とりあえずまあ読んでくださいな。
時間軸的には、序章の二年前くらいです。
博士のことやし暗躍始まっとるやろ知らんけど(大ネタバレ)
追記
白朮の蛇の口調、関西弁じゃないんやね。
ライネスちゃんみたいやったわ。
ニィロウ一凸記念話
ニィロウ一凸記念話
米 軽度の過激な描写が含まれます(?)
恐らく賛否両論です。後書きの言い訳を見てください。
オニィサンユルシテ…
「端的に言うね!私、貴方の大大大ファンなのっ!」
「…おやおや、スメールを代表する舞踊姫、ニィロウさんまでも私の本のファンであると言ってくれるとは。私の小説も、存外にも立派なものになってきたということなのかしらん」
「うふふっ、貴方の小説は、いつも私の心をキラキラさせてくれるんだ!子供たちも、貴方の本を読んで、みーんな笑顔になっているわ。貴方の物語は、私にとって、夢を見ることがない私たちに、夢と希望を与えてくれる、最高の宝物なのよ!」
「アッハハ、そうまでして好評を並べられると、ちょっと照れてしまうよ。しかし、夢を見ないというのは、手前勝手な所感だけれど、やっぱり悲しいものだと思うね。そうだな、うん。君の言うように、夢を知らぬ人に夢を与えられるのが私の小説なのだとしたら。私のやってきた仕事は、やっぱり間違いでない、良い行いだったんだと、言ってしまっても構わないのかもしれないね」
「うん、うんっ!全然、構わないよ!」
「君は本当にキラキラと笑う人なんだね。とても、眩しいひとだ。スメール風に言うなら、『砂漠に輝く星のように、森で輝く晶蝶のように』夢見心地に眼を照らす。そんな笑い方だよ」
「そ、そんなこと言われたら、照れちゃうよぅ…」
「ハハ、さっき私の事を照れさせてくれたお返しだよ。一端の文学者として、文字で喜ばせることで負けるわけにはいかなかったからね。どうかな、一矢報いられたかな」
「もぅっ!いじわるー!…あの、あのねっ!取材しに来てもらったのに、私のことばっかり話してるのになんだってとこなんだけど…。で、でもねっ!もーっと、話したいことがあるの!」
「はいはい、私は今日はここに取材に来たんだよ。逃げたり消えたりしないから、ゆっくり、落ち着いて。自分のペースで話してごらんなさいな。」
「う、うん!よーし、頑張るよニィロウ!えぇっとね?私!」
「なにかな、言ってごらん?」
「貴方のこと、大好きみたいなの!だから、よかったら、お友達になってほしいな!」
「…はい?」
「…あ、あれ?なにか、おかしな事言ったかな…?」
「…ニィロウさん、一旦深呼吸してごらん?ほら、息を大きく吸って。そう、そしたら、細ーく、ゆっくーり。胸のざわざわを掻き出すように、息を吐くんだよ。そーうそう、よくできました」
「ふぅ、確かに落ち着いたけれど、何かあったの?周りのみんなの目が凄いことになってる気がするけど、私、何かヘンなことしたのかなあ?」
「そうだね、確かにすごいことかもしれないねぇ。ニィロウさん、さっき言った言葉、思い出せるかな?できれば、一言一句漏らさずに」
「え?えっとぉ、『よかったら、お友達になってほしいな』?」
「うーん、じゃあ、そのもひとつまえはどうかな?」
「もひとつ?うーん、えーっと、『貴方のこと、大好きみたい』…、〜〜ッ!!!!!!!!ぴぎっ?!」
「大丈夫、大丈夫だよ、ニィロウさん。君のことを揶揄ったり弄ったりする人は今はいないから。ほら、落ち着いて、さっき言ったように深呼吸して見てごらん。息を大きく吸って?」
「はひっ、ぴぅ、へひゅっ、かひゅっ、ひーっ、ひゅぃっ、ひぴっ、きゅっ、」
「…過呼吸か、不味いなコレは!ねぇ!そこの狼の冠の君!水を持ってきてあげてくれ。そうだな、かなりたっぷりめに持ってきてほしい!頼むよ!」
「ああ、了解した。人命がかかっている。すぐに持ってこよう」
「それで、そこにいる赤い獅子の貴女!」
「え、アタシ?何をすればいいんだ?」
「タオルか布かを濡らしてから絞って持ってきてほしいな。お願いするね。」
「了解!」
「それからそこの冠の貴女、いまから私がこの子を介抱するけれど、私が疾しいことをしないか見ていてほしいんだ。大丈夫、ただの保証人ってだけだから。よろしく頼むよ。…ニィロウさん、隣失礼するよ。はい、私に掴まって。そう、大丈夫。背中をさすってあげるから、ゆっくり、そうゆーったりと、水のように、風のように、草の香りのように、柔らかな日差しのように、あなたはだんだん穏やかな息吹を取り戻していくよ。さあ、怖くないからね、私がそばにいてあげるから、私の他にも、そこのー、えっと、お名前は?」
「あっ、ドニアザードですっ!」
「…そう、ドニアザードさんも。ここにいてくれるから、怖くないよ」
「ぇひっ、ふゅっ、はへ、ひぃっ、あぃ、ぴぃっ、ぅえっ」
「そうら、大丈夫。怖くないよ。苦しいなら私にもたれていいからね、そう、きっと踊りの練習で体が疲れていたのに、急にびっくりしたから、身体もびっくりして引き攣っちゃったんだろうね。でも大丈夫だ。こういう状況には慣れているから、安心しなさいね。ほーら、落ち着いてきただろう?辛いだろうからしがみついていなさい、頭がチカチカするなら顔をここに埋めているといいよ。楽になるからね、心臓もびっくりしてたのが落ち着いて来るはずだから、ゆっくり、ゆーっくり、そうだ、よくできているね。ゆーっくり、体を休めて落ち着かせていきなさい」
「ひ、ひゅ、ふぃー、ひー、はー、ひぁー、」
「作家殿、水瓶とコップを持ってきた。これ位でいいか?」
「イクザクトリィ、最高の仕事だよ。ありがとう!ついでに汲んでくれると嬉しい!…感謝するよ!ほーら、このお水を飲めるかな?口にちょっと入れて、舐めるだけでも、口に入れて、飲んであげたら胸が楽になるからね」
「んくっ、んっ、はっ、はーっ、はひゅー、あぇ、はぇっ、はー、」
「まだ喋らなくていい。自分の身体の速度を落とせ。リズムを整えろ」
「そ、そうよ!ニィロウ!貴女はダンサー!リズムの感は並はずれているの!自分の体の中を、転調させるのよ!」
「…いいアドバイスだね、本質を射ているよ。そう、ニィロウさん。身体を整えることに専念するんだよ。怖くても、私にしがみ付いて居れば、漂流することはないから。大丈夫、私はここだよ。安心して、すぐに良くなるよ」
「悪い、遅れた!濡れたタオル貰ってきたぜ!」
「ありがとう、丁度いいタイミングだよ。そら、身体が熱くなっているから、汗が出てきている。顔を拭ってあげるよ。…これでいいね。どうかな、だいぶ落ち着いたと思うけれど。まだ、このままでいるかな?」
「はー、はーっ、は、いっ、ごめんっ!なさひっ、ふーっ。もうちょっ、とっ!このぉっ、ままで、」
「わかったよ、大丈夫だよ。じきに良くなるさ。怖くても、震えてても、私がついているから、安心して、な?」
「なんつーか、手慣れてんだな。こういう経験あんのか?」
「後で話すよ。いまは、ニィロウさんが快癒することが最優先だからね。ん?なんだい?背中をさするのかい?…お安い御用だよ。ほら、楽になってくれよ?」
ーーーーーーーーーー
「…よし、まだ脈拍には不整が見られるけど、呼吸は取り敢えず安定したよ。みんな、協力してくれたこと、感謝するよ」
「いや、ともすれば人命に関わりかねなかったんだ。協力しないという選択は、俺には取ることはできなかった」
「それでも、だよ。セノ、君の迅速な行動が一早い快癒に繋がったんだ。謙遜するより、誇るべきだと思うよ?」
「…そうか、いや、そうだな。ならこの一瞬、俺は自分の行動を誇るとしておこう、どうだ?」
「………………フッ、その、なんだろうな。こう、どうにも言い難い達成感を感じているよ。兎角、治って良かったよ、ニィロウさん」
「!!!!!!!!!そうだなっ!治ったとはいえ油断は禁物だ!少しばかり体を休めておくことだな!」
「なんだコイツ、急にテンション高くなりやがったぞ。それより、ドニアザードお嬢様。コイツ、看病にかまけて不埒なことしてませんでしたか?」
「もうっ、ディシア!この人の真剣な看病の仕方見てなかったの?断じてそんなことしてなかったわよ!」
「わ、悪い、お嬢様。いや、まあ、念の為というか、な?あ、ほら。このニィロウもモンドのシスターに並ぶアイドルのような存在なんですから、万一の事があっては大変ですし、念の為ですよ、ええ、念の為です」
「そ、そうだったの?!私、そうとは知らずにディシアを詰っちゃったわ!ごめんなさいね!」
「い、いえ。私も説明してなかったのが悪いといえば悪いですから、謝らなくても大丈夫ですよ(言えない…、普通に疑ってたなんて言えない雰囲気だ…)」
「はは、まあまあドニアザードさん。そもそも、1番近くにいたとはいえ男の私が介抱するということ自体、かなり危うい事だったんです。『念の為であれ』なんであれ、ディシアさんの対応は間違ったものではなかったですよ。でも、ディシアさんが謝罪を必要としていないのですから、そう丹念に謝ることもないのではありませんか?」
「…そうですよね、わかりました。でもディシア、形がどうであれ、私の友達を気遣ってくれて、すっごく嬉しかったわ!ありがとう!」
「〔こいつ気付いてんな…〕…ハハ、護衛として、当然の仕事を為したまでですよ。でも、謝辞はしっかり受け取っておきます。どういたしまして」
「あ、あのぅ…」
「あぁ、どうしたんだいニィロウさん。もう呼吸は大丈夫かな?」
「あ、うん!もう大丈夫だよ!その、不甲斐ない姿を見せちゃって、しかも看病までしてもらって、ほんとにありがとうね?」
「いや、全く問題など無かったとも。君が無事で居てくれたのが何よりの報酬だよ。まあ、こういう事には慣れているんだ。こういうのは、苦労のうちにも入らないさ」
「それだ、小説家の兄ちゃん。さっきははぐらかされたが、今なら聞いてもいいだろ?あんた、なんでそんなに他人の、それも若い女の介抱が手慣れてんだよ。怪しんでる訳じゃねぇけど、小説家っていうには少しばっかり小慣れてたからさ。気になっちまってよ」
「ふむ、それは気になるな。この同志が一体どうしてこのような機敏な応急看護ができたのか、なかなかどうして気になる事だ(チラッ)」
「…………ああ、別に大したことではないよ。ただ、私の年下の幼馴染が幾ら諌めても どうし てか無茶ばかりして身体をしょっちゅう壊してしまう、まあ どうし ようもないお馬鹿な少女でね。こんな風に過労が祟って呼吸も儘ならなくなるのもしばしばだったんだよ。どうにも、親ぐるみの付き合いだったらしいから、放っておくこともできなくてね。 どうし ても必要だったから、身についた技術だった、ということだね。まあ幸い、私の住まいは璃月港にあるから、かの有名な薬屋、不卜盧が近くにあるものだから、そこのノウハウを習得する良い機会だと思って、白朮師に応急手当を教えてもらったんだよ。そのおかげで、私の応急処置の腕はそこらの 童子 には負けない位に成長してしまった、ということだね。こういう理由だったんだけれど、納得は行ってくれたかな」
「…フッ…フハッ…!」
「ホントさっきから何だコイツ。まあ良い、そういうことなら分かったよ。白朮の名前は私みたいな一端の傭兵ですら知った名だ。ソイツに教わったってんなら、あんな手慣れた手つきなのも肯ける。なんだ、疑って悪かったな」
「まあ、結局共 同し て作業することになったんだから、問題はないよ」
「ブッ」
「……あぁ、やっと意味が分かった。…えー、あー、なんだ。…あのなぁ、アンタらバカかよ。真面目な話かと思ったらシャレのぶつけ合いなんかしてたなんてな…、あーなんか一気に脱力しちまったよ」
「え?ねぇディシア?どういうことなの?そこのセノさんが急に笑いだしたのも芥川さんがさっきからニヤッてしてるのも何か意味があるのかしら?」
「お嬢様嘘でしょ?!この阿呆極まるやりとりをよりによってアタシが説明するんですか?!勘弁してくださいよ…!」
「あのね、ドニアザード、さっきからセノさんと芥川くんはね…?」
「ふんふん、…え?会話の中に『どうし』を混ぜ込んでシャレを作っていた?…何してるんですほんとに」
「ハハ、流石に大マハマトラといえど、言葉の扱いの上では私の方に軍配が上がるらしいね。まあなんというか、所謂小説家の本領発揮、というやつだよ」
「クッ…!世の中にはこんなに面白…、強大なライバルがいたという訳なのだな…。悔しいけれど、これは完敗だな…フフッ」
「思い出し笑いしてんじゃねぇよ」
「あれ?私はこのやりとりとっても面白いと思ったけれど?ねーえー、面白くないのー?」
「正気かニィロウ?嘘だろ、今のが好みなのかよ…。うっわ、スメール末期かもしれねぇ」
「(ふむ、どうやらニィロウさんはほぼ完璧に快復したらし私も、洒落は好きよ!…思考に割り込むのはやめなさいナヒーダ)さて、ニィロウさんもしっかり回復したことだ。衣服を整えて、取材を再開しようかな」
「フフッ、同志よ。また機会が有れば話したいものだな。ではまた会おうッ!」
「…大マハマトラって、結構親しみやすい性格だったのかよ。なんというか、情報は鵜呑みには出来ねぇな」
幕間の物語 バザールの踊り子
「そうと決まれば早速、取材を再開していこうかな。…と言っても、私の取材は殆ど終わっているんだけれどね。後はニィロウさん、君とお話するだけだ。スメールにおいて舞踊を究める少女で、ついでに私の本のファンでもあるらしい少女との会話を、私の今度の小説の参考にしようと思っているから、よろしく頼めるかな?」
「あ、わ、わかったよ!頑張るぞぉ!」
「ハハハ、すっかり元気になったようで何よりだ。身体に巣食っていた疲労も取れたのかもしれないね?ではその流れのまま、私の右腕をそろそろ離してはくれないかな。まだ不安なのだったらこのアーカーシャ端末に録音するから良いんだけれど、取材はできることなら手で書き留めておきたいからね。どうかな、大丈夫そうかい?」
「え?何を、言って………、〜〜〜〜〜ッ!!!」
「うぇっ?!ちょ、ちょっとニィロウ、なんで私の後ろに隠れるのー?芥川さんとおはなしするんでしょ?面と向かって、きちんと話さなきゃ!」
「だ、だってぇ…。なんだか恥ずかしいんだよう…」
「そんな事気にしないの!命を救ってくれた恩人さんなんでしょ?お話しするだけなんだから、張り切っていきなさいよー!」
「で、でもぉ…」
「…なあ、ニィロウ。大勢が観客として見ている中でお前は堂々と踊ることができていたんだ。ちょっとハプニングがあったとはいえ、たった1人との会話なんだし、何も恥ずかしがることもないと思うけどな?」
「あうあうあうぅ…」
「もし緊張するのであれば、俺の渾身のシャレをお見舞いしてやってもいいぞ」
「あえぇ?お、お願いしようかなぁ…」
「なあお嬢様、大マハマトラ様がなんかめっちゃおもしれー奴になってんぞ…」
「アレ通常運転らしいわよ」
「マジかよ…」
「フッ、任せろ。抱腹絶倒間違いなしだ。気を抜くなよ」
「なんでアイツ自分からハードル上げにかかってんだ」
「何を任せるのかしら…」
「そうと決まればこういう時のために用意していたコレを…」
「ハハ、何か小道具まで準備しているとは、期待できそうだね」
「期待どころか不安しかねぇよ」
「『このピタピッタピタ』」
「「ブッ」」
「……………………ニィロウ?」
「…………………………ウッソだろオイ…」
「…ンフッ、どうだ、中中いいシャレだろう?ピタというスメールの郷土料理の名称の語感を擬音語として繰り返し使用することでインパクトのある印象を押さえつけると共に頭に残りやすいリズムを作るために敢えて文字通りのピタピタではなくピッタピタとフフッ小さいツを入れてやることで跳ねるようなリズムが頭の中に直接入ってくるような担っていてなあと単純に語の並びが面白いから最強のシャレと言っても過言ではブフッ」
「ウケてテンション上がってギャグの解説までし出して思い出し笑いで撃沈するとか側から見りゃ地獄でしかねぇよ!!おい小説家の兄ちゃん!収拾がつかないからなんとか言ってやってくれ!」
「……ンフッ、フハハッ…!!」
「ダメだこの兄ちゃん変なツボに入ったまんま帰ってこねぇ!」
「ピタピタのピタ……ふふ」
「ニィロウもダメね。はぁ、このテイワットにいる芸術家って、どこか感性が外れているのかしらね…」
ーーーーーーーーーー
「十分位撃沈し続けたアンタらのフォローでそこそこ走り回ったアタシたちに何か言うことは?」
「「あざっした」」
「あ"?」
「「ごめんなさい」」
「もうちゃんとお話しできるわよね?」
「ぅ、どうかなぁ」
「で き る わ ね ?」
「ピィッ!できるよっ!」
この後めちゃくちゃ…
インタビューした。
ーーーーーーーーーー
ーー後日、グランドバザール
「……おかしいなあ」
調子が出ない時というのは多々ある。足が妙に重かったり、動きが油を差していない遺跡ドレイクみたいにギシギシになったり。ひどい時には、筋肉が言うことを聞かなくなって立ち上がれない、なんてこともあった。
でも、そういう時には、ちょっと休んで、甘いピタを食べたり、お友達とおはなししたり、シナモンチャイを飲んだり、スラサンナ聖処に行って風に吹かれたり、カレーを食べたり、団子を食べたり。そう言う息抜きをして調子を整えると、不思議と調子が元に戻っていて。
自分も、治っているんだからいいじゃない、と。自分の体の不調がどこから来るのかについて、追及を怠っていた。色んな賢者の人からあんまりよく思われていない、芸術の分野を専門にする私だけど、それでもやっぱりスメールの民だもの、クラクサナリデビ様の国に住んでいるんだもの。謎に対する姿勢を正すのを嫌がらないくらいには、未知への好奇心があるんだよ。
でも。今回は違った。
「調子はとってもいいんだけどなぁ…。でも、胸がずっとくにゅくにゅしてるんだよねぇ」
調子は悪くなるどころか、むしろ良くなっている。練習を見る人も、なんだか調子良いね!と話しかけてくれたりするくらい、調子がいいのだ。
なのに、調子がいいはずなのに、身体の奥が熱を帯びたようにホクホクしているのだ。ふかしたジャガイモのように、お鍋で煮込んだニンジンのように、焼き立てのチーズナンのように。やわやわと?ほくほくと?アツアツと?あの人じゃないんだから、わたしにはこの気持ちをしっかりと言い表すことはできないけれど。胸の奥が、あの時からずっと疼き続けるんだ。
気になる。気になるよぉ〜!なんでこんなに身体がポカポカして胸の奥がくるくるしてるのに、身体はいつもより沢山動けるのか!いっつも夜になるとあの時の事が浮かんで寝るのが遅くなってるのに、ずっと調子良くなり続けてるのか!わかんないよう!うわーん!
ーーーーーーーーーー
ーーー教令院地下、ファトゥス構成員『博士』のラボ
「……………ウッソだろコイツ」
「博士、花神誕祭の輪廻計画のキーマンの状態が高揚を続けておりますが、計画にこの要素も組み込みますか」
「……………組み込みたまえ。恐らく、この前接触した『少女』のお気に入りの作家が再度接触しない限り、この状態良化は対数関数的に続いていくと思われる。用意は周到にするものだ、繰り返してのチェックは怠ってくれるなよ?」
「は、承知いたしました。…ところで浅学の身ながら一つ質問したいのですが」
「……………ハァ、そうだな。このムカつきは他人と共有するに限る。何を質問するかは間違いなく予想できているが、今の私はどうやら解答をしたい気分のようだ。言ってみたまえ」
「は、それでは。何故この少女の状態は良化の一途を辿っているのでしょうか」
「……………今回の一件はだいぶ非科学的ではあるがね、腹が立つが説明しよう。君もオニキスの感情曲線というのを知っているだろう」
「たしか、『感情が肉体に及ぼす影響は対数関数的グラフを描く』というものでしたね。………まさか?」
「話が早い奴は嫌いではない。この小娘の絶好調は確かに感情が原因だ。馬鹿馬鹿しいがグラフを一応取っておいた、ホラ。確かに対数関数に似たグラフを描いている。低級理科の実験を見ているような懐かしい気分にさせられたよ」
「おや、本当ですね。中中綺麗なグラフです。しかし、一体何の感情が起因しているのでしょうか。事前の調べによれば、この少女は聖人のごときお人好しと聞いていますので、慈愛や責任の感情は確かに貯まりやすいのでしょうが、違う気がしているのですよね」
「慧眼だ。この女は度が過ぎたお人好しで、怒りや怨み等の忘却補正が掛かる負の感情を滅多に抱かない性質を持っている。個人的感傷ではあるが、正直キショい。2人しかいないから誤解を恐れず言うが、この女の精神性が人外レベルで異質なのだよ。下手すれば、神やら眷属やら、そういう奴等よりよっぽど化け物だな。神の目を持つものは多かれ少なかれ異常だと言う仮説が帰納的に証明されつつあるな」
「……ハァ、成程。大体理解しました。この少女、恋しましたね。それも初恋」
「おや、大正解だ。流石に私の部下というべきか、中中に早い回答だな。しかし、一応聞くがどうしてこう早い解答を為すに至った?私はヒントを与えた覚えが無いが」
「いえ、先までの会話そのものがヒントでしたよ。化け物、異質な精神、帰納的証明、長期持続する感情、異性が関係している。古来よりこのテイワットに積み重なる異類婚姻譚や英雄譚を帰納的に利用すれば自ずと分かることです。古来より、異質を普遍たらしめるのは、愛やら恋やららしいですから」
「あくまで物語はフィクションとして扱うべきじゃあないのかね?」
「それこそ件の小説家が書く小説であればフィクション扱いをすべきでしょうけれど、今回はその限りではないんですよ。私の同僚が公子様の部下をやっているのですが、彼から聞いた話、テイワットに残るああいう伝説は大体が真実の利用らしいのですよ」
「ソースは信頼できるのかね?」
「人を伝っているので多少の誤謬はあるやもしれませんが、情報源は岩神モラクスだそうです」
「成程、これ以上ない証人だな。さて、合格だ。君には私の苛立ちを共有できる権利をやろう。光栄に思えよ?」
「光栄かどうかはさておいて、奇遇にも私、この先の展開が予想できて胸から角砂糖を吐きかねないと錯覚するほどに胸焼けしているんです。博士の話、どうか聞かせて下さい。」
「ハハ、宜しい。些か敬意が足りない気がするが些事だ。私のストレスの軽減につきあい給え。件の花神誕祭の輪廻計画だが、一応今回の創神計画の要とも言える計画だ、私の方でも収穫した夢のチェックを行なっているのだよ。例えば、淫夢の排除だとか、機密性の高い内容を含む夢の修正だとか、そういうことをやっている。仮にも雷神の現し身のオリジンたる素質を持った奴を、インキュバスだの情報爆弾だのにしたくはないのでね」
「成程」
「夢の輪廻の基点とする人間として、さっきも言ったようにこの化け物レベルの精神強度を有するコイツを選んだわけだが、どういう訳かある時点から夢の願いの強さが一気に上がったのだ」
「願いの、強さですか」
「ああ、話していなかったか。神の目というのは各人の強い願いに呼応し、その願いの結晶として生まれる存在だ。これを逆説的に考えて、神の権能は各人の強い願いで再現可能であると理論付けたのだよ。実際、この計画もこの理論がベースになっているんだがね」
「理解しました」
「話を戻すが、願いの強さというのはそうそうな事では変化しない。人間というのは出来事に左右される存在であるが、これは逆に出来事がなければ人間の進歩は停滞するということも意味している。つまり、この小娘に何らかの出来事が起こったとしか考えられなかった、という訳だ」
「おや、アーカーシャ端末の過去遡及は実現が難しいのではなかったのですか?」
「計画の要たる小娘に関わる事態だったから、無理を押して過去遡及の実現を視野に入れようかとも思っていた。まあ、必要は無かったが」
「…というと?」
「御丁寧にも、この小娘はあの小説家と出逢った日の出来事を夢の中で詳細にリピート再生していたからだ。週に一回スペアプランとして夢の多重化を行っているが、この小娘は多重化した夢の全てがあの小説家との邂逅のリピートか、彼と自分についての自分のあまりにも幼稚な妄想でしか無かったのだよ。気が乗らなかったが、そこに缶詰知識として一つ保存してあるから見たまえ」
「拝見します………………、うわぁ…」
「異常者は常人的成長に置いて常人に大きく劣るとは全くもって本質を射た言葉だ。この小娘は、踊りや劇作活動については常人に追随を許さない発達を見せているが、常人が成長する中で身に付ける恋愛観について、幼少から全く成長していなかったということだ。先程アーカーシャ端末の思考盗聴機能を試用したのだが、無作為設定にしたらよりによってこの小娘の端末に接続してしまったらしくてな…、その、なんだ。あまりの幼稚さに呆れた。『胸が疼くのに調子が良い』だの『身体が熱いのに風邪じゃない』だの…、阿呆過ぎんだろコイツ」
「は?!この女ここまでの事しておいて恋に無自覚なんですか?!」
「最早性知識が拙い幼児並の思考回路だった。あの様子だと、他人に真実を教えられても気が付かんよ。それでいて夢の効果は他人の物を大きく引き離してぶっちぎりのものなのだから始末に追えない。一応神の義体として奴が搭乗する巨人型端末を用意してはいるんだが、このままだと…」
「…どうなるんです?」
「小娘の夢の効果が大きい所為で、行動がメルヘンになるだろう。具体的には、必殺技がア○パンチになる」
「………神としてそれはちょっとなぁ」
「………一応、散兵にもこの件は伝えている」
「…反応は如何でしたか」
「……声も出さずに泣いていたな。アレはアレで面白かったが正直面白さ以上に同情の余地が有りすぎて愉悦する気にもならなかった。よって、計画を一部変更し、あの小娘の夢は単純なエネルギーに変換することで神の義体の燃料にすることにした。せざるを得なかった。このように計画変更を決意した直後に君がここに来たと言う、そういうわけだ」
「……………珈琲、かなりにがめのやつ有りますが、飲みますか。深煎りの、砂糖必須の珈琲ですけれど」
「……………頂こう。胸のあたりに溜まった糖分で十分だろうからな」
ーーーーーーーーーー
「………なぁにが『新種の風邪』だこの救いようの無い馬鹿めが!唯の恋煩いに決まっていようが!一体全体どういう成長をしたらこうなるというのだ!この小娘さては脳内花畑か、いいやそうだったこの小娘の脳内は花畑どころか聖人構造をしているんだったな!クソッ、爆発しろッ!」
「………淑女様から聞きましたが、モンドには爆弾魔の騎士が居るらしいです。………拉致して連れて来ますか?」
「…一瞬実行を命令しようとした自分に著しく腹が立つ!物凄く魅力的だがそんなことはせん。…オイお前!今日は呑むぞ。酒の代わりにコーヒーをな!」
「お供します、いえ、させて下さい。ちょっとこの純粋さが私には眩しすぎて、呑まなきゃやってられないです」
「ちょっと博士?!部下を殴ろうとしたら腕がロケットみたいに飛んでったんだけど?!正直アレは好きな改造だったから全然許すけどするならするってちゃんと言ってくれない…、か…。………一体どうした?何がどうなったらこうなる?」
「いえ、大した事では…、いや、大した事なのか…。創神計画で使う輪廻計画の要の少女が思っていた以上にメルヘン脳で覗き見た博士と私が糖死したので、酒の代わりにコーヒーで鬱憤を晴らしているところなんですよ」
「…あぁ、…あれか。………すまない、僕も一緒したいな。酒も持ってくるよ。………必殺技がアン○ンチになる絶望感をまた思い出したから、さ。………は、ハハ、アハハハ」
「…やけ酒、ご一緒しましょう」
「コーヒーッ!飲まずにはいられないっ!」
今回の言い訳の時間だオラァ!
ニィロウは、スメールにて演舞を披露するダンサーです。即ち、誰とでもある一定以上は親密度を築ける存在なのです。
詳解します。
まずはニィロウへの他者の好感度。スメール内の多くの人間は芸術分野に対して蔑視にも似た感情を持っています。しかし、それでも彼女の踊りを愛する人間はドニアザードのように少ないながらも存在します。このことから、彼女に対して、悪意を向ける人間と所謂ファンとしての好意を注ぐ人間が一定数存在していると判明します。他者からの好感度は常に一定値有る環境にいるのです。
これをもとに、実装してよりまだ日も経たないうちから独自解釈を致しまして、ニィロウは「自分自身について、人からの正の大きな感情を向けられる事に弱い女の子」という属性を持っている、ということにしました。後に具体化します。
次にニィロウから他者への好感度。これが非常に厄介です。ニィロウはカルマ値が思いっきり善に振り切れている人間ですので、多少の悪意ーー例えば、折角苦労して用意した踊りの舞台をメチャクチャにされれば、怒りはします。怒り方が「もう、みんなの努力が台無しじゃない!」みたいな感じになりますが。ーーを抱きはしますが、殺意憎悪のような明確な悪意というのを人間的性質として抱くことがありません。
この性質をもつ者は、ほかに、ディオナ、バーバラ、ノエル、雲菫、七七(願望。おそらくカルマ値は弱い善。)、宵宮、がいます。調べきれていなかったら申し訳ないです。特に、ノエルと宵宮はカルマ値がぶっちぎりで善に振り切れているようです。型月的に言うならば、「精神が聖人である」という感じでありましょうか。多少の悪行くらいなら諭す程度で終わらせられるのですが、その多少の範囲が余りにも広く、器物損害、強盗、傷害などの犯罪行為であっても、その裏の事情を積極的に鑑みようとしますし、条件は非常に厳しいですが、殺人行為のごく一部についても、情状酌量の余地を見出します。なぜこの話をしたかといえば、ニィロウのカルマ値がおそらく、この聖人レベルの善に値すると思われるからです。
というのも、魔神任務を見る限り、(記憶が消去されているとはいえ)数千と繰り返す花神誕日祝賀の妨害について、一度も明白な悪意を滲ませる描写が存在しなかったのです。この花神誕日の輪廻について、ディシアの描写や主人公の頭痛から少なくとも脳記憶が消去されても肉体記憶が多少残ると推測できます。このことから浮かび上がるのはニィロウの聖人性です。人間はどうやら記憶が残っていなくとも、肉体記憶が残っていれば何かしらの反応を見せるらしいです。具体的には、物心つく前に火傷した箇所が、熱いものを見るたびに幻痛を訴える、などという事で例示できます。さて、同じく人間であるはずのニィロウですが、数千と繰り返して自らの舞台公演を台無しにされた屈辱感と虚無感(それを抱くかと言えば少し疑わしい部分がありますが)は肉体に蓄積します。おそらく、後半の輪廻では、大賢者の顔を見るだけで涙が出てくるまでに至っていたかもしれません。人間の条件反射性からもありえない可能性では無いでしょう。しかし、どうでしょうか。魔神任務で描写されなかっただけと言われればそれまでなのですが、主人公の記憶のフラッシュバックにも、恐らく全てを観測していたであろうナヒーダの言及にも、またニィロウ自身の反応から見ても、ニィロウがなんらかの悪意を爆発させる描写ーー例えば大賢者をビンタするとか。ここまでされてビンタくらいしかしないだろうとしか考えられないニィロウがとんでもないのですが。ーーは全くありませんでした。以上より、ニィロウが聖人レベルの懐の広さを有していると帰納的に証明できます。証明の信頼度が低いのは、そもそも情報が少ないということで目をつぶって頂きたいです。
さて、ここまではニィロウ推しの人にとっても納得が可能であった内容かと思いますが、ここからが重要であり、ともすればアンチ・ヘイトと誤解されかねない内容です。あってよかった念の為タグ。
結論から言えば、ニィロウ、宵宮、ノエルのような聖人タイプの人間は精神の基準が博愛的、言い換えれば平等ですので、ある一定以上の好感度を稼ぐというのがとんでもなく難しくなります。具体的に言えば、Fate時空におけるジャンヌ・ダルク攻略のような難しさです。
解説です。ニィロウなど、聖人レベルの気前の良さを持つ人間というのは、誰に対しても愛、というか好感情を与えることができます。先に述べた通り、犯罪者であってもそこに情状酌量を見出そうとするまでの聖人性を有していますので、その精神は強固と言わざるを得ません。しかしながら、この強固さというのが厄介であり、他人に一定以上の好感度を持ちにくいという性質も副作用として付いてくるのです。これは逆説的に、他人と親友以上の関係、言ってしまえば恋人だとか、刎頸の交わりだとか、そういった深い関係になることが極めて難しいことも意味するのです。言い方を選ばず言ってしまえば、一生独身ということもあり得なくないことになります。こういう言い方するからアンチ・ヘイトがつくかもなんだよ。つけてるけども。
さて、こういう人物と深い関係になるのは、実はそう難しくないです。無論、一般人にとっては高難易度ですが、神視点からすればそうでもないのです。というのも、ニィロウの聖人の如き博愛を覆して余りあるほどの決定的なファクターがあれば良いのですから。具体的には、幼馴染とか、義妹義兄関係とか、所謂エロゲ補正と呼ばれる状況があればニィロウ攻略はありえなくないかもしれません。一般人にとってニィロウ攻略が難しいのが、こういったレベルの決定的要素を後付けで補う必要があるからです。
…ここまで説明すれば後はわかるでしょう。ニィロウと深い関係になるには、とんでもない困難が立ち塞がっている、ということなのです。
さて、以上のようなニィロウ自身の分析により、芥川がニィロウと小説で書けるような深い関係にまで至るのは基本不可能である、と結論づけられました。主な理由として、まずもってニィロウと接する強い理由が存在しないということです。これを克服しても前述の通り困難が立ち塞がるので、最悪の場合の、事務的関係ーー言うなれば芸能人と雑誌インタビュアーの関係ですか。ーーに終わる可能性が極めて高かったのです。
ここで、最初にこじつけた独自解釈が日の目を見ます。即ち、「ニィロウの好感度はニィロウ自身に対して高い好意を連続して与え続ければ稼ぐことができる」、としたのです。完全に芥川を輝かせる為の設定ですね。でも、あり得ない話では無さそうなのでいいんじゃないでしょうか。知らないっすけど。
そこで、こうしました。
まず、ニィロウを「芥川の小説の大ファン」に仕立て上げます。悲報です。芥川は虚淵みたいな本は書けなくなりました。精々かけてもエラゴンくらいの絶望くらいじゃないでしょうか。物たりねぇよなぁ?!でも仕方ないんすよ。
次に、芥川に「無自覚口説かせ」をやらせます。ニィロウがファンである憧れの人が、ニィロウに対してとんでもない好意を仄めかす(ように聞こえる)言葉を言えば、まあ慌てたりするでしょう。でもこれだけやってもまだニィロウの守りは崩れません。鍾離やん。
続いて、ニィロウが練習直後でそこそこ疲労していた、とします。これにより、ニィロウから正常な判断力と健康な体調をある程度奪います。おっと雲行きが怪しいなぁ。
さて、これが決定的です。芥川をニィロウの命の恩人にします。具体的には、ニィロウを少ない邂逅の時間で生命の危機に陥らせ、それを主に芥川が救うことで、大幅な好感度稼ぎが期待できるというわけです。だからアンチ・ヘイトって(ry
以上により、聖人君子に対してとんでもない関係、ミホノブルボソとかいう究極の一みたいな声したガンダム風に言えば、ステータス『片想い』を無事に獲得するのですね。
芥川、おめでとう!現地妻ができたね!()
ちなみに、さっきあげた聖人三強の中で一番好感度が稼ぎにくいのがノエルだったりします。…どうしよっかなー()
以上、言い訳でした。許してください。私ニィロウ嫌いじゃないんすよ。1凸するくらいには好きなんすよ。え、完凸?だって、弱いもん(サトル)。でもこの前聖遺物厳選してたらアタッカーニィロウいたわ。バケモンやで。
さて、聖人レベルのカルマ善ではないけど長年の虐待(スメール許さん)により強固な精神を獲得した草神がむずいんよな。
それではこの辺で失踪します。
追記
赤バーうれしぃ
感想うれしぃ
誤字訂正ほんっっっっと申し訳ない
なんかホントごめんなさい。それはそうと、ナヒーダかわいいよね
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せやな
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然り
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ロリロリローリロリ
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実はタイプじゃないのよ
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駆逐艦また増えたのです(ため息)
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はらしょ