ガンナーズ!! -女子高生×銃撃戦×青春!?-   作:k9suger

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今回は幕間という事で若葉稔、陽向彩乃、別宮先生視点の3つです。


第八話:【幕間】SHのある生活

「うーん......チャージングハンドル並んでないか」

 

 模擬戦中AKのリロードをするタイミングが何度かあり、チャージングハンドルを操作してコッキングををしたけどツマミが小さくて扱いづらかった。

 なので、フリマサイトにでもチャージングハンドルが安く並んでいないかを調べてるけど、目当ての商品はまだ見つからない。

 

 まぁチャージングハンドルぐらいなら新品でも2000円ぐらいで買えるけど、出来るなら安く済ませて他のものにお金を回したい。

 

「ハンドガードとかも変えたいしな......」

 

 模擬戦の時種島さんや陽向先輩の銃を見せてもらったけど、どちらも自分なりのカスタマイズをしていて格好良かった。

 そう言えば信濃川さんのモダナイズSVDも厳つくて良かったな......

 

 なんて事を考えていると、いつのまにかAmazOnの欲しい物リストはAKのカスタムパーツで埋め尽くされていて合計金額はパーツだけで三万円を超えている。

 もちろん最近AKを買った私にパーツを買える財力はなく、欲しい物リストをこんなに埋めたところで何か購入する事はできない。

 

「まぁ今のAKも格好良いし......いっか」

 

 私は床に置いてあるAK-74Mを持ちあ上げて意味もなくレバーを引いたりリロードしたりして楽しむ。競技としても楽しいけど、こうやって遊べるのもスポーツシューティングの魅力だなぁ......

 

「みのりーご飯できたわよ冷めないうちに食べちゃって」

 

 なんて思っているとお母さんから声がかかる。持っていたAK74Mを種島さんから持ったライフルバックの中に戻してから一階へ行く。

 

 

 ◇

 

 

 日曜日の夕方クラブチームの練習が終わって、ロッカールーム兼更衣室の中で今日練習に使ったHK416のメンテナンスをしていた。

 

 ハンドガードに付いていた泥汚れを落とし終わったところで、同じチームに所属してる森田先輩から話しかけられる。

 

「陽向部活入ったんだって?」

 

「はい新しく出来たスポーツシューティングの部活に」

 

「まぁ部活入るのは勝手だけどコッチに支障が出ないようにな」

 

 コッチというのは、私が所属しているスポーツシューティングのクラブチームであるSSHGのU20のこと。ベンチが基本なので試合に出たりする機会は少ないけど、怪我や病気などで代役が必要なときには私が代わりを務めている。

 

「わかってます」

 

「わかってますって言うけどさ、最近練習に来る頻度減ったよな? 陽向は皆と比べて上手くないんだから練習サボってて大丈夫なの?」

 

 部活に入るまでは、技術向上のためにほぼ毎日顔を出していたけど、入部してからは部活の方を優先させていたので来る回数は半分ほどに減っている。

 

「まぁ......その、頑張ります」

 

「頑張りますねぇ......最近新しい銃でも練習してるらしいじゃん、なんか陽向自身も色々と迷ってんじゃないの? そんな状況だとコッチも例の部活にも身が入らないんじゃない?」

 

 使い慣れた銃の方が良いパフォーマンスが出来る場合が多いので、スポーツシューティングの競技選手が試合で使う銃を変えるのは、そこそこ大きな意味を持つ。

 

 趣味でプレーしている人は気分によって銃を変えたりするけど、ポジションや役割が決まっている場合安易に銃を変えるとチームの負けに繋がる場合もある。

 まぁ私はベンチだから銃を変えてもチームに支障が出る事は殆ど無いけど......

 

「いや別にプレイスタイルを変えようと思ってる訳じゃないんですよ」

 

 私が銃を変えた理由は単純で、部活で使う銃とクラブの方で使う銃を分けたかったから。同じ銃でも良いけど沢山使えば故障のリスクも増えるし、クラブの試合で使う大切な銃を部活の試合で持ち出したくないという理由だ。

 

 HK416はクラブでしか使わず、新しく買ったPDXは部活用として使っている。

 今日PDXを少しだけ練習したのは、部活で使った時に使い慣れてないせいで変に戸惑わないようにするためで、クラブチームの試合でPDXを使う気はまったくない。

 

「そういうのが支障をきたしてるって言うんだけどな......PDXの練習をしてるせいで普段使う銃の練習時間を奪ってんじゃん」

 

「まぁそうですね」

 

「あの森田先輩、次の試合のことキャプテンが話したいって」

 

「あぁ今行く......陽向もクラブチームに所属して活躍したいんだったら、もう少し遊びも控えてコッチに集中すべきだろ」

 

 そう言い残して森田先輩は更衣室を去る。

 

「はぁ......帰って御飯食べるか」

 

 私は荷物をまとめて、そっと更衣室を後にした。

 

 

 ◇

 

 

「ふむ......イマイチ違いがわからないな」

 

 時間も遅くなってきて、人が疎らになった職員室を見渡し頼れそうな人間を探す。教頭先生は御年58歳でこうのに明るいとは思えない。

 隣でお茶を啜っている三学年主任の石田先生も......教頭先生よりは若いとは言え40を超えている。プラモデルが趣味とか聞いたことはあるが銃に関心があるという話は聞かない。

 

「あっ」

 

 そんな事を思っていると、職員室のドアがガラガラと音を立てて開きバトミントン部の顧問をしている大野地先生が職員室に入ってくる。

 大野地先生は部活終わりなのか、額に大粒の汗をかいていた。

 

「ふむ使えるかもしれない......あの大野地先生」

 

 大野地先生は、去年大学を卒業したばかりでまだ若い。そして前に廊下で男子生徒とゲームの話で盛り上がっているの耳にした事がある。

 

「はいどうかしましたか?」

 

「くだらない質問で申し訳ないんですが、このアサルトライフルやDMR、スナイパーライフルとかの違いってなんですかね?」

 

「は、はい?」

 

「自分でも色々と調べたんですけどね、調べていくうちに段々よくわからなくなってきて......ほらG28なんて見た目はアサルトライフルなのにwikipediaによると半自動狙撃銃らしいじゃないですか。単発なのがスナイパーライフルなのかと思って調べてみたんですけど単発のAR15は別にスナイパーライフルでは......」

 

「ちょっと待ってください、別宮さんが銃に興味があって色々と僕に質問をしてきているのは理解出ましたけど......いきなりどうしたんですか?」

 

「あぁいや今年からスポーツシューティング部の顧問になったんだが......恥ずかしい話スポーツシューティングやそもそも銃のことなんて全く知らなくてな......」

 

「なるほど、そういう事でしたか......でなんで僕に聞くんですか?」

 

「なんか大野地先生はそのような方面に明るそうだったので」

 

「まぁ確かにFPSとか学生の頃は熱中してたんで、そんなことなら説明できますけど......もう少し待って頂けますか? 先に部活の荷物まとめたいので」

 

「良いですよ。すいませんね色々と焦ってしまって......運動が出来て若い女だからという理由で顧問に推薦されて、私も引き受けてしまったんですが本当は大野地先生みたいに少しでも知識のある先生が顧問を務めたほうが良いんですけどね」

 

「いや、そんな事ないですよ。運動係の指導なら別宮先生が適任ですし、俺なんてバトミントン一筋ですから銃のこと少し知ってるぐらいじゃスポーツシューティングの顧問には成れませんよ。それに生徒さんの為に色々と調べてる別宮先生が適任じゃないなんて事ありませんよ」

 

「そうですかね?」

 

「そうですよ......それじゃ一度荷物まとめてきますんで」

 

 

「ふむ......まぁ頑張ってみるか」




前回の模擬戦で第一章はお終いでした。
第二章からは本格的にスポーツシューティングの戦いが始まります。
ここまで読んでいただいて面白いと思っていただければ評価や感想をしてくださると嬉しいです。

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