三題噺「留美とおばあちゃんその4、異世界コトリバコ」 作:リアルバグ
三題噺 異世界、ベッド、小鳥
「留美ちゃん? わたしの部屋にあった、うぐいす色の箱、知らないかい?」
階段を下りて、台所でアイスを食べているとおばあちゃんが話しかけてきた。
「え? 知らないけど。なんなのその箱」
「そう、知らないなら、いいの」
おばあちゃんが、意味ありげに言葉を濁した。
おばあちゃんは、あたしに隠し事なんてしたことないのに、なんだろう?
あたしはおばちゃんに聞いてみた。
「おばあちゃん、その箱について詳しく教えて!」
台所の入り口で、青い顔をしていたおばあちゃん。しばらくかんがえた後、こう言った。
「わかった。でも、これはとても危険だから、あたしも一緒に行くよ」
「え?」
行くって、どこへ? そう思ったけど、あたしがそう言う前に、あたしの視界は白く輝き、あたしや自分がどこにいるか、わからなくなった。
気がつくとあたしは、しめった草の上に寝ていた。
起き上がって周囲を見回す。
「留美ちゃん! 大丈夫?」
お婆ちゃんの声、でもその声がした方をみると、そこには緑色のゴブリンがいた。
「だ、誰?!」
「あ、あたしだよ留美ちゃん、おばあちゃんだよ!」
「えっ!」
それはどこからどう見てもゴブリンだった。
「お、おばあ、ちゃん? その姿は……」
お婆ちゃんは、自分の手足を見て言った。
「これは、小鳥箱の呪いだよ! 小鳥箱は、あたしたちを異世界に転生させて、そn世界の異形に、転生させてしまうんだよ!」
「なに、それ……」
おばあちゃんはゴブリンに転生した……。
じゃあ、あたしは何に転生したの?
あたしは恐る恐る、自分の身体を眺めた。
「こ、これって!」
そう、あたしはベッドに転生していた。
しかも豪華な、ダブルベッドだった。
わざわざコトリバコの呪いで、異世界に転生され、ダブルベッドになるなんて!
「いいねえ、こんな広いベッドに、寝てみたかったんだよ」
おばあちゃんはあたしの上に、のびのびと寝っ転がり、くつろいだ。
「おばあちゃん……」
日が落ちて、周りが暗くなってくる。
あたしはこれまで、おばあちゃんに何もしてやれない、どうしようもない孫だったけれど、今日、はじめておばあちゃんに感謝された。でも明日になってもこのままだったなら、お婆ちゃんはどうやって、あたしを連れてこの世界を旅するんだろう。
「この布団、あったかいねえ」、とおばあちゃんがうれしそうに言った。
周囲には木々。空にはぎらきらと白く輝く星々。
こういうのも悪くないな。あたしはお婆ちゃんの重みを感じながら、眠りについた。
明日にはきっと、楽しい冒険が、始まるのだろう。
<つづく>