「B組大活躍、というかB組しかいねぇじゃーん、な一回戦も終わり、次の試合から二回戦のスタートだ!此処から、この体育祭でも大暴れするA組も、ヒーロー科というどデカい壁を乗り越えた他の科も参戦!第二種目での惨敗を乗り越え、クラスメートとの激戦を勝ち上がったB組の10人は果たして食らいつけるのか!それともA組の精鋭達が返り討ちにするのか!はたまた他の科の下剋上が起こるのか!エブリワン、彼らの激戦を見逃すな!」
実をいうと当初の予定では半分以下の16人が進出する筈だった最終種目、ところがその場合A組の15人とサポート科の明しか進出出来ないという事態となる為にB組への救済措置として枠を増加、じゃあ誰を進出させるかとなったら全員0ポイントという結果から公平性を踏まえて…と議論が尽くされた末に42人全員進出という形となった今回、それを受けて先程迄行われた『敗者復活戦』こと一回戦も10試合という長丁場を終え、A組の面々も此処から参戦する事から本番だといわんばかりの様相となった二回戦、プレゼント・マイクの観客を煽るような声と共に会場のテンションは一気に上がっていった。
「それじゃあ早速、二回戦第一試合を始めるぜ!まずはこいつ、第一種目は12人のデッドヒートを制してトップ通過、第二種目も上空でのドッグファイトを切り抜けて此方もトップで突破したスーパーボーイ!お前本当に無個性かぁ!?A組、緑谷出久!ヴァーサス!普通科で唯一この最終種目まで勝ち上がった希望の星、なんだけどごめん、第一種目はブービーでの通過、第二種目はB組と同じく救済措置での進出と、まだ目立つ活躍一切無し!C組、物間寧人!」
その記念すべき最初の試合は、他の科なら兎も角ヒーロー科では異例中の異例と言って良い無個性である出久と、普通科で唯一の最終種目進出者となった寧人。
「物間君、だっけ?プレゼント・マイク先生はああ言ったけど、ヒーロー科と普通科とでは個性が制約なく使える場の違い等、環境がまるで違う中で勝ち上がって来たのは、それも障害物競走でB組の青山君に先着したのは凄いな。良い勝負をしよう」
「ああ、こっちこそよろしく頼むよ」
プレゼント・マイクの紹介の通り未だ観客の興味を引く程の活躍は出来ていないものの、その中でも第一種目の障害物競走ではヒーロー科であるB組の優雅*1に先着している、其処をしっかり覚えていた出久がその点を踏まえて称賛の言葉を向けつつ握手を求め、寧人も応じた。
「さあ第一試合!レディ、スタート!」
「ふふふ、まさか君の方から握手してくれるとは思わなかったなぁ。でもこれで君の『嘘』を暴ける」
「ん?どういう事かな?」
だがその直後に響き渡った開始の声と共に、不敵な笑みを浮かべながら寧人がそう口にした。
「おやおやぁ、しらばっくれる積りかなぁ?まあ良いよ、しらを切れるのも此処迄だ。今僕がこの場で君からコピーした個性を使う事で君の個性が、君が無個性だという『嘘』が明るみに出る!さぁてどんな個性かなぁ!?」
ちょっと何言っているのか分からないと言いたげな出久に対し、煽る様な口ぶりで出久の、自分は無個性だという『嘘』を暴かんとする寧人。
寧人の個性は『コピー』、触れた人間の個性を5分間だけ使用する事が出来る個性である、この効果によって先程握手をした出久から個性をコピーしたと声高に宣言した寧人は早速効果を発揮、
「あ、あれ!?ば、馬鹿な、君の個性はコピーした筈!」
しなかった、出来る訳がなかった。
「プレゼント・マイク先生が言った筈だよ、僕は無個性だと。無い物をコピー出来る訳が無いよ!」
「う、嘘だ!そんな化け物じみた身体能力で無個性な筈が無い!何か増強系の個性が、あがぁ!?」
「この力は、長年の修行の果てに得た、努力の結晶だ!」
出久が無個性なのは噓ではなかった、その事実を目の当たりにして尚、信じられるかと言わんばかりに喚く寧人、それに対して出久は、これ以上は時間の無駄かと言いたげに踏み込んで一瞬の内に距離を詰め、左手での掌底打ちを顎に叩き込み、失神させた。
「物間君、KO!緑谷君、三回戦進出!」
「緑谷出久、三回戦進出!てゆーか物間は何がしたかったんだ?煽り散らかした末にワンパンKOって」
「恐らくは緑谷の超人的な身体能力からして無個性な筈が無い、絶対に増強系の個性持ちだと頑なになっていたんだろう、それで自身の、言動からして握手した相手の個性を一時的にコピーする個性か?それを用いて緑谷の『嘘』を暴こうと考えたのだろう。そう思いたくなるのも無理はないが『嘘』で無かったのを目の当たりにして尚信じようとしないのは非合理的だな」
「ははは、そりゃまた確かに非合理の極みだな。NDK?NDK?無個性にワンパンでノされる感想は?」
「オイ、私情挟み過ぎだ」
結果的には今の一撃でKOという、出久の圧倒的勝利と言える結果となったがそれ以上に、その直前の寧人の行動に疑問を投げかけるプレゼント・マイクに対して相澤はその訳を詳細に分析しつつ事実を受け入れられない寧人を批判、それを聞いたプレゼント・マイクは出久が無個性であるという教師達の間では公然となっている事実を『嘘』だと決めつけた寧人に怒りを抱いていたのか煽り返し、そんな私情丸出しな姿を相澤は窘めた。
「気を取り直して二回戦第二試合!不健康そうな見た目、一見するとヒーロー向きとは言えない個性、だがその戦いはストロングスタイル!第一種目は緑谷達とデッドヒートを繰り広げたA組期待の精鋭の一角!心操人使!ヴァーサス!一回戦第一試合を、個性を活かしたスマートな戦いで勝利したB組、吹出漫我!いきなりの強敵だが勝ち目はあるのか!?それじゃあ第二試合、レディ、スターt」
「ふん!」
「はぐぉっ!?」
「一回戦でお前のバトルスタイルは予習済みだ。僅かでも先手を打たれたら厄介だから速攻で決めさせて貰った」
「吹出君、KO!心操君、三回戦進出!」
「あぁっと瞬殺ぅ!心操が開始の合図と同時に、吹出の鳩尾に肘を叩き込んだぁ!てゆーかあの距離を一瞬で詰めたのか!?お前の瞬発力、マジやばくねぇ!?」
ともあれこうして第一試合は終了、人使と漫我の対戦カードとなった第二試合、漫我は一回戦と同じく己の個性を用いた範囲攻撃で人使を近付けさせんと行動を起こそうとした。
ところがプレゼント・マイクが開始の声を発した瞬間、会場の殆ど全員が目を疑う光景が広がった、開始の声と共に漫我へと瞬時に接近した人使が、その無防備な鳩尾に肘を打ち込んでいたのである。
まさかの強襲に対応出来なかった漫我は腹部を突き抜ける強烈な痛みと共に昏倒、それを見たレフェリー役のミッドナイトはKOを宣言、先程の出久を上回る瞬殺劇に会場はどよめいた。
「さぁて二回戦第三試合!見た目は威圧感凄いけどハートは熱く優しいナイスガイ!第一種目ではデッドヒートに与した訳でもギリギリ通過って訳でも無く、第二種目も得点変動なしとイマイチ目立たないが此処で巻き返しなるか!?A組、障子目蔵!ヴァーサス!さっきの即興ライブを裏で糸引いた、チャラい見た目とは裏腹に食えねぇ男!第二種目では轟の大立ち回りの陰でしっかりサポート!此処でもその強かさを発揮するか!?A組、上鳴電気!それじゃあ第三試合、レディ、スタート!」
一方的な秒殺が続いた前の2試合とは違い、電気と目蔵の対戦カードとなった第三試合は互いが互いにチャンスを伺う展開が長く続いた。
「くっじれったいな!」
(上鳴、お前の個性は強烈だがつけ入る隙は十分ある、限界を超えた個性の使用で事実上の戦闘不能に陥る所だ。故に消耗戦に持ち込めばお前に勝ち目は無い。このまま削り切らせて貰う)
目蔵が考えている通り、電気の個性である帯電には致命的な弱点がある、キャパシティを超えた放電を行ってしまうと脳がショート状態に陥ってしまい、意思疎通すら困難なアホと化してしまうのだ。
この試合で目蔵は其処を徹底的に突く事にした、己の個性によって生やした触手による鞭打や物凄く長い腕によるパンチといったリーチの長い攻撃で牽制して常に距離を取り、それを嫌って電気が個性を使って来ればその直前にひっこめ、唯の牽制だと仕掛けないならばぶつけてダメージを与え、インファイトを仕掛けるべく突っ込んで来るなら足払いや瓦礫飛ばし等でその出鼻を挫く、というアウトボクシングの如き戦法で試合を進めた結果、
「うぇ、うぇーい…」
「上鳴君、戦闘続行不可能と判断してTKO!障子君、三回戦進出!」
「どう転ぶか戦前の予想では読めなかったが、蓋を開けてみれば全て障子の掌の上!前の2試合とは違って時間を掛けたが、圧勝の評価に異論はねぇだろオーディエンス!」
『イェーイ!』
案の定、個性を使い過ぎた電気はアホと化し、それを見たミッドナイトがもう戦えないとしてTKOを宣言、今までの瞬殺とは違えど綿密な戦略で危なげなく勝利を手にした目蔵のファイトに観客は声援を上げた。
「二回戦第四試合!まずは一回戦第二試合をレーザーのブッパで勝利したB組の王子様、青山優雅!ヴァーサス!第一種目でのデッドヒートに与したA組期待の精鋭の一角!それはそれとしてさっきのライブはすげぇ感動した、正直こっちを応援したい!葉隠透!」
「オイ、私情挟み過ぎだ」
「ははは、良いじゃねぇかイレイザー!オーディエンスだって葉隠の勝利を期待する奴らばっかだろぉ!?まあいいや、第四試合、レディ、スタート!」
「行くよ!」
「ほぃっと」
優雅と透の対戦カードとなった第四試合、前の試合での勝利の決め手となったレーザーを開幕から断続的に放って近付けさせまいとする優雅に対し、透はまるでどの方向へ何時放つのかが全て読めているかの様にするすると避けながら距離を詰めて行き、
「お、お腹が」
「そいっ!」
「あべし!?」
「青山君、KO!葉隠さん、三回戦進出!」
「まあなんとなくそうなるかなとは思ったが、その想像を超える位に葉隠の圧勝だぁ!てゆーかどうやってあのレーザーの嵐を潜り抜けた!?」
「え、射線さえ分かれば回避は容易じゃないですか?」
「いや事も無げに言っているけどそれプロになれる様な奴が言って実行出来るセリフだからな!?」
その最中に突如腹を痛めたのか蹲った所で透のサッカーボールキックが背に直撃、これが決め手となり透の勝利となった。
両者の能力差からして透の優勢が戦前の予想ではあったもののそれにしても驚くしかない圧勝、それを印象付けるレーザーの嵐を余裕で避ける姿にはプレゼント・マイクも驚愕の声を上げた。
此処迄4試合が終わった最終種目二回戦、トーナメント表は以下の通りとなった。