「二回戦第十試合!A組の推薦入試組、その二番手!第一種目ではあのデッドヒートの一角を担い、第二種目では開始早々の大立ち回りで二位を勝ち取って見せたその実力、流石は推薦組って所かぁ!?轟焦凍!ヴァーサス!一回戦では黒色を完封して見せたその実力で、圧倒的不利という下馬評を覆せるか!?B組、鎌切尖!第十試合、レディ、スタート!」
「水の呼吸・漆ノ型 雫波紋突き!」
「あぐっ!?う、動けねぇ!?」
「鎌切君、戦闘続行不可能と判断してTKO!轟君、三回戦進出!」
「おぉっと轟、一瞬で鎌切を無力化して見せたぁ!スタートと同時に氷刀で突きを放ったかと思えば其処から冷気を開放して氷漬け!正に圧倒的!」
「オイ何で見たまんまな説明なんだ、語彙力不足か?」
「いやだってこれ小説だし見たまんまを伝えるの必要じゃん?」
「オイメタ発言すんな」
焦凍と尖の対戦カードとなった第十試合、今までの種目で焦凍の個性による冷気のパワーや氷刀による立ち回り等を把握していた尖は、接近戦に持ち込まれたら不利だと判断、生成した刃物を投擲しての中距離戦に持ち込もうとした。
だがそんな尖の思惑を打ち砕くかの様に、焦凍はスタート直後に鋭い踏み込みで肉薄して突きを放つ。
開始と同時の奇襲とあって対応出来なかった尖はそれをまともに喰らってしまい、其処から強大な冷気を浴びて身体が氷漬けになった事で身動きが取れなくなり、それを見たミッドナイトは戦闘続行不可能と判断、TKO勝ちで焦凍は三回戦進出となった。
尚、その秒殺劇を見たプレゼント・マイクがメタいボケをかまし、それを相澤がツッコむ場面があったが余談である。
「ま、まあそれはそれとして二回戦第十一試合!第一種目ではあのデッドヒートに関与し、第二種目ではその個性で一位通過に貢献したA組期待の精鋭の一角!名前に反してその活躍は麗らかじゃねぇ!麗日お茶子!ヴァーサス!B組の推薦入試組の一角!一回戦ではファンネルかよ!とツッコミたくなるオールレンジ攻撃で回原を完封したその個性につけ入る隙は無しかぁ!?取蔭切奈!第十一試合、レディ、スタート!」
「花の呼吸・漆ノ型 庭桜!」
「ぶ、分身の術!?アンタは忍者か!?」
閑話休題、お茶子と切奈の対戦カードとなった第十一試合、切奈はお茶子に触れられない様に注意を払いつつ、一回戦と同じく身体を多数分離させてのオールレンジ攻撃で制圧せんと個性で拳や肘をお茶子へと射出しようとしたが、其処で思わぬ光景を目の当たりにした、曲線的な動きで切奈へと接近するお茶子が数人という単位で分身したのである。
庭桜の花言葉は「うつろいやすい愛」、つぼみの中央に見えていた葉が開花と共に見えなくなる事が由来とされるその言葉通り、葉を覆い隠さんばかりに咲き誇る花弁の如く、或いは魚を覆い隠さんばかりの濁流の如く、分身と共に切奈へと襲い掛かるお茶子、切奈も一瞬怯みはしたものの近付けさせんと言わんばかりに分離させた打撃部を飛ばすも分身を狙ってばかりで全く当たらず、
「そぉい!」
「うわぁぁぁぁ!?」
「取蔭さん、場外!麗日さん、三回戦進出!」
「見たかオーディエンス、今の光景を!分身で攪乱しながら接近して投げ飛ばした、これだけだと事も無げに聞こえるが分身を生み出しちゃう時点で凄いぜ!その可愛さも強さも圧倒的な麗日にエブリバディクラップユアハンズ!」
「オイ私情挟み過ぎだ」
そのまま体を掴まれ、お茶子の個性によってほぼ無重力とされた状態で投げ飛ばされてしまい、抵抗空しくリングアウトとなった。
「二回戦第十二試合!お互い第一種目も第二種目も何処かパッとしない成績、此処でどうにか挽回してくれよ!A組、尾白猿夫!ヴァーサス!同じくA組、砂糖力道!第十二試合、レディ、スタート!」
「行くぞ、尾白!」
「ふっ!はぁっ!」
プレゼント・マイクに指摘された通り今までの種目で上位にこそ入ったが目立った活躍の無い猿夫と力道の対戦カードとなった第十二試合、それ故か此処で目立った活躍をしてアピールしなければと意気込む力道は、砂糖を摂取した事で強化された身体能力を活かして接近戦を仕掛けんと接近しつつ、そうはさせじと距離を保とうとする猿夫の動きを牽制すべく、闘技場を殴って壊しながらその破片を掴んで投げる等の突進一辺倒じゃない立ち回りを見せる。
だが猿夫は至って冷静に対処、力道が投げて来たコンクリート片を尻尾で弾き飛ばしたりキャッチして投げ返したり、力道がぶん殴って壊した地点へと移動して破片を蹴飛ばしたりして接近を許さない。
互いの距離が一向に詰まらず何処か焦りを募らせる力道はやがて飛んで来るコンクリート片に構わず突進するも、それすらも読んでいた猿夫は、勝己の動きを真似しましたと言わんばかりの最小限且つ曲線的な動きで受け流す。
そうして互いに決定打を与えられないまま開始から3分近く経った頃、
「くっリミットか!」
「今だ!そりゃぁ!」
「ぬぁぁぁぁぁ!?」
果敢に攻め込んだ力道が突如、強烈な眠気に襲われたのか俯きそうになる、足元が覚束なくなる、動作に精彩が欠けて来る等の変調をきたし、それを見た猿夫が今までとは一転して突撃、力道の両足を掴んでその巨体をぶんぶんと振り回し始めた。
力道の個性であるシュガードープは糖分を摂取するだけで身体能力を5倍にも高めるというシンプルながら強力な物ではある一方、弱点もある、それは一度に3分までしか効果を発揮出来ないというウルトラマンか!とツッコミたくなる持続時間の短さと、糖分をエネルギーとする関係で使い過ぎると脳に糖分が回らなくなり凄まじい眠気や倦怠感に襲われてしまうという副作用だ。
猿夫は最初からそれを狙って暫く回避と牽制に専念、タイムリミットが来た所で攻めに転じたという訳である、そんな戦略通りの試合運びとなった猿夫のジャイアントスイングに個性の反動で身体を上手く動かせない力道は抵抗出来ず、
「砂糖君、場外!尾白君、三回戦進出!」
「長い膠着状態から一瞬の内に勝利を手繰り寄せた尾白!砂糖の弱点を突いたという意味では障子と似ているが綱渡りな場面が沢山あった中で掴んで見せた勝利は値千金!そうだろエブリワン!」
『イェーイ!』
そのまま場外へとぶん投げられてリングアウト、猿夫の三回戦進出が決定、そんな彼の健闘に観客は惜しみない拍手を送った。
「二回戦第十三試合!第一種目ではあのデッドヒートに与して三位入着して見せたA組期待の精鋭の一角!第二種目では騎手のド派手な暴れっぷりの影でイマイチ目立たなかったが此処で巻き返しなるか!?飯田天哉!ヴァーサス!サポート科唯一の生き残り!此方は逆に第一種目ではパッとしなかったが第二種目では自作のサポートアイテムで一位通過に貢献!その勢いを此処でも維持出来るか!?フルアーマーか!と言わんばかりにガッチリ装着したサポートアイテムの数は気合の現れかも知れねぇな!H組、発目明!」
そんな激戦の興奮冷め止まぬ中で闘技場の整備による中断を経て行われる、サポート科唯一の生き残りとなった明と天哉の対戦カードとなる第十三試合、因みに中断時間の際、天哉に自作のサポートアイテムを使わせるべく口八丁で丸め込もうとするも、その人となりを出久達から聞いていた天哉は逆に「数代に渡ってプロヒーローを輩出して来た名門の出、敵連合の襲撃を余裕で切り抜けた前評判、そして第一種目でのデッドヒートで三位に入った実力、それを踏まえれば現時点での僕の評価は相当高いだろう。その僕に善戦すれば最高のアピールになるんじゃないか?」と説得、それを受けてこれは梃子でも動きそうにないなと感じ取ったのもあって明が諦めたのは余談である。
「第十三試合、レディ、スタート!」
「行くぞ、発目君!そのサポートアイテムがハリボテで無い事、示して見せろ!」
「勿論ですとも!」
こうして始まった第十三試合、天哉はその持ち前の身体能力に物言わせた猛攻を仕掛けるも、明も装着したサポートアイテムの数々を的確に操作、その際に使ったサポートアイテムの性能を説明する余裕も見せながら凌いでいたのだが、
「もう思い残す事はありません、棄権します」
「やはりそう来たか、出久君達から聞いていた通りだ。こうもあからさまだと怒る気も失せるな」
ある程度時間が経過した所で、やり切ったと言いたげな顔しながらギブアップを宣言、天哉の三回戦進出が決まったのだが、目的を十全に近い形で果たした末の『勝ち逃げ』には流石の天哉も苦笑いするしかなかった。
「さ、さぁ二回戦第十四試合、と行きたい所だが!此処で体育祭運営から緊急連絡だ!この第十四試合に出場予定だった峰田から棄権するとの連絡が来た!負傷で出られねぇとの事だ!という訳で対戦相手である瀬呂は不戦勝、三回戦進出とするぜ!」
「おぃぃぃぃ!?肩透かしかよ!?」
「ど、どーんまい…」
「どーんまい…」
そんなハプニングはあったが気を取り直して範太と実の対戦カードとなった第十四試合、と行きたかったが、その試合に出場する実が棄権を申し出てきたとの連絡が入り、第一種目での妨害で一時的に共闘していた実が相手なのもあってか戦意を高めていた範太は肩透かしを食らったみたいにずっこけ、それを目の当たりにした観客はどんまいと声を掛けるしかなかった。
負傷と称して棄権を申し出て来た実、それは果たして真実か否か、真実ならその負傷の原因は何なのか、それは本人のみぞ知るといった所であろう。
「気を取り直して二回戦第十五試合!第一種目ではあのデッドヒートに与し、第二種目では緑谷達との激しいドッグファイトを繰り広げたA組期待の精鋭の一角!此処迄あのデッドヒートに与した10人は全員勝ち上がっているが、それに続けるか!?耳郎響香!ヴァーサス!B組の推薦入試組の一角!一回戦では角取を完封して見せたその個性を今回も発揮して、B組の最後の砦となれるか!骨抜柔造!
第十五試合、レディ、スタート!」
「其処っ!」
「けっさせるかよ」
天哉によるサポートアイテム潰しや実の棄権と、予想外な展開続きで場が静まり返る中で始まった、響香と柔造の対戦カードである第十五試合、先手必勝だと言わんばかりに響香が耳たぶを射出して柔造に爆音を叩き込もうとするも、柔造は一回戦の時と同じく地面を柔らかくして潜伏、耳たぶをやり過ごしつつリングアウトさせるべく接近を試みた。
が、
「させないのはこっちだよ!音の呼吸・壱ノ型 轟!」
「っ!?がはぁ!?」
「骨抜君、KO!耳郎さん、三回戦進出!」
「何かもう見慣れちゃった感じはするが敢えて言わせて貰うぜ!まさかの一撃必殺!骨抜の動きを読み切った耳郎が耳たぶを地面に叩き付けて勝利を決めた!てかあんなド派手に頭ぶん回して首の方は大丈夫か!?」
一回戦での戦い方を見ていない響香ではない、そう来ると読み切っていたのかヘッドバンギング*1みたく頭を思いっきり振って伸ばしていた耳たぶを地面へと振り下ろし、当たる瞬間に爆音を発射、丁度その下にいた柔造はそれをモロに喰らってしまい、それが決め手となったのか気絶、それと同時に潜伏していた地面から押し出されつつ柔化は解除、それを見たミッドナイトがKOの判定を下した事で響香の勝利となった。
「さぁ長かった二回戦もいよいよ最終試合だぁ!まずはこの最終種目で最後に登場!第一種目ではあのデッドヒートに与し、第二種目ではス○イダーマンかよ!とツッコミたくなるアクロバティックな動きで緑谷達の騎馬に襲い掛かったA組期待の精鋭!此処で勝利して、爆豪が宣言したA組による上位独占を早くも決めてしまうのかぁ!?蛙吹梅雨!ヴァーサス!遂に最後の1人となってしまったB組、此処で一矢を報いたい所!塩崎茨!最終試合、レディ、スタート!」
「行くわよ、茨ちゃん!」
「くっ!は、速い!」
そして二回戦最後の試合で、梅雨と茨の対戦カードとなった第十六試合、スタートの合図と共に梅雨は発達した脚を活かした踏み込みで茨へと突進する。
茨もそうはさせじと個性で蔦状になった髪を飛び交わせるも予測済だと言わんばかりにジグザグな動きを見せつつ全て避け、その間も距離は詰まっていき、
「終わりよ!」
「まさか、これ程とは…!」
「塩崎さん、場外!蛙吹さん、三回戦進出!」
「決まったぁ!この試合で蛙吹が勝利した事で、爆豪が開会式で宣言したA組による上位独占がベスト16の時点で達成されたぁ!1人の敗北も無く達成と言う出来過ぎじゃね!?とツッコミたくなる戦績だが、今までの、そして今の蛙吹の戦いぶりを見ればそれも納得の実力!さぁ次から三回戦、此処からA組の精鋭同士による激戦が繰り広げられる!果たして爆豪が開会式で宣言した頂点奪取、それを有言実行するのか!或いはそれを阻止する者が出て来るのか!エブリバディ、ドンミシット!」
手を伸ばしてもギリギリ届かないか、といった距離で梅雨は舌を放つ、それは茨の足をしっかりとキャッチし、そのままの勢いで投げ飛ばした。
茨ももう敗北は確定的明らかだと諦めたのか一切の抵抗をする事無く、その身が闘技場の外へと出た事で梅雨の勝利、勝己が開会式で予告した1つである『A組による上位独占』、それがベスト16という予告よりも早いタイミングで達成された。