺の仏像等を守り『仏の高力』と呼ばれたらしい。】

 

 

それを聞いた一同が一斉に竹千代を見つめた!

 

その一人である石川数正はすぐさま夏目吉信に命じ竹千代を城外へ逃がすように命じた!

 

 

【石川数正(いしかわかずまさ):生年不詳~1592年没。徳川家の重鎮として家康に信頼厚き家臣。『小牧長久手の戦い』後に徳川家から羽柴家へ鞍替えした。その事から家康は秀吉に数正から徳川家の軍事事情が漏れるのを警戒し武田流に変更したとか。】

 

【夏目吉信(なつめよしのぶ):諸説によりますが推定で西暦1518年生~1573年没。徳川家家臣。三河一向一揆では主君を一度裏切り門徒衆として戦ったが、一揆沈静後に復帰。『三方ヶ原の戦い』で、大敗した際の退却戦で混乱した家康を逃がす為、自らを家康の影武者に扮して囮となり壮絶な最後を遂げたらしい。】

 

 

「竹千代様!どうか某とお逃げ下され!」

 

「馬鹿者!ワシだけ逃げても、どうしようもないではないか!」

 

 

すると、石川は

「竹千代様が居なくなった方が雪斎相手なら都合が良いのでございまする!」

 

「意味が分からん!何故、ワシが…」

と、竹千代が石川に詰め寄るが夏目に後頭部を殴られ意識を失ったのだった。

 

 

「石川殿、少し策が変わってしまいましたが後はお任せあれ!それと、皆々様… どうか、ご無事で!」

と、夏目は言い残し部屋を出て城の裏門から竹千代を担いで何処かへと馬を走らせたのだった。

 

 

 

つづく

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