元素と小説は使いよう   作:チル姐

5 / 23
いくらなんでも投稿しなさすぎて皆さんとのコミュニケーションが取れていないのを改善するため活動報告を使い始めるので初投稿です。

…急いで書いたので短いです。

異論はあるか!?あれば悉く却下だ!!!(森見登美彦並感)


小説家・芥川の散歩 五

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

七ツ国 巡り巡りて かへり着く 吾が腕には 睡る玉あり

 

君の母が遺した歌だよ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

璃月に旅するに、幾ら金を使っても、幾ら時間を使っても、損することは無い。

 

かつてスメールの詩文学者、シャブル・アヌが自身の旅行記にて述べたように、璃月の魅力というのはいくら掘り下げても調べ尽くせないものである。

 

 

 

その璃月を代表する場所とはどこかと考えたとき、真っ先に例として上がってもおかしくもなんともないのが、この万民堂である。

 

 

 

短時間に再度いうことになるが、万民堂は、璃月を代表すると言ってもおかしくない食亭である。

 

しかし、その外観は初めてここに来る人間にとても想像できるようなものではないだろう。

 

店自体はそこまで広くなく、厨房設備に注文受付、後は椅子が2人分という簡素なレイアウトをしている。

 

二、三階に居住空間があるとはいえ、大人気料亭としては些か狭すぎる感が否めない。

 

 

 

「あっ!せんせー、やっときたー!もうご飯の準備できてるわよ!そこに座って座ってー!」

 

「あぁ、ありがとう香菱。それと、卯師匠。いきなりですが、朝食の人数が増えまして…。彼女の分も用意して頂けますか」

 

「そう言うだろうなと思って、多めに作っておいたよ!先生の食事のご同伴が増えるのなんていつものことだろう?まぁ何だ!余っても香菱の腹の中におさまるだけだしよ!」

 

「ちょっとー!」

 

食事の話題になると敏感になるのは女性の大きな特徴である。

 

自身の外見の特徴に繋がりかねないような話題には、敏感になるのだろうと考えている。

 

香菱もその例に漏れないらしく、卯師匠の歯にもの着せぬ豪快な言に調理の手をそのままに抗議して見せた。

 

 

 

万民堂に戻ってきた我々であるが、驚くことに、急な予約変更にも完璧な対応を見せてくれた卯師匠。その慧眼にはいやはや頭が下がるばかりである。

 

天気の良い日に青空の下、食事を摂るというのはなんとも言えない多幸感を感じるものだ。二の腕の上の方が暖かくなって、その熱が背中にまで伝搬し、背中に翼を生やし、私を彼方まで連れて行ってくれるような錯覚に陥る。文字通り、空の彼方、星の輝くソラの彼方へと、連れていってくれそうに思えてならないのだ。

 

何処かの元素学者が男女は須く星である等と曰ったと述べたという話を何処かで読んだ覚えがある。その本は、元素学の段階を百年分進めたと言われている学術書であったのだが、含まれる潤沢な智慧の割に、それをなかなか風情のある言い回しで述懐するのであるから、一方で「学術書に喧嘩を売っている学術書」とも呼称される。かつて、と言っても三年ほど前の話であるが、この本を手にして、私は俗に言う「沼」とやらに大いに囚われたようで、その本の言の数々をひどく気に入って様々に解釈を重ねて、自分の小説に取り入れたりした。

 

須く星であるという男女。ならば星の下へと還っても何もおかしくはあるまい。翼を手にし、空高く舞い上がることへの純粋な憧れや、星々の配列に意味を見出し、神秘を解き明かそうとするという邁進。成程。人は星であるが故に、星を目指すのやもしれない。

 

晴天の下に食事を愉しむことの悦楽から、とんでもない方向に話が飛んで行ったものだが。果たして言える事は、私はこの現在の状況を大いに享受している、という至極当然の真実である。

 

 

 

「七七ちゃん、そのスパイス取ってくれない?」

 

「や。自分で取って」

 

「ちょっと、七七さん?口周りがすっごく汚れているわよ?ほら、じっとしていなさい…」

 

「ぇん、ありがとう。…せんせい、このすぱいす、いる?」

 

「え?!七七ちゃん?!?!」

 

 

 

七七くんが何やら胡桃を揶揄って面白いことをしている。キョンシーたる七七くんは、見た目と実年齢が全く異なるというのは理解しているが、いやはやどう見ても年上にしか見えない少女を揶揄うくらいには大人びているとは。意外な発見である。

 

ちなみに、卯師匠は店が賑わってきたので食事会には不在である。明日は一緒させてもらうとのことだが、重要な人手である香菱を私達との食事に参加させているところが、何とも出来た父親らしさを醸し出している。端的に、格好がいいと言わざるを得ないな。

 

 

 

「はは、ありがたく貰っておくよ。でもそこで扱いの差に打ちひしがれている阿呆に意地悪しすぎるのはよくないなぁ」

 

「おあほさんには、これでいいの。やさしくしないのが、ちょうどいい」

 

「おや、それもそうか。ならば仕方がないね」

 

「うええええええ!せんせいななちゃんがいじめてくるぅ〜!!!」

 

「知らん、甘んじて受け入れろ」

 

 

 

性悪と言われて仕舞えばそれまでだが、この阿呆を軽くあしらって遊ぶのは、嫌いではない。寧ろ、何ならば、趣味の一つになってしまっている気もする。なんというか、年の離れた生意気な妹を相手にしているような感覚になるのである。

 

 

 

「…ほんっとに仲良いんだね、胡桃とせんせー。ちょっと羨ましいなぁ」

 

「!!!!!!!!…でっしょぉーー!そうよ、先生と私はとっても仲良しなんだよ!相思相愛の仲でしかないよね!うふふっ」

 

「…相思相愛は言い過ぎだ。別義ならば相思はあるやもしれないが相愛なんて事はあるまい。こう調子に乗るのを見ると妙に腹が立つから色々やっているだけなんだけれど」

 

「うぅぅぅ〜、せん" せ い" の" い" じ わ" る" ぅ〜!!!」

 

「あと反応がいちいち面白いから、意地悪が捗る」

 

「ううううううううううううう」

 

「犬じゃん」

 

 

 

猫に餌を与えるのを焦らすような、いいもしれない快感を覚えながら、香菱に色々話していく。ちょっとわかる気がする、等と言い出した彼女は、いったいどこに向かって成長しているのだろうか。父の手をある程度離れているとはいえ、これは予想だにできないだろう。

 

 

 

「…いぬ、なるほど」

 

「あら、七七さん?急に立ち上がってどうしたのかしら」

 

「…ぅえ、七七ちゃん?傷心の私を慰めに来てくれたの?…ふふふ、はーはっはー!ほーら先生!七七ちゃんは私の味方になってくれてるよ!降参して意地悪をやめるならいまのうt」

 

「お手」「わんっ」

 

「…よくできました。すぱいすをあげよう」「わーい!」

 

「犬じゃん」「犬ね」「犬だね」

 

 

 

何というか、その、なんだ。率先してこの犬っころを玩んでいる立場で言うことではないけれど。仮にも往生堂の主人が、その為体でいいのか。幼女に犬扱いされるレベルで、いいのだろうか。

 

 

 

「むふふふー、七七ちゃん柔らか〜い」

 

「…あっっっっっっっっっつくるしい」

 

 

 

…まあ、本人が楽しければいいのか。

 

 

 

…良いのか?

 




更新を続けることは間違いないけれど、やっぱり不定期になりそうなので失踪します。

…もしかしたら予告でモンド編あげるかも(AKTS)

胡桃の料理は…(エビムシギョウザァ)

  • 幽玄(奥深く深遠ではかり知れない)
  • 護摩(木を燃やして煩悩を焼却つまり真黒)
  • 破天(破天荒の略つまりすごい())
  • 息災(災いもなく元気つまりメシウマ)
  • 和璞(一見価値が計れない宝おふくろの味)
  • 赤砂(赤い砂つまり激辛)
  • 匣中滅龍(…メシマズヒロイン、クるよね)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。