「最終順位はまだ確定していないけど、予選通過は彼ら、上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい、まだ見せ場は用意されているわ!そしていよいよ本戦よ!此処からは取材陣も白熱して来るよ、気張りなさい!」
写真判定が難航している為に出久達上位12人の着順がまだ確定しておらず、未だスタジアムへ戻って来ていない生徒も少なくない中だが、次の種目へ駒を進めたメンバーが出揃った為か第二種目の開始を宣言するミッドナイト、それと共に映し出された上位の生徒達は約一割の狭き門を突破した事で安堵すると共に、次の種目へ臨む決意を固めていた。
「さーて、第二種目よ!私はもう知っているけど~、何かしら!?言っている側から、コレよ!」
そんな生徒達にミッドナイトがそう言いながらモニターを指差す、其処にデカデカと映し出されたのは、
「騎馬戦…!」
「ザ・運動会って感じの種目だな」
「個人競技じゃないけど、どうやるのかしら」
騎馬戦の文字、それを見た生徒達の反応は、明らかに個人個人が争う物じゃない種目の実施に疑問を覚えたり如何にも運動会でやりそうな競技だとツッコミを入れたりと様々だったが、それも想定の内だったのか特に反応する事無く説明を続けて行く。
「参加者は2~4人のチームを自由に組んで、騎馬を作って貰うわ!後は普通の騎馬戦と同じルールだけど、1つ違うのは第一種目の結果に従い、各自に持ち
つまり上位に入った生徒の多いチームの持ち点はそれだけ多くなると言う事、これは死守さえすれば次の種目に進める可能性が上がる事と、奪えば大量得点が狙える以上他のチームから狙われやすい事、2つの意味を有していた。
その意味を理解して、誰と組むか、どの様な戦略で行くか早くもシミュレーションを始める生徒達がチラホラ出て来た中、ミッドナイトによって各員の持ち点が発表されていった。
未だに上位12名の着順が確定していない為か下位からとなった持ち点の発表、その内訳は以下の通りである。
13位:常闇踏陰(ヒーロー科、A組) 150pt
14位:尾白猿夫(ヒーロー科、A組) 145pt
15位:障子目蔵(ヒーロー科、A組) 140pt
16位:砂糖力道(ヒーロー科、A組) 135pt
17位:口田甲司(ヒーロー科、A組) 130pt
18位:上鳴電気(ヒーロー科、A組) 125pt
19位:瀬呂範太(ヒーロー科、A組) 120pt
20位:峰田実(ヒーロー科、A組) 115pt
21位:塩崎茨(ヒーロー科、B組) 110pt
22位:
23位:
24位:
25位:
26位:
27位:
28位:
29位:
30位:
31位:
32位:
33位:
34位:
35位:
36位:
37位:
38位:
39位:
40位:
41位:
42位:
「あら、丁度良いタイミングね!此処で第一種目の最終順位、厳密に言うと写真判定になっていた1位から12位が確定したわ!今迄の流れ通り12位からの発表よ!」
と、13位である踏陰の持ち点が発表されたタイミングで、ミッドナイトに第一種目の最終順位が伝えられたのかその旨が発表され、会場の誰もがあのデッドヒートを制したのは誰なのか注目し出した。
「まずは12位!轟焦凍君!持ち点は155pt!」
「くっまだまだ及ばないか…!」
「次に11位!葉隠透さん!持ち点は160pt!」
「ありゃりゃ、負けちゃった…」
「10位!耳郎響香さん!持ち点は165pt!」
「入賞どころか一桁順位すら無理か…」
「9位!芦戸三奈さん!持ち点は170pt!」
「まだまだ精進が足りないなぁ…」
「8位!八百万百さん!持ち点は175pt!」
「ぎりぎり入賞、こんな筈では…!」
「7位!蛙吹梅雨さん!持ち点は180pt!」
「ラッキーセブンという意味では悪くないかしら、ケロケロ」
「6位!切島鋭児郎君!持ち点は185pt!」
「うわっ何だこのコメントしにくい順位…」
「5位!麗日お茶子さん!持ち点は190pt!」
「な、何とかトップ5に入れた…」
「4位!心操人使君!持ち点は195pt!」
「表彰台すら逃しちまったか、まだまだだな…」
「3位!飯田天哉君!持ち点は200pt!」
「銅メダルといった所か…!」
「2位!爆豪勝己君!持ち点は205pt!」
「あークソっ!届かなかったか!」
「そして1位!緑谷出久君!持ち点は1千万pt!」
「え゛」
ミッドナイトの発表によって第一種目の勝者は出久と判明、それに対して観客は祝福の歓声を上げたり、トップになると開会式で宣言しておきながら僅かに及ばなかった勝己を冷やかしたり、出久が無個性である事を知る極一部が「お前の様な無個性がいるか!」とツッコミを入れたりと様々な反応を見せたが、当の本人は割り当てられたポイントの余りの大きさに、勝者となれた喜びも吹き飛んだのか唖然としていた。
だがそんな出久の反応も織り込み済みなミッドナイトは気にする事無く説明を続行する。
「上位の奴ほど狙われちゃう、下剋上サバイバルよ!上を行く者には更なる受難を、雄英に在籍する以上何度も聞かされるよ。これぞPlusUltra!」
1千万ptともなれば死守するにしても奪取するにしても勝利は確実、まさに誰からも狙われる存在であろう、トップというのはそういうポジションなのだとのミッドナイトの言葉に、ならば狙って来る者皆返り討ちにして見せると出久は決意を固めた。
「制限時間は15分、割り当てられたポイントの合計が騎馬の点となり、騎手はその点数が表示された鉢巻を装着、終了迄に鉢巻を奪い合い、保持点を競うのよ。取った鉢巻は首から上に巻く事、取りまくれば取りまくる程管理が大変になるわよ!そして重要なのは鉢巻を取られても、また騎馬が崩れても、アウトにはならないって事!」
そんな出久の決意はさておきミッドナイトの説明はまだまだ続く、その中で参加者達が特に反応したのは、通常の騎馬戦と違って鉢巻を全て失っても騎馬が崩れても戦い続けられるという点、つまりは15分間全ての騎馬がフィールドに残り続けているという事であり、1千万ちょっとの点数の鉢巻を持っているチームは他の10以上ものチームから延々と狙われ続けるという事でもある。
裏を返せば一旦鉢巻を無くして「失うものなど何もない!」状態に置くのも有りという意味でもある、尤もそのやり方は全体の流れを見回さないと有効かどうか分からない諸刃の剣だが…
「個性発動アリの残虐ファイト!でも、あくまで騎馬戦!悪質な崩し目的での攻撃はレッドカード、一発退場とします!また騎馬が崩れた状態で鉢巻を奪っても無効よ!それじゃあこれより15分、チーム決め交渉タイムスタートよ!」
参加者達が其々の戦略を巡らせる中、ミッドナイトの号令と共にチーム決めの時間は始まった。
当初の見立てではチーム決め交渉、殊に1千万ptを有する出久のチーム決めは時間ギリギリまで掛かるとされた、そう思うのも無理は無いだろう、出久をチームに入れるという事は、守れば勝利確定な一方で其処まで他10チーム以上からの猛攻を凌がなければならないというハイリスクを背負わなければならない事だからだ、態々そんな重過ぎるリスクを負う必要は無いと考えるのが普通である。
だが大方の予想に反して、出久も含めてチーム決めは僅か数分で決定、其々のチームで作戦会議する時間が充分に残される程、その構成は以下の通りとなった。
緑谷チーム 1千万355pt
騎手:緑谷出久(ヒーロー科、A組 1千万pt)
前騎馬:常闇踏陰(ヒーロー科、A組 150pt)
後騎馬:麗日お茶子(ヒーロー科、A組 190pt)
後騎馬:発目明(サポート科、H組 15pt)
耳郎チーム 485pt
騎手:耳郎響香(ヒーロー科、A組 165pt)
前騎馬:爆豪勝己(ヒーロー科、A組 205pt)
後騎馬:峰田実(ヒーロー科、A組 115pt)
轟チーム 455pt
騎手:轟焦凍(ヒーロー科、A組 155pt)
前騎馬:八百万百(ヒーロー科、A組 175pt)
後騎馬:上鳴電気(ヒーロー科、A組 125pt)
蛙吹チーム 650pt
騎手:蛙吹梅雨(ヒーロー科、A組 180pt)
前騎馬:飯田天哉(ヒーロー科、A組 200pt)
後騎馬:口田甲司(ヒーロー科、A組 130pt)
後騎馬:障子目蔵(ヒーロー科、A組 140pt)
心操チーム 620pt
騎手:心操人使(ヒーロー科、A組 195pt)
前騎馬:葉隠透(ヒーロー科、A組 160pt)
後騎馬:尾白猿夫(ヒーロー科、A組 145pt)
後騎馬:瀬呂範太(ヒーロー科、A組 120pt)
切島チーム 490pt
騎手:切島鋭児郎(ヒーロー科、A組 185pt)
前騎馬:芦戸三奈(ヒーロー科、A組 170pt)
後騎馬:砂糖力道(ヒーロー科、A組 135pt)
拳藤チーム 210pt
騎手:拳藤一佳(ヒーロー科、B組 70pt)
前騎馬:柳レイ子(ヒーロー科、B組 75pt)
後騎馬:取蔭切奈(ヒーロー科、B組 25pt)
後騎馬:小森希乃子(ヒーロー科、B組 40pt)
鱗チーム 160pt
騎手:鱗飛竜(ヒーロー科、B組 50pt)
前騎馬:宍田獣郎太(ヒーロー科、B組 65pt)
後騎馬:庄田二連撃(ヒーロー科、B組 45pt)
鉄哲チーム 305pt
騎手:鉄哲徹鐵(ヒーロー科、B組 100pt)
前騎馬:青山優雅(ヒーロー科、B組 5pt)
後騎馬:骨抜柔造(ヒーロー科、B組 105pt)
後騎馬:泡瀬洋雪(ヒーロー科、B組 95pt)
物間チーム 245pt
騎手:物間寧人(普通科、C組 10pt)
前騎馬:円場硬成(ヒーロー科、B組 85pt)
後騎馬:回原旋(ヒーロー科、B組 90pt)
後騎馬:黒色支配(ヒーロー科、B組 60pt)
小大チーム 155pt
騎手:小大唯(ヒーロー科、B組 55pt)
前騎馬:凡戸固次郎(ヒーロー科、B組 80pt)
後騎馬:吹出漫我(ヒーロー科、B組 20pt)
鎌切チーム 175pt
騎手:鎌切尖(ヒーロー科、B組 35pt)
前騎馬:角取ポニー(ヒーロー科、B組 30pt)
後騎馬:塩崎茨(ヒーロー科、B組 110pt)
合計12チームとなったが、ものの見事にA組とB組が6チームずつ作る形となり、其々1名ずつの参戦となった普通科とサポート科は、普通科に所属する、数週間前に人使を非難しようとして返り討ちに逢った金髪の男子生徒――物間寧人はB組生徒達と同じチームに入った一方、サポート科に所属する、ピンクの癖毛にカメラの様な瞳が特徴的な女子生徒――発目明は出久達のチームに入った。
この綺麗に分かれたチーム編成だが、これは開会式における勝己の発言が影響、B組生徒達には「A組には絶対に与しない、此処で全員叩き潰してやる!」という敵意を抱く生徒が少なくなかった、また人使に威嚇された挙げ句、人前で失禁してしまうという失態を犯した寧人もこの件で逆恨みし、この場でその報復をせんとB組生徒達に協力を持ち掛けた結果、この様な形になったのである。
一方の明はそういった企みなど歯牙にも掛けず、他のチームから狙われるという事はそれに対処する為に取るべきアクションが増えるという事、つまり自分が開発したサポートアイテムをこれ以上に無い位アピール出来るという事でもある、と己の技能を売り込む打算的な目的を隠しもせず出久にチーム入りを申し込み、折角だからと加入が認められたのだ。
「よぉしチーム分け時間終了だ!とっくの昔に終わってるって言いたげな奴らも多いからそのまま始めるぞ!残虐バトルロイヤル、ゲットレディ!」
そうこうしている内にチーム分け制限時間である15分が経過、既に組まれてから数分が経っているのは放送席のプレゼント・マイクも見えていたのか速やかに準備するよう促し、各チームも直ぐに整えた。
そして、
「スタート!」
戦の火ぶたは、切られた。