オーバーロード 降臨、調停の翼HL(風味)   作:葛城

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オリ設定増し増しなので気になる人は注意要!

とりあえず、鈴木悟が曇ります


(裏話)骸骨の思い出

 

 

 

 彼女(ゾーイ)が城へと突撃する、数日前。場面は、悟と彼女が分かれた、墳墓の前まで戻る。

 

 

(……よし、やるか)

 

 

 遠ざかってゆく彼女の後姿を見送った悟は、すぐさま『伝言』にて指示を送る。

 

 相手は、『ユリ・アルファ』、『シズ・デルタ』、『マーレ』の3人で、用件は一時的に切り上げていたカルネ村の食糧生産作業の再開である。

 

 

 ……とはいっても、やれる事などほとんどない。

 

 

 収穫するまで気を抜いてはいけないと思うのでマーレは当然として、他の2人はマーレの監視みたいなものだ。

 

 作業を邪魔された、うっかり畑に入ったからとかいう理由で、マーレは住人達に重傷を負わせかねない。

 

 

 だから、そうなる前に止めてくれる(他のNPCたちだと、興味がないから見逃しそうだし……)倫理観を持ったNPCを配置する必要があるわけだ。

 

 

 現状、後はカルネ村の住人たちでもやれる仕事ではあるが、彼ら彼女らには自分たちの細々とした仕事がある。

 

 得られる食糧の幾らかを譲ると村長であるエンリには話しているが、それでも、只でさえ諸事情により以前より人員が少なくなっているのだ……負担を軽視するべきではないだろう。

 

 

「パンドラ、請負人たちがナザリックより持ち出したアイテムなどはあるか?」

 

 

 続いて、NPCたちの暴走を抑えているパンドラへと『伝言』を送る。

 

 

『──アイテムではありませんが、一階層の墓地に安置されている棺桶の一部が持ち出されたようでした』

 

 

 少し間を置いてから、パンドラより『伝言』が返ってきた。

 

 

「なに? どうしてそんなものを?」

『──おそらく、『フォーサイト』の者たちと同じ動機かと。仕事を完遂したという証のために、なにか物品が欲しかったのでしょう』

「なるほど……ん? 一部とは、まさか棺桶ごとか?」

『──いえ、棺桶に取り付けられている錆びたナイフや十字架です。どのように対処致しましょうか?』

「……放っておけ。彼らは彼らなりに必死だったのだろう。いちいち目くじらを立ててやる事もない」

 

 

 少し考えた悟は、そう言って請負人たちの行いを流した。

 

 アイテム以前のモノとはいえ、盗まれた事に思うところはある。どんなモノであろうと、仲間たちと築いた思い出の品であるからだ。

 

 しかし、これまで気にも留めていなかったうえに、請負人をナザリックへ引き込んだのは、こちら側だ。

 

 自分から泥棒を招き入れておいて、その泥棒に怒りを向ける滑稽さを無視出来るほど、今の悟は人間性を捨ててはいなかった。

 

 

 ……で、だ。

 

 

 他にも、ナザリックに被害が及んでいないかを確認し終えた悟は、そのままNPCたち(特に、守護者)が暴走しないようにそれとなく監視するように指示を出した後。

 

 

 墳墓の中へと戻り……以前より考えていた、9階層の『ロイヤルスイート』へと向かう。

 

 

 そこは、NPCたちの立ち入りが基本的に禁止されている場所。

 

 はっきり言えば、ギルドメンバーたちが個々に活用していた私室がある階層であり、悟の私室もここにある。

 

 例外として入れるのは、悟の私室のみ。しかし、それも昔の話。

 

 現在では、悟が許可した時以外に、NPCは如何なる理由が有っても立ち入ってはならないようにしてある。

 

 なので、『ロイヤルスイート』へと降り立った悟の傍に、NPCは1人もいない。静まり返った通路を進み、そうして立ち止まったのは……ギルドメンバーたちの部屋の前であった。

 

 

 

『ペロロンチーノ』

 

 

 

 そう、扉に書かれたネームを見て、悟は……何とも言えない懐かしさを覚えると共に、思わず軽く笑った。

 

 

(種族変更アイテムか……ワールドアイテムだし、まあ、有るはずないけど、調べない理由にはならないな)

 

 

 ──ペロロンチーノさん、ごめんなさい、入りますね。

 

 

 そう、此処には……いや、この世界には居ない、かつての仲間に対して、心の中で頭を下げつつ……部屋の中へと入った。

 

 

 

「うわぁ……」

 

 

 

 直後、悟は……思わずその場より一歩引いた。

 

 何故なら……その部屋は、一言でいえばロリキャラの倉庫であった。

 

 壁一面に張られた、おそらくはユグドラシル以外のゲームに登場するであろうロリキャラのポスター。

 

 設置されている家具そのものは特にレア仕様の物ではないが、それもカスタマイズしているようで、悟が知っているそれらと微妙に形が違う。

 

 というか、その家具の上にもフィギュア(たしか、そんな名前だ)が所狭しと置かれている。造形こそ異なるが、共通するのはロリで人外系……だろうか。

 

 詳しくは知らないが、広告などで見た覚えがあるキャラもある。ロリで貧乳なキャラが好みというのは聞いていたが、ここまでとは思っていなかった。

 

 

「……は、入りたくねえ」

 

 

 悟とて、伊達に10年以上ユグドラシルに捧げたわけではない。

 

 エロゲー等をプレイした事はないが、可愛いロリキャラに萌えるという感覚は理解しているし、共感したこともあった。

 

 

 しかし、これ程とは思っていなかった。

 

 

 いや、むしろ、これ程だからこそ、頭オカシイレベルのガチビルドのシャルティアを作ったのだろう……と、悟は己を納得させ……ふと、首を傾げた。

 

 

(そういえば、これだけ色々なキャラがあるのに、肝心のシャルティアのポスターなりフィギュアなりが一つも見当たらないな)

 

 

 実物(というのも、変な話だが)があるから、わざわざポスターにする必要がないと思ったのか……今更分かる話でもない。

 

 

 ……なんにせよ、ここで足を止めるわけにはいかない。

 

 

 ひとまず、覚悟を固めた悟はえいやと中へと進み……目につく引出しやベッドの下やらを片っ端から覗いて、確認し、引っ張り出す。

 

 広大な敷地面積を誇るナザリック地下大墳墓とはいえ、各ギルドメンバーたちの部屋が広いかといえば、そういうわけでもない。

 

 とにかく広い部屋を好む者もいたが、中には広すぎると逆に落ち着かないという者もいた。

 

 ペロロンチーノは、悟と同じく後者のタイプだったのだろう。

 

 そこまで広くはない室内(私物がいっぱいだとしても)をくまなく探すにしても、小一時間程度で粗方探し終えてしまった。

 

 

(分かってはいたけど、ほとんどクズアイテムだな)

 

 

 そうして、見つかったのは……実用性というよりも、趣味を最優先させたアイテムが数点だけであった。

 

 

「超高額換金用の激レアの指輪に、死者嫁の冠に、死者嫁のドレス、死者嫁の靴……どれもシャルティアが装備可能ではあるけれども効果無し……完全に、ペロロンチーノさんの趣味だな」

 

 

 ──ペロロンチーノさん、あんたってやつは。

 

 

 エロに対して並々ならぬ情熱を注ぐ姿、事あるごとに『シャルティアは俺の嫁!』と豪語していたのを思い出し、ふふふと悟は笑みを零し……ついで、鍵の掛かった本へと視線を移した。

 

 

 それは、ユグドラシル内にて使用出来るノートみたいなものであり、外観はアンティーク調の分厚い本といった感じだろうか。

 

 

 本そのものには、分厚い鎖によってガッチリと締められており、表紙の中心にある、小さな錠前に繋がっていた。

 

 中を見るには、当人が記した『パスワード』を音声形式にて入力する必要がある。それ以外の方法では、如何なる手段を持ってしてもページを開くことが出来ない。

 

 それこそ、ワールドアイテムでも不可能だ。そういうプライバシーに関する部分には、運営は滅茶苦茶厳しかったのだ。

 

 なので、これを開けるにはどうにかしてパスワードを見つけ出し、音声にて入力するほかないのだが……当然ながら、悟はそんなモノなど知らなかった。

 

 

 ……なにか、部屋にヒントでも残されているだろうか? 

 

 

 ぐるりと、室内を見回す。右も、左も、前も後ろもロリキャラだらけで、ウッと悟は堪らず呻いた。

 

 

 ……悟も、リアルでは万が一パスワードを忘れてしまった場合を想定して、押入れの壁にメモを貼り付けていた。

 

 

 悟が知る限り、ペロロンチーノの性格からして、おそらくはなにかしら分かる形で何処かに残しているはずだ。

 

 あるいは、当人にだけ分かるような暗号として……だが、しかし、既に室内は隅々まで探した。パスワードらしきモノなど、何も……。

 

 

(アイテムそのものに意味が? いや、各個人が所有するアイテムのパスワードなんて、せいぜい10文字にも満たない……)

 

 

 物は試しと、ここにあるアイテムの名を告げてみるが……思った通り、開錠される気配はないし、鎖はギチギチで緩む気配はない。

 

 

 ……やはり、パスワードが何処かにあるはずだ。

 

 

 そう判断した悟は、改めて室内を見回す。見覚えのあるキャラも、無いキャラも、こちらを笑顔で見つめている。

 

 ああ、あれは前に話してくれた推しキャラだな……と、昔を懐かしみつつ、一つ一つ、キャラを見てゆき。

 

 

「そういえば、どうしてシャルティアのが一つも無いんだろうか……」

 

 

 ふと、そんな事を呟いた──その、瞬間。

 

 

「……『シャルティアは俺の嫁』」

 

 

 まさか、だよな。

 

 

 そう思いながらも、本へと呟いた──直後。

 

 かちん、と。

 

 それまでビクともしなかった錠前が勝手に外れ、鎖が重みに引きずられるがまま滑り落ち……がしゃん、と床に落ちた。

 

 

 ……。

 

 

 ……。

 

 

 …………ぺ、ペロロンチーノさん! 

 

 

「あんたって……あんたって人は……!」

 

 

 なんだろう、ここまで突き抜けると、もはや称賛の言葉しか頭に浮かんでこない。

 

 

 ――本当に、あの人はシャルティアが大好きだったんだな。

 

 

 ある種の恐れと憧れを抱きつつも、悟は表紙を開き……少しの間を置いてから、思わず笑った。

 

 何故かといえば、そこには……まだギルドとしては駆け出しの、『アインズ・ウール・ゴウン』が出来てすぐの事からが記されていた。

 

 

 ──無課金で頑張ろうとしたけど、課金しなくては勝てない敵と戦うことになり、『無課金よ、さらば!』と捨て台詞を吐いた事。

 

「あったあった、無課金同盟! 懐かしいなあ、最初の頃は俺も、無課金でもヤレるぞって息巻いていたっけなあ……」

 

 

 ──『アインズ・ウール・ゴウン』が所有したワールドアイテムを他所に奪われ、滅茶苦茶悔しくてその日眠れなかった事。

 

「あ~、あったな、そういうの。そうそう、俺も滅茶苦茶悔しくて、次は倍返しするぞってみんなで話し合ったっけ……」

 

 

 他にも、そのノートにはペロロンチーノの視点で記された、仲間たちとの思い出の日々が綴られていた。

 

 

 普段は事あるごとに言い争う事が多かった『たっち・みー』と『ウルベルト』が、ダンジョンを攻略してギルドを所有した時、互いを健闘を称えるように背中を叩き合ったこと。

 

 NPCであるメイドたちを作るに当たって貧乳ロリキャラを提案したけど即座に却下され、悔しくて堪らなかったこと。

 

 神器級装備を揃えるにあたって、食費を削った事を姉に滅茶苦茶怒られたこと。でも、その姉も食費を削ってNPCに注いでいるのを見て、ブチ切れたこと。

 

 

 そこには……悟の目線ではない、ユグドラシル黄金時代の思い出が細やかに、それでいて、鮮やかに綴られていた。

 

 

 実は、悟が知らない場所でギルド員同士が喧嘩した事があったこと。それをペロロンチーノ他数名が宥めて仲裁したこと。

 

 ギルド長である悟に黙って貴重な素材を使い込んだが、バレないうちに、必死になって素材を掻き集めて誤魔化したこと。

 

 

 本当に、知らなかった事が山のように綴られている。

 

 

 そこに、怒りは覚えなかった。

 

 それよりも、そういえばあの時○○さんと○○さん、妙に険悪な雰囲気していたけど、それが理由だったのかと驚きしかなかった。

 

 

(……あの頃は、どこへ攻め込むぞとか、ダンジョンへ行くぞとか、色々と多数決を取ったりしてワイワイやってたっけ……)

 

 

 まるで、あの頃に心が帰ったかのような気持ちになっていた。

 

 気付けば、悟は探し物をしていた事すら頭から抜けて、ベッドに腰を下ろして集中して日記を読んでいた。

 

 一枚ページをめくるたびに、「ああ、そんな事も……」とか、「そうそう、この時初めて……」とか、忘れていたことすら覚えていなかった思い出が、蘇る。

 

 喜びの感情が、その度に抑制される。アンデッドとしての己を自覚する。

 

 けれども、すぐに跳ね上がり……気付かぬ間に、抑制が掛からないギリギリのところから動かなくなっている。

 

 それほどに、嬉しかった。そして、懐かしかった。

 

 他人の日記帳だとしても、もう己以外は覚えていない皆との思い出を、こうして見る事が出来て……悟は、心から喜んでいた。

 

 

「……ん? 日記はここまでかな? 途中で白紙になって──え?」

 

 

 だが、それも……途中より白紙になり、ここで終わったのかなと思ってそのままパラパラと捲って……悟はギクリと手を止めた。

 

 

 

 

 ──『これを見ているかもしれない、モモンガさんへ』──

 

 

 

 

 何故なら、十数ページほど捲った先に、そんな一文が記されたページが姿を見せたからだった。

 

 

 いったい、どうして? 

 

 

 驚きよりも前に、疑問が空っぽの脳裏を過る。

 

 何故なら、これはペロロンチーノのノート……偶然にもパスワードを一致させる事は出来たが、普通なら見る事は不可能だから。

 

 気になって、急いでページを捲った悟は……そこから、2ページに渡って綴られた文章を読み……納得した。

 

 

 その中身を簡潔にまとめると、だ。

 

 

 要は、悟が見るかもしれないけど、基本的には見せない方向で残したモノらしい。だから、上手く開けられたら、それはそれで仕方ないと思っている。

 

 引退とは明言しないけれども、諸事情により次にログイン出来る日が何時になるか分からない。結局、実質的に引退も同然の状態になるだろう。

 

 だから、様々な理由からこの部屋を使用する時に、この日記帳を見付けたならば、それをどう使うのかは全て任せる。

 

 面倒に思って処分するのも良いし、頑張って開けても良い。どのようにも任せるから、気に病む必要はない……と、いった感じで。

 

 つまりは……文脈から察するに、これを開けるのが悟である事を前提にされた、『モモンガ』に伝えたかったモノ……ということになるのだろう。

 

 

(……読みますよ、ペロロンチーノさん)

 

 

 非常に回りくどい書き方だが、言わんとしている事は分かった。

 

 とりあえず、読ませてもらうことに決めた悟は、少しばかり迷いながらも……静かに、ページを捲った。

 

 

「……え?」

 

 

 そして、悟は……そこに記されたペロロンチーノの残した言葉を前に、絶句するしかなかった。

 

 

 

 

 

 ──有り体にいえば、だ。

 

 

 どうして悟に装備を全て渡して、ログインしなくなった理由が、そこに記されていた。

 

 その理由とは、病気だ。それも、ペロロンチーノではない。

 

 ペロロンチーノの姉であるギルドメンバーの1人、『ぶくぶく茶釜』が病に侵され、その看病や生活の為にユグドラシルを引退する必要があったのだ。

 

 

 

 

 ……コレを読んでいるということは、モモンガさん。たぶん、俺たち姉弟がユグドラシルを辞めた理由を知った後だと思う。

 

 だから、先に言っておくね。

 

 ごめん、モモンガさん。こんな形で、言いたい事だけ残してしまって。

 

 貴方に、引退云々の理由を伝えなかったのは、姉の意向なんだ。

 

 メンバーの中でも一番『ナザリック』に思い入れがあり、ユグドラシルを楽しくプレイしていた貴方に、知ってほしくなかった。

 

 きっと、貴方は気に病んでしまう。そうでなくとも、楽しんでいるユグドラシルの日々に水を差したいとは思わない。

 

 少しずつ病状が悪化してゆく中で、楽しかったあの頃と変わらずに居る貴方を見ていると、自分もあの頃に戻れたような気がして、心がとても軽くなった。

 

 だから、姉は貴方にだけは伝えないように自分に厳命し、自分もそれに従った。

 

 その事について、大変申し訳ないと思っている。結果的に、事情を話さず一方的に引退する形になってしまう事になるだろうから。

 

 表向きは、姉も声優として活躍しているように見えると思う。

 

 でも、ある時からパタッと出なくなったら、病状が悪化して……おそらく、これが読まれている頃にはもう、姉は亡くなっていると思う。

 

 そして、自分もまた、同じ道を辿ると思う。姉の病は、遺伝性の疾患。姉には黙っているが、病の初期症状が俺にも出始めているから。

 

 ……これを記したのは、貴方に何もかもを隠したまま去る事への後ろめたさからだ。

 

 姉との約束を破りたくはない。けれども、貴方に嘘を付いたまま去りたくもない。

 

 だから、ここに記す。

 

 律儀で真面目な貴方は、おそらくこの部屋に入る事はないだろう。それこそ、サービス終了の日を迎えても。

 

 でも、万が一……仕方がない理由からこの部屋に入り、この日記を見つけ出し、偶然にもパスワードを解いた時……どうか、姉のことを恨まないでほしい。

 

 一方的な話だけれども、姉はただ貴方を想っていただけだから。ただ、最後まで楽しくユグドラシルをプレイして欲しかっただけだから。

 

 だから……ごめんなさい、モモンガさん。      』

 

 

 

 ……。

 

 

 ……。

 

 

 …………日記は、そこで終わって……いや、違う。その先に、少しだけ。

 

 

 

『他にも、病気とか怪我とかで引退を決めているメンバーが居る。名前は明記しないけど、もしかしたら私室にメッセージを残しているかもしれない』

 

 

 

 それだけが記されていて……それ以降のページは白紙のまま、何も記されてはいなかった。

 

 

 ……。

 

 

 ……。

 

 

 …………ぽとり、と。

 

 

 読み終わると同時に、悟の骨の両手から日記が落ちる。呆然と、厚みのあるそれを見下ろしていた悟は……しばしの沈黙の後。

 

 

 

「……どうして」

 

 

 

 涙一つ零れない眼孔を、骨の両手で覆い隠しながら……悟は、震える声で。

 

 

「水臭いじゃないですか……そんな気の使い方、ちっとも俺は嬉しくないですよ……ペロロンチーノさん……!」

 

 

 今は居ない、此処を去って行ったメンバーたちの名を、呼ぶしか出来なかった。

 

 

 ……この時、悟は今更ながらに、その事に気付いた。

 

 

 ナザリックを捨てた者たちは居ただろう。所詮はゲームだし、その事を悟とて否定するつもりはなかった。

 

 

 でも、ようやく悟は……知って、気付く事が出来た。

 

 

 いずれは、そうなったかもしれない。でも、失意の内に離れざるを得なかった者たちが居て、その者たちは確かにユグドラシルを楽しみ、ナザリックの一員だったのだ。

 

 それは、とても勝手な言い分だ。

 

 酷い事だと思うし、罵倒されても仕方がないとも思う。

 

 ……でも、それでも。

 

 ナザリックを……過ぎ去った過去だとしても、思い出は確かにここにあって、同時に、己は誰かに想われていたのだということを。

 

 

「不甲斐ないギルド長で、すみません……ペロロンチーノさん……!」

 

 

 己は、あの世界でも独りじゃなかったのだということを……今更に、気付くことが出来たのであった。

 

 

 

 

 

 




これも全て竜帝ってやつが悪いってgoogleが言ってた
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